『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
外法には外法をぶつける話《前編》
前書き
どうも、クソ作者です。
サブタイトルはゴッホちゃんの宝具選択時のセリフから取りました。
こん時だけ声のトーン変わるのホントいいよね…。
さて、今回はタイトル通り外法には外法をぶつけるお話です。
大まかに言いますと舞くんのお兄さんを今度は精神的に痛めつけます。
「はふっ!はふはふはふ!!」
葛城邸、居間。
そこにいるのは僕とお栄ちゃん。アビーとユゥユゥ。
そして、
「そんなに急がなくてもいいよゴッホちゃん。おかわりもたくさんあるし、誰もとったりしないから。」
ご飯にがっつくゴッホちゃんだ。
「お、おおお美味しいですお兄様…!夢の中でも何度もいただきましたが、やはり現実で食べるご飯は一段と美味しいですね…!ほんとに、おいしくて、おいじぐっでぇ…!!」
「あー泣かないで!大丈夫だから!!」
食べたり笑ったり泣いたり、
そんな忙しいゴッホちゃんをなだめる僕。
「泣くほど美味しいのかい?」
「はい、それはそれはもうとても…!現実でまともな食事なんて…今まで無かったものですから…!」
「まともな食事?」
お栄ちゃんの頭に疑問符が浮かぶ。
確かゴッホちゃんはあいつにいいように扱われていた奴隷だ。
何を食べさせられていたか、それは
「本来サーヴァントは食事による栄養摂取を必要としません。ですが過去にゴッホは霊基をいじられ、定期的にあいつの糞尿を摂取しないと苦しむ身体に改造させられ…あ、お食事中になんて汚い話を…ゴッホ謝罪…。」
「……。」
本来ならば食べることすら忌避されるものを無理矢理食わされ、ろくな食事は与えられなかった。
そうして沈黙する一同。
「とても、酷いものだったのね…。」
「ええ、筆舌に尽くし難い日々でした。辛くて辛くて、苦しいだけの毎日を過ごす日常。陽の光なんてささない、真っ暗な毎日。」
ゴッホちゃんがかつての日々を思い出すように話す。
そんな時、彼女の手をユゥユゥがぎゅっと握った。
「でももう、大丈夫だよ!!」
「え…。」
あまり人の優しさに触れてこなかったゴッホちゃんは、いきなりそんなことをされて戸惑う。
「何があってももうあたし達がついてるから!だってここにいる人達、〝オナクラ〟だもん!」
「オ、オナクラ…。」
「そ。オナクラ。あたしもアビーちゃんも北斎さんも、それにマイマイだってみーんな同じクラスのフォーリナーなんだから!」
同じクラス、略してオナクラ。
偶然にもここにいるのはみんなフォーリナーだ。
そういった共通点を見つけてユゥユゥはゴッホちゃんとの距離をうんと近くしてくれた。
やっぱりこういったことは彼女の専門分野なんだろう。
「えへへ…ありがとうございます。」
「ゴッホちゃんお茶碗が空っぽだね。おかわりする?」
「い、いいのですか…?」
ゴッホちゃんのお茶碗にご飯がないことに気付き、僕は彼女の返事を聞かずそのまま白米をよそってあげる。
「遠慮しないで。沢山食べていいからね。」
「あ、ありがとうございます…!!みなさん…みなざんほんどに…やざじぐでぇ"…っ!!」
「あーほら!また泣かないで!」
白米をかきこみながら号泣するゴッホちゃん。
「……。」
そんな僕とゴッホちゃんを見て、お栄ちゃんはやさしく微笑んでいる。
「美味いだろ?マイの作る飯は。」
「は、はい…おかずも炊いたご飯もおいしくて…!もう何杯でもいけちゃいます…!」
「ははっ、そいつァよかった。」
こんな心温まる光景を見て、思わず自然と頬が緩んで微笑んでしまっているのだろうとこの時僕は思っていた。
が、それは全く違うことを考えてたのだと、
後で僕とゴッホちゃんは知ることになる。
朝ごはんを食べ終え、みんな各々の過ごし方をしている頃…。
「ゴッホちゃんが手伝ってくれたから早く終わったよ。ありがとね。」
「えへへ…ありがとうございます。」
「お礼を言うのは僕だよ。」
「そ、そうでしたね…。」
手伝いに来てくれるゴッホちゃんのおかげで家事を早めに終わらせる事ができた。
それだけじゃなく、
「お昼ご飯の準備、ゴッホに手伝わせてもらっても、よろしいですか?」
「お、お洗濯物、取り込んでおきました…。」
「お風呂掃除はお任せ下さい。ゴッホがピカピカにしておきますね。」
「お仕事ですね。北斎様にちゃんとご飯は食べさせます。それではお兄様、楊貴妃様、いってらっしゃいませ。」
何から何まで手伝ってくれてちゃんと見送りしてくれて、本当に尽くしてくれる。
可愛い妹ができたのは凄く嬉しいけど、もうちょっと自分の為に時間を使って欲しい。
そう思いながら僕はユゥユゥと『蜘蛛の糸』へ向かい、家にはお栄ちゃんとアビーとゴッホちゃんの3人となった。
そんな時だ。
「うふふ…えへへ…。」
「ごっほ殿。」
「えっ、あっはい!?」
充実した暖かな暮らしに思わず無意識に笑みがこぼれるゴッホちゃん。
そんな彼女を手招きするのは
「こっちにいらして。ゴッホさん。」
お栄ちゃんとアビー。
何やらニンマリ笑っている二人。
この笑顔はただの笑顔ではない。
僕をいじめる際によくする、
これからどうしてやろうかと言う悪意100%の笑みだ。
「な、なんでしょうか?」
「なァに、悪いようにはしねぇヨ。」
そうして2人に導かれるがまま、ゴッホちゃんはお栄ちゃんの仕事場へと入り込んでいく。
「まぁ立ちっぱなしなのもなんだ。とりあえず座りナ。」
「あ、はい…失礼します…。」
そのままお栄ちゃんにいわれるがままに近くにあった椅子を引き寄せ腰掛ける。
アビーはゴッホちゃんの隣に座り、そしてお栄ちゃんは仕事を再開しながら口を開いた。
「ここに来て、どうだい?」
「どう?と言われましても…ゴッホはただただ嬉しいですし、感謝でいっぱいです…こんな役立たずで、どこに出しても恥ずかしい三流サーヴァントのゴッホを…。」
「……。」
そんなことを言い、少し沈黙が流れる。
仕事からは目を離さず筆を動かし続けるお栄ちゃんはそれから一旦筆を置くと、改めてゴッホちゃんに向き直って言った。
「そっくりだ。」
「へ…?」
「言われなかったかい?昔のマイにそっくりだってナ。」
似ている。
昔の僕に。
これは会ったばかりの頃、僕自身も思ったことだ。
「マイから聞いたヨ?あのクソ兄貴のせいで絵が描けなくなったってナ。」
「はい…お兄様も過去に…」
「ああそうサ。経緯こそ異なるが境遇はまるで同じ。マイはそんなごっほ殿を見て昔の自分と重ねて見てたんだろう。」
他にも色々な理由があるかもしれない。
でもまず、自分と似ている彼女を見て抱いた感情は
「似ているからこそ守ってやりたい。自分みたいになって欲しかねェ。そう思ったんだろ。」
「だと、思います。お兄様は、とてもお優しい方です。それこそゴッホなんかじゃ釣り合わないくらいに…」
「自分に自信が持てねぇトコも、まるで同じだ。」
「はうっ…。」
守りたい。違う、守らなきゃいけない。
僕が守らなかったら、この子は誰が守ってくれるんだと。
そこから錯覚して、僕は彼女を妹としたのかもしれない。
「昔のお兄様は…ゴッホそっくり…。」
「まぁナ。今でこそ考えられないだろうがとにかくねがてぃぶ?でナァ」
それから少し昔の話を始めるお栄ちゃん。
あいつのせいで絵を描くことが出来なくなったこと。
思い切って家を飛び出したのに、その性格までは治らなかったこと。
僕みたいな人なんか。僕にはできない、僕は日の目を浴びていい人間じゃない。
とにかくネガティブな発言が目立ったこと。
それもこれも、何もかも、話を聞いていくうちにゴッホちゃん自身もまた自分に通ずるものがあると思った。
「でも…。」
「うん?」
「お兄様があそこまで明るくなれたのは…北斎様のおかげ…なんですね。」
僕を変えてくれたのはお栄ちゃんのおかげ。
そうやって言うと、決まってこう返す。
「なァに言ってんだ。変わったのはマイ自身だ。おれはほんのちょいと背中を押してやっただけサ。」
自分は少し手伝ってあげただけ。
そう言って笑い飛ばす。
本当はそう言われて嬉しいのは知ってる。
照れ隠しみたいなものだ。
「んでもまぁ今のマイを形作るのにもう一人…いやもう一騎のさあばんとの事を話さなきゃならねぇんだが…そいつぁ長くなるからまた今度だ。」
「そもそも今回は昔話をしにお前さんを呼んだんじゃねぇのサ。」
といいゆっくりと立ち上がる。
「ナァ?ごっほ殿。」
「な、なんでしょうか?」
手を差し伸べるお栄ちゃん。
その顔はにんまり笑っており、これから悪いことをする時の企みの笑みだ。
無論、隣にいるアビーも同じような笑顔を浮かべている。
「あのクソ兄貴から開放されたまではいい。しかしやられっぱなしのままってのはどうにも性に合わねぇのサ。おれは。」
「つ、つまりなにを…。」
「言わなくても分かってるくせに…ゴッホさんもそれを望んでるんでしょう?」
そしてお栄ちゃんは優しく、同時に怪しくゴッホちゃんに問うのだ。
「復讐、したくないかい?」
⚫
「ただいまー。」
真夜中。
僕とユゥユゥは帰宅し、玄関のドアを開けるも
「…?」
「部屋、暗いね。」
返事がない。
ただこれならお栄ちゃんが仕事に集中しているのかなと思うが、何よりアビーとゴッホちゃんもいない。
それより部屋の明かりがついていない。
「…!!」
一抹の不安が胸の中をよぎり、僕は慌てて靴を脱いで家の中へと入る。
まさか…
あいつがゴッホちゃんを取り戻しに来た?
そんなことを考え、僕は急いでリビングに行くとそこには誰もいない。
ゴッホちゃんは?アビーは?
お栄ちゃんは?
僕がいない間に何があったんだ?
不安がどんどん大きくなる。
2階へと上がり、まだ調べていない部屋、寝室もとい完全防音の魔力供給専用ルームへと向かう。
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと回す。
「…え゛」
そこには
「ほうらどうした?言ってみろ♡元ますたあのよりおれのちんちんの方が何千倍も気持ちいいってナァ?」
「お"っ♡♡お"う"っ"♡♡♡」
「気持ち良すぎてオットセイみたいな声しか出せてないわ。これだけ乱暴に扱われて気持ちいいのは少し引くかも。さすがは舞さんの妹ね。」
お栄ちゃんにバックからふたなりおちんちんで貫かれ、失神寸前のゴッホちゃんがいた。
隣には椅子に座り、そんなゴッホちゃんを見つめるアビー。
そしてなぜだか片手にはビデオカメラが。
「うわああああああああああああああ!?!?!?!?」
慌てて助けに向かい、お栄ちゃんからゴッホちゃんを救出。
「何すんでい。」
「こっちのセリフだよ!!!!!何してるのお栄ちゃん!?」
抱きかかえたゴッホちゃんは痙攣しており、股からはどくどくと中に出された精液が溢れだしている。
ひどい…なぜこんなことを…!
「こんな酷いこと…ゴッホちゃんにしないでよ!!!」
「いやそうしろっつったのは」
「やるなら僕にしてよ!!!なんでもできるからさ!!」
「怒るのそこなのかい。」
とりあえずゴッホちゃんを強めに揺さぶると、まだ幸い意識はあるみたいで薄く開けた目で僕のことを見ている。
「お、おにいさま…おかえりなさい、ませ…。」
「ただいま!!一体何があってこうなったの!?」
モノみたいに扱われたゴッホちゃんは辿々しく言葉を発しながら、なぜこんなことになっているのかを事の経緯を説明してくれる。
そこで分かったのが
「復讐…?」
かつての元マスター、あいつへの復讐という、今この状況からはかけ離れたもの。
「はい…ゴッホが企画しました。」
「ゴッホちゃんが!?」
ゴッホちゃんが考え、お栄ちゃんとアビーにそうさせるように命じた。
その内容とは
「…!!」
微かな声しか発せないゴッホちゃんに耳をよせ、彼女がそっと囁く。
なるほど、そうか。そういう事だったんだ。
「驚いたろ?」
そう言ったのはお栄ちゃん。
「復讐を持ちかけたのはおれサ。ただこんな企画を提案してきたのは紛れもなくごっほ殿本人。嬉々としてこうしませんか?と言われた時はそりゃあ驚いた。」
「……。」
つまり脚本は…ゴッホちゃん。
こんなことをしようだなんて言い出したのは僕だって正直驚きだ。
復讐は何も生まない。
なんて言葉がある。
でも僕はみんなが思ってるほど綺麗な人間でもなければ聖人君子でもない。
あいつに嫌な思いをさせたくないと言えば、それは真っ赤な嘘になる。
「分かったよ。やろっか。」
「…。」
「そう来なくっちゃあナ」とお栄ちゃんが立ち上がる。
あいつに嫌がらせができる。それを僕も同じくらい喜んでるのはお栄ちゃんだ。
ビデオカメラを持ったアビーも喜び、準備に取り掛かる。
「じゃあみんなでやろう!お兄さんへの嫌がらせ!!」
ユゥユゥもやる気。
僕も抱き抱えているゴッホちゃんにやろうという旨を伝えたら、喜んで答えてくれた。
「あいつの嫌がること、どうすればムカつくかは心得てます。外法には外法……お任せ下さい。」
そうして始まる最高の嫌がらせ。
その内容とは…
後書き
こうへんへ続く…
ページ上へ戻る