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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?

作者:笠福京世
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第12話 軍令部総長の二面性 Ev03

 
前書き
冒頭イベントなどで関係性が高まった場合もEvに含めることにしました。 

 

御所内、帝の部屋――

「……ハルさん、お願いしていた伏見空に関しての
 調査報告書を持ってきてください」

「畏まりました。軍令部総長抜擢の際に
 目を通されたものに多少の追記を加えております」

「うん、これこれ。
 少女漫画の雑誌のように検問は加えてませんよね?」

「はぁ……さすがに人事に関しての報告書なので、
 私どもの判断で検問するわけには……」

「ほっ、ならいいの」

「正直、私としましては東郷長官と伏見総長は
 双方ともご本人そのものを検問したいところなのですが……」

「東郷長官は何となくわかりますが……
 伏見総長もですが? 真面目な方だと聞いてますが?」

「そちらは追記をお読みください。
 それでは失礼します」

「ふう……女官長は私が殿方に興味を持つのを
 あまり快く思ってないみたいですね……」

帝は自分の胸にそっと手を当てた。

「うん……やっぱりどきどきしてる。
 
 三国同盟も世界日本化計画のときも
 この国の未来に力を貸してくれるだけじゃなくって
 私が考え足りてないことに先に気付いて導いてくれた。

 これって恋をする気持ちなんでしょうか……」

伏見を軍令部総長に任命した時は主に添付された顔写真と経歴、
陸海長官の間に立つ新たな役割を務めることが出来るかを中心に報告書に目を通した。
けど今は少しでも伏見のことをよく知りたいと想いページを捲り始める。

伏見空レポート(情報部)

軍歴

『15歳の若さで海軍士官学校に入学し飛び級で最優の成績を収めドクツ帝国に国費留学。
 ドクツ海軍大学校で発表した論文は欧州星海域でも高く評価された。
 帰国後は軍令部に勤務し将来を担う軍政家として期待されるも
 本人の希望により巡洋艦の艦長や戦艦の副長・参謀といった職務も任せる。

 華族にも関わらず自ら率先して最前線に立ち
 部下と苦楽を共にするのを厭わない姿勢は多くの将兵に好感を持たれている。
 質素倹約を心掛けており庶民派華族と呼ばれていた。

 現場での艦隊勤務により軍功を重ね昇進したが、
 過去に提出したレポートは昨今の欧州情勢を言い当てており
 正規艦隊の司令官ではなく軍令部において手腕を発揮して欲しいとの意見が強い』

人物像

『伏見家は名門だが二人の兄がおり、庶子ということで早くして自ら道を立てる為に軍人となる。
 若くしてエリート街道を進み容姿と相まって学生時代から男女の人気が高かったが、
 留学前および帰国後も異性との浮ついた噂は何一つなく、女遊びを行ったこともない。
 一部では男色家ではないかと噂されていたが、こちらは調査によって否定されている。

 人付き合いは悪くないが、深い付き合いを殆ど行っておらず、
 プライベートで遊びの場に現れることがないのでミステリアスな印象を周囲に与えていた。
 休日は勉強と鍛練の時間と公言している。
 北郷一刀流の皆伝の目録を持っており刀剣収集が唯一の趣味。

 調査からは知性を追求し自らの能力向上に熱意を燃やすストイックな合理主義的気質の持ち主で
 最短な手順で目的を達成しようとして他者と厳しくぶつかることがある。
 ディベートなどの場では相手の気持ちを考えず徹底的に叩き潰すなど激しい一面がある』

「なるほど。やはり東郷長官とは違い。
 かなり真面目な人物だと思うのですが……
 実際に会って話してみると少し印象が……」

追記

『満州会戦の敗戦後には人が変わったように思える行動が多々見受けられる。
 戸塚軍医の調べによると戦闘ストレスによる精神病的損害はないとのことだが、
 大戦を経験した将兵が陥る様々な反応を含む幅広い心理的変容の一つだと考えられる。

 以前は嫌っていたリスクを負う計画の立案および作戦行動を躊躇わずに行うようになった。

 また周囲に対して丸くなり人付き合いも変化し関係性を築く様になった。
 今までは遊び心という考えがない四角四面な人物だったが、
 休日には様々な娯楽を愉しみ美酒美食を嗜むなど大きな変化がみられる。
 猫平長官の趣味の話題についていける稀有な人物の一人である。

 事例を挙げればドクツとの貿易が始まった後は、
 軍令部にApfelsaft(アプフェルザフト)というドクツ産のリンゴジュースを持ち込み
 個人的に愛飲している。第三艦隊の士官の間では林檎提督という愛称で呼ばれている。

 相反する二面性を持ち合わせた人物であり今後の変化に対して注意を要する』

「……満州会戦の前後で人が変わった……二面性ですか。
 その後は東郷と共に日本帝国に勝利をもたらせている……
 あ、林檎ジュース飲んでみたいなぁ」

さらに報告書を進めると最近の女性関係について書かれていた。

『以前は女性関係は皆無だったが大きな変化が見られた。
 満州会戦後に投機に失敗して自殺した長男に代わり伏見家の当主となった。
 未だに童貞ということを心配した親族の要請により専門家による手ほどきが行われる。

 現在では数名の女性と関係があることが確認されている。

 女性との付き合いや距離の取り方に悩んでいた時期もあった様子だが、
 周囲の助けもあり徐々に改善され自信を深めている。

 女性からは美形で可愛くて優しいという意見や
 想像より大きくて逞しい激しい頼もしいという評価がある。
 避妊対策は万全で避妊薬デキナールを常用し今のところ女性関係によるトラブルや苦情はない。

 結婚したいという希望を持つ女性もいるが、
 陸軍長官である山下利古里と家同士の婚約が広く知られており諦めている者が殆ど。

 山下長官は婚前交渉を断っている為、伏見総長の行動を黙認している様子』

「やはり直属の上司である東郷長官の影響もあるのでしょうか?
 それに……可愛くて優しいというのは分かります。
 話しやすいですし……頼もしいというのも軍の仕事をしっかりやっているので納得です。
 けど想像より大きくて逞しいや激しいというのが……私にはわかりません??」

海軍長官との関係

『両者に軋轢はない。得意分野が互いに異なるため
 海軍長官は軍令部総長の軍政家として手腕を信頼し大きな権限を与えている。
 軍令部総長も海軍長官の用兵家としての手腕を信頼し現場の判断に口出しすることはない』

「東郷長官に比べて表には目立たない存在ですが、
 御前会議の参加者全員が認める存在。
 大国に攻められ絶望的な状況の中で勝利への下道を作る。容易なことではありません。

 軍務のみならず内務、外務との折衝も行っており成果を上げ各省で信頼も得ている。
 多くの女性に好かれるのも納得です。
 利古里ちゃんは忙しいとデートを断っているようですが勿体ないですね」

はしゃいでた帝の表情が少しだけ暗くなる。

「正式に結婚したら……以前の東郷のように
 他の女性との性交渉は一切絶つのでしょうか?
 利古里ちゃんは終戦までは結婚は考えてないと言ってましたが……」

「常に20人以上の女性と関係を持って、
 あらゆる女性に声をかけてる東郷ほどではありませんが、
 調べてみると伏見ちゃんも意外にプレイボーイみたいですね」

「……あれ? だったら私にも一度くらい声かけてくれてもいいよね?
 うう……やっぱり私は利古里ちゃんみたいに(胸が)大きくないし、
 女の子として魅力が足りないのかな?(´ω`)しょぼーん」

帝ちゃん→☆



――――海軍には猫がいないと困る――――

平賀博士に会いに軍技術研究所に足を運ぶ。
軍技術研究所には多くの技術者や職員がいるが、
平賀博士は今はプライベートの研究室に独り籠っているらしい。

「平賀博士いらっしゃいます?」

「……びくっ」

こちらの顔を見るなり慌てた顔をして周囲をキョロキョロし始める。
もしかして自慰の現場に……これがラッキーエロゲというやつかだろうか。

「……どうかしました?」

バタン、ガタン! ベキッ

近寄ると平賀は両手をバタバタさせ積んである本を崩したり、
落ちてる機材を持ち上げたりした。あと何か壊れたぞ。
残念ながら衣服は乱れておらず僕の予想は外れてしまった。

「えっと……何の真似ですか?? あ、やばっ」

ガシャアアアアアアアン!

破壊活動は激しさを増し、こちらに重量のある機器が飛んでくる。
小柄なのに見た目以上のパワータイプだ。怒らせないようにしよう。

「あ、なるほど……頭の上の猫がいませんね?」

「……………かきかき」

平賀は急いで落ちている紙を拾い文字を書き始める。
そこには現在捜索中と書かれていた。

それならと伏見は自らの端末を取り出しアプリを起動する。

「小澤少将が作った猫を呼び寄せるアプリです」

猫にしか聞こえない音らしいがアプリを起動すると、
猫の久重が、どこからともなく飛んできて、平賀の頭に着地した。

どうやら生理現象を我慢できなかったのは猫の方だったらしい。
工具でぐりぐりとお仕置きされているのを温かく見守る。
大事なパートナーなのだアレはアレでスキンシップなのだろう……。

「…ぼそっ」

「にゃにゃん、そのアプリ欲しいそうです」

お仕置きも終わり久重は喉を撫でられ気持ちよさそうにゴロゴロしている。

「まあ……久重がいないと喋れないなら必須ともいえるアプリですね。
 どうして自分の声で喋らないんですか? 緊急時とか大変ですよ」

声のでない病気とかではないと戸塚軍医から聞いている。

「それは……私の地声には、その……威厳がないのだ」

「威厳ですか?」

「そうだ。技術中将として人を束ねるには威厳が必要なのだ。
 だから私は猫の久重を代弁者として喋らせている。口も疲れないし一石二鳥だ」

いやいやいや。たしかに軍という組織で威厳が必要なのは分かる。
こっちだって全軍No3の軍令部総長やってるけど、
御前会議で帝ちゃんには、ちゃんづけで呼ばれるし、
噂では軍令部のカワイイ軍人コンテストという非公式の人気投票でトップ5に入ってるらしい。
幕僚職から満州会戦の後に大抜擢された為に艦隊提督としての軍功がなく
日米開戦時における秋山参謀の心配があったように艦隊司令官としての手腕は未だに認められていないのだ。

「たしかに軍人は戦争で死の可能性がある命令と下す立場、
 他と比べても威厳が求められるのは認めますが……」

「そうだろ? 技官のトップとして舐められるわけにはいかないのだ」

「はい……よく(頭に猫を乗せておいて威厳もくそもないのは)分かります。
 けど、どうして猫なんですか?」

「なんだ。学があると思ったが知らんのか。
 統一宇宙歴前より遙か昔、今や名前さえ失われた故星の歴史書によると、
 大航海時代船乗りたちは鼠から食料を守るため猫を船に乗せたのだ。
 海軍といえば船乗り、船乗りにとって猫は守り神なのだ」

「たしかに宇宙空間で長く活動する海軍は、
 宇宙幽霊といった噂話や迷信もそうだし、何より縁起を担ぐ人間も多いですからね」

「ちゃんと猫にも意味があるのだ」

「なるほど。職務中の配慮というわけですね。
 けど機会があればプライベートで平賀博士の素敵な声も聞いてみたいですね」

たしかCVはPiaキャ×ットへようこそ!!でも声を務めた方だったはず?

「……ぼそっ」

「いいんですか?」

声を聞かせて貰えるのかと思って近づくと……。

寝言は寝てから言え!と久重の大声で怒鳴られ部屋から追い出されてしまった。

平賀津波 →☆☆ 
 

 
後書き
某作品の紅茶提督とかココア提督とか平民貴族とか呼ばれてみたいと思って林檎提督にしました。
ドクツといえばレモネードで割ったビール「ラドラー」も美味しいので檸檬提督と悩みましたが、
やっぱり艦隊提督が職務中にアルコールを嗜むのはちょっとと思って辞めました。 
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