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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜

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番外編 凛々しき女王は、己の全てを受け入れる

「ひ、ひぃいいぃいっ! ぁあぁあぁあぁあぁあーっ! ぅああぁはぁああぁあぁあぁあっ!」
「おおッ、締まるッ……! 出すぞ、出すぞジルフリーデ! しっかりと受け止めろッ! これでッ……45発目だぁあぁあッ!」
「あぁあぁあああぁッ――ひぃああぁああぁあぁッ、はぁあぁあんッ!」

 ――衰えを知らぬ勢いで、白濁の奔流が再び子宮を満たし。その情熱を敏感な膣内に注ぎ込まれ、よがり狂うかつての女傑は、甘い嬌声を上げて豊かな乳房を揺らし、淫靡な汗を散らしていた。
 しっとりと肌に張り付く藍色の髪が、その淫らな色香にさらなる彩りを添えている。

 木々の隙間に、眩い陽射しが差し込む中で始まった苛烈なまぐわいは。今も休むことなく、続けられていた。
 なまじ日頃の鍛錬によって、常人を遥かに超えるスタミナを身に付けていたジルフリーデは、アンジャルノンの底無しの精力に気を失うことなく、汗だくになりながらも彼と交わり続けている。

「はぁぁ、はぁあぁあぅっ……んはぁっ!?」
「ふふふ……すっかり俺の味を覚えてしまったようだな。物欲しげに絡みつきおって。……そら、『お掃除』の時間だ」

 そんなケダモノと美女による激しい腰の振り合い(・・・・)も、これで45回目。ようやく性欲以外の感情も芽生えて来たのか、アンジャルノンは挿れ続けていたジルフリーデの「聖域」から、久方ぶりに剛剣を引き抜いた。
 以前に寝室で交わった時には、一度も膣内射精が叶わなかったことへのリベンジでもあったのか。これでもかと言わんばかりに注がれ続けていた白濁の粘液が、抉られ続けていたジルフリーデの秘所から溢れ出て来る。

「はぁっ、あっ、ぁあぁっ……! ん、ふぅうっ……!」

 その感覚が生む快楽に再び、若き女王が淫らに仰け反り痙攣する最中――アンジャルノンは無理矢理彼女の上体を起こすと、未だ衰える気配のない「剛剣」に顔を近づけさせた。

「んっ……ちゅ」

 そして彼が命じるままに、香しいオスの匂いを放ち続ける逸物に、すぼめた唇を捧げ――ジルフリーデは服従を誓うかのように、口付けする。
 そのまま、小さな口に精一杯剛剣を頬張った彼女は、自分の口そのものを性器として扱うかの如く。自分を組み伏せ、啼かせ、征服してしまった「御主人様」にむしゃぶりつき、舐め、扱き、奉仕していた。

「ぢゅるるるっ! ちゅぱ、ちゅぱっ! れろっ、れろぉっ、れるっ、ちゅるるっ、ちゅうぅうっ!」
「そうだ……それでいい、ジルフリーデ。お前はそう在るべき女だ! 分かるだろう、この肉欲に溺れ乱れ狂う姿こそが、本当のお前なのだッ!」

 ――異性同士には子孫繁栄のため、お互いの遺伝子から離れていれば離れているほど、惹かれ合う本能があると言われている。
 純白の肌を保つ絶世の美女。浅黒い肉体を持つ獰猛な巨漢。凛々しき女王と、欲深なケダモノ。何もかもが隔絶された彼らだからこそ――「身体の相性」だけは、抜群であった。

「……っ!」

 しかしそれは、あくまで生殖本能の側面に過ぎず――理性との共存により成り立つ「人間」の、真理ではない。

 脇目も振らず逸物にむしゃぶりついていたジルフリーデが、ふとアンジャルノンの言葉に反応し、傍らの水面を見遣り。一糸纏わぬ裸身を捧げ、乳房と唇と肌で剛剣への「奉仕」を続ける自分の姿を、眼にした瞬間。

「……!」

 抗い難き本能に押しやられ、脳裏の遥か遠くへと追放されていた理性が――「羞恥」となって蘇り、彼女の頬を赤く染め上げる。

「ぬ……?」

 そして、アンジャルノンへの奉仕を中断した「女王」は。恥じらいと屈辱に震え、快楽に翻弄されながらも――毅然とした眼差しで巨漢を睨み上げる、「本当の自分」を取り戻していた。

「はぁ、はぁっ……アン、ジャルノンッ……!」
「……ふん、我に返りおったか。どうやらまだまだ、責めが足りなかったようだなッ!」

 その変化から、ジルフリーデの「復活」を悟った巨漢は――再び、その白く豊満な肢体を手篭めにするべく、一気に覆い被さって来る。

 胎内に残る白濁の熱と、長時間に渡るまぐわいによる疲労のせいで、憔悴しきっている身体に鞭打ち――辛うじて身を翻して、回避に成功したジルフリーデは。

「……やぁッ!」
「ごッ――!?」

 不意を突いたヒップアタックを、アンジャルノンの鼻頭に当てる。そして急所に打撃を受け、一瞬怯んだ彼が身を起こすよりも早く。

「……はぁっ!」
「むっ!」

 水辺の端に転がり――愛用の剣を拾い上げた。

 陽射しに照らされ、眩い輝きを放つ切っ先を前にして――彼女を再び組み伏せようとしていたアンジャルノンは、思わず立ち止まってしまう。

 ――ジルフリーデとアンジャルノンの間には、凄まじい力量(レベル)の差がある。それは数年に渡り鍛錬を続け、見違えるほどに腕を上げた今でもなお、埋めきれないほどの隔たりだ。
 しかし今のアンジャルノンは相棒だった鉄球を失い、丸腰も同然。さらに帝国騎士団の馬車から脱走し、ここまで逃げ込んで来た時点で――すでに体力は消耗しきっている。

 その状態で45発も、ジルフリーデの子宮に膣内射精(なかだし)していたこともあり。彼はもはや精力的にも、満足に戦える状態ではなくなっていたのだ。

「むぅっ……!」
「どうやら……さしものあなたも、勝ち目がないと理解出来たようですねッ!」

 ジルフリーデ自身も犯され続たせいで――白く扇情的な足腰が、限界に震えている。それでも鋭い眼差しと剣の切っ先は、真っ直ぐにアンジャルノンを捉え続けていた。

「……い、いいのか! ここで終わりにしていいのか、ジルフリーデ! 俺を拒めばお前は2度と、あの『極上の快楽』を味わえぬのだぞ!? 身を焦がし、互いに溶け合うような、あの熱く激しい交わりを思い出せ! お前の淫らな身体を満足させられる男が、他にいると思うのか!?」
「……っ!」

 そんな彼女に対し、形勢を逆転されたアンジャルノンに出来るのは――勝ち目の薄い「説得」だけであった。しかし彼の言葉も、全てが嘘というわけではない。

 確かに存在した甘く激しい快楽の渦と、そこに酔い痴れ淫らに腰を振っていた「自分」を思い出し――ジルフリーデは羞恥に頬を染め、剣先を震わせる。
 淫靡な匂いの汗を滲ませ、愛液を滴らせる、彼女の肢体という「本能」は今も――アンジャルノンの逸物を欲し続けていた。

『姫様ぁあーっ!』

『ジルゥウーッ!』

『ジルッ!』

 しかし彼の言葉が思い出せたのは、あの日の深く溶け合うようなまぐわいだけではない。それを乗り越え、共に戦った、仲間達の呼び声も。

「――ッ!」

 今を生きる女王の脳裏に、蘇っている。

「……しは……ますッ……!」
「なに……!?」
「……なら、私は……! そんな淫らな私とも戦いますッ! 聖国の女王として民を守り、今ここにはいない仲間達の思いを胸に、私は戦い続けるッ! 剣を取り抗う私も、そう……ではない私も、どちらも本当の私! 『聖国のジルフリーデ』なのですからッ!」

 そして、毅然とした眼差しを取り戻し――アンジャルノンの拒絶へと踏み切った彼女は。

「はぁあぁああーッ!」

「なっ……にぃいッ!?」

 勢いよく地面を掴むと、上半身の力だけで自分の裸身を投げ飛ばし――その体勢のまま、剣を逆手に構え、空中で身体を回転させると。

「やっ……やめろぉぉおおッ!」

 肉欲に屈せず、剣を以て自身を拒む彼女に驚愕する、アンジャルノンの逸物に向けて。太陽の輝きを纏う剣を、大きく振るい。

聖国式闘剣術(せいこくしきとうけんじゅつ)ッ――月鋭剣(げつえいけん)ッ!」

 数年間に渡る鍛錬の成果を、見せ付けるかの如く。満月を描く刃の一閃で――振り抜くのだった。

 刹那。

「ぐぁあッ――ぎゃあぁあぁあああぁあぁあッ!」

 斬り取られたアンジャルノンの剛剣が、快晴の空に舞い飛び――鮮血を撒き散らす彼の絶叫が森中に轟いたのは、言うまでもない。

 ◇

 ――その後。あまりにもジルフリーデの帰りが遅いことを不審に思い、水辺まで足を運んだラフィノヴァが2人を発見したことで、事態は発覚した。

 股間を抑えながら気絶していたアンジャルノンは再び捕らえられ、彼を追っていた帝国騎士団に改めて引き渡された。
 保護されたジルフリーデも幸い妊娠は免れ、事なきを得たのだが――今回の件を受け、今後の水浴びはラフィノヴァが同伴することになっている。

 この件は本来なら、重大な国際問題に発展するような事態……なのだが。
 聖国も敗戦国である王国に与していた敵性国家と看做されており、帝国が主導権を握るこの大陸内においては低い立場にあったため、本件を巡る賠償金は最低限の額に止まっていた。戦争になろうものなら一瞬で制圧されてしまう国力の差がある以上、聖国も迂闊に帝国を糾弾できないのである。

 しかし、その代わり。かつて聖国を支配していたアンジャルノンを、女王ジルフリーデが一対一で成敗したという「吉報」が、国中に齎されていた。

 聖国の人々にとっては、無慈悲な暴力の象徴であったアンジャルノンが、女王の手により倒された。それは帝国勇者復活という不穏な噂を払拭するほどの朗報となり、民衆に希望の大火を灯したのである。

 やがて。この件を通じて、ますます国民の信頼を集めるようになったジルフリーデは――その生涯を終えるまで。
 凛々しき女王として気高く生き続けたのだと、伝えられている。

 ◇

 ――そして、晩年。彼女は長年に渡り、傍で仕え続けていたラフィノヴァにだけ。屈辱の過去に纏わる思いを、語っていたのだという。

 これまで出会って来た人々の中で、「彼」ほど1人の人間として小さい(・・・)男はいなかった、と――。
 
 

 
後書き
 ここまで本作を読み進めて頂き、誠にありがとうございます! これにて番外編は完結となりました!(^^)

 次回からはジルフリーデ達が敗北し、彼女達が危惧していた通りの結末に至る一幕を描いた、「屈服編」全4話を連載させて頂きます。どうぞお楽しみに!
 ではではっ!٩( 'ω' )و


・カスタムキャスト製おまけ7
 
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