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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第653話】

 
前書き
久な更新 

 
 昼食も摂り終え、一人ぶらりと学園屋上へとやって来た俺。

 寒空の下、小さく身震いしながら正門方面へと視線を向ける。

 と、未だに各国マスコミが正門前で立ち往生しているのが見える。

 上空も学園島の領空ギリギリの範囲でヘリが旋回しているのが見えた。


「許可が無きゃ入れないうえに領空侵せば国際問題になる。 それでも成樹の映像が欲しいからギリギリまで狙ってるって事か。 ……昼のニュースも成樹一色だったし」


 食堂内にある投影モニターでニュースが逐一流れていたが、一夏の事はほとんど取り上げられず、成樹の事ばかり。

 各コメンテーターも日本から出た三人目の操縦者という事で様々な見解を示していたる。

 だけど、正直コメンテーターが見解を示しても意味はない気がする、あくまでも俺個人の意見だが。

 屋上から海を眺めると、何時ものように遊覧船がIS学園の周りを航行し、カモメが鳴き、空を泳ぐように飛んでいる。

 肌寒い風が体温を奪っていく――小さく身震いした俺は屋上を後にした。

 学園内は何処もかしこも暖房がつけられていて、過ごしやすくなっている。

 階段を降りた先にある投影ディスプレイ型掲示板には部活動の事、生徒会からの注意事項等様々な内容が掲示されている。

 無論成樹の事も早速掲示されていた。


『三人目の男子操縦者笹川成樹。 後日新聞部が彼を丸裸にするので抜け駆け禁止です!by黛薫子』


 ――新聞部の掲示だったことに脱力感に再なわれる俺、何にしても暫くは成樹も大変だろうなと思った。

 場所は変わって食堂、何時ものように賑わっているのだが今日だけはその賑やかさは凄まじかった。


「笹川くん! 喫茶店で働いてたってほんと!?」

「喫茶店で働く笹川くん見てみたいよー!」


 怒濤の質問攻めにたじたじになる成樹、昼食のランチもほとんど手付かずになっていた。


「き、喫茶店はレゾナンス近くにあるから、来てくれるなら母さんも喜ぶと思うよ」

「やん、お母様に挨拶に行くねっ」

「はは……」


 苦笑を溢す成樹、食堂にヒルトはいない為助けを求めることも出来ない。


「笹川君、彼女いないって聞いたけど立候補していい?」

「ちょ!? 何抜け駆けしてんのよ!? あ、あたしもフリーだからいつでもデート出来るからね?」

「あんただって抜け駆けじゃん!」


 女三人寄ればかしましいというが、成樹はこの状況に少し参っていた。

 ヒルトも毎日こんな感じだったのだろうか――信二君や拓斗君ならこの状況喜ぶのだろうか。

 そんな風に考えながら、未だ残るランチに手をつけつつ、質問にも可能な限りで答える成樹だった。

「あいつも大変だなぁ……。 やっぱ女子って男子に免疫ないからウーパールーパーみたいに扱うんだろうなぁ」


 群がる集団を眺める一夏は相も変わらず、同席していた箒は黙々と魚の煮付けを箸で切り分けて食べていた。


「お? 箒、その煮付け美味そうだな……」

「ん? 確かに美味しいが……それがどうしたのだ」

「あぁ、せっかくだから一口くれないか?」


 一夏の悪い癖、人の食事が美味しそうに見えると必ず一口という。

 一夏への想いが曖昧になりつつある箒はすまなそうに眉根を下げる。


「あ、いや……。 私が口をつけたから、すまない……」

「ん? そんな事俺なら気にしないぜ? ほら、最近だって食べさせあいっこしてたじゃん」

「そ、それはそうなのだが……」


 妄信的に一夏を想っていて尚且つヒルトを敵だと思っていた時期の事だ。

 無論今はそんな想い等抱いていない、寧ろ気にかけてもらっていて反発していたのだ。

 穴があれば入りたいとさえ思ってしまう。

 悶々と考えている箒、一夏は箒なら良いだろうと軽い気持ちで箸で切り身を一口とる。

 箒が気付いた時には既に一夏の口内へと切り身は入り、咀嚼――満足そうな笑みを浮かべると箒に――。


「おぉ!? 今日の煮付けって美味いなぁ。 何か隠し味入れてるんだけど……」

「…………」


 返答を待たずに切り身を食べた一夏に、箒は呆れた顔を浮かべると箸を置き――。


「……一夏、そんなに美味しいのなら私のも食べればいい。 私はもう充分食べたからな」

「お? サンキューな箒! やっぱ持つべきものは幼なじみだな!」


 屈託のない笑顔を浮かべ、遠慮なく箒の昼食を食べる一夏を他所に席を離れる箒。


「んぐ? 箒、何処行くんだ?」

「……化粧室だ、馬鹿者」

「そっか。 じゃあまた後でな」


 箒の口から出たのは咄嗟の嘘だった。

 何となく一夏の側を離れたいと思った箒の嘘、だけど何処か心が少し軽くなった様な気がしたのは気のせいだろうか――。

 食堂を後にした箒、入り口付近にいる上級生を掻い潜り、抜け出る。

 昼からの授業は多分模擬戦込みの内容――改めて自身の実力を見直すきっかけになればと思い、廊下を歩いて曲がり角を曲がったその時だった。

 考え事をしながら歩いていた箒は曲がり角で誰かとぶつかってしまった――不意に体勢を崩して尻餅を打つ箒、ぶつかった相手はヒルトだった。


「わ、悪い箒。 怪我はないか?」

「だ、大丈夫だ。 此方こそすまない、考え事していて前方不注意だった……」


 箒は見上げる様にヒルトを見ると、其処には尻餅をついた箒に手を差し伸べるヒルトの姿があった。

 昔なら払い除けたその手を、躊躇なくとる――一夏とは違った男の手、一夏以外の男なんて嫌悪の対象にしか思わなかった。

 だけど――逆にそれが私自身の視野を狭めていたのかもと不意に思った。

 勢いよく立ち上がった箒、ヒルトは不意に言葉を漏らす。


「白か……」

「……ん?」


 白? 白とは一体なんの事だ?

 学園の壁面は確かに白い、床もそうだし学園は白を基調にしているので当たり前の事なのだが。

 そんな風に思っていると、ヒルトは頭を振り――。


「いや、何でもないさ」

「……?」


 ヒルトはバッチリと箒の下着を目撃した、無論ISスーツではなく白のショーツ。

 普段なら着たままの箒も今日は何故か授業後に一旦着替えていたのだ、女心は複雑で気分によって心も変わる。


「まああんまり考え事して歩くなよ」

「わ、わかっている! き、着替えもあるのでまた後でな、ヒルト!」


 照れ隠しか、ドシドシと足音鳴らして箒はその場を後にする――そして、ヒルトが不意に漏らした白の意味をISスーツに着替えるときに気付いたのは言うまでもない話だった。 
 

 
後書き
モンハンワールドが発売される中、買ってないおら

買えんことはないが……高いなとも思う。

最低賃金がいくら上がっても真ん中の層が上がらんかったら意味ないし

先進国なのに低賃金な日本がヤバい、そりゃ皆仮想通貨然りFX然りとやるわな

とりあえず更新遅れて申し訳ないっす 
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