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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?

作者:笠福京世
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第26話 陸軍長官の正妻と幼馴染の妾 Ev09

 
前書き
よいタイトルが思い浮かばなかった。 

 

――――軍令部陸海統合幕僚局休憩室――――

宇宙空間における艦隊戦こそが軍の花形だが、実は組織的の規模では陸軍の方が圧倒的に大きい。
陸軍は近代的軍隊と似ており、将校(少尉以上の士官)、下士官、兵卒の構成比は1対3対5となっている。
あるの軍事研究家によると近代軍の理想は1対4対10だと言われている。

日本帝国の歴史でいえば、海軍(宇宙軍)は常に陸軍(統合軍)への吸収と隣り合わせだった。
しかし紆余曲折を経て伏見空によって軍令部の位置づけは強化され、独立性がより高められた。
今では陸軍の参謀本部、教育総監部からも幕僚が出向し、陸海の交流が行われている。
二つに分かれていた陸海の軍は、戦後には帝国統合軍となるであろうと考えられていた。

ちなみに海軍(宇宙軍)は将校、下士官の比率がかなり高い。
人員の規模に比べて宇宙兵器関係の予算も大きい。陸軍が海軍を妬むのはその為だ。
えろかみ大帝国の海軍軍人(宇宙の船乗り)は、
現代で言えば空海軍のパイロット+宇宙飛行士のイメージに近いだろう。

宇宙船の機能の大半がAIプログラムによって自動化・機械化されているとはいえ、
下士官でさえ専門領域で要求される水準はかなり高い。
素人を連れてきて短期訓練で戦場に送り出すことなどということはなく
徴兵制も採用されておらず志願制だ。
陸軍は以前まで徴兵制だったが、猫平内務長官が兵役法を改正し事実上廃止している。

兵卒は戦闘兵科より経理、補給、衛生といった後方兵科に多い。
イメージしやすいのは軍施設の食堂や売店のおばちゃんとかお掃除マシンの管理者とかも軍属(国家公務員)だ。
攻撃要員、船務・航海科要員、航空要員などは下士官と下級士官(尉官)が任に当たっている。

陸海軍の上級将校、上級士官ともなれば、
平賀博士や戸塚軍医といった技術職、研究職に限らず、
博士号を持つ、あるいは持つことが出来るほどの明晰な頭脳を持ち
少なくとも卓越した情報処理能力を備えている人間が殆どだ。

それこそ作中に登場している海軍司令部、艦隊司令部、軍令部に所属する要員は、
老若男女問わず変人奇人や変態紳士の類(エリート中のエリート)の集まりだ。

「……おにいさま……あーちゃん……」

人気のない休憩室で中佐から少将に昇進し、
第八艦隊を任されることとなった福原いずみが沈んだ顔で呟く。

手には普段使いの士官軍刀ではなく、帝から下賜された日本刀が握らている。
元々は一刀流剣術の始祖の愛刀で、眼鏡っ子を襲っていたハニワを
瓶ごと切り伏せたて割ったころから“瓶割刀”の異名が名付けられている。

福原いずみが、伏見空と同じ北郷一刀流の使い手だと聞いて帝が選んだものだ。

「……可愛い呼び名だな」

「えっ、あっ……山下閣下……」

福原が顔を上げると、目の前には陸軍長官の山下利古里がいた。
陸軍長官の軍政は今村大将が代行、軍令は参謀本部に任せて、
今は陸軍海兵隊の提督として伏見軍令総長に協力している。

「此処は海軍の軍令部だ。公式の場でないなら、
 陸軍みたいな余所余所しい閣下は止めて欲しい」

「……はい。それでは……山下提督とお呼びしますが、よろしいでしょうか?」

「ありがとう。それで福原提督、
 お兄様ということは、従兄の平良中将の下の名前かな?」

「あ、いえ……その……あーちゃんは……司令部総長のことです。
 空(あき)お兄様の幼い時の呼び名で……」

「そうか……伏見は人のことを下の前で呼び捨てする癖に、
 自分は下の前で呼ばれることを嫌がるからな」

「昔からそうでしたよ。
 女の名前みたいだと周りから揶揄われてましたから」

「命知らずな奴らがいたものだ」

「ふふふ、北郷一刀流の道場に通う前は引っ込み思案で大人しい方でしたから」

「……そうなのか?」

「はい、妾の子とだと虐められて……
 他人とは遊んだりせず、図書室に籠って独りで難しい本ばかり読んでました」

「勉強家、読書家なのは知ってるが少し意外だ。どうして道場に?」

「はい。あきお兄様のお母さまが、
 日本男子なら、いつか大事な女性を守れるように強くなりなさいと……」

「それで北郷一刀流を学んだのか。納得だな」

「道場の師匠は目録を授けたときに
 刀剣の扱いは一流でも、女性の扱いは三流だと言ってましたが……」

「ふんっ、北郷一刀流の開祖は“種馬”だと言われるほどだからな。
 免許皆伝で破廉恥長官みたいな人間にならずに良かったと思う」

「ふふふ、そうかもしれませんね……」

「うらやましいな。幼い頃からの伏見を知ってる人間は多くない」

山下は少しだけ悲しそうな表情をする。

「も、申し訳ありません」

「いや、いいんだ。
 遠藤秘書官から福原提督が昔から伏見を慕っていたのは聞いてる。
 私の方こそ、想い人を奪ったようなものだ……すまないと思っている」

「そ、そんな……! お見合いをして双方の同意の上での婚約です。私の恋慕など一方的で」

「婚約といっても山下家と伏見家の政略婚の意味合いが強いのも分かってる」

「山下長官は、女性の私から見ても……あき兄様に相応しい、素敵な方だと思います……」

「すまない。少し自虐的過ぎたな」

「……それに私は第八艦隊の指揮官として、ハワイに侵攻する太平洋艦隊に配属されます」

「伏見が、福原提督を疎んで正規艦隊の指揮官に推薦したと?」

「はい……」

「伏見が三笠の副長に選ぶ人間は能力があって信頼できる人間だけなんだ。
 遊撃艦隊のラスシャラ提督がそうだし、副長なんて置かないことが多い。
 信頼されてるからこそ任されたんじゃないか」

「……能力は信頼されているかもしれませんね。
 三笠の副長を命じられたときは嬉しかった。
 想いは叶わぬとも、側にいて、役に立てるだけで……私は幸せでした」

「……伏見は時々大胆なことをしでかす割には、肝心なところで臆病だし奥手で駄目な奴だ」

「そんなことありません! お兄様を悪く言うのは止めて下さい!!
 お兄様は士官学校の入学が決まり、私と別れるときに、

 再び未曽有の大戦が起こるだろう。
 その時に、日本と、多くの人々幸せを守れる力欲しい――って言ってました」

「私はお兄様の志に憧れて、惹かれて軍人になった。
 お兄様は今も幼き日の志の通りに生きて行動してる。
 それなのに私は今まで平良の家の力にも逆らえず……
 ただの幼馴染に過ぎないのに、お側で思いあがって……
 公私の分別に厳しい軍令部総長のお怒りをかった……当然のことです」

「福原提督、婚約者の私に遠慮せず、伏見に毅然として迫れ!
 悩みを抱えたまま、第八艦隊と提督となる前に、伏見と同衾して本音を聞いてこい」

「……よろしいのですか?」

冷静さを欠いた福原が不機嫌な態度で訊ねる。

「その方が互いに幸せになれる」

「幸せ……山下長官も平良と同じで、
 お国の為、陸軍の為に、婚約者として、正妻としての幸せなどいらないと?」

「それは違う……私は婚約者として充分に幸せだ……
 ただ私一人では伏見を幸せにすることができないんだ」

「……どういうことですか?」

「今までお見合い誰もが私を結婚させて家庭入れることを望んでいた。
 けど伏見だけが、伏見家や山下家の本家の意向を抑えてまで、
 私が陸軍長官として、国の為、帝の為に働くことを許してくれた。認めてくれた。
 伏見は私の生き方を何一つ縛ることをしないんだ。むしろ応援してくれる。
 だから私も伏見の生き方を何一つだって縛りたくない」

「だから……他の女性との同衾を黙認していると?」

「それだけじゃない。同衾して初めて分かった。
 伏見は繊細な奴なんだ。今のまま戦争が続けば、いつか壊れてしまう」

「……っ! それは……どういうことでしょうか?」

「以前に今村大将が言っていた。
 伏見軍令部総長は切れ味鋭い抜き身の刀だと……
 収まる鞘次第で名刀にも妖刀にもなるだろうと。
 良い得て妙だと何とくなく思っていた。

 けど何度か同衾してようやく分かったんだ。
 名刀は鞘がないと自らの身も傷つける妖刀になると……

 私一人では妖刀を鎮める鞘として不足なんだ……
 一人寝ができなくなったという噂とは……少し違うんだ」

「平良は軍令部総長が、海軍長官の悪影響を受けたと嘆いてましたが?」

「最初は私もそうだと思ってた。けど違う。
 たぶん伏見自身も気づいてない。
 普段は昔よりお調子者でお気楽になっただけだと思ってたが、
 ……あいつは目も覚まさずに悪夢にうなされて、
 私を縋るように抱きしめながら震え続けるときがあるんだ」

「そんなっ!?」

「悪夢の中で譫言を呟くんだ。
 海賊……反乱……災害……CORE……不祥事……敗北……戦死……崩壊……破棄……」

「それはっ……まさか……」

「他には秘書官の遠藤中佐も知ってる。戸塚軍医にも相談した。
 軍医の見立てでは夢の中で未来をシミュレーションしてるそうだ。
 伏見は軍令総長として様々な情報を集め、多角的に分析し、情勢を予想してる。
 満州会戦以降の大戦の推移分析においては神懸かり的な的中率だ」

「はい……昔から、どこか、ずっと遠い未来を見つめているような方でした……」

「伏見は普通の人間よりも、ずっと未来が見えてしまう人間なんだ。
 合理的な奴だから楽観的な感情なんて挟まない。
 常に誰よりも最悪のケースを想定して、
 何があっても大丈夫な良いようにと準備を怠らない奴だ。
 伏見の情報分析についていける人間なんて一人もいない。
 一人で、一人だけで、大日本帝国の将来を背負って、
 頭の中で、夢の中で、シミュレーションを続けてるんだ。尋常じゃない」

「……私は……自分のことばかりで……何て愚かな……」

「私だって一人の女だ。
 好いた男が他の女と寝ることに思うところは当然ある……
 破廉恥長官のように誰でもベットに気軽に誘い込むような相手と婚約なんてしない」

「閣下……」

「伏見のことを幼いときから知ってて、今でも慕ってくれて、
 あいつのことを本気で素敵だと思ってるこそ、恥を忍んで話してるんだ。
 頼む、伏見を助けてやってくれ」

「そんな……頭を上げてください……もったいないお言葉です」
 
「誰にだってこんな話をするわけじゃないんだ。
 私を正妻として認めてくるなら……一緒に伏見を支えて欲しいんだ」

「本当に、本当に、もったいないお言葉です……ありがとうございます」

福原は瞳を潤ませながら山下に向かって深々と頭を下げた。

福原いずみ→☆☆☆ 
 

 
後書き
☆が一つずつ増えるといつ言ったかな?

この作品に特定のメインヒロインはいませんが、

山下利古里 メイン正妻 婚約者
福原いずみ メイン側室 幼馴染、妹分
レーティア メインアイドル
帝ちゃん  メインプリンセス お姫様

の四人はS~Aラインのキャラクタで優遇されてます。
山下利古里、レーティアの二人がS、帝ちゃんはA+、福原いずみはA-ラインです。
ちなみにゲッベルスがB+。Bライン、Cラインの女性キャラはアンケート中です。

原作ゲーム知識チートに対する周囲の勘違いが酷い。 
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