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エロゲー世界に神様転生って勝ち組じゃないのか?

作者:笠福京世
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第22話 先手必勝ドクトリン ターン23

 
前書き
分量多めの解説回です。 

 

――――軍令部総長室――――

山本大将の第二艦隊は首都防衛の任務に復帰。
持病もあるし日本でどっしりと構えて貰った方が良いだろう。
古賀軍医に看護婦プレイをお願いしたいんだけどキッカケがないんだよねー。
正規艦隊の提督とは小澤中将と福原少将を除いてイマイチ交流が少ない。
第二艦隊とは共同戦線も多いんだけどね。困ったもんだ。

そろそろ記憶を取り戻して統一宇宙歴的には二年は経過してるんだけど……
エロいことができていない女性キャラが多いなと思ってる。
まあメタいこと言うけど幕間に書かれてないだけでエロい生活はそれなりにしてるよ。

そうそう。年月の経過で補足すると“宇宙船の中”と”惑星”では時間の感じ方(速さ)が違う。
SF作品なんかで「ウラシマ効果」という言葉を聞いたことがある人もいると思う。

アインシュタインの相対性理論によって予見された現象で、
たとえば光速度の99.5パーセントで進む宇宙船内の時計は静止系の約1/10の速さで進むため、
宇宙旅行から帰ってくると地球上では約10倍の時間が流れている……と言った話だ。
ローレンツ因子の計算だとか小難しい話は置いておこう。

つまり日本海軍を始め大帝国の各国提督の年齢がやけに若い理由の一つがコレだ。

亜光速で移動する宇宙船に乗る船乗りたちは、
惑星上で流れる時間を生きる人たちに比べて老いるのが遅いのだ。

(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! (`・д´・ ;)

宇宙大怪獣や宇宙動物、宇宙海産物からエロいハニワまで存在する
この不思議宇宙世界において年齢というやつは、現実のそれと比べて極めていい加減なものなのだ。
例えば1年の365日だって地球が太陽の周りをまわる公転周期から割り出されている。
惑星が恒星の周りをまわる公転周期なんて星域によって当然違う。
各惑星で公転周期も自転周期も違う。1日の長さだって24時間じゃない。
1日が9時間、10時間の惑星もあれば、1日が50時間を超える惑星だって存在する。

しかし、この世界では量子情報理論のような何かが発展していて、
ワープゲートによる星域間マップで結ばれた世界は情報の同期化に成功している。

ワープゲートによる移動という例外を除いて
宇宙船は光の速度を超えることはできないが、情報は光速を超えてやり取りができる。
統一宇宙歴というのは、そういう状態で使われている世界共通の暦だと思って欲しい。

「年齢なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのですよ」

あくまで年上とか年下とかちょっとしたことを表現する際の計りに過ぎないのです。
実際に原作ゲーム中でもキャラクターたちの年齢に細かく触れることが殆どないのはこの為だ。
地球という狭い惑星の内で日常を送っていると、壮大な宇宙での感覚が理解できなくなる。

つまり読者の皆様には上記の設定を
「登場人物は18歳以上」という魔法の言葉の代わりとして理解して頂ければ幸いである。

いいね?

つまり…どういうことだってばよ?

ソビエトにある40年定年制とかも40年と35カ月みたいな「永遠の17歳教」ルールで大丈夫です。

「伏見空、23歳(と23ターン)、総長です」

「セーラ・ブリテン、19歳(と23ターン)、女王です」

「レーティア・アドルフ、XX歳(統一宇宙歴では18歳以上)、アイドルです」

(*゚ロ゚)ハッ!! 原作ゲームで色んなキャラの年齢がプロフィールでも伏せてあるのはその為か!?

(*ノ・ω・)ノオオオオォォォォ つまりカテーリンちゃんやミーリャとアレとかコレとかOKなの?

(屮゜Д゜)屮 イエーイ つまり統一宇宙歴で数年経ってもセーラちゃんやマリーちゃんは10代のまま??

щ(゜ロ゜щ) 絶望した!! 成長した真希ちゃんを狙う気がないエロ主に絶望した!!

…………

……………………

…………………………………………

さてっと、落ち着いたところで情報部のレポートを読む。

ガメリカ戦線も気になるが、
エイリスを相手にする印度洋艦隊としては欧州情勢の動向には細かに気を配る。

「なになに。モスクワの弾薬工場が火災で焼けたが、
 燃え跡には大量の弾薬が引火せず残っていた。
 厳重な火災対策がなされていたのか、只の不良品だったのかは不明。

 なにこれ……共有主義ジョークか?」

知らない人に説明すると共有主義ってのはアレだ。タヌキじゃない方ね。赤いヤツ。
ロシアン王国で生まれた「お前のモノは俺のモノ、俺のモノも俺のモノ」という
ジャイアニズムという思想に反発して生まれたと言われている。
個人資産を認めず、全て共有するよう管理すれば争いは起こらないという考え方だ。

当然ながらアイドルグッズなどの個人所有は認められない訳で、
ドクツやイタリンのファンシズムとは極めて相性が悪い。

僕は原作知識として首席のカテーリンが少女であることを知ってるけど、
ソビエトは秘密警察の力が強く、極寒の地の情報はベールに包まれている。
破壊工作を得意とするスーパースパイ“ビッグ・ゾルゲ”もいるため、
潜入工作など無理はしないように言っており、防諜の強化に務めている。

「伏見総長、ラスシャラ少将から、
 元ゲリラ軍のボルオネが発掘して入渠した
 守護神艦チャンドラーの旗艦申請が届いてます」

旧海軍では正規艦隊は全て旗艦が固定されていたが、
東郷長官によって総旗艦の長門以外の固定旗艦は存在しなくなった。

これは軍令部総長、伏見空が提唱する
日本海軍の新ドクトリン“ファーストルック・ファーストキル”の運用の為だ。

HOIシリーズのプレイヤー以外には馴染みの薄いドクトリン(戦闘教義と訳す)だが、
史実の旧日本軍には大艦巨砲主義や航空主兵論といったものはあっても
体系化されたドクトリン(教義)は存在しなかった。

ぶっちゃけ極論だけど戦艦が好きとか、空母が好きとか、侍の子孫なら白兵戦だよとか、
そういう趣味趣向を、小難しく主義とか論という言葉にまとめて好き勝手に語ってるだけだと思ってくれていい。
きちんと体系化されていない思想というのは、合理的な議論を行い検証することが難しい。

「それじゃあドクトリン(戦闘教義)は違うのか?」と問われると、
各国が戦争にどうやって勝つかという夢想(地政学的な制限下で追い求める浪漫)を、
体系化して、軍隊の基本理念、柱となる戦いの方針、守るべき原則にまで高めたものだ。

同じ戦場、同じ状況下でも軍によって戦い方が様々なのは追い求める浪漫が違うからだ。
この戦闘ドクトリンの違いは大帝国世界の宇宙戦闘でも色濃く現れている。

例えばドクツ第三帝国の有名なドクトリンは“電撃戦(ブリッツクリーク)”だ。
これは第一次世界大戦における宇宙船などの技術革新の成果により、
宇宙戦争の戦闘範囲がワープゲートの出入り口(いわゆる戦域)に固定されたことによる。
オフランス王国の国境要塞マジノラインや中帝国の宇宙コロニーなどは、
戦域が固定されることによって考案された防衛戦・持久戦有利の軍事理論の産物である。

敗戦国であるドクツは、ヴェルサイユ条約によって軍備が制約されることになった。
それにより量的制約を補い、質的改善を進めるためには機動力が何より重要であると考えた。
レーティアの潜水艦によるマジノラインの突破が印象的だが、
ドクツの電撃戦ドクトリンは、迅速な攻勢によって勝利するという軍事教義である。

ロンメル駆逐戦艦や電撃巡洋艦は他国の同世代艦に比べて索敵性能に優れている。
兵器開発にしても各国のドクトリンの影響を感じることができるだろう。

ではドクトリンがなく主義や論でやってきた日本軍の兵器開発は……
それぞれの部署で「ぼくのかんがえたさいきょうの〇〇」を一貫性もなく作っていた。

重視するのもカタログスペック(主砲は大きい方が良い、威力は高い方がいい)のみなので、
満州会戦時に脱出ポッドや避難艇で不備が起こるのは当然といえる。
陸海統合改革の前は、同じ口径でも規格が違うので互換性がないということも多々あった。
調べたら海軍はガメリカ・エイリス規格、陸軍はオフランス・ドクツ規格を採用していた。

まあソビエト何かは「兵士は畑で取れる」という考えがあるのでドクトリンは人命軽視だ。
他国に比べてミサイルや鉄鋼弾による攻撃を主軸としているのは、
航空機やレーザーで先に攻撃されて死人が出ても、
耐えて大打撃を与えれば良いという発想から生まれている。

「航空のガメリカ」と呼ばれるガメリカ共和国が、
大量の資源を必要とする正規空母をいち早く実践配備したのも歴史的な経緯がある。
物資の集中による物量で敵を圧倒すると考えが、ガメリカのドクトリンにあるからだ。

大戦後は各国の軍縮を望んでいたエイリス帝国でバリア戦艦がいち早く実践配備されたのも、
エイリスが第一次大戦の防衛戦・持久戦有利のドクトリンを引きずっていることが大きい。
そして貴族軍人たちが何より自らの命を守ろうとしたからだ。
エイリスの兵器開発は「まだ暗黒面には堕ちてないけど」迷走してる部分もあって不沈空母とかを作っている。

宇宙パンジャンドラム兵器とか宇宙シング火炎放射器とか
変形合体機能を備えた宇宙戦艦ブラックバーンとか変態紳士的な兵器が無いのは残念だと思う。
きっとALICESOFTの大帝国開発スタッフには紅茶かマーマイトが足りなかったのだろう。アカネチャンカワイイ!

原作ゲームには紅茶をキメたエイリス人キャラがいないのが悲しい。

さてドクトリンの説明が長くなってしまったが、
伏見の提唱する“ファーストルック・ファーストキル”というのは、
以前にロンメルが言ったように
「索敵を強化し、先に敵を発見し、敵より早く攻撃を叩きこめば戦争には勝てる」というものだが、
このドクトリンを採用した日本海軍にも、それなりの事情がある。

まずは資源不足による消耗戦の回避である。できるだけ先手で敵艦を沈めて損害を減らす。
ガメリカくらいの物量があれば、ハワイのガメリカ太平洋艦隊が全滅しても戦争は継続できる。
しかし日本海軍の印度洋艦隊、太平洋艦隊が大規模侵攻作戦に失敗し、
連合艦隊に大損害を与えられたら国力による差を覆すことはできず実質敗戦(GEME OVER)となる。

次に資源・技術力不足による造船・開発スピードの遅さを補う工夫である。
今までは各艦隊の下の旗艦や戦隊は殆ど固定であった。
しかし東郷と伏見は作戦毎に艦隊に所属する戦隊を入れ替えている。

作戦に応じて各戦艦、巡洋艦、駆逐艦、補助艦、防衛艦を自在に配備できるのが、
新たな日本海軍の強みだ。その為に旗艦という発想が希薄になっている。
ただし旗艦申請を行うことなどにより、艦隊を代表する旗艦が与えられることもある。

守護神艦チャンドラーは黄金の船大大大とは違って廃艦しても資源にならない。
マレーの虎出身の軍人が多い遊撃艦隊の記念艦として旗艦とするのは問題はないだろう。

太平洋艦隊では、東郷長官によるハワイ制圧作戦(真珠湾計画)の準備が進んでいる。
ハワイ制圧作戦には第三艦隊を除く全ての正規艦隊が参戦する予定だ。
満州会戦を超える史上最大規模の軍事作戦となる。鍵を握るのは防空艦とバリア艦だ。

防衛艦は先手必勝のドクトリンに反するのではという人がいるかもしれない。
しかし「資源不足の状況で戦争に勝利するために損害を抑える」という
発想からドクトリンが採用された経緯を理解すれば……。

資源不足で空母が大量配備が無理だから、防衛艦で損害を抑えて敵を撃破というのは理に適っている。
諜報力を強化し、偵察結果から作戦を立案し綿密な事前シミュレーションを行う。
旧例に囚われない自由な艦隊編成など机上の空論を現実化するための柔軟な組織編制の構築が、
陸海統合軍制改革の本質かもしれない。

これにより事前に計画を立案し準備していれば、
印度洋の第三艦隊でエイリス相手に戦っていたミサイル艦や巡洋艦が、
翌月には太平洋艦隊に配属されてるガメリカに侵攻するということが可能になった。

「伏見総長、インドカレーからエイリス帝国の艦隊が侵攻中準備とのこと」

「わかった。第三艦隊と海兵艦隊で撃退する。
 遠藤中佐は念のためにマニラ2000に後詰を要請」

「はいっ。わかりました」

…………

……………………

「っ! 伏見総長、マニラ2000より緊急連絡です。
 マニラ2000に北欧から逃れて来たアルビルダ海賊団が出没」

しまった。忘れてた。アルビルダ海賊団の出没はこのタイミングかっ!!

「海軍司令部からの連絡は?」

「東郷長官が太平洋艦隊を率いて
 災害対策、防衛計画に基づき対応するそうです。
 後詰も非正規艦隊から二個艦隊を送るとあります。
 
 ――ハワイ制圧作戦の編成は遅れるが、事前演習だと思えば悪くないとのことです」

「了解した。山下中将にも連絡を入れて下さい。
 さて、アルビルダ海賊団に正規艦隊を動かすということは第八艦隊のお披露目かな」 
 

 
後書き
今後年齢に関する問題は強引な設定によりご都合主義的に全て解決されます。
ドクトリンについては、いい加減な解説なので史実とミックスしないで下さい。
この作品の軍事知識や用語はあくまで史実のパロディです。
パロディだと理解した上でのツッコミや指摘は歓迎します。

人気投票3位のアルビルダが登場する前に
幕間の続き(感想戦)とドクツ側のイベントフェイズを進めるつもり。

利古里ちゃんの次の幕間相手も悩んでます。順当に福原いずみちゃんか……
☆☆の小澤祀梨ちゃん、平賀博士が有力。次点が帝ちゃん、デーニッツ、古賀ひとみ。
穴狙いなら、ラスシャラ、有馬兎子、栗田アスパラかな?
物語も進んで手出しできそうな女性キャラ増えてるのに幕間が追いついてない感じだ。 
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