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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第650話】

 
前書き
まだ成樹編どすぇ 

 
 一時間目の授業が終わる、今日の授業内容は四月に教わった基本的な事のお復習がメインだった。

 成樹の為にやったのだろう――だが、基本のお復習は何度やっても足りないという事はないので俺としては有難い事だった。

 今は休憩時間なのだが――。


「笹川くーん! 授業どうだった?」

「あ……えっと、ちょっとこの端末の使い方が解りづらかったかな」

「あー。 でも、それほど難しくないよ! 私達も戸惑ったけど直ぐに慣れたから!」

「そうそう! 授業の問いにも投影ディスプレイに書き込めば反映されるし、小テストも期末もこの端末で出来ちゃうから!」


 成樹の周りに集まる一組女子一同、わりとデジャブ感じていると隣の席のソフィーがちょんちょんっと俺の肩を指先でつついてくる。

 振り向くと、ソフィーが口を開いた。


「あはは♪ 何だか四月の時のヒルトの事、思い出しちゃうね。 実はあたしも興味があって、一組教室に見に来てたんだよ?」


 そう言ってスライドドアを指差したソフィー、上級生が少ない休み時間を利用して成樹を見に来ていたのだ。


「ん……気になるのはわからなくはないが、昼休みとか放課後でも良いだろうに」

「ふふっ、やっぱり気になっちゃうんだよ。 三人目の男子操縦者だもん」


 にこっと笑顔で胸の前で手を合わせたソフィー――と、その前のエミリアが振り向く。


「ぶー! 何かヒルトくんとソフィーって急に仲良くなってない?」


 膨れっ面のエミリアの指摘に、驚きつつ僅かに顔を赤くするソフィーは――。


「そ、そんなことないよ!? え、エミリアってばいきなり……も、もう!」


 否定し、ぱたぱたと手で顔を扇ぐソフィーをエミリアはジトーッと見つめた後、俺に振り向く。


「ヒルトくん! 仲良くするのはいいけど仲良くし過ぎるのはダメだからね!?」

「いや、どうしろと……」


 ぷりぷりと怒るエミリアに、俺は小さく頭を掻いてる――と。


「よぉ成樹。 俺は織斑一夏、前にも挨拶したかもしれないけど一応な」

「あ、うん。 織斑君だね、ニュースで拝見させてもらってるよ。 よろしくね、織斑君」


 にこっと笑顔で返した成樹に、一夏は――。


「つれないなぁ。 一夏で良いぜ?」

「あ、はは……。 も、もう少し君の事がわかってから呼ばせてもらうよ」


 そんな一夏とのやり取りの一方で、廊下では更に上級生達が集まる――無論話題の三人目男子操縦者を一目見に来たからだった。


「あの子が笹川成樹君!! わぁ……スッゴくイケメン!!」

「だよねだよね! しかも長身だし――あ、笑った顔も良いッ!!」

「あぁ……もう我慢できない! 写メ撮ろ!!」

「日本バンザーイ!! お母さん! 今年の母の日結局河原の花あげちゃったけど来年はちゃんと良い花あげるね!!」


 最後だけ母親が不憫である。

 ざわつきも凄まじく、喧騒の絶えない一組教室に騒がしい女子生徒。

 成樹は早速学園の洗礼を受けるのだった。

 場所は変わりIS学園正門前、各国から集まったマスコミ達はというと……。


「ちょっとちょっと! 何で笹川成樹君が来ないのよ!」

「そうだそうだ! 今日転入の筈だろ!?」


 正門前で警備室受付に居た有坂陽人に詰め寄るマスメディア達、だが警備室は学園内の為中に入ることは叶わない。


「あー、笹川成樹君に関しては既に学園に転入済みであり、現在授業も受けてるとのこと――」

「はぁあっ!? 何でもう学園に居るのよ!? これじゃあ夕方の特集に間に合わないじゃない!? 警備員でしょ、入校許可証発行しなさいよ!!」


 むちゃくちゃな言い分、これも女尊男卑だからだろう――強気に出れるのが今の女性特権だ。

 だが有坂陽人はというと――。


「あー、最近この学園は亡国機業やら何やらで外部からの人間を入れるには前以て予定をいれなければならないので――」


 事務的に説明する有坂陽人の隣ではいぬきちが興味深そうにやり取りを見ていた。


「わふっ、わんっ。 わわん!(お肉欲しいわん。 言い争い終わったらお肉わん!)」


 二時間目、休憩時間の喧騒も今はなく、静かに授業が行われていた。


「えー、一学期のお復習ということで皆さんがお使いになることが多いラファール・リヴァイヴの解説です! 私やデュノアさんは専用機としてそのカスタムを使わせてもらっているのですが――笹川君、ラファール・リヴァイヴの解説お願い出来ますか?」

「え? は、はい。 ……えと、第二世代型IS【ラファール・リヴァイヴ】 機体スペックは第二世代後期の機体ですが、その後直に各国が第三世代開発に伴って初期型第三世代機――例に出すとすればイギリス開発のブルー・ティアーズとほぼ同等の性能を持っています。 流石にドイツのシュヴァルツェア・レーゲンや他国の第三世代型に比べれば落ちるものの、訓練機及び量産型として安定した性能と各競技に対応可能な汎用性、そして試合に関して多種多様な後付け武装が可能な機体です。 近接、近距離、中距離、遠距離とまんべんなく装備出来るものの此処等辺りは各操縦者の好みでセッティングは変わりますが尖ったセッティングから器用貧乏なセッティングまで出来るのは他の機体にはない汎用性です」


 各ディスプレイに映し出されるラファール・リヴァイヴの機体スペック、それらを見ながらも女子生徒は成樹の説明に聞き入るように耳を傾ける。


「現在IS加盟国は三〇を超えていますが、その内十五ヵ国――半数で採用されている機体です。 二位である日本の打鉄は約十八ヵ国。 そして量産されてはいますが、専ら各国の精鋭部隊に優先的に配備されている【リスペルン・ガイスト】に至ってはほぼ全ての国に最低一機存在しています。 話が逸れました、この様に各国が正式に配備され、キャノンボール・ファスト等では整備の簡易性及び操縦者の操作性からもこの機体が並ぶのも珍しくないのが現状といえる程の傑作機だといえます」


 一通り説明を終えた成樹、シェア第一位の【リスペルン・ガイスト】に関してのデータは詳細には載っていなかったものの知識としてそれだけ知っている事に女の子達は感心していた。


「笹川君、ありがとうございました。 皆さんにとって馴染み深いラファール・リヴァイヴは今現在も予備パーツが生産されていて学園の倉庫にもかなりあるのでそちらは機会があれば現物を見てもらうかもしれないので覚えておいてくださいね♪ あ、後三時間目から六時間目授業終了まで外でISを使った授業を行いますので暖かくしてグラウンドに出てきてください。 では、次は打鉄についての解説を――」


 二時間目の授業はラファール・リヴァイヴ及び打鉄の解説だけで授業が終わった。

 三時間目の授業の為に学園近くのアリーナ更衣室へと移動する、最初の頃は教室で着替えていた女子達も今はアリーナ更衣室を利用する。

 無論更衣室は手前側と奥側とあるが男は皆奥側である。


「じゃあまた後でね、笹川君♪」

「授業頑張ろうね♪」

「あ、う、うん」


 勢いに圧された成樹――と、一夏が成樹の手を取る。


「じゃあ奥側だから行こうぜ、成樹」

「え? それはいいけど……何で織斑君は僕の手を取ったんだい?」

「? 案内するからに決まってるだろ、変なやつだなぁ」


 困惑した表情の成樹とは裏腹に一夏は小さく首を傾げて頭に疑問符を浮かべていた。


「いや、一夏……手は握らなくていいだろ? てか男の手を握ったり過剰なスキンシップするからホモだって思われるんだよ」

「いや、ホモじゃねぇし。 失礼な奴だな、ヒルト。 まあいいや、それより早く着替えに行こうぜ!」

「ちょ、ちょっと!?」


 手を引かれ、駆け出す一夏に手を引かれて成樹も走らされた。

 成樹の貞操の危機を感じた俺はその後を直ぐに追った。

 奥側の更衣室、着替え始める俺達三人――と。


「やっぱ男同士っていいよな……」


 そんな一夏の言葉に、暖房が効いてる筈の更衣室で寒気を感じてしまった俺は――。


「や、やめてくれ一夏。 男同士がいい何て……」

「は? 男同士だから気を使わなくていいって意味だろ? 俺達二人しかいなかった所に成樹が来たんだ、気を使わなくていいって意味で男同士はいいなって」

「そ、そうだったんだ……」


 制服をロッカーに入れる俺は既に下にISスーツを着ていた。

 一方で一夏は相変わらず全裸になってからいちいちISスーツに着替えている。

 男の尻を見る趣味は無いため、俺は携帯を取り出すと何件か来ていたメールに目を遠し始める。


『お兄ちゃん、ちゃんと成樹君を守ってあげてね(笑)』

『お疲れ様ヒルトくん。 今日の生徒会業務は私一人でも大丈夫だから笹川君を手伝ってあげなさい』

『ヒルト、正門前はマスコミでいっぱいだぜ。 てかいぬきちって肉ばっか食べてるな! なのに身体小さい子犬ってのも可愛いが(笑)』


 返信は出来ないものの、一通り目を通してロッカーに入れる。

 ふと成樹を見るとその身には赤基調で白をあしらったISを着用していた。


「それが成樹のISスーツか?」

「そうだよ。 イングリッド社のストレートモデルを男性用に仕立てた物だよ。 ヒルトのは完全にカスタム何だよね?」

「ああ、アメリカのF.L.A.G.っていうナイト財団がカスタムした奴だったかな」

「ナイト財団って……確か色んな事業に手を出してた財団じゃなかったかな? 昔は総帥が私立探偵みたいな事してたって噂だけど……」

「俺も詳しくは知らないから。 まあ村雲及び弐式の開発費出資がナイト財団って事で、その見返りに俺の生体データの提供してるって訳だ、これがな」

「そうなんだね」


 一夏の着替えを待つ俺と成樹――と、着替えを終えた一夏が。


「やっぱこれ着るときって引っ掛かって着づらくないか? ヒルト、成樹?」


 何かいつも引っ掛かるだの何だのと言っている一夏だが、ISスーツは身体にぴったりフィットさせるためにそういう風に出来ている物だから仕方ないとしか思えない。

 現に女性はもろに身体のラインが出るため、ふくよかな女性がISスーツを着ると――これ以上は言わぬが花だろう


「それだったら最初から着とけばって前から言ってるだろ?」

「いや、トイレの時とかどうするんだよ……」

「は? ……ISの機能で付いてるだろ――てかこれ以上議論してたら遅れる。 行くぞ」


 半ば強引に話題を終わらせた俺、先頭にたって駆け足でグラウンドへと向かうのだった。 
 

 
後書き
機会があればリスペルン・ガイスト出すかも、原作シェア第一位の機体出てないし

 
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