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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第420話】

 
前書き
いきなり亡国機業編 

 
――高級マンションエレベーター前――


 いつもの様にカーマインがエレベーター前で待っている。

 静かな空間には、カーマインの靴の音だけが鳴っていた――またガキの悪戯かと、内心毒づき、イライラしながらエレベーターが降りてくるのを待っていた。


「あ、こんばんは。 カーマインさん」

「あぎゃ? ……確かお前は……」


 以前、エレベーター前で出会った女性、伊崎千夏が買い物袋を下げて笑顔で微笑んでいた。


「よぉ、今帰りなのか?」

「えぇ。 夕食――と言っても、もう時間も遅いですから夜食になっちゃいますけどね」


 眉根を下げ、買い物袋を見せると自然とカーマインの隣へと移動する。

 一瞬怪訝に思うカーマイン――だが、それも本当に一瞬だったので特に気にすることなくエレベーターを待つ。

 会話もなく、静寂のみが包むこの空間――と。


「あ、そうだ。 カーマインさんはちゃんとお食事とか摂ってますか?」

「あぎゃ? ……藪から棒にいきなり何だ?」

「あ、ごめんなさい。 もし、ちゃんとお食事摂れてなかったらご一緒にどうかなと思って……」


 はにかむような笑顔を見せる伊崎千夏――まだ会って二回目だというのに、男を簡単に上げる女なのかと思うが、表情を見る限りその様な感じは全くなく、ただ単に心配していってくれたのだろうと思った。


「あぎゃ、嬉しい申し出だが……まだ知り合って間もない男を自室に上げちゃ、夜食じゃなくあんたが食べられる側になるぜ……?」

「え? ……? ……!?」


 カーマインの言ってる意味が最初は理解できなかった彼女だが、徐々にそれがわかるとボシュッと顔を真っ赤に染め上げた――カーマインは思う、この女は処女だなと。


「あぎゃぎゃ、まあ厚意は有り難く頂くさ。 ――だが気を付けなよ、男は狼、特に部屋まで送る何ていう奴は送り狼の可能性高いからな」

「は、はぃ……」


 そうこうしている内にエレベーターがやってくるのでそれに乗り、最上階と伊崎千夏が降りる階のボタンを押し、エレベーターの扉を閉めると上昇していった。

 二人の間に会話はない――そして、伊崎千夏が降りる階に到着すると。


「か、カーマインさん、おやすみなさい……。 ま、また会えますか……?」

「あぎゃ? ……まあ会えなくは無いが、俺様は明日から少し日本を離れるからな」

「そ、そうですか……。 で、では……」


 少し寂しげな表情を見せる伊崎千夏――彼女の見送りを受けて、扉が閉まると最上階までエレベーター内で凭れたまま階数表示を眺めた――。

 スコール達の部屋へと入り、リビングへと足を運ぶカーマイン――。


「あぎゃ、オータムだけか……居るのは」

「……カーマインか。 な、なあカーマイン……」

「あぎゃ?」


 リビングにはオータムが一人居て、スコールの場所を訊く前にオータムが側までやって来る。

 熱っぽい視線を送ってくるオータムに、怪訝な表情を浮かべるカーマイン。


「そ、そんな顔するなよ……。 な、なぁカーマイン……ま、また……抱いてくれない……か?」

「あぎゃ?」


 何を思ったのか、オータムはカーマインに抱かれる事を望んでいた……だが、カーマイン自体はその気は無く――。


「……悪いが、前に抱いたのはてめえの罰で抱いただけだ。 俺様にだって気の乗らない日はある、出直しな……。 まあどちらにせよ、暫く日本に居ないから抱きようもねぇがな、あぎゃぎゃ」

「そ、そぅか……。 ……スコールならさっきまでエムの部屋に居て今は自室に居る」

「成る程。 ……オータム、サンキュー」


 カーマインのお礼の言葉に、ギョッとするオータム――罵倒されることはあったが、お礼を言われたのは初めての事であり、どぎまぎしてる間にカーマインはリビングから居なくなってしまった。

 軽くため息を吐くオータム――ソファーに座ると、飲み掛けの白ワインに口をつけてそれを一気に飲み干した。

 一方のカーマイン、スコールの部屋にノックも無しに入ると開口一番。


「スコール、悪いが俺様は明日から暫く日本を離れる。 ボスが俺様を呼んでるのでな」

「……そぅ、わかったわ。 暫くは作戦行動は無いし……今は篠ノ之束博士の所在を調べるのが優先だしね」


 髪をかきあげると、きらきらと靡く金髪――一糸纏わぬその後ろ姿、魅惑的なヒップラインにカーマインの性欲が掻き立てられるが、無駄な体力消費は避けたい。

 そう考え、かぶりを振るとカーマインは――。


「あぎゃぎゃ、篠ノ之束と接触する前には戻るさ。 ……とりあえずスコール、お前はゴールデン・ドーンの修復を急ぎなよ」

「えぇ、勿論よ。 ……じゃあね、カーマイン」

「あぁ、まあそんなに時間は掛からねぇと思うがな、あぎゃ」


 窓から外を眺めるスコールに対して、手を振り部屋を後にするカーマイン。

 残されたスコールは、表情そのままで摩天楼の光を眺めるだけだった。

 カーマインは部屋から出ると、喉の渇きを少し感じ、一旦リビングへと足を運ぶ――ソファーで寛ぐオータムを他所に、冷蔵庫中にある高級天然水に口をつけ、渇きを潤すとそれを直す。


「さて、そろそろ行くかな……」

「……そ、そうか。 べ、別にお前を待ってる訳じゃねぇが……早く戻れよな」

「あぎゃぎゃ、まあ呼び出しも多分報告を兼ねての事だろうからな、多分そんなに長くならないさ、これが」


 ワインを飲むオータムにそう告げ、リビングを後にしようとした時、オータムが――。


「なあ、カーマイン」

「あぎゃ?」

「……お前が所属してる組織の概要って、どうなってるんだ?」

「……簡単に組織の概要は話せねぇよ。 ……だが、これだけは言えるぜ」


 ニィッと口元を歪めて笑うカーマイン――そして、言葉を口にする。


「麻薬王の組織すら、俺様の所属している組織の下部組織――誰が相手でも、そう簡単に手出し出来ねぇぐらいの力はあるのさ、あぎゃ」


 そう言いながら部屋を後にするカーマイン――専用機である飛行機は既に空港に到着しているらしく、外に停めてあるバイクへ向かうべく、またエレベーターに乗り込むとそのまま下へと降りていった……。 
 

 
後書き
モッピー知ってるよ。
バイクってカッコいいって事。

    _/⌒⌒ヽ_
   /ヘ>―<ヘヽ
   ((/ ̄ ̄ ̄\))
   /    ) \
  /  | | //ヽ ヘ
  |  ハ | /イ | |
  レ |/ レ| N\|||
  /| |≧ ヽ|≦ |||
 / ヽ|゙    ゙|/ /
 \_(ヽ  ̄ /⌒)ヽ
  / | T ̄ ̄| ヽ |
 / /ヽノ   \_ノ|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


原作戻りますん 
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