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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?

作者:笠福京世
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幕間20 パリに咲き誇る黒百合、男の娘アイドルと王女

 
前書き
オフランス王女シャルロット・パルトネー編の導入部。
ファンに夢を与えるのがアイドルの仕事。

第32話の後で、第33話の前話です。 

 

――――オフランス王国、ベルサイユ宮殿――――

惑星パリにあるオフランス王国の首都は、
ベルリン星域にある芸術の惑星ウィーンと並び芸術の都と呼ばれている。

中でもベルサイユ宮殿はオフランス絶対王政の象徴的建造物だ。
第一次世界大戦で敗れたドクツ帝国が結んだ屈辱的な講和条約は、
この宮殿で調印式が行われたのでベルサイユ条約と呼ばれている。

「おお偶像を導きし者よ! エル・プサイ・コングルゥ!
 このオフランス伯爵、お会いできて感嘆の極み!」

美男子と称するほどではないにせよ、
品性と家門を感じさせる風貌の青年詩人が挨拶を交わしてくる。

ドクツ第三帝国の総統代行ゲッベルスは
エイリスに無条件降伏を申し出てロンドンに向かう途中だった。

経由地のパリ星域では新国王ルイ81世が外交使節団を迎え、
ゲッベルスはエイリスの迎えが来るまで晩餐会に招かれていた。

お陰で毎日が晩餐会のヘビーローテーションだ。

「ああ、女神よ。この豚の汚れた男根を洗い清めてくれないだろうか。
 怒張してそそり立つ偉大な山脈を、罵り、弄り、白濁に染めて欲しい!」

オフランスの詩は求婚投機-チューリップバブル-で失われた蘭子語の流れを組んでいる。
蘭子語の詩に比べて意味を理解するのは容易いが精神的につらい。

エイリスからは女王の守護騎士と言われるロレンス提督が来るというが……。

「Aは肛門、Cは制服、Eは愛欲、Iは口淫、Oは胸部……
 母音たちよ、何時の日か汝らの出生の秘密を語ろう♪
 聖女よ。是非、私と夜のおフランス語学習は如何かね?」

親衛騎士隊長ロレンス!!!!はやくきてくれーっ!!!!

ある日、伏見空が仮病を申し出て晩餐会を断ったところ不思議な出来事が起こった。

ドクツ第三帝国の解散コンサートの中継に感動したオフランス貴族が、
是非とも“東洋のアイドル”シャーリー・アキ(芸名)に会いたいと言い出したのだ。

敏腕Pゲッベルスは担当アイドルの出演拒否(ドタキャン)には厳しい。
以前レーティアが映画の出演をドタキャンしたことがあるが……いや語るまい。

総統代理はオフランス貴族の申し出を快く引き受けた。
アイドルがプロデューサーに逆らうなんて(固有結界による脅迫で)出来ない。
翌日から特命全権大使の伏見空は梅毒で病気療養中となり、
代わりシャーリー・アキが親善大使として晩餐会に出席している。

_| ̄|○ il||li 鬱死にたい

心の中はともかくとしてシャーリもプロのアイドルだ。
誰しもが虜になるであろう満面の笑みで詩人たちをあしらっていた。
美人プロデューサーによるバブみたっぷりの癒しを妄想しながら……。

「ふむ。シャーリー君は夜の浮世絵鑑賞はどうかな?
 僕のウタマロ(デカマラ)はムッシュ・キヨマロ(猫平長官)の絵にも負けないよ」

「おお! 浮世絵の話であれば私も混ぜて下さい。
 シャーリー嬢は絵師キヨマロの『蛸と海女』はご存知ですか?」

「ええ、女性とタコ2匹の性交渉を描いた春画ですわ。
 大エイリス博物館に飾らていると伺っております」

「日本人の変態的感性はアステカ帝国のハニーと並んで、
 宇宙でも1000年先を行っていますな!」

「うふふ、オフランスやエイリスの変態紳士淑女には叶いませんわ~」

「…………あっ」

変態紳士に囲まれた男の娘アイドルを見つめるのは、
惑星パリ解放後に叔父に王位を譲った前王女のシャルロット・パルトネー。

「恋よ恋。われ中空-ナカゾラ-に、なかす恋といったところかの」

「えっ……!! お、叔父様?」

声をかけて来たのは叔父のルイ81世だ。

「親善大使はモテモテだな。
 オフランスの薔薇だけなく百合も惹きつけるとは罪深い」

「……叔父様も?」

「わたしは敬虔な聖女教徒の純潔主義者《ユニコーン》だからね。
 シャーリーからは処女性が失われているようで残念だ。
 声を聞けば処女膜から音が出てないのが分かる。
 中古アイドルには興味がないよ」

「そんな! シャーリー様を中古だなんて!!
 いくら国王となった叔父様でも
 言って良いことと悪いことがありますわ!」

「それは失礼したね。罪滅ぼしではないが、
 可愛い姪っ子のために一肌脱ごうでないか」

そう言っておもむろに宮廷服を脱ぎ始める国王ルイ81世。

「きゃっ!! ……あら?」

「ん? 何をほっとしているんだい」

「いえ、全部お脱がれになられるのかと」

「全裸の王様のように国民に全てを晒し出す勇気はないさ」

4代国王ヴィップ・D・ヤラナイオは全裸の王様と呼ばれ、
女帝ナポレオンと並ぶオフランスの英雄だ。
ヤラナイオの血族はDの一族と呼ばれ大航海時代にも活躍した。

『余は産まれたときに裸であった。
 死ぬときもおそらく裸であろう。
 今も裸だ―』

こんな前文から始まるR-18童話『全裸の王様』を、
パリの子供たちならみんな家庭で読み聞かされて知っている。

「シャーリーを連れて来ようと思うがどうかね?」

「でも……わたくしは……」

「命短し、恋せよ乙女という言葉もある。
 老いた私と違い。まだ若いんだしたいようにすればいい」

「……そうですね! 叔父様、ありがとうございます!!」


――――その夜、ラブホテル「ベルサイユ宮殿」の客室――――

ロココ調のプリンセスベッドの上で、
シャーリー・アキとシャルロット・パルトネーは肩を並べて睦あっていた。

「いい、おもちね」

「そ、そうですねっ……!!」

「ふ、かわいい」

「な、なんでしょう?」

「いや。その緊張っぽりが可愛くってね。
 真っ赤な顔で逢引き《ラブホデート》のお誘いをされたのを思い出して」

「あっ……だって……!
 淑女をお誘いするなんて、私、した事なくって……」

前王女シャルロットは男性を苦手とするパリに咲く白百合の花だ。
だからこそ目の前の黒百合に男根が映えているなど想像もしていない。

「わかっているよ」

「あっ……ううっ……」

シャーリーの卓越した技量で愛撫を受け両手で両頬を隠した。

「大丈夫、そんなに固くならなくていいよ」

シャーリーはそっとシャルロットの肩に手をかけて白いドレスを脱がす。

「あっ……」

「いや?」

「いえ……光栄です……シャーリー様となら……♡」

「ですが……逢引きだけでなく、こんなことまでして頂く価値が
 にわかファンの私にあるのかどうか……」

「アイドルファンに、にわかも、はにわも無いよ」

「……」

「どうかしたの?」

「私……強姦されました……何人もの殿方に……」

シャルロットは寂しく笑いながらシャーリーに告げる。
大好きなアイドルに本当ことを知ってもらいたかった。
偽りの自分じゃなくて、ありのままの自分を抱いて欲しかったから……。

「酷い……パリ占領時はレーティアは国際戦時法を守ったって聞いてたけど?」

「いえ、違うんです。ドクツの殿方に強姦されたんじゃないです。
 相手はオフランスの……殿方です」

「シャルロットは前国王の四女パルトネーだよね。
 マダラスカルで亡命政権の首班を務めていたのに……どうして?」

「私のこと、ご存知だったんですね。
 それは私のせいなんです。
 私が……王族としての仕事をしなかったから……
 ……悲しかったけど……ビルメさんに救って頂くまで……」

「ビルメさん?」

「はい。マダガスカル人の女傑でビルメ・ミャーさんです。
 パリにもお誘いしたんですが……マダガスカルが故郷だって」

「そっか……」

シャルロットの独白を聞きながらシャーリは、
彼女の心を、少しずつ癒すかのように穏やかな愛撫を繰り返す。

「そしてこんな風に淑女を好きになるなんて……
 私はアイドルの貴女を遠くから見ているだけで幸せなのに」

「今も殿方は嫌い?」

「殿方も変態紳士ばかりではないと分かっています。
 嫌悪というより……苦手なのです」

「僕は素だと男らしいってよく言われるけど?」

「は、はい。シャーリー様はアイドルのときと違って、
 こうやって二人っきりのときは少し男らしいですね。
 でも……逆にそれが素敵だと……思います♡」

「ありがとう、シャルロット」

「あっ……」

シャーリーは優しく口づけを交わす。
瞳を潤ませて真っ赤な顔をあげるシャルロット。

「お慕いしております……
、欲張っても宜しいですか?
 一夜だけでも貴女に夢を与えてもらいたい」

「わかった。二人っきりのときは、
 シャーリーじゃなくってアキと呼んで欲しい」

「アキ様と共に……寝たいです」

「シャルロットには僕のヒミツの珊瑚礁を教えてあげるよ」

「ぁ……っ……ぅぁん……
 私だけに枕元で『DazzlingWorld』を歌って下さい」

「わかった。これから輝く世界に連れていてあげるよ――」

「……はい。アキ様♡」

「ほら、触って」

そう言ってアキはシャルロットの手を下腹部に誘導する。

「硬い……どうして? これは……アアア―ッ!」

「大丈夫だよ、シャルロット」

「でもこれは……黒い百合……男根……男性器……」

「いきなり秘密がバレちゃったね」

「アキ様は男の娘アイドルだったのですか?」

「ファンのみんなには、内緒だよ」

アキはシャルロットを抱きすくめ、唇を重ねた。
こうして犯された王女は、百合を知らぬまま男の娘の虜になり
立派な貴腐人として生まれ変わるのである。
 
 

 
後書き
シャルロット・パルトネーの強姦設定は「公式」です。
私が処女厨(ユニコーン)に喧嘩を売っているわけではありません。

ただデーニッツのときに思ったのですが、
日本文学の極北エロラノベ文化における「純潔主義」は書き手からすると面倒です。
破瓜シーンの描写方法とかテンプレ化してるしマンネリ化するに決まってるじゃん。
というわけでヒロイン級しか初セックスシーンを丁寧に書くことはないと思います。
原作ゲーム「大帝国」もブラックアウトを多用しているのである意味で原作重視です。

国文学者の犬神教授による『日本エロラノベ講座』は勉強になりました。読者にもオススメ。 
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