聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
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第6話 気高き女騎士は、絶倫と執念に乱れ狂う
公爵家の娘として生まれたラフィノヴァは本来、騎士などという危険な道に進むはずではなかった。ジルフリーデの遊び相手として過ごした幼少期の思い出がなければ、彼女が剣を取ることはなかっただろう。
ジルフリーデも彼女も、幼い頃は「お転婆」と呼ばれるほどの活発な少女であり――2人で城を抜け出して遊びに出掛けるのは、日常茶飯事となっていたのだ。何重にも敷かれた護衛の壁越しにしか見れない城下町の景色が、窮屈で仕方なかったのである。
だからといって、護衛達の目を盗んで城を抜け出すということが、どれほど危険なことなのか――当時の彼女達には、想像もつかないことだったのだ。
戦争など遠い世界の出来事だと思えてしまうような、平和そのものと言える日々が長く続いていたのだから。
ある日2人で城を抜け出し、城下町からさらに遠い――郊外の森へと遊びに行った時である。滅多に現れることのない獰猛な野犬が、突如現れ彼女達に襲い掛かったのだ。
それまで、歳上としてジルフリーデをリードしていた当時のラフィノヴァは――野犬に怯えて一歩も動けず、震えるばかりだったのである。そんな中、ジルフリーデは彼女を懸命に守ろうと、拾った棒切れを果敢に振り回していた。
普段は自分の後ろをついて回る彼女が。お転婆な一方で争い事を嫌う、心優しい彼女が。自分を守るために勇気を振り絞り、野犬に立ち向かっている。
その光景は10年以上が過ぎた今も、ラフィノヴァの脳裏に深く刻み込まれている。それほどまでに、この日の出来事は彼女の在り方を大きく変えてしまったのだ。
結局野犬は、駆けつけて来た当時の騎士団長に追い払われ、事なきを得たのだが。城を抜け出した挙句、危険な目に遭った2人は王からも公爵からも、こっぴどく叱られてしまったのである。
だがラフィノヴァにとっては、ジルフリーデに無力な自分を庇われていた事の方がショックだったのだ。そして、何としても強くなって彼女を守らねばならないと――強く誓わせたのである。
それからのラフィノヴァは、護身術の域を超えた稽古を騎士団に求めるようになり――あの一件で野犬を追い払った騎士団長の元で、めきめきと実力を伸ばして行くのだった。
やがて生まれ持っていた剣技の才を開花させた彼女は、いつしか騎士団長に迫るほどの腕を身に付けたのである。両親の反対を押し切り、そのまま師である騎士団長の跡を継ぐことになったのは、それから間もなくのことであった。
「お転婆」を極め抜いた、公爵家出身の騎士団長。そんな奇特な人生が始まったばかりの頃に――戦争が始まったのである。
圧倒的な武力で聖国軍を圧倒する、アンジャルノン率いる帝国軍。その数の暴力の前には、聖国最強の剣士に成長したラフィノヴァの力すら、通用しなかったのだ。
彼女に出来たことは、王妃アリアレイテの手引きで城からの脱出に成功したジルフリーデを連れ、安全な場所まで落ち延びることだけ。彼女に代わり現場の指揮を取っていた元団長は、アンジャルノンとの一騎打ちに敗れ――非業の死を遂げた。
そして、間一髪帝国軍の追っ手から逃れたジルフリーデは、自分達の手で聖国を取り戻すと誓ったのである。そんな彼女に師匠譲りの荒稽古を付ける中で、ラフィノヴァ自身も師の仇を討つための猛特訓に明け暮れていた。
やがて、自分以上の才覚を発揮し始めていたジルフリーデと共に――ラフィノヴァは聖国騎士としての本懐を果たすべく、旅立ったのである。
全ては仕えるべき姫君にして、最愛の幼馴染でもあるジルフリーデを守るため。そして、厳しくも温かく自分を導いてくれた、先代騎士団長の恩に報いるため。
新たな仲間達を得た姫君と共に、ラフィノヴァは今も戦い続けている――。
◇
媚薬の香は吸引するだけでなく、肌に付着してもその効果を発揮するように造られている。ならば城内にある水浴び場で媚薬を洗い流せば、ある程度は効果を抑えられるはず。
「おい、あの女騎士どこに行った!?」
「くそっ、こっちにもいねぇ! どこだァッ、出て来やがれッ! イイ思いさせてやっからよォ!」
「俺様の味をタァーップリと教え込んでやるぜェッ!」
「……はぁ、はぁ、はぁっ……!」
帝国兵達の追撃から逃れ、各フロアを駆け回っていたラフィノヴァは、そう考えていた。卓越した身体能力を持つ彼女は、その作戦を実行に移すべく――追っ手を撒くと一目散に、水浴び場へと移動する。
「はぁ、はぁっ……よ、よし、ここなら……!」
窓辺から城下町の風景を一望できる、上層に設けられた広大な水浴び場。そこに辿り着いたラフィノヴァは、周囲に敵の気配がないことを確かめつつ――鎧を脱ぎ捨て、その下に隠された豊満な肢体を露わにする。
媚薬に苛まれながら長く走り続けてきたこともあって、すでにその白い裸身には多くの汗が伝っていた。ブロンドのロングヘアとたわわな双丘、扇情的なラインを描く臀部を含むその全身からは、オスの情欲を掻き立てる匂いが絶えず漂っている。
こんな無防備極まりない状況で奇襲を受ければひとたまりもないし、それでなくても早く仲間達と合流しなければ、単独で行動しているジルフリーデが危ない。ラフィノヴァは恥じらう暇も惜しむように、素早く水面に白く艶やかな足先を入れていく。
やがて足の指先から足の裏、脹脛、太腿、臀部、くびれ、乳房、腋、鎖骨、首筋、うなじへと――彼女の扇情的な裸身の全てが、水に滴り濡れて行った。その全身に隈なく水が当たり、ラフィノヴァはある程度の媚薬効果は解消されたのだと確信する。
「……よし、もういいはずだ。姫様、今このラフィノヴァが参り――!?」
――それが、大きな思い違いだったと気づいたのは。彼女が水浴び場から上がり、装備を整えようと鎧に手を伸ばした瞬間であった。
突如、彼女の全身を襲った激しい疼きと甘美な熱が、ラフィノヴァの全身に広がり――聖国最強の女騎士であるはずの彼女は、状況を理解する暇もなく膝を着いてしまう。
「な、なにがっ……起き……は、はぁ、はぁあぅううッ!?」
先程まで、彼女の肢体を苛んでいた媚薬とはまるで桁違いの衝撃であった。窓から差し込むそよ風が肌に触れるだけで、彼女の背は弓なりになり――反動によって、たわわな果実が上下に弾む。
「あ、あぁっ、はあぁああっ……!」
もはや鎧を着るどころか、身動きすらままならない。それほどの快楽に飲み込まれ、ラフィノヴァは身を震わせながらのたうちまわるしかなかった。
――その時。
「水浴び場で媚薬を洗い流せば、力を取り戻せる……とでも思ったか? 残念だったなァ」
「……っ! き、貴様はッ……!」
下卑た声に彼女が振り返った先に待っていたのは、屈強な肉体と紫紺の髪を持つ1人の帝国兵。彼の姿に見覚えがあるラフィノヴァは、激しい快楽に翻弄されながらも、鋭い眼差しで彼を射抜いている。
アンジャルノンの副官として、聖国騎士団を徹底的に痛めつけた帝国軍の幹部――ゾゴルド。彼の軍勢により多くの聖国騎士が斃れた日を、ラフィノヴァは昨日のことのように覚えていた。
しかしゾゴルドの方は、オスの欲望を煽る彼女の肢体にしか興味がないらしく――水を浴びる前よりも汗だくになり、淫らな匂いを漂わせている彼女を見下ろしながら、薄ら笑いを浮かべている。
「媚薬の香ってのは元々、液状だった薬を気化させたものに過ぎねぇ。だったら……その『原液』があるはずだよなぁ?」
「……! ま、まさか貴様……この水浴び場の水を全部……!?」
「将軍が媚薬の香でジルフリーデ姫を犯す、って言い出した時から分かりきってたんだよ。あんたなら媚薬にヤラれても撤退するより、ここで洗い流してすぐに戦線に復帰する方を選ぶだろう……ってなァ。あんた、死ぬよりイヤなことが山ほどあるってクチだろう?」
「よ、寄るな無礼者! 私に触るな――あっ、はぁあぁあぅうぅっ!」
「そう言われると、男ってのは余計に触りたくなるもんなのさ。覚えときな!」
ラフィノヴァの思考と行動を見越して、水浴び場の水を媚薬の香以上に強烈な「原液」にすり替えていたゾゴルドは――彼女の拒絶を愉しみながら、その柔肌を指先でなぞる。
たったそれだけの接触で、気高き女騎士は激しく仰け反り果実を揺らし、汗を飛び散らせ絶頂してしまった。普段の彼女なら、媚薬特有の匂いで容易く気づいていたところなのだが――すでに媚薬の香が全身に染みている今の状態では、それすらも叶わなくなっていたのだ。
「あぁあぁ、はぁッ! あぁ、ぅあぁああッ……!」
「クッククク……いいぞいいぞ、もっと乱れろ、淫靡に狂え! あの日、悔しげに城から逃げて行くあんたを一目見た時から……ずっと、こうしてやりたいと思っていたのさ! この日のために準備して、溜めてきた甲斐があるってもんだぜ!」
扇情的な唇から漏れ出す甘い喘ぎ声と、その豊満な裸身から漂う匂いが、副官の昂りを高めていく。すでに鎧を脱ぎ捨て、彼女と同じく一糸纏わぬ姿となっていた彼は――その浅黒く逞しい肉体と黒光りする剛剣を、女騎士の前に見せつけていた。
絶対にこの女を犯し、征服し、自分の子を産ませてやる。その欲望を纏い、突き出された剛剣から漂う強烈なオスの匂いが――媚薬効果によって高められたラフィノヴァの嗅覚を通して、彼女の肢体を芯から翻弄していく。
「ククク……さぁ、始めようぜぇ! 楽しい宴をなァッ!」
「なっ……や、やめろッ、やめッ……ひぃ、あ、ぁあッ、あぁああはぁあぁぁぅあぁああッ!」
そこまで仕上げられてしまった彼女にはもう、抗う術などない。男を悦ばせるためだけに生まれてきたかのような、扇情的過ぎる裸身を襲う舌先の愛撫に、ラフィノヴァは甘美な絶叫を上げながらのたうち回る。
唇も口の中も、首筋も鎖骨も腋も、たわわな乳房もその頂も、二の腕も掌も指先も、くびれも臀部も、秘所も。太腿も脹脛も、足の指先も、足の裏さえも。彼女の白い柔肌の全てを、余すところなく。ゾゴルドは舌を這わせ、舐めしゃぶり、むしゃぶりつく。
何度彼女が絶頂し、快楽に打ち震え、秘所から愛液を噴き出そうとも。その執拗な責めは留まるところを知らず、欲望のままにラフィノヴァというオンナを味わい続けていた。
「はぁ、ぁあぁッ、あぁうぅッ……!」
「ククッ……いいぞ、誇り高い女騎士様も随分と可愛くなったもんだ。……そろそろ、本番と行こうぜ?」
「……ッ!? や、やめろ! 絶対にやめろ、そんなモノを私にッ――!」
そしてついに、「本番」の瞬間が訪れる。白い太腿を掴まれ、「聖域」を大きく開かれた彼女の秘所に押し当てられた剛剣は、待ち侘びていたかのように雄々しくそそり立っていた。
「言っただろう? そう言われたら余計に――って、なァッ!」
「ひぁッ――あ、はぁ、あ、ぁあぁあぁあぁあぁああッ!」
その勢いを止めることなど、出来はしない。欲望のままに動く「剛剣」に貫かれ、「聖域」を中心に広がる快楽の奔流に飲み込まれてしまったラフィノヴァは――あまりの衝撃に目を剥きながら弓なりになると、乳房を揺らして汗を散らす。
そして絶叫のような嬌声を上げ、挿れられただけで、僅か一瞬だけ意識を失うほどの絶頂を与えられてしまうのだった。肌をなぞられるだけで達してしまうほどの状態で、並みの帝国兵を優に凌ぐ「剛剣」による抽送を続けられては――聖国最強の女騎士であろうと、タダでは済まない。
「ああぁああッ! あ、ぁあッ、ひ、ひぃぃいぃいいッ!」
「乱れろ、狂え! 男のモノを咥えてなきゃあ――生きていけないオンナにしてやるぜッ!」
本能的にゾゴルドにしがみ付き、はち切れんばかりの巨峰を彼の胸元に押し当てながら、白く扇情的な両脚をその腰に絡ませる。大きく開かれた口から溢れる悩ましい嬌声が、さらにオスの昂りを呼ぶ。
「あぁあはぁあぅうぅッ――ん、ちゅっ、れるっ、んぅうぅッ、ちゅぱッ、れろッ!」
「んふッ――く、ふふッ! その調子だ、もっと俺に絡み付け! あんたの身も心も、俺だけのモノにしてやるッ!」
それはまるで、合意の性交であるかのようだった。あまりの快楽により、理性を溶かされ生殖本能ばかりを増幅されてしまったラフィノヴァは、本人の意に反した「奉仕」を続け――その乳も膣も唇も、ゾゴルドという絶対的なオスに捧げんとしている。
そんな彼女に最大限の快楽を注ぎ込むべく――ゾゴルドもまた、ラストスパートに入ろうとしていた。上から覆い被さり、その逞しい肉体で完全にラフィノヴァの肢体を組み伏せた副官は、圧倒的な抽送により彼女に「天国」を見せようとする。
「さぁ出すぜ、たっぷりとあんたの子宮に注ぎ込んで――2度と俺から離れられないようにしてやるッ! 俺のガキ、孕みやがれぇッ!」
「ああぁあぁあぁッ! ん、んふぅうっ、ちゅうぅっ――んぅあぁあぁあぁあぁあぁはぁあぁあぁうッ!」
唇に舌を入れられ、口の中まで貪られ。性交のことしか考えられなくなるまで、徹底的に犯され続けた彼女は――ゾゴルドに抱きつきながら、彼の剛剣による最大限の絶頂を叩きつけられていく。
その果てに魅せられた「天国」の快楽に、膣を通して彼女の全身が打ち震える瞬間。副官の剛剣から放たれた、大量の白濁が――女騎士をさらなる屈服へと、追い込んで行った。
子宮を満たす熱い奔流に押し上げられ、畳み掛けるように襲い来る絶頂の波。その怒涛にして執拗な責めは、何ヶ月にも渡り彼女を犯す日を待ち続けていた、ゾゴルドの執念そのものであった。
「あ、あぁああッ……ぁあッ……んぁッ!?」
「ほらほら、何をボサッとしてる! まだまだ宴は……これからなんだぜェッ!」
「ま、待っ――ひぃあぁあぁあぁあーッ!」
その昂りは到底、1度出しただけで治まるようなものではない。「天国」の余韻に震えていたラフィノヴァを四つん這いにさせたゾゴルドは、彼女の豊満な臀部を掴むと――その「全貌」を露わにしながら、再び剛剣を挿入する。
後ろから突くことで、より深く、奥へと注ぎ込むために。そんな彼の絶え間ない責めに、覚悟する暇さえなく。
「ぁあぁはぁあぁぁあーッ! ひ、ひぃ、ひぃあぁぁあぁあっ!」
ラフィノヴァは再び快楽による絶叫と、厭らしい水音を――この水浴び場に響かせるのだった。
◇
「ぁああぁッ……はぁ、ぁああッ……!」
――それからの性交は、ますます激しさを増し。ようやくゾゴルドの責めが落ち着いたのは、15発目の膣内射精を終えた頃であった。
仰向けに力無く倒れ、天井を仰ぐラフィノヴァの肢体に滴る汗は、男を誘う匂いを放ち続けている。その荒い吐息と、身体の揺れに応じて弾む白く豊かな双丘が、性交の激しさを物語っているかのようだった。
「ククク、1人の女をこれほど激しく抱いたのは俺も久しぶりだったよ。……ほら、お掃除の時間だぜ」
「はむっ……ん、ちゅうっ、れるっ……」
その白い裸身に馬乗りになり、未だに衰えない剛剣を突き出す副官は、ラフィノヴァに「奉仕」を命じる。理性が吹き飛ぶほどの快楽を絶えず味わい続けた彼女は、朦朧とした意識のまま――剛剣を巨峰で挟みながら唇を押し当て、丹念に舐めしゃぶっていた。
「れろ、ちゅぱっ……んちゅう、れるっ、れろぉっ……んふぅ、ちゅっ、ちゅうぅっ……」
「……ククッ」
毅然とした面持ちで両手剣を振るい、帝国軍の侵略にも気高く抗う、誇り高き女騎士。そんな絶世の美女が今、快楽に酔い痴れた表情を浮かべ――自分の逸物を胸で扱きながら、激しくむしゃぶりついている。
その圧倒的な征服感に打ち震えるゾゴルドは、ブロンドの髪に触れるだけで淫らな反応を示す彼女への興奮を――再燃させていた。
「ちゅうっ、れるっ……あぅっ!?」
「……ホントはここまでにして、あとの連中を捕まえに行くところだったんだがなぁ。予定変更だ、あんたは孕んでも犯す。まだまだ犯し抜いてやる」
「ぅ、はぁあっ……!」
乳房に滴る汗を舐め取りながら、その頂を吸い――そそり立つ先端に舌を這わせ、舐めしゃぶる。それだけで果実を揺らして達してしまう肢体は、オスの本能をさらに狂わせていた。
ゾゴルドは暫し、ラフィノヴァの巨峰を舌先で堪能した後――再び彼女の股を開かせ、その最奥に剛剣を突き込もうとする。彼女の肢体はすでに、彼の形も味も教え込まれており――抵抗の無意味さを思い知らされていた。
「ラフィノヴァーッ!」
「……!」
――の、だが。
突如、この水浴び場に響いてきた「邪魔者」の声が届いた瞬間――快楽一色に染められていた、女騎士の眼に変化が現れる。
「なんだぁ? ったく、お楽しみの邪魔を――!?」
「はぁっ、ぁ――ぁあぁあぁあぁッ!」
その異変に気付いた副官が、気だるげに立ち上がり――「邪魔者」の方へと注意を向ける瞬間。
「聖国式闘剣術――月鋭剣ッ!」
「彼女」の叫びに呼び覚まされたラフィノヴァは、僅か一瞬のうちに傍に落ちていた両手剣を拾い上げると――ゾゴルドの背を狙い、満月を描くかの如く。円の軌道に、その刃を振り抜くのだった。
「がッ……マ、ジ、かよッ……!」
「……あぁ、『マジ』だ」
瞬く間に、上下に両断された副官の身体は――鮮血を撒き散らしながら、水浴び場の中へと沈んで行く。
その様子を冷たく見下ろすラフィノヴァは――媚薬責めと怒涛の膣内射精により疲弊した身体を引きずりながら、鎧に手を伸ばしていた。オンナとしての甘い香りを閉じ込めるように、その全身を堅牢な鎧が固めていく。
「おっ、ここにいたのね! ……はっはーん、さてはソイツに手こずってたな?」
「問題ない、今しがた片付いたところだ。……お前の方こそ、ここに来るまで随分と時間が掛かっていたようだな」
間一髪のところで、彼女の心を呼び覚ました「邪魔者」――もといベーナゼットが、この水浴び場まで駆け込んできた頃には。すでにラフィノヴァは何事もなかったかのように、全ての装備を整えていた。
だが、水浴び場に満たされた媚薬の「原液」と、この一帯に漂う匂いから――おおよその状況を悟ったベーナゼットは、ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべている。
そんな彼女に対して、不遜に鼻を鳴らすラフィノヴァもまた――彼女の身体に残る「オス」の残り香から、何があったのかを悟っていた。
「ハンッ、こんなところで油売ってたあんたに言われたくないっての。……ロザも近くまで来てる、早くジルのところに行こう」
「……そうだな。あと貴様、いい加減ちゃんと『姫様』とだな……!」
「あーもー、こんな時までうっさいなぁ! ジル1人でアンジャルノンに勝てるわけないんだから、急がないとでしょ! 行くよっ!」
お互いの身に起きたことを思えばこそ、時間を無駄にはしていられない。守るべき最愛の姫君を想い、ラフィノヴァはベーナゼットと共に、水浴び場を後にする。
そんな彼女達の後ろでは、無残に切り裂かれた副官の遺体が漂い続けていた。
「むぅ……仕方あるまい。足を引っ張るなよ、元兵士」
「あんたこそね、元団長!」
「今も、だ! 私がいる限り、聖国騎士団は屈してなどいないッ!」
――そして水浴び場を抜けた2人は、アンジャルノンとの一騎打ちに臨むジルフリーデの元へと駆けつけるべく、城内を疾走していた。
その最中、ベーナゼットの背を一瞥するラフィノヴァは――ゾゴルドに挿入される直前、快楽に酔い痴れていた自分を呼び戻した彼女の「叫び」を思い返していた。
自分によく似た「お転婆」でありながら、どうしようもなく捻くれていて。根性を叩き直してやろうと稽古を付けたら、逃げ出してしまって。それでいて今度は、何の義務も義理もないというのに、ジルフリーデや自分のために戦う道を選んでいる。
そんな彼女には、呆れることの方が多いのだが――その一方でどこか、頼りにしている自分もいたのだ。それを改めて意識したラフィノヴァは、思わず呟いてしまうのだった。
「……そして、お前がいる限りな」
「あん? 何か言った?」
「な、なんでもない! さっさと走れバカ者っ!」
口が悪くてガサツで、おまけに捻くれ者の酒好きで。それでいてどこか義理堅く、憎めない彼女への想いを――。
後書き
・カスタムキャスト製おまけ3
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