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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第654話】

 
前書き
おひさな更新 

 
 昼休みも終わり、午後からの授業が始まる。

 一年生全員勢揃いのグラウンド、昼だからか三時間目四時間目よりかは気温も上がり、寒さは少し緩和していた。


「午後からの授業だが、実戦として代表の者に模擬戦を行ってもらう。 専用機持ち及び専用機持たない生徒関係無く模擬戦を行うの。 無論訓練機を使うものと専用機持ち――笹川を除いた専用機持ち達にはハンデを背負ってもらうのでそのつもりで」

「「わかりました!!」」


 綺麗に揃った返事、そして腕組みしたまま織斑先生は――。


「とはいえ、いきなりだと誰でも緊張するだろうから先ずは専用機持ち達の模擬戦を見てもらう。 そうだな……」


 並ぶ専用機持ちを一瞥する織斑先生、ふと成樹に目をやると――。


「笹川、まだ乗りはじめて時間は然程経っていないが。 せっかくだからここで模擬戦先発してみないか?」

「僕ですか?」

「ああ。 無論断っても構わない、ただ慣れるならば早い方が良いと思ってな」

「そうですね。 ではお願いします」


 快く快諾した成樹に、ニッと小さくえみを浮かべた織斑先生は――。


「なら笹川、戦いたい相手を選べ」

「え? 模擬戦相手も僕が決めるのですか?」

「無理にとは言わない。 無論君が今の状態で専用機持ちに勝てる確率も低い」

「そ、そうですね」


 きっぱりと告げた言葉、だけど事実でもあるため成樹は頷く。

 暫く考えていたが――。


「織斑先生、僕自身皆から学びたい気持ちがあるので選べないです」

「成る程……ならば私が決めても良いかな?」

「はい、僕は先生が選んでくれた相手なら……」


 そう告げた成樹の言葉に、小さく声援があがる。

 早速成樹の模擬戦が見られるという事もあってか皆がはしゃぐ。


「……全く、学ぼうともしないガキ共が。 ……まあいい、ではそうだな」


 いつも注意する織斑先生だが、完全放置を決めて専用機持ち全員を見ていると――。


「織斑先生、俺が立候補しても良いですか?」


 手を挙げたのは一夏だった、それに直ぐ様反応したのは鈴音で――。


「はぁ!? 何で立候補してんのよ、あんたは」

「いや、千冬姉が決めるのに時間が掛かるならせっかくだし俺が成樹と模擬戦しようかなって」


 何の気なしにそう呟く一夏に、セシリアが怪訝そうに一夏を見ながら――。


「立候補するのは宜しいのですが、何故笹川さんの初戦に立候補を?」

「ん? あぁ、男が戦う相手は基本男だろ? なら俺かヒルトだけど、ヒルトだと昔馴染みだから手加減するんじゃないかなって思ってな。 俺だったら本気でやれるし、まあ何よりも負けねぇしな」


 最もらしい事は言っているのだが何処か上から目線の一夏の言動、成樹は苦笑を漏らしつつ――。


「じゃあ、僕の初戦は織斑君でお願いします」

「おぅ、男同士の戦いだ。 勿論ハンデは無しだぜ? 男がハンデもらうなんてカッコ悪いしな」


 そんな一夏の言葉に、ピリッとした空気が流れるも織斑先生がすかさず出席簿の面部分で頭を叩いた。

 乾いた良い音がグラウンドに鳴り響く――。


「馬鹿が、笹川は実質今日が初めてなのだぞ。 男がハンデ云々何て話はお前の中だけにしろ、勝手に笹川に押し付けるな!」

「いてて……な、何でだよ千冬姉……。 最近厳しくない――アタァッ!?」


 二度目の出席簿アタックが炸裂、再度響き渡る音が心地好かった。


「織斑先生だ。 厳しいも何も、お前はもう少し相手を尊重するんだな。 ここに来れば実力勝負の世界だ、厳しくするのも生徒自身の為だ。 これ以上の問答は時間に響く、準備をしろ」


 問答無用といった形で模擬戦を促された二人、山田先生は慌てて埋設型のシールド発生器を生徒を守るように四方に埋設していく。

 一方で成樹は準備の前に告げた。


「織斑先生、僕自身今の未熟な力を見極めたいのでハンデ無しで彼と戦いたいのですが……」

「何故だ? 見極めたいとはいうが、曲なりにも織斑は乗り続けて七ヶ月になる。 だが君はさっきも言った通り今日が初日みたいなものだ。 ハンデをもらうこと自体恥ずかしいとかではないだろうな?」

 目を吊り上げ、鋭く見つめる織斑先生に成樹は動じることなく告げた。


「ハンデ無しで彼とどれだけ実力が離れてるかを知りたいのもありますし、明確な目標指針にもなると僕は思います」

「…………ふむ」


 顎に指でなぞり、織斑先生は小さく頷く。


「わかった。 だが私から見て危ないと思った時は試合を止めるというのが条件だ」

「わかりました」

「ならば準備をしろ、身体で操縦を覚えるんだ」

「はい!」


 織斑先生の言葉に返事をした成樹、一夏は既に白式を纏っていて定位置へと移動していた。


「……展開、します!」


 成樹の身体に光の粒子が集束、それらが装甲を形成すると黒いラファール・リヴァイヴを纏った成樹が姿を現す。


「お兄ちゃん、成樹君に激は飛ばさないの?」

「ん? ……いいさ、頑張れ何て言えば気を張るだろうし」

「そっか。 でも皆は応援してるけどね」


 美冬の指摘通り、合併された一組女子の大半から声援と驚嘆の声が成樹に送られた。


「キャーッ! 笹川くーん!」

「頑張ってー!」

「黒いラファール・リヴァイヴカッコいい! それに乗る成樹君はもっとカッコいい!!」

「負けても気にしちゃダメだよ! 落ち込んじゃったら私が優しく慰めてあげるから!!」


 等と声が上がる、因みに一夏にはというと――。


「織斑くーん、笹川くんは初めてなんだからねー」

「やり過ぎたらダメだよ! てか零落白夜禁止だよ!」

「そうそう! 怪我させちゃ織斑くんが責任取らなきゃダメなんだからね!」


 一夏に声援というよりも注意を促していた。

 定位置へと移動する成樹――一夏はやれやれと目を伏せ、右手を上げる。


「何で皆零落白夜禁止させたがるのかがわかんねぇよ。 男同士の真剣勝負にそんな事は出来ないからな、成樹」

「は、はは……お手柔らかにね」

「何甘いこと言ってんだよ。 手は抜かねぇぜ……そんなの、カッコ悪いし負けたときの言い訳にしたくねぇからな!」


 右手に粒子が集まり、形成されると雪片を構えた一夏に対して成樹は武器項目から装備を選び始める。

 まだ粒子展開を素早く出来ない成樹、選んだ武装は機構式大型スピア【時雨】――パイルバンカーの様に矛先を打ち出す武装だった。

 シグナルが灯り、風が吹き抜けた――笹川成樹と織斑一夏の模擬戦が始まる。 
 

 
後書き
次回模擬戦っす、久しぶりに書くかも模擬戦 
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