IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第394話】
キャノンボール・ファスト大会前日、今日は訓練を早めに切り上げ、現在は室内でベッドに寝転がっていた。
そんな中、室内に響き渡る着信音、枕元に置いた携帯を取り、見てみると親父からの番号だった。
「親父、どうした?」
『おぅ、帰国したってのにお前も美冬も連絡くれねぇんだもん。 寂しくてつい掛けちゃったぜ、ワハハハハッ』
豪快な笑い声は相変わらず、寂しさなんて微塵も感じさせないのは、多分日曜日に母さんに会ったからだろう。
『おぅ、そうだ。 そういや、母さんから訊いたけど一人の女の子、養子にとったんだってな?』
「あぁ、美春の事だな。 事情は母さんから訊いたのか、親父?」
『おぅ。 まあ何にしても、娘が一人増えたんだ、親としては嬉しいものさ! わははははっ』
またも笑い声が電話から聞こえ、若干耳鳴りがするが、いつもの事なので特に文句はない。
『そうだ、いよいよ明日だな。 俺も当日は見に行くからな、頑張れよ?』
「あぁ、わかったよ。 美冬にも電話しろよな、親父?」
『わははははっ、娘にも勿論電話するさ! じゃあまた明日な、ヒルト!』
親父そう言うと、通話が切れる。
携帯をその場に置き、またごろんと転がる。
瞼が少し重く感じ、閉じたその時、室内響き渡るノックの音。
「はーい、開いてるぞ~」
出るのがめんどくさくなり、そう声を出すとドアの開閉音が耳に届き、足音が近付いてきた。
「む、ヒルト、休んでいたのか?」
そう言ってラウラは俺の顔を覗き込んできた。
服装がいつもの制服ではなく、今日はロング丈の黒のワンピースを着ていた。
「……今日のラウラ、可愛い服着てるな?」
「あ、こ、これはだな……その。 す、少し前にシャルロットと買った服だ」
夏に買った服ではなく、新しいデザインのワンピースだが、何処かお嬢様な雰囲気を醸し出していた。
「似合うな、その服装。 可愛いラウラが更に可愛く見える」
「か、かわっ!? ……ぅぅ、バカ者……。 だ、だが……ヒルトにそう言われると、やはり……嬉しく……思……う」
そう言って、寝転がる俺に重ねる様に自分の身体を合わせるラウラ。
あまり重く感じず、ラウラの体温が分けられてくる様な感覚が伝わり、全身の熱が上がった気がした。
「ん……ラウラ?」
「す、少しだけだ……。 ……私は、ヒルトとこうしてる時間が好きだ」
そう言って俺の胸に顔を埋めると、嬉しそうにスリスリし始める。
少し恥ずかしいものの、何だかこうしてラウラが甘えてくるのは嬉しくも思う。
軽く髪を撫でる様に頭を触ると、ラウラは俺の方へと顔を向けた。
「……ぅむ、ヒルトの手で撫でられるのは好きだ。 織斑教官や、ハルト教官――いや、お父さんに撫でられるのとはまた違って、ここがポカポカしてくる」
そう言って、俺の手を取ると、そのまま自分の胸に当てる。
小さな膨らみだが、ワンピース越しにもはっきりとその柔らかさが伝わってくる。
「そ、そぅか……撫でられるの好きなら、いつでも撫でるよ。 俺も、撫でるのは好きだしな」
「ぅ、ぅむ。 ……ヒルト、このままこうしていたいのだが、私もお腹が空いてきたのだ。 そろそろ共に食事を摂らないか?」
ラウラの提案と共に、俺のお腹の音も鳴ってしまう。
それにくすりと微笑むと、ラウラは重ねた身体を起こしてベッドから降り、俺の腕を引いて立たせた。
「で、では行こうではないか。 ……つ、ついでだ。 腕を絡ませよう」
そう言って左手を取り、ラウラは腕を絡ませてきた。
こうしていると、同じ銀髪だからマジで兄妹の様に見えてしまう。
ラウラ自身、それを気にしてるらしいのだが……実際血の繋がりは無いのだから深く考えなくてもいいとは思う。
机の上から鍵を取り、一緒に部屋を出た所で――。
「あー!? お兄ちゃん! ラウラも! 何で腕を組んでるの!?」
部屋を出るなり、美冬に見つかりそう指摘された。
部屋に鍵を掛けると、俺は――。
「んと、腕を絡ませようってラウラの提案を呑んだからかな」
「うむ。 夫婦なのだ、これぐらいは良いであろう、美冬?」
「むぅ……。 だったら美冬もお兄ちゃんにエスコートお願いするもん!」
言ってから駆け寄ってくる美冬、勢いよく俺の腕に飛び付くと、豊満な乳房の谷間が俺の腕を挟んだ。
「むぅ……幾ら妹と云えど……美冬、我が嫁に引っ付き過ぎではないのか?」
「そんなこと無いよ? 昔からこうだったもん。 ね? お兄ちゃん♪」
覗き込む様に見上げる美冬は、更に乳房を押し付ける様に腕を抱く。
妹とはいえ、やはり胸がでかいと思う……。
「……むぅ、仕方ない。 私の義妹でもあるのだ、ヒルト。 エスコートを頼む」
「そうだよ? 両手に華じゃん。 こんな綺麗所に挟まれるなんて、成河君や佐々木君が見たら血の涙を流しちゃうよ?」
ありそうで怖いな、それ。
そして二人はブリッジしながら壁や天井を這い回るのか……海送りされて。
さて、下らんネタはさておき、とりあえず腹が減ったから向かうとするかな。
そう思い、二人に腕を組まれて歩きにくい思いをしながら俺達は寮の食堂へと向かった。
――寮の食堂――
食堂へと辿り着くと、相も変わらず食堂内は騒がしく、噂に話の華が咲いたり、テレビのクイズ番組を見て各々が違う答えを言ったりと騒々しい。
とはいえ、女性が集まればこんな感じだろう、そう思っていると腕を絡ませていた二人が離れ、解放されたと同時に妙な寂しさを感じた。
「今日は月見うどんにしようかな……。 ラウラは?」
「私はフルーツサラダとチョコぷりんだ。 先日シャルロットから一口貰ったのだが、あれが美味しかったのだ……」
そう言って味を思い出したのか、少し絞まり無い顔をするラウラ。
「わかるわかる、あのチョコぷりんって美味しいよね~♪ 他だと、ミックスパフェとかも美味しいよ?」
「ふむ。 ミックスパフェか……美味しそうだ」
二人でデザートの話題で盛り上がるのを他所に、俺は食べたいものをチョイスする。
たまにはオムライスが食べたくなり、今回は特大オムライスを食べることに決めた。
そうこうしている内に美冬も月見うどんとラウラ同様のチョコぷりんを選び、ラウラは言った通りのフルーツサラダとチョコぷりん、後は普通サイズのオムライスを選んで暫く待つと、直ぐに料理が出来上がり、今回は窓側の席へと座った。
ラウラと美冬は、互いに俺の正面へと座る。
「じゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
俺に続いて二人も食事を摂り始める。
いよいよ明日はキャノンボール大会、鋭気を養うつもりで食事を摂っていると――。
「ヒルト、美冬、いよいよ明日だな」
ラウラは一口オムライスを頬張りながらそう告げる。
「キャノンボールだね。 頑張るのは当たり前、後はどう結果に繋げるか――だね?」
七味をかけ、月見うどんを食べる美冬――泣いても笑っても、明日が大会なのには変わりなく、調整に関してはギリギリまで可能な為、俺は最後まで調整するつもりだ。
結局俺はプロペラント・タンクを増設してエネルギー消費ではなく推進剤消費を選んだ。
パッケージも考えたが、バランスが少し悪くなるのを危惧すると装着という考えは出来なくなったからだ。
出だしもあまり良くないかもしれないが、持久力はある……はず。
後は可能な限り、妨害に合わないようにすれば多少勝機は見えるはずだ。
「何にしてもいよいよ明日。 親父も見に来るみたいだしな」
「うん。 さっきお父さんから連絡あったよ。 そういえば帰国してたの忘れてた」
……親父が訊いたら泣きそうだな、今の美冬の言葉は。
「教官も見に来られるのか……。 ならば尚更負けるわけにはいかないな。 明日は一時的だが、皆私のライバルだ」
ラウラはそう言うと、デザートのチョコぷりんを掬って一口食べた。
多少緊張も出てきたが、明日になればそれも全て関係無くなるだろう。
それよりも、俺はまた今回も襲撃が来ないか――それだけが心に不安の影を落とした。
後書き
実はこれの前に書いた下書きだと、思いっきり今回ラウラにフェラチオされてから食事にいく(美冬無し)という話を書いてたが、没にしてやった( ´艸`)
理由、食事前にフェラは何か変だと思って(-.-)y-~~~
まあ誰も興味は無いはずだし、こっちの方が話としてはまだ見れますし
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