エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第18話 腐女子の暴走と帝勲章授与式 Ev06
前書き
艦隊といえば娘、刀剣といえば腐女子、英霊の女体化……昨今の風潮については、
私は孔明が「はわわ」とか言い出したときに世の全てが諸行無常だと悟りました。
――――軍令部総長室――――
第一艦隊の秋山総参謀が軍令部総長室に顔を出す。
作戦参謀として軍令部にも在籍しており、海軍長官との橋渡し役となっている。
東郷長官の絶大な信頼を受けて最も多くの仕事を担っている幕僚の一人だ。つ 胃薬いる?
「それにしても伏見総長も東郷長官と同じく動じてませんね?」
「帝勲章授与式のこと?
たしかに帝勲章は十年に一度貰えるものがいるかいないかの名誉だけど、
先日に行われたばかりだしね。あくまで代表としての名誉に過ぎないし」
有史以来、最大規模の版図を日本帝国にもたらしたとして
東郷毅海軍長官に先日帝勲章が贈られたが、
東郷長官は「勝利は一緒に戦ってきた皆の力」だと述べて名誉を辞退。
帝ちゃんの発案により、
陸海軍統合改革を推進する軍令部総長が
陸海全軍の将兵を代表して帝勲章を授与されることとなった。
「名誉は置いといても帝ちゃんからのプレゼント(副賞)は……どうしようっかな?」
「意外ですね。伏見総長はあまり欲のない方かと思ってましたが?」
「どちらかというと(満州会戦前は)欲は少ない方だと思うけど、
初めて提督に任命されたとき、帝から賜った刀剣はそりゃあ嬉しかったよ!」
「……なるほど。伏見総長の刀剣愛好の趣味は有名でからね」
日本軍では少将以上の艦隊提督には帝より直々に日本刀が下賜される。
また日本軍の将校は届け出と上官の許可が必要であるが帯刀が認められている。
陸軍では山下長官が愛刀の“小夜左文字”を肌身離さず持ち歩いているし、
海軍も東郷長官は大戦に赴くときなどの際は決意を込めてなのか帯刀している。
陸軍に比べて海軍は日頃から軍令部や司令部で帯刀している人間は多くないが、
田中少将は木刀を持ち歩いてるし、平良少将など常に刀を身に着けている危険な人物もいる。
ちなみに伏見空も満州会戦以前から愛刀を持ち歩いていた危険人物の一人だ。
軍令部総長になってからも帯刀していないと落ち着かず
宇宙妖怪を真っ二つに割いたという逸話が伝わる佩刀“波潜(ナミクグリ)”を帯びている。
以前から大切にしていた秘蔵の名刀“宗三左文字”は軍令部総長室に飾られている。
「まあ神代三剣は不可能だとしても……
天下五剣の一振りくらいはお願いしたら……もらえないかな?」
「……さすがにそれは」
「無理かー。ま、冗談だけどね。三日月宗近を一度は手に取ってみたくはあるけど……。
海軍長官が副賞として捕虜(女性)の待遇改善をお願いしたのに、
軍令部総長の僕だけ我欲に走ったお願いをするわけにはいかないよ」
「まあ東郷長官もある意味で私欲みたいなもんですけどね」
「開戦から一年が過ぎようとしてるけど、
当初に想定していた序盤攻勢による早期停戦が難しいんだから
捕虜の待遇改善は今後を考えたら理に適ってるよ。
……秋山総参謀も参謀職を辞任して提督になれば日本刀が貰えるよ? 欲しくないの?」
「い、いえ……帝からの下賜はありがたいですが、私には私の役割がありますから」
「たしかに秋山総参謀がいなくなったら東郷長官もプライベートの時間が激減しそうだし手放せないか」
「正規艦隊を八艦隊まで増やす計画ですよね? やはり提督が足りませんか?」
「東郷長官が正規艦隊の求めているのは質の高い提督だからね。誰でも良いって訳じゃない。
山本中将にも下を鍛えるようにお願いしてるそうだし、
素質のある田中少将を教育に優れた南雲中将と組ませているのも将来を見越してのこと……」
「即戦力となると難しいと。軍令部に人材は?」
「提督になれる人材はいるにはいるけど、正規艦隊となると難しいね。
それに優秀な人材は幕僚にもいてくれないと困る。
……話は変わるけど、東郷提督の愛刀の由来は知ってる?」
「帝から下賜された“後家兼光”ですか? 由来までは知りませんが何か?」
「あれは古くは“愛”の一文字を兜に掲げた武将の愛刀だったらしいよ」
「なるほど東郷長官に相応しい刀ですね」
「まあ東郷長官の掲げるLOVE(愛)じゃなくって、愛染明王の愛らしいけどね。
とにかく今後の提督登用は東郷長官の愛によって決まるかもよ?」
「それは胃が痛くなる話ですね……」
「余所の即戦力を取り入れるって考えは悪いことじゃないよ」
「なるほど…………ところで伏見総長?」
「どうかしたの? 秋山総参謀」
「いえ……先ほどから妙な視線をすぐ近くから感じるのですが?」
「じぃぃぃぃ……はい、それは私です」
情報参謀として軍令部にも在籍する第五艦隊提督の小澤祀梨が、
部屋の隅から伏見達(主に秋山)を瞬きもせずに見つめていた。
「小澤少将……なにか?」
「あ、どうぞお気になさらずに。妄想を暴走させてるだけですので」
「……そう言われると余計に気になるのですが……」
「ぶつぶつ……秋山×東郷が鉄板と思いきや。
ヘタレ攻め秋山×小悪魔受け伏見もあり、
いや伏見×秋山で本性を露わにした伏見の逆襲もありかも……」
「……は?」
「どのみち東郷×伏見が最大勢力。これは全腐女子の総意といえるでしょう」
ふ━━( ´_ゝ`)━( ´_ゝ`)━( ´_ゝ`)━━ん
「あ、伏見総長が悟りの境地に至っている……」
「はぁ……ぁ……ダメ……妄想が止まりません……
あ……ちょっと濡れてきたかも……」
「小澤少将。冗談はそのくらいに?」
「ホモが嫌いな女性はいませんよ?」
「……………………」
「あ……蔑むような視線……私を雌豚呼ばわりするつもりですね?」
「え? いいですよ。どーんとこいです。メスブタ祭り開催中」
「や、あの……もう勘弁してください」
「あ……意外と根性なし」
「はっはっはっ、楽しそうだな秋山総参謀、羨ましいぞ」
「何を言ってるんですか早く助けて下さい」
「あのな。猫平長官とイベントに行ったときに
自分が絵描かれた女性向けの薄い本を大量に発見したときの俺の気持ちが分かるか?」
「分かりたくありません!!」
「はぁ……すまんかった」
「ほわわぁ……NTRはイカンですよ。
秋山モノの魅力はやはり東郷さんを一途に支えようとする愛。
それを伏見さんによるNTRなんて……応援してますよ、ぐっ!」
「……小澤少将、ちょっと屋上へ行こうか?」
「やめて! 私に(幕間で)乱暴する気でしょう? 薄い本みたいに! 薄い本みたいに!」
小澤祀梨は満足そうな笑みを浮かべて
女性向け同人誌に書かれていた有名な台詞を吐き捨てて逃げ去った。
「久しぶりに……キレちまいそうだよ……」
「止めて下さい。伏見総長、貴方が刀を抜くとシャレになりませんから!!」
エロ主には薔薇を愛でる趣味はないのだが腐女子のサガは罪深い。
宥められた伏見空は静かにコミケで見た不都合な記憶を闇に葬るのだった。
女性士官からの性的な熱い視線が腐的なものどうかを見分けるのは難しい。
小澤祀梨 →☆☆
――――御所内、帝勲章授与式会場――――
「新たに日本帝国となった星域に対して慈愛という心を忘れず――
責任を持って――粉骨砕身、素晴らしい国作りに――
それと同時に我々は常に謙虚であり続けなければ――――」
ようやく柴神様の長た(素晴)らしいお話が終わった。内容が前回とほぼ同じだぞ。
「これより帝勲章を授与します。軍令部総長、伏見空殿は前に」
「ぱんぱかぱ~ん♪
がんばったね、やったね、すごいね、おめでとー」
「陸海の全ての将兵を代表し、
今後もこの名誉に応えれるよう力を尽くすと約束いたします」
「はい。東郷が存分に采配を揮えるのも
伏見が陸海の軍をまとめて縁の下を支えてくれるからです。
これからも日本国の未来をお願いします」
「もちろんです」
「それと帝勲章には副賞がついていて、願いを何でも叶えることができます。
東郷からは捕虜の改善をお願いされましたが、
副賞は日本国の帝である私からのプレゼントだと思ってください。
軍の代表者としての立場は隅に置いて今までの功績に報いたいと思うのですが?」
「よろしいのですか?」
「はい。私の出来る範囲であれば何でも叶えますから、遠慮はせずに言ってくださいね」
「わかりました。では私の願いは……
帝が御所から自由に外出できるようにして欲しい、ということですが」
「えっ?」
「やはり帝ちゃんとデートするときに御所の外に遊びに行けないのは不便ですから」
「な、なにを馬鹿なことを。そのようなこと許されるはずが……」
女官長のハルが驚きのあまり口を挟む。
「御所からの外出の禁止は柴神様によって定めらえた決まりではなく、
あくまで慣例に過ぎないと聞いていますから、お願いとして問題ないのでは?」
「そうですね、問題はないです。でも……本当によいのですか?
お金とか爵位とか宝物とか思いのままですよ?
刀剣愛好家と聞いてますが天下五剣の一振りが欲しいとか、皇室御物の名刀を所望するとか?」
「それ以上に帝の御所からの外出を望みます」
「も、もう……仕方ないですね。
勲功を立てた忠臣である伏見のお願いだから叶えないわけにもいきませんよね。
ね、柴神様? ね、女官長?」
「私としては異存はないが……嬉しそうだな」
「私には反対する資格はありませんが……なんという嬉しそうな顔……」
「では、決まりですね」
「は、はい。伏見の願い叶えさせてもらいます」
伏見の願いにより、帝の御所からの外出が自由となった。
帝ちゃん→☆☆
後書き
小澤祀梨は会社の新米OLだったり部活の後輩だったりするポジションだよ。
性格に癖があるから幕間は思いついてないけど……薄い本みたいに頑張るよ。
ページ上へ戻る