IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第294話】
――洗面所――
時間も遅いということもあり、とりあえず話し合いは終わり、一夏は楯無さんに言われるがまま篠ノ之を部屋へと送り届けに行った。
そんな俺は、寝る前の歯磨きをしていて嗽をしていると――。
「ヒルトくーん」
俺を呼ぶ楯無さんの声が聞こえ、一旦嗽を止めて洗面所を出る。
「はいはーい。 何か分からな――――ぅおいッ!?」
余りにびっくりして声をあげる俺。
ベッドの上に寝転んでいた楯無さんがパタパタと足を泳がせているのだが、格好がまさかの下着姿にワイシャツのみというこれから居候する部屋にはあるまじき格好をしていたからだ。
さっきの水着の時も見たが、引き締まったお尻とそれを覆う薄紫の下着が露出していた。
下半身に血液が集中するのを感じた俺は、慌てて洗面所へと引きこもる。
あ、あの人は一体俺に何をしたいというんだ……。
こめかみを押さえてると、洗面所に退避した俺を追ってやって来たのか――。
「あれー? どうしたの、ヒルト君?」
「な、何がどうしたのじゃないでしょうに! 服を着てから呼んでください!」
ドアにもたれ掛かりながら言ってると――。
「えー。 美冬ちゃんだって下着姿で貴方の部屋をうろうろしてたって訊いてるわよー?」
「み、美冬は美冬だ! い、今さら美冬の下着を見たからって……」
そう言ってフラッシュバックされる美冬の下着姿に、またも下半身に血液が集中し始める。
……てか、妹の下着姿で突起したらもう美冬の顔見れなくなる……!
「と、とにかく何かしら寝間着を着てください!」
「えー?」
そんな声と共に、洗面所のドアノブを回す音が聞こえる。
咄嗟に鍵をかけたお陰で助かった――。
「……ドアが開かない」
もの悲しそうな声がドア向こうから聞こえてくる。
「そ、そりゃ、鍵をかけましたからね」
「……ヒルト君とお姉さんの間に立ちはだかる障害物――洗面所のドアね。 ……壊しちゃおうかしら……」
そんな楯無さんの言葉に、背筋が寒く感じる――というのも、備品を潰せば基本部屋主の責任となり、反省文の提出やら何やらでえらい目に合う。
壊されては敵わないので、仕方無く洗面所の鍵を開けると――。
「あはっ♪ 開いた開いた♪」
無邪気な声と共に開かれたドアの先に居たのは、やはりワイシャツ姿の楯無さんで――。
「……くっ、思春期の男子をからかって楽しいですか……?」
「あは♪ ヒルト君だけよ? 織斑君からかっても楽しくないもーん。 それよりさ、お姉さんにマッサージしてくれないかな?」
「はい?」
……何で俺がマッサージを……てか、マッサージなら一夏じゃないか?
確か、クラスの女子の誰かにマッサージしたとか訊いた記憶がある。
「な、何で俺がマッサージしなきゃいけないんです? …………」
そう言いつつも、楯無さんをついちら見してしまう。
それに気がついた楯無さんはにんまりと小悪魔っぽく微笑むと――。
「良いじゃない。 合法的にお姉さんの身体を弄れるのよ? 肩とか、腰とか、おっぱいとか……」
言いながら首に腕を回し、密着してくる楯無さん。
殆ど下着姿の為、直接肌の温もりが伝わってくるのと同時に形のいい乳房が押し付けられ、フゥッと耳に吐息をかけられる。
そのショックで、思いっきり突起したモノが楯無さんの腹部に当たってしまった。
「あはっ♪ いけないんだぁ……ヒルト君ってば、お姉さんに欲情しちゃうなんて……悪い子ね♪」
「……な、ならからかうのは止めてください。 ……ま、マッサージしますから……これ以上は……」
力ない言葉を吐く俺に、やっと離れてくれた楯無さん――だが今度は俺の横をすり抜け……。
「じゃーんぷ」
「おわっ!? な、何です!?」
背中に飛び付く楯無さんに、反射的に落ちないようにとおんぶする体勢になる。
「うふふ。 せっかくだからヒルト君におんぶしてもらおうかなーって。 ほら、重くないでしょ? スタイルいいし、日頃から鍛えてるから」
……確かに、あまり重いと感じない。
……まあ、基本重い女子って学園内には居ないのだが……。
「ほらほら、早く連れていかないとお姉さんもっといたずらしちゃうわよ~」
「わ、わかりましたから暴れないでくださいよ……。 ……はぁっ……」
背負い直すと、押し付けられた胸が更に形を崩し、柔らかな感触が背中に伝わってくる。
悶々とした気持ちのまま、俺がいつも使ってるベッドまで運び、降ろすとそのままごろんと寝転がる楯無さん――。
「じゃあ、マッサージよろしくよろしく~♪」
「……素人が下手に筋肉触らない方がいいのですけどね……」
呟くように息を吐くと、寝転がった楯無さんを再度見る。
……せめて、下着姿ではなく寝間着なら良かったのに……。
ガチガチに突起したモノが当たらないようにしながら――。
「じ、じゃあやります。 ……気持ちよくならなかったらすみません」
「うふふ。 大丈夫よ、お姉さんはキミを信用してるから。 あ、後、今より美人さんになるようにしてね♪」
「そ、それ以上綺麗になってどうするんです? ……それ以上は高望みし過ぎです」
「えー? 女の子はいつだって美人さんになりたいものよ~? ほら、お姉さんが今より美人さんになったら嬉しいでしょ?」
……既にルックスもスタイルも充分だと思うのは俺だけだろうか?
……何にしても、やると言った以上やらないと何をされるか分からないのでとりあえず腿をに触れてみると――。
「ひゃん……っ。 ……ヒルト君、手付きがえっちぃ~♪」
「し、仕方ないでしょう! マッサージ何てしたことないのに……」
反論しつつも、解す様に腿を揉んでいくのだが――。
「んん……ッ! ……あ、……あ……ンッ……!」
「~~~~~~!!」
妙に艶っぽい声をあげる楯無さんに、いちいち反応するのは俺の欲望の塊。
……これ、壁が薄かったら絶対えっちしてるとしか思われないよな……。
声は気にしつつも、腿を丹念に揉んでいくと楯無さんが――。
「ンッ……ヒルト……くん。 お尻も触って……?」
「…………ッ!?」
まさかお尻を揉むとは思わず、流石に戸惑いを隠せないのだが……断ればどうなるか分からず――。
「へ、変な声は出さないでくださいよ……?」
「ん……。 可能な限り……ね?」
振り向いた楯無さんの頬は紅潮していて、また枕に顔を埋める。
「……セクハラって言わないでくださいね?」
「うふふ。 ……お姉さんが許可出したのに言わないわよぉ……。 早くもんで……? 座りっぱなしでお尻も凝ってるのよぉ……」
甘ったるい甘え声が、妙にエロく感じつつ、恐る恐る手を楯無さんのお尻に近付け――触ると。
「んンッ……! ……はぁっ……」
「……ッ!」
まるで吸い付く様な肌触りで更にボリュームのあるお尻。
……ヤバい、鼻血出そう。
そう思ったのも束の間、部屋のドアが開く音が聞こえ、ビックリした俺は天井に届きそうなぐらい飛び跳ね、慌てて楯無さんの身体にシーツをかけると同時に寝袋探すふりをした。
そんな様子をクスクスと笑いながら楯無さんが見ながらワイシャツのボタンをシーツの中で閉めて。
「……ただいま。 ……ヒルト、なにしてんだ?」
「何って……寝袋探してるんだよ――あったあった」
そう言って取り出した赤い寝袋を床に放り投げると――。
「ふーん。 ご苦労な事だな」
「…………」
……今からでもベッド、占拠してやろうかと思ってしまった。
「じゃあヒルト君、織斑君も。 明日私は早いからもう寝るね? おやすみなさい」
「あ、はい。 楯無さんおやすみなさい」
そう言って身体を壁側に向けた楯無さんからは直ぐに寝息が聞こえてきた。
「んじゃ、俺も寝るかな。 ……一夏、一応聞くが明日は訓練休みだが明後日は来るのか?」
「ん? ……あぁ、あそこまで言われて行かなかったら男じゃねぇからな。 ……ヒルト、おやすみ」
「……あぁ、おやすみ」
部屋の電気を消すと、月明かりだけが窓から照らし、淡く部屋を灯す。
寝袋に入り、枕を頭に引くとそのままチャックを閉めて俺は眠りについた――。
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