詩織を全裸にしてください
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脱がされていく快感。
前書き
セックスの教科書。脱がしかたのマニュアル。
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セックスの教科書──
時々出版される隠れたベストセラーだというが、
それが改訂最新版の出版時期となったらしい。
その本は、キスから妊娠、さらに性病の予防まで、あらゆる男女の行為を説明する実用書なのだ。
イラストは部分にとどめ、原則的には写真を使って説明する。
刺激的な写真になるのは当然といえた。
最新版は、私がモデルの一人となる。
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スタジオ入りすると、別の男女モデルを使って、体位の解説写真を撮っているところだった。
女性モデルは全裸。
いわゆるバック。四つん這いの屈服のかたち。
そのお尻に膝立ちした男性モデルがブリーフ着用の腰を密着させている。
フラッシュが何回か光った。
女性だけが完全ヌードにされる不公平──性器の形状の違いのせいだ。
女性は目を閉じていた。
だから、羞恥に耐えているのか、快感に溺れているのか、判断がつかない表情だった。
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私の担当は、[女性をその気にさせる脱がせ方]のコーナーと決まった。
合コンで意気投合した初対面の男女がホテルに来たという設定だという。
実際のラブホテルに移動しての撮影だった。
相手の男性モデルはヒロキと名乗った。本名だろう。
私も本名を名乗った。
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まず、シャワーを浴びた。
そして、棚に置いてあった支給品の服と下着に着替えて、シャワー室を出た。
白いブラウスと紺のフレアスカート。下着はシンプルなコットンの薄いピンク。
清楚そのものだ。
髪を濡らさないようにシャワーを使ったから、すぐに撮影スタート。
部屋を入ったすぐのところで、後ろからウエスト抱き。
身長差がちょうどいいなと思いながらフラッシュを浴びた。
──彼女が抵抗しなかったら、胸を触るのもいい。
監督が絵コンテのキャプション(写真の説明文)を読み上げ、
ヒロキの手が動いて、バストタッチ。
どうでもいいけど、彼女がハグ段階で抵抗したら、ということは想定しなくていいの?
流れのままに、身をよじってキス、正面から向かい合ってキス。
キスのテクニックは別のモデルの担当だから、ここではライトな雰囲気重視で先へ進んだ。
ただし、
──彼女のお尻をおさえて警戒心を解こう。
監督の指示で、恥ずかしいヒップタッチをされる私。
──しかし、スカートをめくるのはNG。
監督の指示で、ショーツをさらす、あわれな私。
NGでも写真にするのがマニュアル本の使命なのね。
──彼女の羞恥を最小限にするために、すばやくボタンを外す。
この本では、そう推奨するのね。
立ったままの脱衣。ヒロキが一番下のボタンだけ残したところで、ポーズ。
ブラジャーがのぞくのがいいのね。
恥ずかしいけど。
そして、ブラの外しかた講座──
女子のスイッチが入る瞬間だわ。
代表的な一例だけでいいのかな。マニュアル本なのに。
スポーツブラなんか、どうすればいいかわかるのかな?
上半身が完全に露わになった時点で、カメラが前に回った。
──彼女の緊張と羞恥をやわらげるように愛撫する。
監督の指示はわかりやすい。
胸に両手がかぶさり、じんわりと刺激を与えられる。
いいわ、じっくり責めて──そう願ったのに、
一気に時間が飛び、半裸の私がベッドに載せられ、ブリーフ一枚になった(いつの間に!?)ヒロキがおおいかぶさるという、決定的なシーンの撮影となった。
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いわばヤラセだが、雰囲気は大事。
私は、緊張と羞恥から快感へと表情を変えなければならないが、
──簡単だった。
撫でられ、揉まれる乳房。吸われ、噛まれる乳首。
その刺激に身を任せればよかった。
下半身へは、なまじスカートというガードがあるために快感が中心から伝わった。
ああ、全身で感じたい。
マニュアル本だから、前戯は念入りだった。
実際はもっと性急に進むはず。半裸の時間が長すぎる……。
──脱がせにくいスカートやストッキングは、彼女に自分から脱いでもらう。
監督の指示、大正解。
自発的にスカートのファスナーを下げ、腰を浮かせた私。
抜き取られていくスカート。
一枚だけ残した、無防備な私が現れた。
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パンティは脱ぐか、脱がすか。
最大の羞恥シーンがやってきた。
仰向け、うつ伏せ、横向き。
自分で脱ぐなら、うつ伏せは現実的ではなく、横向きはあっけなさすぎる。
結局、脱がすほうは、
①両サイドに手をかけて下ろす仰向けと、②お尻ペロンのうつ伏せが採用された。
脱ぐほうは、後ろ向きに立って、お尻を鑑賞させる、ありえないほどのサービスカットを撮影された。
ただただ、恥ずかしかった。
一枚の布、パンツの有無。
たかが一枚で、全裸とは天と地ほども違う。
それは性器が見えるリスクのある状態になってしまうからだけではない。
最後の砦を喪うところを見られることで、絶対の服従者となったことを実感してしまうのだ。
パンツを喪う決定的瞬間を事務的に繰り返し体験させられる異様さ──羞恥心はなかなか麻痺しなかった。
最後の「自分で脱ぎ去る場合」のほうが、やっと「自分でできる」と安堵したぐらい。
それほど、「他人がパンツを脱がすところを見られる」というシチュは恥ずかしかったのだ。
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とにかく全裸になったから、そこでフィニッシュ。
恥ずかしかった。
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数日後、リアル彼氏が部屋に来た。
モデル料とは別にもらった「セックスの教科書(既刊)」を彼に見せた。
彼は、私の意図を理解したはずだが、教科書のプロセスを完全には再現しなかった。
いつものように、ブラウスは正面から脱がされた。
女の子の上半身の下着がブラジャーだけというのが今でも不思議だという。
ブラウスは、直接肌に触れているのだから、実質下着であるというのが彼の持論だ。
(そこまで言うなら、夏場は男性もTシャツ一枚という下着姿で外を歩いていることになる)。
ブラウスもブラジャーも下着だというなら、じっくり鑑賞すればいいのに、あっという間に脱がしてしまう。
そのかわり、上半身ヌードの鑑賞が長い。
そして、いつ見てもきれいだ、と言葉に出して褒めてくれる。
素直に嬉しい。
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乳房の責め方は、彼のその日の気分次第。
赤く痕跡がつくほど揉みしだかれたりするが、今はライトだった。
次の目標はスカート……。
彼は、半裸で立つ私を背後から支えるような位置に立った。
あ、ずるい!
偶然か必然か、正面に姿見ミラーがある。
上半身が、乳房が映っている。
いやだ。
抗議しようとした瞬間、彼の手はヒップをとらえていた。
スカートの上からさりげなくだが、半裸を見られながらという特殊な状態からか、強烈な快感があった。
やがて、彼のもう一方の手は軽い生地の膝下のフレアスカートの前をたくし上げた。
「あ……」
後ろはスカートの上からなのに、前はショーツの上からのタッチ──しかも、鏡に映されながら。
胸が放置されるのは仕方がないが、下半身もほとんど刺激されず、あられもない形を観察されるままだった。
(こんなの、やだ)
辱しめでしかない。
いっそショーツ一枚だけにしてほしい。
「もういいでしょ……」
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仰向けでベッドに横たえられた私。
私のスカートを取り払った彼。
私が身につけているのはショーツだけ。
丁寧に、両手でショーツを下げる彼。
私はお尻を上げる──。
丸まってもかまわないのに、丸まらないように注意深く下ろしていくから、よけいに引き延ばされた羞恥の時間。
一枚の布が完全に抜き取られた。
さまざまに呼ばれる、「素」の状態。
日常では入浴するために、私の場合は人体表現のために、必然的に衣服を取り払った姿。
性交も同じ姿になることが基本だ。
マニュアル通りでなくても、全裸にされたらやはり嬉しい。
すぐに声が出た。
「ううん、う、あぁ、ああっ」
縦横無尽に征服される快感。絶え間ない快感の波。
今日の屈曲は控え目だった。それは、もしかすると、裸身の鑑賞をやりやすくするためかもしれない。
「あ、あ、あ、あん」
見られることの嬉しさが溢れる。
やがて行為に激しさが加わり、揉みしだかれる乳房の快い痛みに酔ううちに、貫かれていた。
激しい運動。揺れる乳房。
荒れる呼吸。
抜かれないまま上体を引き起こされ、あまり経験のない「帆かけ舟」の形にされ、さらに裸体鑑賞はエスカレートして続いた。
私は目を閉じ、激しい上下運動に乳房を揺らした。
「あ、あ、あ、あん、あん」
強すぎる刺激に、かえってあえぎ声は単調になっていった。
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長く激しい揺さぶりが続いたが、ふいに彼が私を持ち上げ、分身を抜き去った。
私は考える間を与えられず、抱えあげられるようにベッドからフロアに移された。
崩れそうになる腰は彼が支えたが、上半身は力が入らず、前屈のような状態になった。
その瞬間、潮噴き。
大量にしたたり落ちた──。
タイミングを読まれていた。
そのことにものすごい恥ずかしさを覚えた。
でも、それもつかの間。
うるみきった私は再び侵入され、ほしいままに蹂躙された。
立ったまま。
全裸にされていることを実感しながら、彼の責めに耐えた。
長い長い時間。私は裸だった。
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