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私が好きになった人は・・だった そして、親友の女の子とも・・

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6-5

 10月末の土曜日、コウに高尾山に連れて行ってとお願いをしていて、ジーンズに緑色のナイロンジャンパーに碧から拝借したエンジェルスのAマークのついた赤い帽子を被って出た。少し、大きくて碧から冷やかされたが、構わないで、紺色のリュックを背負っていた。

「あっちから歩いてくるの見ていたけど、ミミってわからなかったよ」

「ふふっ 帽子 ちょっと大きいからネ」私は、今は髪の毛の後ろだけ切らないように伸ばし始めていた。お父さんが短いより長い方がいいなぁーって言っていたから。

 私達は、高尾山口から天気も良かったので登りはリフトで行くことにした。私は、その方がベッタリと腕を組んでいけるからと思ったのだ。コウも肩を抱くようにしていてくれていた。そして、時々、私の帽子が飛ばされないように頭を押さえるようにして気に掛けてくれていた。もう、紅葉も始まるかのように所々が黄色くなり始めていた。

 降りて、山頂を目指して歩いている途中で、階段のところで小さな女の子が立ち止まってぐずっていた。上のほうでお母さんが頑張りなさいよと言っているのが聞こえてくる。その上の方ではお父さんらしき人が子供をお腹のおんぶ紐で抱きかかえて、眺めていた。お母さんも降りてきて、その子を助ける様子もなくって、声を掛けているだけだった。私、その子の涙眼と合ってしまって

「いっしょに がんばって のぼろー」と、背中に手を添えて声を掛けてしまった。その子は私の顔を見て、微笑むように「ウン」と言って階段を上り始めた。お母さんは、それを見て私に頭を下げていたのだけど、途中途中、下を気にしながらも上って行っていた。しばらく、上っていた時、その子は私の手を握るようにして「いち にー」と、がんばって上ってる様子だったのだ。

 山頂に着くと、お母さんが私にお礼を言って「かすみちゃん 偉かったわねー がんばったネー」と、その子の頭を撫でていて、その子は「おにいちゃん ありがとー」と、私にピョコンと頭を下げたかと思うと、お父さんの方に走って行った。

「コウ 聞いた? お兄ちゃんだってぇー」

「ふふっ そう見えるかも知れないネ 今日のミミ そんな風に見えても、僕にはミミはミミだよ」

「そんな風に キュンとすること言うぅー」と、コウの手を握り締めていった。だけど、ふたりで下に広がる景色を見ていた時、知らない間にあの子が私のジャンパーの裾を持っていた。

「かすみちゃん ダメよー 勝手に離れちゃー」と、お母さんの声がして

「ごめんなさい この子たらー」と、私に謝るようにして、かすみちゃんを連れ戻そうとしていた。

「マンマ 写真とってぇー おにいちゃんとー」

「何言ってんのよー お兄さんも迷惑でしょー あっち パパ あっちよ」

「あっ いいですよー じゃぁ かすみちゃん ポーズ」と、私はかがんで並んだ。
お母さんは、スマホを取り出して、シャッターを押していた。そして、私も、スマホを取りだして「すみません 私達も撮ってもらえます?」とお願いすると

「あっ やっぱり 女性のかた? ごめんなさいね この子がお兄ちゃんって言うもんだからー 可愛らしいお顔とは思ってたんですが ごめんなさいね」と、言いながらも私のスマホでコウと二人のところを撮ってくれた。私は、帽子をとってベッタリとコウにくっついていた。

 だけど、その後も、かすみちゃんは私と手を繋ぎたかったのか、私達のもとに来て、私の手を探すようにして握ってきていた。その度にお母さんが来て、私に頭を下げて、連れ戻していたのだけど・・。

 そして、その家族が先に下りて行くときも、かすみちゃんが

「おにいちゃん バイバイ」と、小さな手を振っていた。「だから おにいちゃんじゃぁなくて おねえちゃんって言っているでしょ」と、諭すようなお母さんの声が聞こえていた。

「えらく 好かれたもんだなー おにいちゃん」と、コウがからかってきて

「もうー コウまでぇー なんなんでしょ あの子 失礼ヨネ 可愛いけどー」

「うふっ ミミもまんざらでもなかったみたいだよ」

「私 妹が欲しいからー でも、今の子は 私の子供みたいな年なんカナー」

「だなー もう 自分の子供って言っても通用するカナ 若いお母さん」

「やだぁー まだ 私は お姉ちゃんで通用しますよっ~だ 君の彼女は、まだ二十歳前だよ」
 
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