エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第31話 第三帝国の終焉とコンサートの舞台裏 Ev13
前書き
コンサートから時間を巻き戻しシリアスパート(説明回)を挟みます。
SSとか親衛隊とかアウシュビッチとかチェルノブとか危険な単語が多いけど、
人類は戦争が招いた悲惨な出来事を忘れてはいけない(戒め)
――――ラストコンサート数日前、ベルリン総統府――――
「つまり伏見は戦時国際法を守っていないソビエトよりは、
エイリスの方が降伏するならマシな相手って言うわけね?」
ベルリン総統府に連れ込まれて女装させられそうになった伏見だが、
なんとかゲッベルスを落ち着かせて現状について情報交換を行うことに成功する。
「ベルリン星域の住民を説得するには、
共有主義国家ソビエトの恐ろしさを宣伝すれば良いと思う。
個人所有を認めない共有主義はファンシズムとの相性は最悪だ」
「なるほど。ソビエト軍にベルリンが占領されたら
レーティアのアイドルグッズなんかは全部没収されて禁止されてしまう――
そういう方向で話を進めるのね?」
「そうだね。共有主義たちは、共有主義が広まれば、
ガチャで手に入る確率が1%のSSのプレミアムレアが、
平等に行きわたるとか言い出すかもしれないけど――」
「なにそれ? ホントなら不味いじゃないっ!?
SSのファンクラブに参加すれば誰でも楽しめるガチャは、
高額寄付者に対する握手券と並ぶ宣伝省の大事な収入源なのよ」
「全ての人間に平等に行きわたるのはあくまで共有主義の理想さ。
共有趣味者の間で流行っているジョークがある。
ようやく村全体に暖房が行きわたるかと思っていたら、
いつの間にか村人全員で一つの暖房を壊さないよう大切に使っていくようにと命令された」
「つまりレーティアの秘蔵写真集を一人一つずつ貰えると思っていたら、
騙されて国民全員で一冊の写真集を読み回す悲惨な結果になるってことね」
「僕の例えも悪かったけど、何でもレーティアに例えられると混乱する」
「うんうん。とりあえず分かったわ。
その件に関しては宣伝相として秘策があるわ。お姉さんに任せなさい♪」
「ベルリン星域の最終防衛ラインを守っているのは誰?」
「司令官はトリエステ・シュテティン提督よ」
「僕らをロンドンに運ぶのは?」
「ヴィルベルヴィント中佐よ。高速巡洋艦の艦長ね。
銃器の扱いにもかけてるから護衛にもなるかと思って」
マンシュタイン、ロンメルの両元帥と共に優秀な軍人の大半が戦場に散った。
VTVN提督も捕虜となっており、ドクツには一線級の人材は殆ど残っていない。
「現状だとソビエトがベルリン星域を抑える可能性が高い。優秀な提督は外せない。
厳しいな……わかってたけど、シュテティン提督には死んでもらうしかないのか」
「彼女はもとより最後まで戦ってマインシュタイン元帥の後を追うつもりよ。
代われる人間もいない。レーティアも覚悟してたの。伏見が背負うことではないわ」
「できるなら少しでもベルリンの住民を逃がしたい。
エイリスとの停戦交渉がまとまらずとも、捕虜交換を持ちかけて
後で日本にドクツ軍人や技術者を亡命させることだってできる」
「たしかにレーティアが亡命して日本にいるなら、
一緒に着いて行きたいっていうドクツ人も多いでしょうね。それが貴方の狙い?」
「いや、僕が本当に心配してることは別にある。
ゲッベルス宣伝相、レーティア総統が作ってた最終決戦逆転兵器は完成してたの?」
「まっ、まさか……ど、どうして貴方がそれを!?」
「やっぱり……できたのか」
印象に残るイベントだから原作ゲーム知識をちゃんと覚えていた。
ソビエト軍にベルリンが占領された場合は星域が消滅してしまうことを――
「星域破壊爆弾が完成したことを知ってるのは私とレーティアだけなのよっ!?
どうして貴方が知ってるのよっ!? ありえないわっ」
「ちょっとひっかけただけだけど?
なにせレーティア総統は宇宙一の天才だ。
勝率一割を覆す逆転の秘策があっても不思議じゃあない」
「ぐっ……」
「それにしても星域破壊爆弾か、文字通り星域を破壊するような威力だとすれば……
威力があっても星域を破壊するには恒星を……ぶつぶつ……」
「いくら日本が信頼に足る同盟国でも星域破壊爆弾だけは渡せないわよ!
あれは世の中に出したら駄目な兵器なの。人類が手にするには危険すぎる兵器よ!!
すでに爆弾はレーティアが廃棄して封印したわ」
「どこに?」
「惑星ベルリンの某所よ。これ以上は教えられないわ」
「駄目だっ! 惑星ベルリンは恒星ソールに近すぎる!!
完全な威力を発揮しない状態で爆発しても恒星が破壊されれば、
恒星ソールの重力場による恒星系が崩壊してしまう。
連鎖的に星域そのものの崩壊だってありえる」
「ま、まさか……」
「封印ってことはレーティアでさえ完全に処分できなかったんだろ?」
「そうよ。試作品で制御が安定してないって言っていたわ。
爆弾本体は2メートルほどの球体だけど、制御装置が大型だから運搬が難しいの。
大型艦は全て最終防衛ラインで戦ってるわ」
「Z計画で建造中だった超弩級戦艦ビスマルクは?」
「はあ~~、大日本帝国の諜報力を過小評価してたわ。
レーティアが倒れたから建造計画が中断したのよ。
兵装がまだ未完成なの。宇宙戦闘なんて不可能な巨大なオブジェクトね。
完成してたらマインシュタイン元帥も……いえ、意味のない話ね」
「戦闘ができなくても動くことさえできれば、
今から爆弾を運び出すことができる」
「ッ……そうね! すぐに軍需相に確認するわ」
「ベルリン星域の詳細な星域地図も持ってきて欲しい」
「わかったわ。軍事コンピュータのデータにアクセスできるよう取り計らうわ」
「お願いする。後は極秘作戦を任せられる信頼できて、口が堅くて、能力のある提督を――」
「貴方も無茶ばかり言うわね。そんな人物がホイホイいたら苦労しないわよ!」
…………
……………………
…………………………………………
「で、何とかなりそうなの?」
「超弩級戦艦ビスマルクは動くそうだ。サイズ的に制御装置ごと運ぶことができる。
燃料も備蓄を捻り出せばソールの恒星圏を抜けるくらいはある。
できれば恒星圏を取り巻く雲の中でワープゲートエリアを避けた場所を――ここだ」
「そこって……無人惑星アウシュビッチじゃない」
「そう。第一次大戦で強制収容所があったところだね」
「知ってるわよ。惑星全土を覆う恐ろしい毒ガス兵器が使われて虐殺が起こった場所よ。
戦後に各国が交戦協定を結ぶキッカケになった悲惨な出来事の一つね」
「前大戦で無差別核兵器攻撃が行われたチェルノブと並んで、
欧州で知らぬものはいない惑星だけど今となっては誰も近づかない場所だ」
「確かに封印した爆弾を廃棄するには絶好の場所ね」
「極秘任務をお願いできそうな人は見つかった?」
「オットー少佐……いえ、中佐に昇進してたわね。オットー中佐を呼んだわ」
日本の明石大佐、ソビエトのビッグ・ゾルゲと並ぶドクツの切り札。
ヨーロッパでもっとも(巨乳好きで)危険な男と呼ばれた人物……
あの猫平長官が何故か高く評価してたな。ドクツに行くならと“お土産”まで預かっている。
彼になら星域破壊爆弾を預けても大丈夫だろう……。
ドクツの命運が定まってから和室で刀身を見つけながら考えていた。
何も知らなかったことにしてベルリン星域の消滅を見逃してもいいのだろうかと――
エロ主としての伏見空ならデーニッツに協力して、
レーティアとゲッベルスを助けてエロエロできれば十分だ。
モブキャラが何十、何百、何千万、億単位と死のうが一切関係ない。
だけど僕の中にある、もう一人の伏見空の記憶が囁く。
彼にとってはドクツは海軍大学時代の思い出が残る第二の故郷だ。
揶揄われたりと不快な出来事があったとしても、
人生で初めて尊敬できる友人と出会い多くを学んだ青春の場所だ。
伏見空はロンメル先輩に出会わなければ、
率先して最前線に立ち、部下と苦楽を共にすることを厭わない人間にはならなかったと思う。
例え能力はあっても、たぶん頭でっかちで、
平良英知のような自分勝手な理想を他人に押し付ける人間になってたかもしれない。
それにレーティアのこともある。自分が生み出した兵器で故郷の星域が消滅した。
アレはワープゲートが一時的に使えなくなっただけというレベルではなかったはずだ。
その大きな罪の重さを一人で背負う彼女の気持ちを量ることなんて僕にはできない。
原作ゲームでは確か田中少将と何度かデートした後に何故か再起していた。
恥ずかしながらイベントうろ覚えで破廉恥サイコパス長官が絡んでいたかさえ覚えてない。
ただ原作ゲーム主人公ほどの“不思議な魅力”というのが、
どうにもエロ主の僕には備わっていないように思える。
仕事では割と親密なラスシャラ少将とエロエロできていないのが根拠だ。
東郷毅だったら声をかけて→タッチして→メロメロにして、
もうセックスの段階までに持ち込んでるだろう……。
なので傷ついたレーティアを癒したのが東郷の不思議な魅力だとしたら
……僕には太刀打ちできない。
狙っていたレーティアがNTRれるのを指をくわえて見るなんて我慢ができない。
レーティアを攻略できなかったら大帝国の世界に転生してきた意味がないだろ!!
全てはエロのため、Ero for Allの精神だ。
レーティアちゃんとエロエロするという崇高な目的のために、
命の危険を冒して惑星ベルリンまでやってきて欧州星海域に残ってるのだ。
ベルリン星域が消滅しなければソビエトとエイリスが欧州でぶつかるのだ。
英ソがぶつかってこそ停戦交渉が実を結ぶ可能性が出てくる。
原作ゲームにはない和平ENDだってありうるかも知れない。
原作改変してエロエロと余生を送る大きなチャンスだ!!
幕間を中心に更新して欲しいというエロ需要だって(一部)ある。
エロのために命をかけて真剣に生きる。それが僕のエロ主としての生き様だ。
「伏見、どうしたのさっきから黙ってるけど?」
「……ごめん。少し状況を整理してた」
「そう。負担をかけるわね。
レーティアがいない今、私は貴方に頼るしかないの」
そう。ゲッベルス宣伝相だってメチャメチャ好みのタイプだ。
アイドル事務所に勤める妄想好きの事務員さんとか、
スタミナドリンクを渡してくれるアシスタントに感じる魅力に近い。
「エイリスとの講和条件は?」
「第三帝国は無条件降伏に近くなるだろうね。
エイリスには戦時国際法に乗っ取ったベルリン占拠をお願いする。
もしソビエトが先にベルリンを占拠した場合は、
ソビエト軍が戦時国際法を守るかの監視と星域住民の保護」
「そうね。焦点はレーティアの取り扱いかしら?」
「本人の身柄もそうだけど……アドルフの遺産が外交カードだろうね」
「唯一の見せ札をブラフでチラつかせるわけね……厳しい勝負ね」
「その辺は大日本帝国側の外交カードが何枚かあるしフォローはするよ。
少なくともレーティアの身柄をエイリスに引き渡すなんてことは絶対にさせない」
「レーティアさえ助かるなら、私は身代わりにでも何にでもなるわ」
「大丈夫、ゲッベルス宣伝相も日本に連れて帰る。
一人で戻ったらレーティア総統に合わせる顔がないよ」
ついでに何とかエイリスの女性陣との間に旗を立てときたいけど……欲張りすぎかな?
「宣伝相……失礼します。オットー親衛隊中佐、参上しましたッ!!」
打ち合わせをしているとオットー中佐が総統室に訪れる。
初めて会うが外見はモブの男性ドイツ軍人と大差ない。
身に纏う雰囲気からは危険な臭いは感じない。謎な男だ。
「よく来てくれたわね。オットー中佐、貴方に極秘任務を与えます」
「ハッ! 極秘任務ですか?」
「そうよ。貴方には超弩級戦艦ビスマルクでアドルフの遺産と呼ばれる兵器を
極秘裏にアウシュビッチまで運搬し、兵器の隠ぺい工作をしてもらうわ」
「ハッ! 任務の内容については問題ありませんが――」
「何かあるの?」
「私は私設親衛隊所属の人間です。親衛隊は軍から独立した組織。
隊長が戦死した今、私に命令できるのはアドルフ総統ただ一人です」
「何を言ってるのよっ! 私は総統代理よ! 今は第三帝国の危機なのよ!!」
私設親衛隊は民間人ファンクラブから生まれた組織で正規軍とは指揮系統が違う。
オットー中佐も口が堅いと信頼されるだけあって頑固な男の様だ。
「はじめまして、オットー中佐。大日本帝国の軍令総長、伏見空だ」
「ハッ! 親衛隊中佐オットーであります」
「アドルフ総統は総統代理が日本に亡命させた。
今はデーニッツ提督と共に日本に向かっている最中だ。
法的な権限はないが、曲げてお願いしたい。
それにオットー中佐のことは猫平宰相から聞いてる」
「オトマロ代表から?」
猫平内務長官を代表と呼ぶということは同好の士の一人なのだろう。
猫平長官の趣味の幅は広すぎるから何の繋がりかは知らないが――。
「ああ、お土産も預かっている」
そう言って預かっていた“お土産”を手渡す。
オットー中佐は急いで中身を確認する。チラッとパッケージが見えた。
「こ、これは……」
目を見開くオットー中佐、瞳には巨乳の“キッズアイドル”の裸体が映っている。
僕とゲッベルスの冷ややかな視線に気づき慌ててお土産を隠す。
「ハッ! 極秘任務は必ずや成功させてみせます!!」
そう言って見事なドクツ式敬礼を行い立ち去って行った。
「オットー中佐、噂通りの危険な男ね」
ゲッベルスがため息を吐きながら呟く。
大日本帝国に比べて欧米はペドフィリアに対する扱いが厳しい。
YESロリータNOタッチなどというキャッチフレーズは通用しない。
ロリコンは医学的疾患(性嗜好障害)者として扱われているのだ。
巨乳好きはあくまでも擬態。本質はロリ巨乳のアンバランスさを好む変態。
ヨーロッパでもっとも危険な(趣味を持つ)男と呼ばれるのも当然だろう。
「ま、性嗜好は置いといて、能力的には信頼に足る人物だ。
大丈夫だろう……たぶん。とりあえず方針は全て定まった」
「後は第三帝国の国民にレーティアの亡命とエイリスに対する無条件降伏を伝えるだけね」
「そうだね。そちらは宣伝相の手腕に期待する」
「任せて頂戴♪」
ゲッペルスがパッチと指を鳴らすと総統室の景色が見る見ると変わっていく。
――偶像は嫁で 課金は愛――幾たびのフェスを越えて不敗――
変貌を遂げた空間に現れたのはダンススタジオ……
いやレコーディング室も併設されているレッスン施設だ。
――ボイスがあろうが、なかろうが――担当アイドルこそがシンデレラ――
ゲッベルスがドイツ語を呪文のように唱えていく――まさか、これは――
――故に、公式や非公式に差異はなく――アイドルには皆の夢が詰まっている。
「これが敏腕Pである私の固有結界。
無限の鍛練―アンリミテッドスタンザム―よ。
閉じ込められたアイドルはプロデューサーが許可するまで、
この平行世界から抜け出すことはできないわ」
「ま、マジかよ……」
この不思議宇宙世界の変態的な常識や不可解な物理法則には慣れて来たつもりだったが――。
「安心して頂戴。この空間はレッスンに最適な環境が揃ってるわ。
外界での1日が、この部屋の中では1年に相当する。
貴方を短期間で最高のアイドルにしてみせるわ!!」
いわゆる精神と時の部屋じゃん!?
どうりで多忙なレーティアがレッスンの時間を確保できるわけだ。
レッスン後に精神的レイプ目になって消耗してたのも理解できた。
目の前には悪魔に魂を売ってでも勝たねばならぬ戦いに挑むプロデューサーが、
天使の様な笑顔を魅せている。
鬼! 悪魔! ゲッベルス!!
後書き
シリアスパートとはいったい……我々は課金による戦争の悲惨さを後世に伝える義務がある。
前話のケッテンクラートと今話のヴィルベルヴィントは、
原作ゲームにも登場するドクツの汎用提督です。
女性で名前ありのキャラは基本的に原作ゲームに顔グラがあります。
男性は猫平は原作に登場するが名前だけ、
陸軍の今村大将と、外務次官の杉原うめはオリジナルです。
二人とも大日本帝国随一の常識人で人格者という設定です。
m9( ・ω・) 年末最後の更新はは再びコンサート!
新年ライブのノリで書きます。
注意:原作ゲーム「大帝国」はアイドル育成シミュレーションではありません。
恒星は太陽の様にみずから光を放っている高温のガス球。
恒星の超重力が影響を及ぼす範囲が恒星圏や恒星系です。
ベルリン星域の恒星ソールは北欧神話の太陽神ソールから名前を引っ張ってきています。
惑星日本にある恒星は天照(アマテラス)です。
地球や太陽と言った用語が存在しない別の宇宙世界という設定です。
当然ですが各星域内には本星と言われる代表的な有人惑星以外にも、
有人・無人の惑星、衛星がいくつもあります。恒星も星域に一つとは限りません。
ページ上へ戻る