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メスデカ

作者:
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豚男

結子と西島はソフトオンデマンコリアの日本支社に来ていた。
「警視庁捜査0課の姫川です」
 警備員に警察手帳を見せて中に入れてもらう。
 ロビーでしばらく待っていると一人の男がやって来た。
 前にこのロビーで話したのと同じ男だった、クーだ。

「どうも、お待たせしました」
 クーが名刺を差し出す、前にももらっていたがそのまま受け取る。
「お忙しいところすみません、今日は」
「シネさんの居所ですか?」
 結子が言い終わる前にクーが尋ねる。

「ええ、今どこにいますか?」
「この前も捜査1課の刑事さんが来て同じ質問をされました、浅井姉妹の件とは別件ですか?誰かいなくなったとか?」
「えっ?」
 どうしてそれを?と聞こうとして結子は言葉を飲み込む。

「シネ監督の居場所は分かりません、束縛してる訳じゃないですしね」
 クーは結子が怪訝な顔で自分を見ているのに気づく。
「ああ、いや、この前の刑事さん誰かがいなくなったみたいに仰ってたものでね」

「……シネ監督の韓国での作品を見せてもらえないでしょうか?」
「それはできません、というか内にはないんです」
「どういうことですか?」
「韓国の作品は内では扱ってないんです」
「あなたの会社、韓国の会社でしょ?」

「韓国の作品は本社だけが扱えるんです、日本へは輸出していません」
「そうなんですか……あなたは韓国の作品を見たことはありますか?」
「もちろん私は韓国人ですからね、韓国の作品は制作費がかかっていてクオリティーが高いですよ、日本のような駄作はないです」

 ーーーー

「間違いなく水谷警部がいなくなった事を知ってるわね」
 西島と会社を出て歩きながら語る。
「捜査1課が水谷警部の事をクーに言う訳が無いもの、なのにそれを知っている」
「任意で引っ張りますか?」

「まだ無理ね、シラを切られたら終わりだわ」
「それにしてもあのクーって奴腹が立ちますよね、日本人をバカにしてるって言うか」
 西島が悪態をつく、しかし無視して
「鈴木邸に行くわよ」

 ーーーー

「汚く醜い豚男」
 薄赤い明かりの部屋でグラスに入ったワインを右手で転がしながら木の椅子に座っているシネがつぶやく。
 黒いランジェリー姿で部屋なのに黒いハイヒールを履いている。
 そして何やら赤い紐のような物を左手で持っていた。

「そうよねぇ」
「は、はひぃ」
 シネの足元に1人の男がひざまづいている。
 歳は50代半ばくらいか?素っ裸で男根が立っている。
 男は素っ裸だが銀縁の眼鏡をかけている、そして鼻には鼻フックがかけられていた。

 その鼻フックはフックの部分は黒くフックをつなぐ紐は赤かった。
 シネがその紐を左手で持っている。
「ほーれほれ、豚さん豚さん」
 そう言ってシネは紐を上下に動かす。

「あーあー」
 男の鼻が上へ下へとせわしなく動く、男の口からはヨダレが垂れている。
「このバカにお仕置きをして、いやご褒美になるのかな?ふふ」
 言ってワインをグイッと飲み干す。

「おら! 四つん這いになってケツを上げろバカ男!」
 言った男はシネが韓国からつれて来た男だ、アダルトビデオの男優で韓国人だ、りゅうちょうな日本語を話す。
「ペッ」
 ケツを上げた男のケツ穴にツバを吐きかける。

「おらよ」
 男がケツ穴に逸物を入れる。
「あーーあーー」
 掘られた男が猿のように叫ぶ。
「ははは、お前は豚猿だ!」
 シネが鼻フックを上下に動かしながら男を罵る。

 「あーーあーー気持ちいいですーあーーー」
 警視庁捜査1課特命係、水谷右角警部は豚面で猿のように叫んでいた。

 ーーーー

 ソファーに結子と西島が並んで座る、向かいに鈴木夫妻が座っていた。
「シネ監督の居場所は知りません、作品は見ていますよ」
「韓国で撮影した物も見られましたか?」
「それは……見ていません」

「そうですか……」
(見てるわね、恐らく)

「シネさんと会った事はありますか?」
「……いえ……ありませんよ」
(会ってるわね)
「刑事さん?」

「はい?」
「あなたなら1番に成れますよ」
 とっさに意味は分からなかったが、やがて顔が紅潮してくる。
 鋭く鈴木誠をにらみつけて
「あ、り、が、とうございま、し、た、西島、帰るわよ」

 帰っていく2人を見ながら
(怒った顔も美人だ、いや、可愛らしい美人だ)
 鈴木誠は妄想する、木村と結子とそして坂田に見せてもらった木村の息子の凛でビデオを撮れたらどれだけ素晴らしい事かと。

 いつもの居酒屋でいつものメンバーが集まっていた。
「かんぱーい」
「カチャン、カチャン」
「あー美味しいー」
 丸山は目をつむりながら幸せそうだ。

「シネ、クー、鈴木、この3人を徹底的に洗うわ」
「水谷警部の身が心配ですね」
 西島が心配そうな顔で結子を見る。
「殺されてはいないと思うの……」
「絶対生きてる、そんな簡単に死ねへん、警視庁が誇る敏腕天才刑事や」

 出された料理をつまみながらそれぞれが意見を述べる、ここは第2の本署なのだ。 
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