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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?

作者:笠福京世
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第28話 総統救出艦隊の派遣 Ev11

 
前書き
しばらくイベントフェイズが連続します。 

 

――――軍令部将校官舎――――

ピリリッ ピリリッ ピリリッ ピリリッ

デーニッツは部屋の前で何度もコールを鳴らす。

伏見空は軍令総長になってから
セキュリティの問題もあり慣れ親しんだ狭い士官兵舎から
東郷長官と同じ3LDKの将校官舎に移り住んだ。

将校官舎は軍令部や海軍司令部の近くに併設された
若年幹部用の寮といった感じの複合施設で、
間取りも1LDKから3LDKと選べる近未来的なタワーマンションだ。
伏見は三部屋を寝室、和室、書斎に分けて利用している。

提督や閣下と呼ばれる地位にもなれば、
庭付き一戸建ての公務員住宅に住む者の方も多い。
帝都には伏見本家の屋敷もあるが年に数回帰省する程度だ。
父の妾だった実母は亡くなっており、父の正妻との距離は微妙だ。

「……この部屋であってるはず……だけど、繋がらない」

デーニッツがため息まじりに呟く。
警備兵にも確認したので間違ってはいないはずだ。
出かける前にも通信コールを入れたが返事がなかった。
たしかに寝ていても不思議ではない時間だが……。

「総統閣下……第三帝国は……本当に大丈夫なんですか?」

祖国ドイツは危機的状態にある。
レーティアは療養から復帰して今までの間、
一度も通信できないくらいに忙しかった。

それなのにパリ陥落という非常事態を黙っての定期通信。

「……もっ、もしかして女性を連れ込んでる?」

軍令部総長が一人寝ができなくなったという噂はデーニッツも聞いていた。

こんな緊急時に悪魔が夜間に女性を連れ込んで、
イヤらしいことに励んでいるのかもしれないと思うと……
自然に怒りが沸々と湧き上がってくる。

シュンッ プシュッー

「ん、デーニッツ提督か、こんな時間にどうしたの?」

「あっ、伏見……」

突然、部屋の扉が開いて軍服姿の伏見が姿を現す。
髪型や服装は乱れておらず整っているが、何故か片手には日本刀を持っている。

「軍令部長と二人っきりでお話したいんですが、
 中に女性を連れ込んだりはしてませんよね?」

はぁ(*´Д`)=з

一度も連れ込んだことはないとかは言わない(むしろ毎晩エロエロしたい)けど、
 長官みたいに毎晩じゃない(セフレが何十人もいない)から……。今は一人だけど入る?」

入室して広々としたダイニングキッチンを通り、
防音が施され通信設備もある書斎に案内されたデーニッツが先に口を開く。
流石に寝室まで確認してはいないが、他の人間の気配はない。

「なるほど、ここなら邪魔は入りませんね。
 ずっとコールしてたのですが、どうして出てこなかったんですか?」

「刀剣の手入れをした。和室には通信機器は持ち込まないんだ。
 昔から行ってる心を落ち着かせる大切な儀式だからね。
 玄関からのコール音は集中していて気づくのが遅れた。悪かったね」

「……そっ、そうですか」

きっと破廉恥な行為をしてたと疑っていた自らを恥じて
デーニッツが返事をする。

「ところで話というのは?」

「お願いです伏見総長、
 私と私の艦隊を第三帝国に戻して貰えませんか?」

「そうか……レーティア総統と話をしたんだ。亡命は拒否された?」

「はい。祖国ドクツが危機を迎えているのは確かです。
 しかしアドルフ総統は逆転の可能性があると……」

「パリが陥落したのは聞いた?」

「……っ! なっ、何故それを? 本国ベルリンでさえ最新報告のはず。
 くっ、そうです。祖国存亡の危機なんです。じっとしてはいられません!」

「……よし、わかった。許可しよう。それじゃあ行こうか?」

「あ……ありがとうございます。伏見!
 初めて貴方が悪魔ではなく、天使のようにみえました!!」

(´・ω・`)ショボン

伏見が一人で落ち込んでいると、
デーニッツが用事は済んだとばかりに出かけようとする。

「っと、待ってくれ。僕も一緒に行く」

「はい?」

「パリ陥落の報せと同時にゲッベルス宣伝相から頼まれたんだ。
 総統代理の権限でアドルフ総統の救出艦隊の派遣を要請された。
 レーティア総統が復帰してからも、書類上は総統代理のままだからね」

「ゲッベルス宣伝相が!?」

「印度洋艦隊司令官の権限で潜水艦隊を惑星ベルリンに派遣する。
 ただし救出艦隊としてだ。戦闘参加のための出撃は認めない」

「それは分かりました。アドルフ総統を助け出します。
 しかし御前会議や海軍長官の許可も無く伏見が、ベルリンに行くのは不可能では?」
 
「ま、たしかに総統救出艦隊の“提督”として参加するのは無理だね」

「そうですよね。だって伏見は、軍令部総長で……
 印度洋艦隊司令官で、御前会議もあるし、前線外交の役割もある……」

「そ、だから“外交官”としてエイリス帝国の惑星ロンドンに行きます」

「はぁあ?」

「ドクツ第三帝国が崩壊すれば三国同盟は瓦解。
 枢軸と連合という枠組が無くなる可能性があるんだ。
 エイリスとは以前に日英同盟を結んでいた関係もある。
 この機にロンドンに乗り込んで日英停戦交渉を行うんだ。
 途中の惑星ベルリンまで潜水艦隊で僕を運んで欲しい」

「えっ? アドルフ総統の救出は?」

「ベルリンに着いたらデーニッツ提督は、
 アドルフ総統を救出し、すぐに日本へ戻ってもらう。
 僕は用意されたドクツ艦隊に乗り込んで、
 ゲッベルス総統代行と一緒にパリを経由してロンドンへ向かう」

「ゲッベルス宣伝相も?」

「そうだ。総統が第三帝国から亡命するんだ。
 誰か責任者が残って後始末をする必要があるだろ?
 ゲッベルス宣伝相は総統代理として、
 自分の身をエイリス帝国に差し出して降伏するつもりだ」

「そ、そんな……」

「大丈夫、レーティア総統を救出して
 ゲッベルス宣伝相も助けるために僕が行くんだ」

「伏見は、怖くないんですか?
 ロンドンに行けば、殺されるかもしれませんよ?」

「帝ちゃんから特命全権大使の委任状を預かっている。
 世界の“名誉あるバランサー”を名乗り、
 国際法の守護者を自負するエイリス帝国が
 外交使節の最上級者を殺したりしたらおしまいだよ。

 仮に第二次世界大戦に勝利したとしても、
 もう誰も国際法や国際条約なんて守らない修羅の世界がやってくるさ」

「それでも……逮捕なり、何なりと理由をつけて……」

「大日本帝国にだって何枚かの外交カードがあるんだ。
 日本はガメリカからの挑発で戦争を始めただけだ。
 エイリスは欧州戦争でガメリカの支援を受けていたから
 お付き合いで参戦してるだけだ。
 日英の戦争は、日米戦争に巻き込まれただけなのさ」

「けどガメリカが許さないのでは?」

「ハワイを占領して宇垣さくら外務長官がワシントンに向かった。
 日米開戦は御前会議で序盤圧勝・早期停戦プランを採択して始まったんだ。
 ドクツ降伏、ハワイ占領……
 このタイミングで停戦交渉を持ちかけるのは悪くない」

「……なるほど」

「以前に色々と準備を進めてるって言っただろ?
 フォルケナーゼだけなら、すぐにでも動けるはずだ。
 ドッグに向かおう。詳しくは潜水艦内で話すよ」



――――Uボート潜水艦フォルケナーゼ――――

日本海軍基地を抜け出したUボートは姿を消しベルリンへと向かう。

「そういえばドイツ艦に乗るのは久しぶりだな」

「ドイツ艦に乗ったことがあるんですか?」

「ドイツ海軍大学時代に特雷駆逐艦のゼーアドラー(海鷲)にね」

「ゼーアドラーですか、このフォルケナーゼの元になったファルケ(鷹)の同型艦ですね」

「なるほど、だから懐かしさを感じたのか。
 それにしても艦が長く伸びたからって、
 鷹の鼻(フォルケナーゼ)とはドイツ語も面白いよね」

「シンボルはノコギリザメなんですよ?
 そういえば、伏見は航空戦が専攻ですよね? どうして雷撃戦の特雷駆逐艦に?」

「たしか……そうだ! デーニッツ提督の潜水艦の論文を読んでだ」

「わっ、わたしの論文を読んで?」

「そうそう。どうやって雷撃戦を得意とする潜水艦を潰すか考えるためだ」

「……そういえば、“悪魔の代弁者”はそういう奴でしたね」

潜伏して次元航行を続ける静かなUボート艦内に独特のエンジン音が響き渡る。
ワープゲートのエリアを目指して味方のいない宙域を一隻だけの潜水艦が進む……。

「伏見、潜水艦隊で出撃しなくてよかったんですか?」

「他艦隊の支援が受けらない星域で戦闘になったら一隻も一艦隊も大差ないよ。
 見つかった場合でも“外交使節団”だと言い張るつもりだ。相手を刺激しない数の方がいい」

「わかりました。……伏見を信じます」

「それに数が多ければ多いほど、どうしても隠密行動に制約が出る。
 潜水艦の専門家のデーニッツ提督が直々に指揮を取る一隻なんだ。
 僕は大船に乗ったつもりでいるけど?」

「ふふふ、憎き悪魔に潜水艦の素晴らしさを叩きこむ良い機会ですね」

あるぇー?(・3・)

伏見空とデーニッツの二人はドクツ総統レーティア・アドルフを救う為にドクツへと向かう。

デーニッツ→☆☆ 
 

 
後書き
日本→ベルリン間で起こったであろうデーニッツとの幕間は後ほど書きます。

ベルリンだけではなく、ロンドンにも行っちゃいます。
欧州星域を舞台に行われる外交の幕開けです。影の薄かったエイリス勢もようやく登場!!

そういえばエロ主には「よーそーろー」や「三笠、主砲発射っ!」「戦闘機発進!」とかは、
夜の艦隊戦以外では言わせてないですね。宇宙戦闘以外に力を入れる戦記小説です。 
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