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KANON 終わらない悪夢

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128敬天会も糸冬了


 地獄神前結婚式
 若教主様で祐一の初恋の女の子である、モノホンの沢渡真琴さんも、現人神様と結婚式をして嬉しいよりも、義理の姉の生霊とプレデターが怖すぎてガッタガタ震えていた。
(忌み子、いえ、お姉さま怖い…)
 インディ・ジョーンズのアークが開いたシーンみたいに、悪霊状態で祐一と自分の周囲を飛んで、夫で弟の耳の穴とか口から中に入ろうとして、キスで移動しないと入れないのを確認してから、背中にもガッツリ憑依して、肩とか頬の霊体に喰らいついている義理の姉。
 改めて妖狐とは悪鬼羅刹の化け物で、荒ぶる神なので、神社でも建立して祀らないと、ずっと祟られるのだと思い知らされる。
(((((怖ぇ~~)))))
 妻で夫の惨状を見て、佐祐理まで舞の怖すぎる姿に引いていた。

 プレデター美汐の方は霊的な力よりも、身動きが取れない真琴に、物理的に暗殺を仕掛けて来そうな恐怖に支配されていた。
 バスの中でも気配を消して、躊躇いなくマジ殺人用の術を掛けてきたし、月宮側の術者に守られていて尚、殺意をヒシヒシと感じていた。
(天野さんなら周りの術者とか瞬殺?)
 姿が見えないように、光学迷彩じゃなくて目を盗む方の術で、今も不可視モードになっている怖い娘。
 妖力なんか欠片ほどしか残っていない月宮側の術者と違い、神話や妖怪の時代が終わった、明治や大正の近代に入ってからでも妖狐を呼び出せた、特殊な人物の孫。
 昨日は舞お姉さまの鬼武者にに秒殺されたとは言え、鎧武者着込んで倉田本家に攻め込んで来る程の化け物。
 現在殺しに来ていないのは「ゆうくんにきらわれる」「このこ、しんじゃったら、ゆうくんがかなしむよね」と聞こえてくる心の声が、自分をぶっ殺しに来ない抑止力になっているのだと「故意に」伝わってくる。
「憂遇っ」
 月宮の者として、神代から伝わる神聖な語句を唱え、災厄から逃れようとした若教主で、祐一の初恋の女の子。

 教主とか猊下は霊的能力は余り無く、天啓とか予知だけだったので、舞の超絶怖い憑依霊は見えなかったが、介添をしている現月宮当主には少し見えたので、やはりガッタガタ震えていた。
(さすが妖狐様、これほどの大悪霊を二匹も飼いならしておいでとは、恐れ入りました)
 近くにいる花嫁で巫女、舞と美汐の生霊だとは思わず、まるで地獄からの使者が迎えに来ているのを、軽くあしらっているように見えた。
 猊下が神前で唱えている詔とかも、もちろん二匹の悪霊には一切通用しなかった。生霊が強力すぎるのも有るが、普通の神職にそんな霊能力はない。
(ゆういち~、ゆ~いち~~)
 舞の魔物として勤務した年数が10年を超える化け物で、術者の外に追い出され、野良で人間食って生きていた年数も多い、喜怒哀楽の4匹よりも強力な最強の魔物。
 天使の人形に精霊化されてからは、母親の命を繋ぐのに憑依したり、色々と法外なことをやらかして活かしていたのもあり、もう妖狐の家が結集しても舞の魔物は倒せない。
 栞に憑依していた魔物、8歳のまいちゃんなら「私達四天王の中でも最弱の存在」なので、倒せないこともないが、嫉妬の魔物と、恐怖(ヒキコモリニート)の魔物は強力なので、愛する人物が心中してやらないと死なない。
 美汐が真琴や祐一と心中して死なせた時のように、一緒に神域に戻ってくれる案内が居ないと鬼を地獄に返せない。

 魔物の討伐が、五体揃ったまま綺麗に行われることなど稀なので、鎧武者とか鬼武者になっているのは、妖狐やハーフが出した魔物を心中で死なせたのも結構いた。
 使い魔の見えない肉体と、その妖狐を呼び出したの術者の脳が組み合わさった、悲しい方の愛の結晶。
 または子供を産み終わった後で狂った、狂わされてしまったメスの妖狐が、変わり果てた姿にされた子供と自分の分体を繋ぎ、別の命へと昇華した生き物。
 その術や成れの果てが、現存する武者の数。

 そこで真琴の後方に待機していたザコちゃんに話しかけられた天使の人形。
(あ、旦那様、敬天会のトップまで潰し終わりました)
(やあ、仕事が速いね、どうなった?)
 今日は余り眠れなかったが、夕方なので起床時間で、もうすぐ夜の街にも出勤する天使の人形。
 カズヤのアニキと舞の魔物が休職中なので、敵対勢力の始末も自分でやるか、汚い仕事オッケーな紙の化け物も参加。
(はい、向こうも結婚式だったみたいで、孫娘の結婚式場でキャンドルサービスした後、ハスコラ爆弾で全員の顔潰しました)
 自分たちが何をしたか理解している年寄り連中はまだしも、ひ孫世代の子供まで失明。
 死にはしないが顔中穴だらけ、焼けたBB弾ぐらいの貫通力がない物が、溶けたまま顔と目に刺さって、表皮全部張り替えても消えない、除去も難しい火傷をする。
 呪いが掛かっているので、ほんの少しの感染症でも、顔全体が腐り落ちるが死なない、死ねない。
(そのまま返してやったのか、お疲れさん、今夜は可愛がってあげるよ)
(は~い、ありがとうございま~す)
 朝に新聞を取ってくるはずだった名雪や、美坂の家で栞か母が味わうはずだった苦痛をそのまま返し、お行儀よく席に座って食事していた子供まで被害に合わせた。
(右翼団体の総元締めか、分かりやすいなあ)
 敬天回トップだけが失明もせず、今日の花嫁の顔まで化け物状態、一族郎党の顔が潰れて失明して、泣き叫んでいる地獄絵図を見た。
 ご挨拶だけでは済まず、貸借関係や権利関係が有り、スピーチや乾杯まで仰せつかっていた大臣とか官僚も、顔面崩壊と失明の刑にあった。
(こりゃあ、今回も週明けには全面戦争かな?)
(あ、大丈夫ですよ。全員顔から腐って脳みそまで腐って狂い死ぬと言い渡してやったら、孫と曾孫だけは生かして欲しいって、土下座して泣いて頼まれましたんで、侵攻準備は止めさせて、死にたかったのか腹切って責任取るって言うんで、子供は視覚障害か弱視ぐらいで生かしてやる約束してきました。全員カオナシか錦織一清ですけど)
(じゃあ今回、軍事侵攻もなしか、ちょっと寂しいなあ)
 毎回、北海道の駐屯地や、本土からの爆撃を撃退して、山のような死体を積み上げる天使の人形。j隊が無理なら別の場所から侵攻させる。
(流石に富士の駐屯地の司令官に言い渡されて、警官と自衛官にも取り囲まれて、逮捕状と鉄砲突きつけられて、銃剣でグサグサ刺されて、ゲラゲラ笑われたら観念したみたいです)
 その意味は、いつでもクーデター起こして東京を火の海に変えて、赤坂とかお台場の放送局の所在地や、霞が関の官公庁で中卒高卒の迷彩服が走りまくって、局員射殺されまくり、生中継中にアナウンサーとかリベラルなプロデューサーが脳症飛び散らせて、報道の自由のために散華する瞬間が全国のお茶の間に放送される。
 国を売り渡した政党の者、政権与党の人物も次々に絞首台で吊るされて、チャウセスクみたいに人民の前でリンチされたり射殺されたり、国体が滅茶苦茶にされた上で、米軍と人民解放軍が介入して、国土が全て焦土になって、若い女は全員中国人かロシア人にレイプされて、食べ物を貰うためにも体を売って、右翼が大好きな日本人の純血などこの世から消えるという意味である。
(酷いなあ、司法と警察と自衛隊、全部押さえてあるのまで見せてやったの? 口封じした?)
(はい、「天*陛下バンザーイ」って言って、式場の窓から飛び降りました。代理は脳みそ食ったアタシがやってます)
(今回は翼人だか天人の末裔が、嫁で人質に送られてくる方か。もう東京は押さえたんだね、後は京都方面?)
 毎回、時間稼ぎや、本当に人質として、天神の末裔が嫁として送られてくると知っている天使の人形。
 落城する前に千姫のように救出されるのか、運命を共にするのか、ガラシャ様みたいに魔界転生するのか、それは本人に任せようと思った。
(向こうも多少硬かったですけど、脳みそまで支配されて、殺さなきゃいけない人物のリストに、大奥様だとかおひい様、やんどころのない人物が並びまくって観念しました)
(死体を積み上げる量が足りないかな? まあ日本人とロシア人、中国人と戦争させたほうが数は増えそうだね)
(はい、例のロシア娘三人も頑張ってますので、今晩か明日には、どこかの町が3つほど消えて、本気で殺しに来るでしょう)
 天孫降臨まで終わった以上、億単位の死体が必要になる。
 舞と舞の魔物は役目を果たし終えたので不要。少し時間は掛かるが、舞が托卵しまくった子供の方が使いやすい。
 もう少し佐祐理を改造させるか、他の娘も何人か化け物にしておく。
 佐祐理の場合、5体全てが精霊化されたり魔物化すると、表の世界からの支配でも人類を滅ぼそうとするので、もう少し後にする。
 お腹の中にいる一弥に、母体が支配されてしまえば仲間になるが、そちらも人類を滅ぼそうとして、妖狐とのハーフ以下の人類を消し、今後悲劇も喜劇も起こらない世界にしようとするので、それもあゆが復活するか目覚めてからの課題。
 案外秋子ちゃん牧場計画と同じ理論で、普通の原生人類が生き残ると、悲劇しか産まないと思っているので、一弥と秋子を引き合わせると意見が合うかもしれない。

 椿の間
 チョロインさんも入場する時、暗殺者より恐ろしい、夫の姉で今後義姉になる人物と、天野直系のクォーターという術者を見た。
 もう視線だけでぶっ殺されそうで、義姉の目を見たら石化される。
 守護闘神に乗せられた時も、舞に追いつかれるとぶん殴られて酷い目に合わされた。
 自分の体ではなかったが、魔物が肉体部分を修理するのに、ジジイババアの信者が何人か食われてあの世に行った。
 メッカに礼拝しに行くのと同じで、道中とか参拝中にあの世に行くと天国に行けると宣伝してあるので、ポックリ苦しまずに逝けて、天国にまで迎えられると聞いて羨ましがられた。
 別人格であるが、もっと怖そうな嫉妬の化身の舞お姉さまが、弟クンで自分の夫に喰らいついて憑依して、霊気とかガンガン吸っているのを見せられた。
「お、お姉さま、王子様をこれ以上責めないで」
 幸運値マイナスの子は、一番恐ろしい魔物に口答えして歯向かって逆らってしまった。
 もし生身の人間が憑依されると、祐一から死ねない呪いでも受けていない限り、普通はパンクして死ぬ。
 舞の母みたいに、一回死んでいて、娘に無理に生かされている存在でもなければ死ぬ。
(私に何か言ったか? ゴミ)
「ひいっ」
 月宮の術者全員、一瞬で石化寸前。影縫いとか不動金縛りの術でも食らって静止。
 天使の人形に近いぐらいの無詠唱での術行使、視線ぐらいは使った。
 また耳とか口から入ろうとするが、存在が巨大すぎて霊的質量が重量オーバーで、小娘には進入禁止だった。
 ケツから入るのは憚られ、前の穴から入ると子供と同化されて、この女の赤ちゃんになって産まれてしまう。
 そこで侵入口を探している間に、気付いてはならない事に気付いた舞の胴体の魔物。
(お前、この穴、祐一に吸わせたな? こんな汚い、カエルの小便以下の波紋、いや、小便を祐一に飲ませたな?)
「ひいいいっ!」
 もう死刑確定。舞お姉さまの命よりも大事な、弟で運命の少年で、心も体も魂までも呼び合う少年に、汚らしい汚水で小便を飲ませた娘。
 人間便器になって美少女?から飲尿直飲みするのは変態弟クンから、立ってのお願いだったのだが、もう嫁候補からも完全に除外、妹候補からも除外、佐祐理の妹からも除外、ここにチョロインさんの死刑が決定された。
(死fhrgsjはwづghghふぁlghl;rjhgsr;jhs)
 謎の呪文と言うか、月宮流でも天野流でも日本語ですらない呪詛を唱えて、存在自体を破壊して破滅させ始める舞の胴体。
 この子の幸運値が無いのは、この時空から開始されたのではないか? と思えるぐらいの呪いが叩き込まれた。
(姉さん、止めなよ、これ以上余計なことすると、姉さんの方をこの世から消すよ)
(えっ?)
 弟クンのことだけを考えて、姉として行動していたのに、その愛?が受け入れられず「余計なこと」とまで言われて愕然とする。
(天孫降臨は時期も来てたから許そう、鬼武者使って暴れるぐらい、余興だから許そう。でも、巫女の一人減らすと言うなら許さないよ)
 委員長の忠告を聞くまでもなく、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるで、変な能力に目覚めて思わぬブレイクスルーが見つかる可能性。
 舞と舞の魔物の能力のように、全て知り尽くして来て利用し尽くし、それでも壁を破れなかったのとは違い、新しい可能性を絶たれるのを拒んだ。
(そんなっ、私よりこんなブサイクで馬鹿で間抜けで無能な女がいいのっ?)
(僕は姉さんの、そんな無様で無能な所が大嫌いだ)
 その言葉は、舞の存在の根幹を揺るがせる。この世の拠り所の一つ、母よりも大切で、もしかすると佐祐理よりも大切な弟で運命の少年。
 その相手からの拒否は、この世に片足だけ置いている、舞の存在自体を拒否されたことになる。
(イヤアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!)
 舞は現在のイザナミでは無かったが、自分で切り開いた時空の裂け目を大きく裂いた。
 
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