IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第481話】
前書き
ネタバレ
実はフォルテとダリルの方を書いてない
ってのも、最新刊出たせいでもある(ぇ
とりあえず修正せねば(゜○゜)\(-_- )
遥か上空ではイルミナーティが学園を守るため人知れず戦い、学園上空では有坂陽人の孤独な戦いが続いている。
そんな最中、学園への降下、強襲に成功した複数の無人機は代表候補生達へと襲撃をかけていた。
「こんのおぉぉっ!」
双天牙月の重い一撃が黒いISの装甲へと当たり、細かく小さな破片が散らばる――だが、有効打を与えられた訳じゃなかった。
襲撃者の振るう巨大なブレードを避けるため、咄嗟に襲撃者のISを蹴って離脱、距離を離すと再度双天牙月を構える。
いつぞやの借りを返すとばかりに興奮する鈴音、だが相手は無機質な機械、特別な反応など全く示さなかった。
『――――――』
「こいつ……性懲りもなく……! アタシには分かるんだからねッ! 五月に襲撃してきた機体とおんなじタイプだって事はね!!」
応えることの無い襲撃者に対して、肩部ユニットである衝撃砲の砲口が開く。
狭いピット内での戦いでの最大出力砲撃は、襲撃者を跡形もなく吹き飛ばす筈だった――だが、襲撃者は立っていた、それもダメージは全くと言っていいほど与えられてないという結果だ。
『――――――』
それもその筈、機体周囲に浮遊する球状の物体が円を描くように並び、強力なエネルギーシールドを展開していたからだ。
「くっ……! なんなのよ、こいつ! 前のは攻撃型だったのに今回のは防御型ってわけ!?」
憤る鈴音、狭い中での戦闘は不得手なセシリアが叫んだ。
「鈴さん、屈んで!!」
「任せたわよ、セシリア!」
セシリアに返事をすると共に身を伏せる鈴音、その上を飛び抜いたセシリアは空中で一回転、停止した後に構えたスターライトmkⅢによるライフルでの連射を開始した。
だが、エネルギーシールドの出力はそれを更に上回っていて粒子が周囲に四散していった。
「硬いシールドですわね……! ですが、これならどうです!?」
機体周囲に展開していたビットからの一斉射撃、その粒子ビームが全て明後日の方向へと飛んでいく。
「ふふっ、これで終幕ですわよ!」
セシリアが指で銃の形を取り、それを放つ――それが起因となり、明後日の方向へと飛んでいた粒子ビームが襲撃者の死角から一斉に襲いかかった。
『――――――』
だが、それすらも即座に対応、シールドビットが間に合わないと素早く判断した襲撃者は空中を舞い、粒子ビームを紙一重に避けきる。
「なっ!?」
セシリアは驚愕した、必殺必中のあの一斉射撃を避けられたのもそうだが、襲撃者が見せた回避マニューバーが人間のそれでは真似できない代物だったからだ。
「じょ、冗談ですわよね? あの防御力で、あの機動力!? それに……!」
セシリア、鈴音の二人に対して襲撃者は左腕を突き出し、掌を開くと其処には砲口があった。
砲口には徐々に光が集束し始め、まもなくチャージが完了する所だった。
「火力もありそうねぇ……」
鈴音のそんな言葉が漏れる、そして――放たれた一撃は、セシリアと鈴音の居るビット全体を揺るがした。
一方、別の場所ではラウラとシャルの二人が襲撃者と交戦していた。
「なんだこいつは!」
ピット天井をぶち抜いて現れた襲撃者に対して叫ぶラウラ、襲撃者は加速、叫んだラウラに狙いをつけ襲いかかる。
巨大な左腕がラウラの小さな頭を掴むや、徐々に力を込めていき、ダメージを与えていく。
嫌な音をたてて悲鳴をあげる頭部ハイパーセンサー、そして耳に響く警告音とハイパーセンサーに表示される警告表示、全く状況が掴めない訳じゃない、襲撃されていると直感したラウラは左腕のプラズマ手刀を展開、刃が形成されるや直ぐ様斬り上げる。
だが、その一撃は阻まれ、襲撃者の右腕のブレードによって阻止された。
「なにっ!?」
焦りを見せないラウラが珍しく焦りを見せる――まずい――と、人の防衛本能が働き、何とか振りほどこうともがき始めたその時。
「ラウラ!」
その声にラウラは目を見開く――シャルロットの声を聞いたラウラは、自然と心落ち着く思いだった。
一方のシャルロットは、ラウラを救出するべく左腕部シールドから六九口径パイルバンカーを飛び出させている。
「このぉっ!!」
シャルの叫びと共に放たれたパイルバンカーの一撃に、襲撃者の左腕がラウラから離れた。
だが、その左腕は此方をを捉えていた、ラウラはそれを見て直ぐ様。
「シャルロット!」
「伏せて、ラウラ!!」
間一髪の所でラウラと襲撃者の間に体を滑り込ませたシャルロットは直ぐ様ラピッド・スイッチによって物理シールドを三枚重ねて呼び出した――その刹那、熱線が放たれる。
「くぅっ……!」
特注品のリヴァイヴの物理シールドの三枚重ね、それでもなお防ぎきれなかった熱線によってシャルロットの右腕が焼かれた。
苦痛の表情を浮かべるシャルロット――。
「しゃ、シャルロット!」
思わず名前を叫ぶラウラ、誰から見ても分かるぐらいの酷い火傷だったが、シャルロットは気丈に振る舞い、いつもの優しい笑みをラウラに見せてみた。
「だ、大丈夫……ちょっと、シールドエネルギーを削られただけ」
誰が見てもちょっとではなかった――ラウラの中で、何かの線みたいなものが切れる音が聞こえた。
「……許さん。 貴様ぁぁぁっ!」
右手で左目の眼帯をむしり取り、それを投げ捨てる――金色の左目が解放されたラウラは、襲撃者が反応するよりも速く接近、AICを最大稼働で襲撃者に撃ち込んだ。
『――――――』
まるで、襲撃者のみが時間が止まったかのように静止した――そして。
「砕け散れぇぇぇぇ!」
大口径リボルバーカノンの連射、轟音と爆音がピット内に響き渡る。
「うおおおおっ!」
大口径リボルバーカノンの連射で、体は徐々に襲撃者から離れていく、AICの有効範囲外に出たことすら気付かず、ラウラが射撃を続ける中、シャルロットが叫ぶ。
「ラウラ、ダメ! 下がって!」
シャルロットの呼び声が届くよりも速く、一瞬で距離を詰めてきた襲撃者に対して驚愕すると共に冷静でなくなった自分に対して内心舌打ちを打った。
「瞬時加速!? しかも、この出力はまるで――」
ラウラの言葉は続かなかった、右腕のブレードがラウラの体を切り裂き、鮮血がピットを舞う。
「ラウラぁぁぁぁっ!!」
シャルロットの悲痛な叫びがピット内に響き渡った。
一方、別の場所では――。
「なに、こいつ……嫌な感じ……」
美春はそう呟き、天狼を構える、美冬の方も既に戦闘体勢に移行していて、襲撃者に対して背後からの一撃を浴びせようとしていた。
振るう紫微垣の一撃、エネルギーシールドを張って防ごうとする襲撃者だがその一撃を防ぐことは出来なかった。
紫微垣にも天狼同様バリア無効化攻撃が備わっていて、展開したエネルギーシールドの粒子変動率が無効化攻撃が通じる範囲内だった為だ。
だが、浅い一撃によりダメージは対して与えられず、振るってきた右腕のブレードを回避し、一旦距離を取った。
「美春!」
「任せて! ……貴女からは、何にも感じられないッ! 心を何処かに置き忘れてきたのッ!?」
美春は足元に滑り込みつつ、天狼で襲撃者の股の間を切り裂く――美春自身が少し前までコアだった為、異様な雰囲気を醸し出すこの相手に言い様のしれない感情を抱いていた。
「っ……何なの、ネットワーク経由で語りかけても拒絶するなんて、こんなことって……!」
「危ない、美春!」
翳した左腕から放たれた熱線、咄嗟に美冬が美春を連れて離脱、空いた天井からアリーナへと二人は躍り出た。
そして、美冬は目を見開く――上空では、父親である有坂陽人が無数の襲撃者と対峙していたからだ。
「お父さんッ!!」
思わず叫ぶ美冬、注意が空へと向かっていたからか、足元の敵の事を一瞬頭の中から忘れてしまった。
その刹那、警告音が鳴り響く。
「美冬! 危ないッ!」
美春がそう叫び、美冬を突き飛ばす――刹那、熱線が美春を飲み込んだ。
「……!? 美春っ!? 返事して! 無事なのッ!?」
熱線に堪えきった美春が姿を現す――だが、一部生身の部分には酷い火傷を負っていた。
「だ、大丈夫……。 ……えへへ、痛いってのも、結構きつい、ね……?」
苦痛の表情を浮かべ、尚も天狼を構える美春――抜け出た穴から出てきた襲撃者に、言い様のしれない恐怖を感じた美冬は最愛の兄であるヒルトの名前を呟く。
「お兄ちゃん……美冬に……力を、ちょうだい……!」
恐怖心に支配される前に、美冬は攻めに転じた。
そして、一人襲撃者に襲われていた簪は――。
「あ、あ……あっ……」
突然の襲撃者によってろくな対応も出来ず、未だにISすら展開が出来ないほどの恐怖に支配されていた。
がたがたと噛み合わない歯を鳴らし、簪は完全に戦意を失ってただただ怯え、後退りする。
もう既に心が恐怖に支配されていて、まともな思考が出来なくなっていた。
「ひっ……!?」
小さく悲鳴を上げる簪、既に背後は壁で、これ以上下がることは出来なかった。
怯え、体の震えは止まらず、再度壁を見てからゆっくりと前を向く。
『――――――』
襲撃者が徐々に迫る、心の中で簪は目一杯助けを求めた、誰でも良かった――今、この危機を助けてくれるなら。
だが、現実は都合よくいくはずもない、助けを求めても、ヒーローがやって来てくれる事はない。
だがそれでも、簪は助けを求める――そして、無意識化で一人の男性の名前を呟く。
甘く、優しい言葉をかけてくれた織斑一夏ではなく、自分に対して、厳しい言葉を掛けてくれた有坂ヒルトの名を。
「ひ、る……と、くん……」
その時、彼が言っていた言葉と、先日未来が言った言葉が脳裏に過った。
『簪、まだ自分で対処が可能だろッ! 確りしろ!』
『人によって優しさの感じ方って違うじゃない? ヒルトは更識さんにとって厳しい言い方したかもしれないけど、でもそれだって貴女の事を思って厳しく言ったと思わない?』
彼が言っていたのはこの事も想定しての事だったんだ……そう思うと、急にヒルトがこれまで自分にしてくれた事を思い出す。
機体だって、彼の尽力が無ければ……大会に間に合うどころか未だに完成していなかったかもしれない。
クラスの中で孤立していた私にも、ヒルトは皆と仲良くなるきっかけを作ってくれた――でも、私の身勝手な行動で今また孤立しかけている。
織斑君が私の絶対的ヒーローならそれでもいい――何て思っていた前の自分を叱責してやりたくなった。
でも、それも後の祭り――ううん、まだ……甘い考えかもしれないけど、やり直しが利くかもしれない。
謝ろう――もし、この場を切り抜けられたら。
いつの間にか心を支配していた恐怖心が消え去り、簪の思考は戻っていた。
そして――眼前に迫る襲撃者の左腕が簪を捉える瞬間、襲撃者は思いもよらぬ反撃を受けた。
『――――――』
「……負け、ない……!」
さっきまでの怯えていた眼差しは何処にも無く、諦めないと勇気を振り絞り、打鉄・弐式を纏った簪の姿があった。
思いもよらぬ反撃を受け、襲撃者は右腕のブレードを構えて一気に迫る。
薙刀の柄を強く握り締め、唇を噛み締める簪――真っ向勝負で受けてたとうとしたその時、突如右側背後の壁に亀裂が入り、吹き飛ぶとそこから現れたのは――。
「簪! 無事か!?」
そんな第一声と共に現れたのは、今謝ればならない有坂ヒルトだった。
後書き
はてさて、どうなるやら
とりあえず十巻読んだが相変わらず薄い薄い、ヤバイぐらい薄い頁に水増し行が……今さらだけどねー
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