奴隷との生活日記(シルヴィちゃん)
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前書き
危険予知(KY)活動の基礎
朝、目が覚めるとシルヴィは先に起きたようでベッドにはもういなかった。
部屋を出ると台所に立つシルヴィの後ろ姿が目に入る。
まだ背の低いシルヴィは木箱を踏み台代わりにして台所に立ち、朝食の準備をしていた。
片手に包丁を持ったまま踏み台の上でつま先立ちになり、腕を伸ばして棚の調味料を取ろうとする。
どんな危険が潜んでいるか?
KYT基礎4R法の第1R、現状把握である。
彼女は昨日から着せている寝間着姿のままこちらに背を向けている。
言い換えれば、ぷりぷりした可愛らしいお尻を何も隠さずにこちらに向けているという事だ。
「シルヴィは背格好の割にふっくとらした無防備なお尻を振りながら、木箱の上に乗って台所で朝食の準備をしている。
どんな危険が潜んでいるか?」
この状況を見て考えられる危険を、みんなでブレーンストーミング形式でどんどん出しあおう。
・寝間着姿で背を向けてお尻が剥き出しになっているので、僕に襲われて中出しされる。
・寝間着姿で背を向けてお尻をプリプリしているので、僕が自慰をして精液で床が汚れる。
「……寝間着姿で背を向けてあまりにも形の良いお尻をしているので、仕事する気を失くして本日休診になる、と」
ぶつぶつと独り言を喋っていると、バランスを崩した彼女が足を滑らせてひっくり返った。
「あっ!」
いけない! お尻にばかり注意が行って2Rで◎と赤線を付けるべき一番大事な危険を忘れてた!
後ろ向きに床に叩き付けられる寸前のシルヴィを咄嗟に抱きかかえる。
「あ、あれ……? 先生」
「大丈夫かシルヴィ。気を付けて、一度床に降りて踏み台を移動させてからじゃないとああいう事になるよ」
「ご、ごめんなさい。ありがとうございま……! 先生!!」
シルヴィの顔が蒼ざめ震えている。その視線の先は彼女の腰を抱きかかえている僕の右の指先。
転んだ時に落とした包丁が掠めたのか、人さし指から血が流れている。
その時初めて僕は自分の指が切れている事を知り、それからようやっと軽い痛みをおぼえた。
流れ落ちた血の滴がシルヴィの部屋着にこぼれて赤い染みを作る。
「先生! 先生!! ごめんなさい! ごめんなさい!!」
「大丈夫。これくらいかすり傷だよ」
「お医者様にとって指は大切な商売道具。私はその大切なものを傷つけてしまいました! ああ、先生! ごめんなさい!
申し訳ありません! 申し訳ありません!!」
「シルヴィ……」
「棚から塩を取るときに横着をした私が悪いんです! ちょっと気を付けるだけ、箱を動かす数秒の手間を惜しんだだけで、
取り返しのつかない事に! ごめんなさ……ぐずっ……ごめんなざい」
目に涙をため何度も謝るシルヴィを左手で優しく撫でる。
「僕は医者だから分かるがこれは大した傷じゃない。水で洗って消毒して、綿で包んで包帯でも巻いてれば数日で塞がるさ」
「でも、でも!」
今にも大泣きになりそうだ。ちょっと落ち着かせよう。
シルヴィに軽くキスをしてから抱きかかえてベッドに連れていき、頭を撫で続ける。
「先生……」
「ここで休んでなさい。ちょっと治療してくる」
台所で指を洗おうと引き返そうとする僕の袖をシルヴィが掴む。
「どうした?」
「あ、あの、医学的には間違ってるかも知れません。先生に傷を負わせてしまったせめてもの償いを……」
「償い?」
その大げさな言葉に思わず鼻で笑いかけると、彼女は唐突に傷ついた指を咥えてきた。
「ん、ちゅ……。はぁ……れろっ……」
まるで奉仕するように指先を舐め始める。
血の垂れた指を丁寧に綺麗にしてから、傷口をそっと舌で撫でる。
医学的には説明がつかないが……彼女のその行為だけで自分の傷が癒され、塞がったような気になった。
「んふ……。ごめんなさい先生、私勝手なことしました」
「いいよ、ありがとうシルヴィ。君の反省の気持ちと償い、確かに受け取った」
「……ありがとうございます」
僕はシルヴィを押し倒して4Rまで行きたくなる気持ちをぐっと我慢して、抱きしめて頭を撫でるだけにとどめる。
包帯と綿とアルコールを手に取り台所に向かう……前に、もう一度振り返って彼女に話しかけた。
「……この指じゃ水仕事はちょっとやりたくない。落ち着いたら朝食の支度の続きをお願いしていいかな?」
「はい、先生! 今度は気を付けます」
「棚の調味料を取るときは?」
「いちど床に降り、箱を棚の下に移動させてから踏み台に登ろう! ですね!?」
「よし!」
にっこりとほほ笑む彼女に、僕も精一杯の微笑みを返して人差し指を向けた。
今日の行動目標: 踏み台の移動、ヨシ!
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