IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第305話】
教室を出、廊下を見渡すとまたまた列が伸びてるような……。
……とはいえ、一夏目当てな以上、俺の出る幕は無いだろうし、今のうちに成樹達を迎えに行くかな。
……携帯にはもう学園に着いたというメールが届いてるし。
等と考えつつ、長蛇の列の横をすり抜けて階段を降りて踊り場へ――と。
「ちょっといいですか?」
「……?」
珍しく声をかけられ、振り向くとビジネススーツを着た女性が立っていた。
「……何かご用でしょうか?」
「失礼しました。 私、こういう者です」
そう言い、名刺入れから名刺を取り出すと、俺に差し出してきたので反射的にそれを受け取り、読み上げた。
「……IS装備開発企業【御劔】渉外担当・巻紙礼子……さんですか」
読み終わり、視線を巻紙礼子さんへと移す。
髪はロングヘアーで美人なのだが……好みでは無いと思った。
……というか、IS装備開発企業の人が俺に声をかけてくるのがまた何かありそうで警鐘を鳴らしてる――と。
『……ヒルト、この人には気をつけて? 何だか……ざわつく様な感覚が……』
『……ムラクモ?』
久々にムラクモからの声をかけられるも、普段とは違った声色だった。
『……念のため、御劔の巻紙礼子で検索かけてくれるか?』
『……うん。 早ければ直ぐに出るかも』
そう言ってムラクモの声が途切れ、警戒はしたまま再度巻紙礼子へと視線を移す――先ほどから変わらずにニコニコと笑みを浮かべてるのがどうも勘に触るな……。
「早速で悪いのですが、私を一組教室まで案内していただけないかなと思いまして」
「……教室でしたらこの階段を上れば直ぐですが?」
「えぇ。 ……ですが、あの長蛇の列に並ぶのはちょっと……。 そこで、有坂さんの計らいで何とか中に入れていただければと思いまして」
「……何の為にでしょうか?」
正直、計らいも何も、そんなつもりは毛頭ないのだが、一応相手側の言った目的を知りたいために聞いてみた。
「はい。 織斑一夏さんに、是非我が社の製品を使っていただけないかなと……。 もちろん、中に入らせていただければ、有坂さんにも謝礼を――」
「……残念ですが、お断りさせていただきます」
「…………っ!?」
一瞬表情が変わる――それも、醜悪な表情に。
まさか断られるとは思っていなかったのだろう。
――直ぐにさっきの様な笑顔を見せる――と。
『……検索終わったよ。 御劔という企業も、巻紙礼子という人もちゃんと存在するみたい。 ――ただ』
『……どうした?』
『……巻紙礼子のプロフィールに高度なプロテクトが掛かってるの、下手に調べると色々不味いから簡易プロフィールだけだけど……』
そう言って視界に映し出されたプロフには、確かに目の前本人の写真が映し出されていたが……。
『一社員に対して高度なプロテクトか……。 他は?』
『他の社員には掛かってないの、だから少し……というか、かなり怪しく思うんだけど……』
『……まあ警戒はするさ、ムラクモもいざとなったら学園内警報鳴らせる準備を――あくまでも、最悪の展開の時だけね。 ……企業スパイって線もあるからな』
『了解。 ……気をつけてね、ヒルト?』
そう言って声が聞こえなくなると同時に、目の前の巻紙さんは――。
「何故でしょうか? 有坂さんにもメリットはお有りかと――」
「まず、そう言った話は基本的に学園を通して織斑一夏に約束を取り付けるのが決まりだったと思いますが?」
「そ、それは……」
「後、学園祭でのそう言ったビジネス関係の話はご法度の筈――あくまでも、生徒に顔を覚えてもらう程度の接触までと説明があった筈ですが?」
「………………」
俺の言葉に、沈黙しながら聞く巻紙さん――と。
「そう言わずに、ここはもちつもたれずといった感じでどうにか――」
「……あまりしつこいと、学園出禁になりますよ? そうなると立場的に不味くなると思いますが?」
「…………ッ!?」
再度の指摘に、またも醜悪な表情を浮かべる巻紙さん。
「……とりあえず、こういった話はまず学園側を通してから許可を得てください。 ……この場は見逃しますが、もし次本人に接触等をした場合は問答無用で学園側へと連絡入れますのでご了承を。 では、失礼します」
「…………」
そう言い残し、俺は階段の踊り場を駆け降りていく――。
『ムラクモ。 念のため学園側ブラックリストにいつでも入れられるように準備を――』
『ふふっ、もう準備は出来てるよ』
『流石だな。 ……仕事も速いし、嫁に来るか?』
『……ば、ばか……』
そう言ってムラクモの言葉が途切れ、俺は苦笑を漏らすとそのまま駆け足で出ていった――。
――階段踊り場――
ヒルトが立ち去った後、握りこぶしを作り、壁を叩く巻紙礼子ことオータム――。
「……ガキがいきがりやがって……! ……決めたぜ、まずはあいつから……ッ!!」
怒りを隠さずに呟くオータムに、階段を上る女子生徒も不信に思いつつ眺めていると――。
「何見てやがるッ!? 見せ物じゃねぇぞッ!!」
「「ひっ……!?」」
びっくりした女子生徒は、勢いに圧され、一気に階段を駆け上がって上へと消えていった。
「……有坂ヒルト……絶対てめぇを血祭りにあげてやる……!」
後書き
ヒルトとオータム接触編どすえ( ´艸`)
一夏のお株を食べてますどすえ~( ´艸`)
果たしてどうなることやら(-.-)zzZ
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