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ダンジョンに異世界人が行くのは間違ってますか?

作者:黒ヤギ
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第八話。トリックスターロキ。

「異世界人?それは私達がいた天界とは違うわよね?」
「えぇ、全く違いますね。こことは全く違う世界パラレルワールドでも言うてんすかね?まあ、そんな感じだと思ってください。あ、だからと言ってどうやって来たかは聞かないでくださいね。俺もいつ間にか来てて帰り方もわからない状態ですから」
「貴方達3人とも異世界人なの?」
「いえ、彼女達はこちらの世界の人です」

何者かと聞かれて俺は正直に異世界人と答える。俺がそう言うとフレイヤは考え込んだ。悩んだ姿も美しい。俺の世界だったらロダンの考える人言う銅像があるが、この世界には悩めるフレイヤ様と言う銅像が立ちそうだな。

「そう言えば貴方はどこのファミリアに所属しているの?」
「ファミリアにですか?どこにも所属してませんが?」
「嘘?それだけの力を持っていて?」

なるほどその目である程度の強さもわかるのか便利なもんだな。流石に俺の強さは測れないようだがな。俺は普段気のような魔力のようなそう言った感じのを無にしているくらい隠している。

「でもそうよね。もしファミリアに所属してたら、この子達が無名のはずもないし。でもそしたら恩恵を受けてないのよね?その力はどうやって?もしかして異世界の力かしら?」
「別に異世界だからと言うことじゃありません。私の世界の鍛錬方法で気功法と言う特殊な呼吸法があるんですが、魔物や魔石から出る魔力を吸って体内に巡らせて力に変えます。まあ、簡単に言うと恩恵の経験値の役目を気功法でやっている。そんな感じだと思ってください。彼女達もそれをやっています」
「信じられないわ。恩恵以外にステイタスを上げる方法があるなんて」
「別に不思議なことじゃあないと思いますよ。この世界も過去の英雄達は恩恵を受けずに魔物を倒してたみたいじゃないですか。同じ方法かどうかわかりませんけど魔物を倒して強くなってたみたいですし」
「それは確かにそうだけど…」

俺がそう言うとファミリア再び考え込んだ。神が降臨する前英雄達は魔物と戦っていた。有名なので言うと英雄アルバートの話だ。黒竜と言われる最強の魔物を撃退したと言う物語だ。

「いろいろと腑に落ちないところもあるけど、取り敢えず元の目的に戻りましょう」
「元の目的?」
「貴方達私のファミリアに入らない?」

思わぬ突然のお誘うに思考が停止してしまう。ヒルデ達はビックリしすぎて口をパクパクさせてしまう可愛い。

「せっかくありがたいお誘いですが遠慮させていただきます」
「あら、遠慮しなくても良いのよ。入れば手厚くするし私も嬉しいわ。どう?どうしてもダメ?」

いや、そんなに可愛くお願いされても嫌な物は嫌だし。俺は今の平和な日常が気に入ってるから、そんな事を考えていたらヒルデ達がそっと手を取って来た。

「ご主人様。どうしてもダメですか?」
「そうですよ。フレイヤ様もこんなにお願いしてるではありませんか?」
「あら2人は乗り気みたいで嬉しいわ。どう?2人もこう言ってるし私個人としてもとても嬉しいわ」

コレはチャームを使われているな。正確には俺に向けて使ったと思われるが、俺にはそう言う類のものは効かない。ヒルデ達にはその流れ弾的なものに当たったんだろう。流れ弾でこの威力凄まじい力だな。

俺は握られて2人の手を取ってツボを押して刺激する。次の瞬間に脳に電流みたいなのが走り激痛が走る。痛さに悶えるが2人は申し訳ありませんと言って正気に戻った。

「凄いわね。私の魅了が効かないだけじゃなくて人のを解除できるなんて、ちょっとやそっとでは解けないのよ?」
「いや、イタズラに力をばら撒くのは辞めてください」
「そうね。どうやら貴方には効かないみたいだし。あ〜ぁ、魅力が効かないなら無理やり入れるのはダメみたいね」

フレイヤは残念そうにしてソファーにうつ伏せになってもたれかかり。そっと俺に顔を向けてジト目で見つめて来た。

「ねぇ?どうしてもダメ?」
「ダメですね」
「む〜!」

俺がキッパリと断るのを面白くないのかほっぺをパンパンに含まらせてむくれている。美人なくせに可愛い顔もできるのかよ反則じゃね?まあ、俺には効かないけどね。

「さて、お話しも終わったようですし俺達はコレで失礼させてもらいますね」
「えっ?帰るの?」
「えぇ、そろそろ査定も終わったみたいですし」

入り口の前で申し訳なさそうにアドルスキーが立っていた。

「じゃあお金受け取ったらもう少し話しましょ?」
「いや〜、私たちまだ食事をとってないですよ。お腹がぺこぺこでして」
「なら一緒に食べましょう。奢ってあげるわ」

そ言ってフレイヤは俺腕に抱きついて来た。let's go〜!!と言って楽しそうに笑った。俺達は強制的に連れて行かれた。金をもらい店を出て街を歩くと注目の的にされてしまう。

それはそうだろう。あの天界一の美の女神様フレイヤが見ず知らずの男と一緒に歩いてるんだから、街ゆく人達はヒソヒソと噂話をする。まるで動物園のパンダにもなった気分だ。

「フレイヤ様から離れろぉおおおお!!」

突然と鬼気迫る物凄いスピードと勢いで槍を向けて走ってくる1人の男がいた。セリフから察するに眷属の子なんだろう。でもよそんな勢いで来たら普通の人だったら死ぬで?俺じゃなかったらどうするの?

男が俺に衝突すると物凄い勢いだから土煙を撒き散らす。誰もが俺が死んだと思われたが、土煙から現れたのは襲って来た男が俺に踏みつけられている姿だった。

俺は合気道で男を地面に叩きつけて背中を踏んづけて動けないように拘束する。あまりにも一瞬すぎる出来事だったためやられた本人ですら分かってない様子だ。フレイヤも驚いていた。

「あらアレンじゃない。どうしたのそんなに殺気立てて?」
「お前もしかしてしなくてもフレイヤ様の眷属か?」
「クソ!何で起き上がれないんだ!?」

聞いちゃいないし。フレイヤも他人事のように呑気だし。ちなみに立てない理由はコレも合気道だ。合気道では相手の手を握って立てなくする技術があるが、俺は踏みつけて立てなくすることできるのだ。

その騒ぎにかけつけて次々と眷属や他のファミリアの冒険者だと思われる人が来る。更には襲われたやつに罵詈雑言を罵倒を吐かれる。君この状況でよく言えるね。あと文句言いたいのは俺の方だよ?俺の方が襲われたんだよ?

「なんやなんや!この騒ぎわって、またお前かい!もうええ加減にせえよ!」

人々をかき分けて怒りながらズガスガと鳴らして歩いてそうなガニ股で入って来た。赤髪の細めのスレンダー美女だった。気配から察するに彼女も女神なんだろう。

「あらロキ。どうしたのそんなに怒って?」

フレイヤがそう聞くとロキと言われた彼女はブチ切れたようでフレイヤに拳骨をする。喰らったフレイヤはふぎゃと可愛らしく痛がる。美人なくせに可愛らしい反応するんだな。そこは女の子って言ったところか。

「それで自分見ない顔やけど何者や?」

ロキは一通りお説教をすんだら俺に視線を向けて話して来た。正直にまたこの話かよと思った。神様には俺はどう見えてるの?化け物にでも見える?いやまあ、ステイタスは化け物に近いかもしれんが。

「私は…」
「私の伴侶(オーズ)候補よ」

突然とフレイヤが横から俺の言葉を遮るように言う。静まり返った瞬間に皆んなが一斉に驚きの大声を上げる。その声は噂と共にオラリオ中に鳴り響いたらしい。

この時の俺は何のことかさっぱりわからなかった。いきなりオーズって言われても俺にはわかんなかった。それを聞いてフレイヤの眷属達が殺気だてる。

踏んでいたアレンと言われていた猫人もさらに力を強くして起きあがろうとする。本当は離したくないのだがこれ以上は壊れてしまう。俺がしょうがなく離すとアレンは起き上がり再び襲い掛かろうとするが、フレイヤが間に入って止めた。

「フレイヤ様!そこをおどきください」
「ダメよアレン。彼とは仲良くしなさい」
「無理です!こんな奴がフレイヤ様のオーズだなんて認められません」
「そんなこと言って、貴方達はどんな人を連れて来てもそう言うじゃない」
「いいえ!そうじゃあありません!後ろの女2人は奴の女ですよね!こんなフレイヤ様以外に女を連れている男なんて相応しくありません!」
「確かにちょっと嫉妬しちゃうけど、ほら英雄色を好むって言うじゃない?まあ、最後は私が勝つけどね」

うん。おっしゃる通りです。でもねフレイヤ様に関して望んでないのよ。こんな命を狙われるくらいなら関わりたくないってのが本音だね。

「フレイヤ様!」
「アレン。何回も言わせないで彼は私の物よ。私は私の物を傷つけるのが許せない。それは貴方も良く知っていることでしょ?」

おう、神の片鱗を垣間見る瞬間だった。アレだけ暴れていたアレンがシュンとおとなしくなった。

「ごめんなさいね。私の眷属か許してくれる?」
「う、うん…」

その笑顔逆に怖いです 
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