IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第七十九話】
――第三アリーナ観客席――
未来&ラウラペアの試合が終わり、また他の生徒の試合が始まった。
ある程度注目されていない生徒の試合だと、来てる来賓客も食事休憩を取ったり、トイレに行ったり等している。
――試合に負けた生徒も、基本自由なので何をしても構わないらしいのだが、向上心がある生徒はいの一番に観客席に来る、又は上級生の試合を見に行ったりする――。
「……とりあえず、圧勝だったな、未来とラウラペア」
「うん。――連携はとれてなかったみたいだけど…」
「あぁ、そこに付け入る隙があれば俺達が二回戦に勝利して三回戦で未来&ラウラペアと戦うときに…とも思うがなかなか難しいかな、これが」
「そうだね。――二人の個の力は僕たちの上を行ってるし――」
「ははっ、俺なんか天と地の差があるぐらいかもな、これが」
苦笑しながら答えた俺は、今行っている試合に視線を移した。
動きのいい子もいれば、緊張して思った通りの力を発揮出来ない子もいる。
――これだけの観客の前だ、誰もが緊張するさ、これがな。
――俺も緊張しないわけではないが…。
――と、考え事をしているとセシリアと鈴音が戻ってきた。
「す、すみませんヒルトさん。遅くなりまして…試合は――」
「ん?あぁ、未来の試合なら終わったぞセシリア?」
「そ、そうですか…。鈴さんが直ぐに飲み物を決めてくだされば間に合いましたのに……」
「だ、だってどれも美味しそうに見えたから仕方ないじゃん…」
そういう鈴音の手には、オレンジジュースが握られていた。
「ではヒルトさん、頼まれていたスポーツドリンクですわ」
「悪いなセシリア、買ってきてくれて」
「い、いぇっ!これぐらいの事でしたら言ってくださいな」
――等と、四月の頃に出会ったセシリアとは全くの真逆の事を言うので思わず俺は笑ってしまった。
「ど、どうしたのヒルト?急に笑い出して――」
「そ、そうですわよ…?……な、何かわたくし、おかしな事を申したかしら…?」
「わ、悪い悪い。……あまりにもさ、四月に会ったときのセシリアと真逆の事を言ったからな。それを思い出してな、これが」
「あ、あの頃の事は言わないでくださいな…っ!」
――と顔を赤くしながら言うセシリアを見て、また笑ってしまった――。
「ははっ、別に言っても大丈夫だろセシリア?」
「だ、ダメですわよっ!?も、もし言ったら…責任をとってくださいなっ!?」
「ん?セシリアを嫁に貰えばいいのか?」
そう俺が言うと、セシリアはぷしゅーっと湯気が出そうな勢いで顔が赤くなり、隣のシャルルは頬を膨らませて此方を見てきた。
「ははっ、冗談だよセシリア。――まあこれ、誰が聞いても本気にしないからな。挙げ句の果てには未来にもバカって言われたし…」
そんな風に呟いていたが、セシリアの耳には届いていなくて、何やら――『こ、こういうことは二人きりの時に言ってくださらないと――』――と、今なお言ってるのだが、試合に動きがあったのか歓声で最後の方の言葉がかき消されていた――。
「試合、終わったのか?」
「……さぁ?ヒルトが自分で確認するといいよ?何でも僕に聞かないでよ」
――と、不機嫌度MAXなシャルル。
「……シャルル、どうした?」
「……別に、ヒルトって皆にああいう事言ってるのかなーって思っただけ」
「……『嫁に貰えばいいのか』の事か?――言っても皆本気にはしないさ。――あまり膨れるなよシャルル?とりあえず何があったのか他の子に訊いてくる――」
そう言い、立ち上がろうとするとシャルルが右腕を掴み――。
「……?」
「ぼ、僕が教えるから――ヒルトはそのまま座ってて?」
「……?あぁ、なら説明よろし――」
と、言いかける俺の言葉を遮るように鈴音がシャルルに――。
「ねえデュノア、少しいい?」
「え?何かな、凰さん?」
またまた突然鈴音に声をかけられ、目をぱちくりさせたシャルル。
そして、鈴音から出た言葉が――。
「もしかしてあんた……ヒルトの事、好きなの?」
「はい?」
「ふぇっ…!?な、何でそう思うの!?」
突然の発言に、俺は気の抜けた返事をし、シャルルに至っては軽く狼狽してる気がした。
「いや、何かあんたを見てたらヒルトが何か言う度に膨れたりしてたし――」
「な、何言ってるのかな、凰さんっ!?ぼ、僕とヒルトは男の子同士だよ!?」
――一応世間にはそういう事になってるが、シャルルは女の子だ。
「そうだぞ鈴音?男同士で好き合ってたら気持ち悪いだろ。俺だって付き合うなら女の子のがいいし」
「そ、そうそう!」
同調するように首を必死に縦に振るシャルルの態度に、流石の鈴音も――。
「わ、わかったから!――でも、あんまり勘違いさせる行動はしない方がいいわよデュノア?――そういう本の需要にされちゃうんだし」
「う、うん…気を付けるよ」
「あー、一部女子が書いてる同人活動ね。美冬が見たらしいが俺のあられもない姿が描かれてたとか、よく想像で描けるよな――てか今の試合で昼休憩に入ったのか…ご飯食べに行くか。結局一夏等来なかったが……」
「そうだね。篠ノ之さん、何がなんでも優勝したいって気迫だっただけに落ち込んでるのかも…」
「かもな。または専用機でも姉におねだりしてるとかな」
「ひ、ヒルト…流石に篠ノ之さんもそんな事しないと思うけど…いくら篠ノ之博士の妹だとしても」
「――だな。流石にそんな事したら、他の頑張ってる子達が報われないよ。……俺は特例的なものだったが…贔屓って言われたら贔屓なんだしな、俺も。――腹減ったし、食べに行くかな――セシリア?」
「は、はいっ!?」
突然声をかけられてびっくりしたのか、若干声が裏返っていたセシリア。
「いや、そんなにびっくりするなって、いつまでも何か言ってたからな。――ご飯食べに行かないか?」
「は、はい。勿論ですわ、ヒルトさん」
「鈴音はどうする?」
「そうね。たまには一緒に食べるのも悪くないかもね。一夏もいてるかもしれないし」
「ん、なら食事を取りながらシャルルにさっきの結果聞くかな。――行こうぜ?」
「うん」
「いいわよ、あんたが先導しなさいよ」
「えぇ、着いていきますわ、ヒルトさん」
各々で返事をする三人、それを聞いた俺は三人を連れだって食堂へ向かった――。
後書き
グダグダこのまま続けるのも悪いので、次の話は二回戦の話を書きます
ラファール・リヴァイヴのパッケージ装備の対決。
あの噂の自重で動けなくなる通常兵器搭載の最強(笑)と作者が設定したとんでもパッケージ
あれが最強ならあの世界は戦闘機やヘリがあれば世界征服出来るな
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