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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜

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第9話 汗ばむ淫らな女傑達は、媚薬の罠に勝利する

「はぁ……あぁっ!」

 射精直前に突き飛ばされたアンジャルノンは、そのままベッドの上で尻餅をつき――姫君の子宮に放つはずだった白濁の奔流を、彼女の全身に浴びせてしまう。

「うぁぁっ、あ、熱いっ……! こ、こんな熱い昂りを、子宮まで注がれてしまったらっ……! もう絶対、戻れなく……はぁうっ!」

 その熱さを敏感になったままの柔肌で受け止めてしまい、姫君は淫靡に肢体をくねらせ身悶えていた。自我を取り戻したといっても、今までの責めによる快楽は続いている。まだピンチは、終わっていないのだ。

「……やってくれるな、ジルフリーデ。ますますお前が欲しくなったぞ! さぁ来い、今度は失神するほどの快楽をくれてやろう!」
「くぅっ……!」

 一方のアンジャルノンは、この状況さえ楽しむかのように、薄ら笑いを浮かべながらにじり寄って来ていた。先程までの抽送により、まだ下半身に力が入らないジルフリーデは――なんとか装備を取り戻そうと、這うように動き始める。
 だが、剣と盾はかなり遠い位置に投げ捨てられていた。このままでは取り戻す前に再び捕まり、今度こそ「種付け」されてしまう。

「ならっ……!」

 それでも、諦めるわけにはいかない。彼女が知る戦いの術は、剣技だけではないのだ。
 ジルフリーデは四つん這いになりながら、アンジャルノンに対して白く豊満な臀部を、ぷりんと向ける。その淫靡な絶景に、猛将が口元を緩めた瞬間――彼女はベッドの縁を掴むと、その体勢のまま上半身の「バカ力」で自身を吹っ飛ばし。

「……やぁあぁああっ!」
「むっ……!」

 不本意ながらの得意技である、ヒップアタックを――アンジャルノンの顔面に炸裂させる。今までの敵なら、この一撃で確実に昏倒していた。
 の、だが。

「んはぁあぁあっ!?」
「れろっ、ぺろっ、じゅるるるっ……ふふ、嬉しいぞジルフリーデ。お前の方から抱かれに来てくれるとはな!」

 それは金属製の貞操帯があってこその威力であり。下半身の力が使えず、貞操帯もなく、相手がアンジャルノンとあっては――ただの自滅行為でしかない。
 顔面に押し当てられた白い臀部を掴みながら、その感触と味を舌先で丹念に愉しむ猛将は――前後両方(・・・・)の「聖域」を蹂躙するかの如く舐めしゃぶり、再びジルフリーデの身体を支配していく。

「うぁっ……あぁあはぁあぁあぁあぁっ!」
「ふふふ、いいぞいいぞ! この体勢の方が、子宮の奥までよく届く! そらそら、先刻よりも熱くて濃ゆい俺の子種を――より深いところに注いでやろう! 今度こそ逃げられんよう、直接子宮になぁっ!」
「あぁあんっ! あぁ、あぁあん! はぁん、はぁ、はぁあぁあぁあっ!」

 そしてひとしきり臀部を味わわれた後、四つん這いの体勢に降ろされたジルフリーデを待っていたのは――後背位(バック)の体勢による抽送(ピストン)の再開であった。先程よりもさらに奥深くへ届いてしまう状況に陥り、ジルフリーデは理性では拒絶しきれない快楽に眼を剥き、絶叫する。

「もう充分だろう、好きなだけ抵抗しただろう! 諦めろ、受け入れろッ! 孕め、身籠もれ、全て俺のモノとなれッ!」
「ひぃいうぅううっ! で、できません、諦めませんッ! 私を信じてくれた仲間達のためにも……私を連れ戻してくれた仲間達のためにも、私は絶対ッ……はぁあぁあぁうっ!」
「強情な娘だ……! ならばその仲間達共々、国民全てに帝国人を孕んだ姿を見せてやるがよいッ! そらそらァッ!」
「ひぃぃいっ!? んぁあぁっ! はぁ、はぁああっ! あ、あぁあんっ、はぁあぁあぁあうっ!」

 だが。仲間達の呼び声により媚薬効果を乗り越えた、今の彼女は。
 激しく突かれ巨峰を揺らし、羞恥を煽る水音を立て、ただひたすらに喘ぎながらも――降伏を拒み、屈しない。

 そんな姫君の姿に、とうとう苛立ちを覚えたアンジャルノンは――決して逃がさないという強固な意志で、ジルフリーデのふくよかな臀部を掴み。その最奥の子宮を剛剣で突き、嬲り、抉り続ける。

「ぁあぁあぁあっ! はぁあぁっ、うぁあぁぁんっ! ひ、ひぃ、ひぃいいぃっ!」

 その威力に、気を失いかねないほどの快楽を覚えながらも。ジルフリーデは残された気力だけで意識を保ち、ベッドのシーツを握り締める。
 どれほど身体が痙攣しても。自身の膣で、アンジャルノンの剛剣を締め付けても。心だけはもう、負けない。快楽にだけは、屈しない。

「ひあぁあぁああーっ! あん、あぁあぁんっ! うぁあぁああんっ!」

 どれほど激しく突かれ、嬌声を上げても。その瞳だけは、気高き姫君であり続けていた。
 後背位である以上、その眼を見ることは叶わないのだが――見えずとも、彼女の貌を悟ったのか。征服欲をさらに滾らせたアンジャルノンは、今度こそ「種付け」を実現するべく、ラストスパートに突入していく。

「孕め! 孕め孕め、孕めぇぇえッ! ジルフリーデェェッ!」

「んぁああはぁあぁああぁうっ!」

 そして、熱く絡み合う双方が、過去最大の絶頂を迎えた瞬間。

 前よりもさらに昂り、膨れ上がる剛剣に込められた白濁が。押し当てられたジルフリーデの子宮口に狙いを定め、発射される――

「ぬぉっ……!?」

「ぁはぁあうっ!」

 ――直前。アンジャルノンの首を狙って、無数のナイフが突然飛び掛かって来たのだ。

 その切っ先に猛毒が塗られていることを瞬時に察知した巨漢は、鎧を着ていない今の状態では回避に徹しなくてならないと悟り。膣内射精に至る寸前で、自ら剛剣をジルフリーデの「聖域」から引き抜き、ベッドから飛び退いてしまった。

「無粋な奴め……! 俺の楽しみを邪魔するとはッ!」
「あぁあぁっ……はぁあっ……!」

 大量の毒塗りナイフは空振りに終わり、先程までアンジャルノンが腰を振っていた位置に突き刺さっている。
 一方、その近くでは――再び全身に白濁を浴びせられたジルフリーデが、焼け付くような粘液の熱さに喘いでいた。

「間一髪、ってヤツかしら? 危なかったわね、ジル」
「ロ、ロザ……!」
「よく頑張ったわ。……あとは私に任せなさい」
「おいおいロザ、私達……だろ?」
「姫様、王妃様、ご無事……!? あぁ、なんということだッ! おのれアンジャルノン、絶対に許さんッ!」

 そんな彼女を救うために駆けつけ、真っ先にナイフを投げつけた――ロザヴィーヌの登場を皮切りに。ベーナゼットとラフィノヴァも、ついにこの寝室に合流する。
 待ちに待った仲間達との再会と、救援の手に――アンジャルノンの剛剣に屈しかけていた王妃と姫君は、感涙と笑みを浮かべていた。

「皆……!」
「あなた達……!」
「その状態じゃあ、満足に戦えないわよねぇ。任せなさい、ジルフリーデ。この国と、あなたのために……もう少しだけ骨を折ってあげる」
「あんたがアンジャルノン、ね。……国中の女を散々弄んだ罪、あんたの粗末なモノで償ってもらうわ! アタシの斧で、ちょん切ってやるッ!」
「姫様、王妃様……そしてこの国全ての人々に働いた、数々の狼藉! もはや貴様1人の首では収まらんッ! 聖国の大地から、全ての帝国兵が消え去るまで……私達は戦い続けるぞ、アンジャルノンッ!」

 そんな王族達を救い、この聖国に光明を齎すために。ロザヴィーヌは槍を、ベーナゼットは斧を、ラフィノヴァは両手剣を構え――鉄球を拾い、臨戦体勢に入ったアンジャルノンと睨み合う。
 その全身には、この一室に漂う媚薬の香による汗が滲み――極限まで高められた生殖本能が、彼女達の「聖域」を濡らす愛液を迸らせていたのだが。それでも戦乙女達は気丈に、得物を握り締めている。

「媚薬の香で全身が敏感になり……立っているのもやっとな女共が! しとどに股を濡らしておいて、何を抜かすッ! いいだろう、ならばジルフリーデ共々……お前達にも俺の子種を注ぎ、永遠の隷属を誓わせてやるッ!」

 そして。最大の楽しみを邪魔された怒りに燃え、鉄球を振るう猛将もまた。
 鬼神の如き形相で、この寝室に充満する媚薬効果に震える、彼女達の肢体を――粘つくような眼差しで射抜いていた。

 ――結論から言えば、まずラフィノヴァ達に勝ち目はない。

 ただでさえ全員が、激しい媚薬責めと絶え間ない膣内射精によって、憔悴しきっている状態なのだ。ジルフリーデもアンジャルノンの抽送で腰砕けになっている今、怒り狂ったアンジャルノンに彼女達が太刀打ちできる術などない。
 このまま戦っても、全員あっさりと彼の鉄球に敗れ――さらに苛烈な快楽地獄に堕とされる。それは彼女達も、頭では理解していた。

 それでも、戦うしかないのである。一度でも自分達が撤退しようものなら、その瞬間にジルフリーデは再びアンジャルノンに犯され――今度こそ彼の子を孕まされてしまう。
 聖国最後の希望である彼女が帝国人を身籠り、その大きくなった腹を衆目に晒されては。もはや聖国という国そのものが、完全に折られてしまう。跡形もなく滅び去った、ロザヴィーヌの祖国のように。

「……やるぞ、ロザヴィーヌ。ベーナゼット!」
「えぇ……!」
「分かってるッ……!」

 そこまで理解しているからこそ、彼女達は退けないのだ。
 例え、装備の下で勃起している乳房の先端が、収まらなくても。少し肌に触れられただけで、気をやってしまいそうな状態でも。僅かでも油断すれば、今すぐにでも挿入されたいと願ってしまうほど――「聖域」が濡れそぼっていても。

 男を呼び寄せる甘い匂いを纏い、汗だくになりながら。頬を紅潮させ、甘い吐息と喘ぎ声を漏らしながら。
 瞳だけは気高く。得物を握る手だけは、勇ましく。立ち向かうしか、ないのである。例えその先に待つ未来が、陵辱と快楽の煉獄であるとしても。

「――将軍! アンジャルノン将軍! た、大変ですッ!」

「……っ!?」

 その時であった。突如、帝国兵の1人がラフィノヴァ達の背後に駆けつけ、片膝をついたのである。
 戦闘ではなく、報告の用件でここまで来たようだが――その狼狽した表情からは、ただごとではないことが伺える。アンジャルノンは怒気を露わに、用件を問い詰めた。

「なんだこんな時にッ! 一体どうしたというのだッ!」
「もっ、申し上げます! 城下町近辺に、アイラックスの軍勢が現れましたぁ!」
「なにィッ!? い、いつの間にッ……!」

 そして、片膝をついた兵士の報告に瞠目し――鉄球を下ろしたアンジャルノンは。ラフィノヴァ達には目もくれず寝室の窓を開き、その先に広がる城下町の光景を一望する。

「こ、これは……!」

 戦いと陵辱の連続だったために、彼は……彼らは気づけなかったのだ。
 聖国の救援に動き出していた王国軍が、すぐそこまで迫っていたことに。王国騎士団の精鋭達が、城下町の帝国兵を根こそぎ蹴散らしていることに。

「すでに王国軍はそこまで来ており……たった今、バルスレイ将軍から『撤退』の伝令が!」
「撤退だと!? 馬鹿を言うな、この俺に聖国を捨て、引き下がれと言うのか!?」
「ジルフリーデの内乱で戦力を削られた今の我が軍には、アイラックスの軍勢を跳ね除ける力はありません! ここは一旦引いて、体勢を立て直すしか……!」
「ぬぅうぅうッ……!」

 帝国軍にとっては、最悪の誤算であった。ジルフリーデ達4人を過小評価し、抹殺より生け捕りによる「調教」を優先した結果――王国軍に攻め込まれる隙を与えてしまっていたのだ。
 このまま戦っても、待つのは敗北と死。その現実を突きつけられたアンジャルノンは、口惜しげに唇を噛み締めながら――ジルフリーデ達を一瞥する。

「……撤退だ、全軍撤退ッ! この怨みは、次の戦場で晴らしてくれるわッ!」

 そして、僅かな逡巡を経て。全軍の撤退を宣言すると――残りの帝国兵達を指揮するべく、窓辺から城下町へと飛び降りていくのだった。

「……!」

 報告に来た帝国兵も、ラフィノヴァ達に怯えたような視線を向けた後、そそくさと走り去って行く。
 寝室に残された聖国の女傑達が、開かれた窓に視線を移し――状況を飲み込んだのは。それから、しばらくの時が過ぎた頃であった。

「王国軍が……救援に……?」
「じゃあアタシ達……勝ったってことか!? やっ……やったぁあ!」
「姫様、王妃様ぁ! 勝利です、聖国の勝利ですっ! 我々は最後まで……アンジャルノンに屈しなかったのですっ!」
「あぁ、ぁあっ……ラフィ、ロザ、ベナ、ありがとうっ……! 母上ぇえぇっ!」
「ジルぅうぅっ!」

 そして、自分達の勝利を悟った彼女を飲み込んだのは――歓喜の渦であった。開かれた窓から媚薬の香が抜け、快楽の罠から解き放たれた彼女達5人は、固く抱擁を交わし、涙する。
 これまでの苦闘は全て、今日という勝利のためにあったのだと。心の底から叫び、その喜びを分かち合うために。

 ――今は亡き、この聖国の王に。自分達の勝利を、捧げるために。

 ◇

「……ルーク。この聖国は、私のような『英雄』がいない国だから……簡単に帝国に敗れたのだと言う者もいるそうだな」
「えぇ……今となっては、馬鹿馬鹿しい話ですな」

 その頃、王国軍による進撃が続く城下町では。
 馬上から大剣を振るい、帝国軍の残党を蹴散らす「英雄」が――この戦場を制圧しようとしていた。

「全くだ。……いるではないか、彼女達という『英雄』が」
「そうですな……本当に、その通りです」

 蒼い甲冑を纏い、この世界では珍しい黒髪を靡かせる「英雄」は――ジルフリーデ達がいる王城の最上層を見上げ、側近の騎士と共に呟く。

 それは――絶望の淵から立ち上がり、抗い続けた彼女達に対して。1人の武人として捧げる、最大の賛辞であった。
 
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