エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
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第17話 日ソ不可侵条約 ターン17
「ファンシズムと共有主義が相いれないのは分かるが……
ドクツ第三帝国はエイリスとソビエトの二方面に戦線を拡大し、
戦争に弱いイタリンの支援も行わなければいけない……厳しいな」
「粛正で人材を失ったソビエトなど総統の敵ではありません!!」
「前世紀の英雄、オフランスの女帝ナポレオンが
ロシアン王国の凍土に苦渋を飲まされたのはドクツ軍人である君の方が詳しいだろ?」
「アドルフ総統が女帝の二の舞を演じるなどありえません。
何かお考えがあるはず……です。
それに苦境だろうが何だろうが我が第三帝国は総統と共に乗り越えるだけです」
「たしかに軍の大黒柱であるマインシュタイン元帥とロンメル元帥の双璧に対して
ソビエトの人材不足は明らか。対抗できるのはジューコフ元帥くらいか」
「それよりも日本軍の方が生ぬるいです。
悪魔と恐れられた伏見が何をのんびりやってるんですか?
……もっと攻めていきましょう。がんばりましょう」
「う~ん。軍令部からは複数の計画を提示してるけど、
最終的な決定は東郷長官だからな……」
「伏見はアドルフ総統と直にお話できる立場だというのに、
あの破廉恥な長官に足を引っ張られたと情けない報告をするつもりですか?」
僕とデーニッツの仲立ちをしたレーティア自身の希望もあって稀に三人で一緒に通信をすることもある。
最初こそ敬愛する総統の前で緊張していたデーニッツも徐々に打ち解けて
流石に友人とまではいかないが親しい会話を交わすことができるようになっていた。
同性同士、また年齢が近いこともあり、デーニッツとレーティアは
定期的に二人で私的な通信も交わしている様子だ。
勿論だが客将のみならず女性の部屋に監視機器などを設置することはしない。
東郷長官がそのような紳士的でない行為を嫌っているからだ。
軍令部が独自に機嫌を損ねるような小細工をして良好な関係を壊すつもりはない。
「わかった……レーティア閣下を失望させるつもりはないさ。
ただし三国同盟はエイリスの戦力分散およびガメリカの牽制を目的とした軍事同盟だ。
対ソビエトについての自動参戦条項はない。……分かってくれるね?」
「はい。エイリス・ガメリカを相手にもっとがんばりましょう……Alles Klar?」
「Alles Klar!」「Danke. Auf gehts!」
さて原作知識もあり赤熊作戦は予想してたけど……正直なところ苦しいだろうな。
僕と通信するときは元気そうで疲れた様子は見せないけど……心配だ。
ドクツの滅亡ともなればレーティアには日本に亡命してもらうつもりだけど……どうなることやら。
――――御所、御前会議――――
「……猫じいは『信長の欲望』の新作を遊ぶために欠席っと。
それでは本日の御前会議を始めます」
帝ちゃんが集まった僕らの顔を一通り見回して穏やかな声で話し始める。
「最初の議題です。
ソビエトから日ソ不可侵条約を結ばないかと提案がありました。
条約を拒否すれば、敵対意志ありとみなし、我が国に宣戦布告する……とのことです」
ドクツと交戦状態のソビエトは両面戦争は避けたいだろう。
宣戦布告の部分は脅しと牽制といったところだ。
「むぅ……ロスケ風情が生意気な!
ならば帝。三国同盟に協力し、第三帝国と共にソビエトを挟撃しましょう!
共有主義の牙城を崩す千載一遇のチャンスですぞ」
外遊ついでにコンサートに駆け付けるほどのアドルフ教の信者と化した宇垣外務長官。
「待たれよ、宇垣殿。今はガメリカとエイリスを倒すことが先ではないのか?」
さすがは俺の嫁(未だ婚約者です)。
陸海統合軍制改革が進み血気盛んだった山下陸軍長官も冷静な意見を述べるようなった。
「確かに私もソビエトは憎い。
だが……宇垣殿は第三帝国に肩入れしすぎてるように思えるのだが?」
海軍がガメリカを仮想敵としてきたように、
陸軍はロシアン王国時代からシベリア星域の勢力を仮想敵として来た。
「い、いや、そんなことはないぞ。わしは冷静に状況を分析して――
ヨーロッパ星海域の情勢に詳しい伏見くんも同様の意見だと思うが?」
「えっ? 私は山下長官と同じ意見ですが?
三国同盟には対ソビエトの自動参戦条項はなく信義に劣ることもないかと」
「お、おい、伏見くんはアドルフちゃんが残念がっても――」
「はいはい。宇垣は反対。
利古里ちゃんと伏見は賛成の立場だね。……東郷の意見は?」
「私は日ソ不可侵条約に賛成します」
「……ん。分かりました。
賛成多数で、この条約を締結することにします」
「打算の上で成り立っていているとしても、
お互いに戦争しないというのは平和的でいい条約だと思います」
なにはともあれ数日後には日ソ不可侵条約が正式に結ばれることになった。
条約締結から五年の間は互いの領土に攻め込まないことが約束が交わされる。
「それから伏見。貴方には少しの間、居残りを命じます」
「居残り……ですか?」
「……はい。貴方に一つ問い質したいことがあります」
何かヤバいことやったっけ? 数人の奉仕女官に手を出してるのがバレた?
いや、アレは手を出したんじゃなくって……出されたというか……何というか。
「ほぅ……珍しい。伏見くんがなにかヘマをやらかしたようだな? はっはっはっ」
「まったく……私生活にだらしない長官から悪影響を受けるからだ。
まさか東郷より先に帝直々のお叱りを受けることになるとは……
ま、ありがたくお言葉を頂戴するのだな」
「おいおい。俺は何もしてないぞ。……やれやれ、総長もご愁傷様」
そう言って三人の長官が御前会議会場から去っていく。
「それで……帝が私に問いだしたいこととは?」
帝ちゃんをオカズにした薄い本を買ったのがバレたら不敬罪になるのだろうか
……粛正の覚悟を決めて問いかける。
「は、はい。それは……ですね」
帝ちゃんが口ごもる。どうやら言い出し難いことのようだ。
……もしかしてアレか。
無理やりさせられた女装姿が明石大佐に撮影されてたとか??ヤメテ。
「遠慮はいりません。(辱められる) 覚悟はできています」
「え? いや、貴方が覚悟するような話ではないのだけど……」
「え? そうなんですか?」 安堵のため息を漏らす。
「ふふふ、相変わらず可愛いですね」
ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン カワイイ ハ ヨケイダ
「そんな伏見ちゃんが、
利古里ちゃんという素敵な婚約者がいるにも関わらず、
複数の女性と関係を持っていると聞きましたが?」
えっ? 帝ちゃんの下まで、そんな下賤な噂(事実です)が報告されてるわけ?
ぶっちゃけ、やましいことだらけではあるので、堂々と肯定するのも躊躇いがある。
「責めるつもりはありませんよ。
婚約者である利古里ちゃんが公認していることも知ってますから」
「東郷ほど沢山の女性と付き合っているわけではないそうですが、
女性を食事に誘ったり、利古里ちゃんとは休日にデートしたりしているそうですね?」
「は、はい」
東郷長官のように手当たり次第にナンパというわけじゃないけど(;´▽`A``
「やはり……(ムネノサイズガオオキイオンナノコ)…が好みなのでしょうか?」
「え?(食事の)好みはありませんけど」 声が小さくて聞こえなかった
「ほっ、そうですか。では……どうしてですか?」
「どうして……とは?」
「だ、だから、どうして私には声をかけてくださらないのですか?」
「……は?」
「わ、私では駄目なんですか? 女の子として魅力ありませんか?」
「え、えっと……」
好感度は少しずつ上げてるつもりだったけど、
こんな序盤に帝ちゃんからのアプローチイベントがあったっけ?(うろ覚え)
「私だってデートとか憧れてたのに……
利古里ちゃんに相談したら、帝であれば反対ありませんって言ってくれたから……
きっと伏見の方から誘ってくれると期待して待ってたのに……酷い」
僕は利古里ちゃんから、そんな話は一切聞いてません。
俺の嫁は冗談だと聞き流したか、素で忘れていたかのどっちかだろうな……いつかお仕置きしよう。
「利古里ちゃんとばかり二人で楽しくデートしたりして不公平ですっ!」
「……帝ちゃん?」
「あ……ごめんなさい、感情に任せて愚かなことを口走ってしまいました。
帝として恥じるべきことですよね……すいません……先ほどのことは忘れてください」
「いえ、詫びるのは私の方です」「……伏見?」
「帝ちゃんはとても魅力的な女性です。ただ少し遠慮がありました」「えっ?」
「なにしろ、日本にとって特別なお方です。僕のような男が気軽に声をかけるわけには……と」
「そんなことありません。そんなこと……ないです。
それに……わたしは伏見のことを……もっと知りたいのです」
「分かりました。もうヘンな遠慮はしません。
それなら喜んで帝ちゃんをデートにお誘いして口説かせて貰います」
「はいっ。よろしくお願いします。
貴方がお付き合いする女性の一人にしてください」
嬉しそうに微笑みながら三つ指をついて頭を下げる帝ちゃんを眺めながら……
僕は改めてエロゲー世界に転生させてくれた神様に珍しく感謝するのだった。
後書き
帝ちゃんのポジションは決まってないです……。
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