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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第401話】

 
前書き
遅れた('A`)

続きを( ´艸`) 

 
 飛翔し、盾の増設スラスターを点火、一気に加速。

 セシリアと鈴音、未来の射撃が一旦止んだ一瞬、手に持ったシャルの増設スラスターの残骸を投擲――パワーアシストをフルに使用し、加速のついた質量弾となってサイレント・ゼフィルスへと強襲した。

 鈍い金属音が鳴り響く――一撃はシールド・ビットに阻まれ、本体にダメージを負わせる事はかなわなかったものの、シールド・ビットに紫電が走り、黒煙を噴き出していた。


「ふん……まさに形振り構わずか。 だが、その程度の攻撃が私に通ると思うな」

「確かに通らないかもしれないが、質量弾としては強烈だぜ!」


 外れると分かりながらも、俺はもう片方の増設スラスターの残骸を投げ付ける、今度はパワーアシスト無しのため、先ほどよりも勢いは無かった。


「当たらなければどうという事でもない」


 余裕すら感じる佇まいのまま、半身をずらして残骸を避けると、此方に向けてライフル射撃を開始しつつ、美冬たちにもビットによる牽制射撃を行い、あしらうサイレント・ゼフィルス。

 アイコンタクトで美冬に連絡をとると共に、セシリアと鈴音二人に――。


「二人とも! そのまま射撃を続けてくれ!」


 敵が居るにも関わらず、俺はそう指示をする――襲撃者は、馬鹿にするように一笑しつつ、二人の射撃をシールド・ビットと回避行動で避けていく。

 俺は真横から、サイレント・ゼフィルスに対して接近戦を仕掛けようと回り込み、セシリアと鈴音の射撃が止んだ瞬間、瞬時加速と共に両腕にギガント・マグナムを展開、巨大な拳を構えて右拳によるストレートを叩き込むのだが、金属同士がぶつかる音と共に、激しい火花を散らせ、シールド・ビットによってその一撃が阻まれた。


「敵である私の前で作戦指示を出すとは……浅はかだな。 所詮は戦闘経験もない子供――」

「……果たして、そうかな?」

「何――!?」

「お兄ちゃんばかりに気を取られないでよねッ!! てやぁぁああああっ!!」


 直上を取った美冬の斬撃が、サイレント・ゼフィルスのシールドバリアーに触れ、そこからシールドが結合崩壊を始めた。


「ちっ! これはバリア無効化――」

「その通りだ! ギガントォッ! マグナムゥッ!!」

「ッ……!?」


 左拳のギガント・マグナムが激しい噴煙を周囲に撒き散らせ、至近距離からモロにシールドバリアーが再生する前に直撃を浴びせると、大きく吹き飛ぶサイレント・ゼフィルス。


「クゥッ!?」


 何とか体勢を立て直したサイレント・ゼフィルス、だが美冬の一撃とモロに直撃を浴びたギガント・マグナムの一撃に、少なからず打撃を与えただろう。


「チッ……雑魚が」


 そんな襲撃者の言葉、俺には大して響かず、俺は今回の襲撃者に対して口を開いた。


「わざわざキャノンボール当日を狙っての襲撃……目的はなんだ、亡国機業? また白式でも狙いに来たのか? それか、篠ノ之の紅椿か?」


 そう言って一夏と篠ノ之の様子を見ると、一夏は険しい表情のまま、物理刀に変わった雪片を構えていた――美春と未来が止めないと、今すぐにでも攻撃を始めようとするのが雰囲気で分かる。

 篠ノ之の方は、元来た道を戻り、機雷に触れないように急いで潜り抜けていたが、正直そのまま退いてくれる方が有り難いのだが――表情を見るに、ヤル気満々なのが見てとれた。

 一方、俺の言葉を訊いた襲撃者はゆっくりと口を開くとそのまま言葉を発する。


「……茶番だな」

「茶番だと? 茶番の為に、わざわざこの会場を混乱に陥れたと言うのかッ!?」

「そうだ。 ……!」

「!?」


 襲撃者は瞬時加速と共にライフル及び、ビットで周囲の動く機体全てに対してフレキシブル射撃を行ってきた。

 逸早く専用機持ちは、軌道が変わるビーム射撃を避ける、それは一夏を守る未来や美春も一旦一夏から離れるしか手が無く、何とか回避し、シャルは動けないラウラを庇うようにシールド防御で防ぐ。

 一夏に射撃がいかなかったのは、既に戦力として計算に入れてなかったのかもしれない――篠ノ之も論外なのだろう。

 一方の俺に対しても同様の射撃――だが、フレキシブルを避けた先を詠まれ、待ち構えていた襲撃者の蹴りの一撃が俺の顔――こめかみ部分を的確に捉えた。


「ちぃっ……!」


 体勢を崩し、軽く脳を揺さぶられる俺に、更なる一撃――ライフルの砲身を腹部装甲に当ててきた。

 脳に過る零距離射撃の言葉、だが一度崩れた体勢は直ぐには戻せない――と。


「お兄ちゃんはやらせないよ! 亡国機業!!」


 激しい体当たりの一撃、装甲と装甲がぶつかり合い、火花散らせてサイレント・ゼフィルスの装甲の破片が舞う。


「チッ! ならば先にお前たちから始末してやる」


 一斉に放たれるビームの弾雨が、俺と美春を執拗に襲いかかる。

 フレキシブルの多角的偏向射撃――その場で器用に足を捻り、身体を曲げて回避する俺は、盾も全て使ってダメージを最小限に止めて避ける。

 一方の美冬も、上空に緊急上昇――アリーナバリアー付近でクイックブーストし、避ける。

 美冬を狙ったビーム射撃は、急なフレキシブルに応えられずにアリーナのバリアーに阻まれて粒子が四散していった――。


「うぉぉおおおおッ! 白式! 俺に力を貸せぇッ!」

「な!? 一夏!?」


 殆どエネルギーの残っていない状態の一夏が、瞬時加速で襲撃者に肉薄、物理刀になった雪片で逆袈裟斬りによる強襲をかける――だが、その一撃は容易くライフルの先に取り付けられた銃剣で防がれた。


「邪魔だ、織斑一夏。 先に動けなくしてやる」

「何――がはっ!!」


 抑揚の無いその言葉を吐き、瞬時加速を利用した強烈な蹴りによる一撃が一夏の腹部にめり込み、そのままアリーナの壁へと背中から激突して地面に落ちる。

 更にそのまま、襲撃者は瞬時加速のまま一夏に追い付くや、ライフルの中央が割れ、エネルギーが放電し始め、ライフル砲口周囲に紫電を撒き散らせた。


「死ね……織斑一夏」

「……!?」


 一夏の目が見開く――そして、それが放たれる一瞬、一番近くにいた鈴音が割ってその場に入り込み、一夏の代わりに最大出力のその一撃を受け、悲鳴と共に強く弾き飛ばされ、壁へと背中から叩き付けられた。


「きゃあああっ!!」

「鈴!?」


 一夏のその言葉と共に弾き飛ばされ、苦痛の表情を浮かべる鈴音がやけに鮮明に、尚且つスローモーションに映る。


「……鈴……音」


 小さく、絞り出す様に俺はその名前を呟く――気付けば瞬時加速で俺は鈴音の側に行くと、苦しそうに激しく咳き込みながら――。


「ゲホゲホッ! ……いち……か。 無事……?」

「ば、バカ! 何で俺なんかを庇ったんだよ、鈴!」

「の、鈍い幼なじみの危機に……か、駆け付けるのが幼なじみの務め……ゲホッ!」

「鈴音、もう喋るな。 バイタルが弱いが……最終保護機能が働いたのだろう、命は大丈夫な筈だ」


 冷静にそう告げる俺、だが拳の震えが鈴音には分かっていたのか、意識を失う前にその手を俺に重ねると。


「ひ、ヒルト……。 ま、任せたわよ……あ、たしは……少し……休……むね……。 …………」

「鈴! おいっ、鈴!」


 意識を失った鈴を揺さぶる一夏を、手で制止すると俺は――。


「一夏、鈴音は気を失っただけだ。 揺さぶる方がかえって危ない。 だから止めろ」

「くそぉッ! 何でお前はそんなに冷静なんだよ! 鈴が倒されたっていうのに!」

「……冷静? 俺がか? ふざけるなよ……既に俺の怒りはレッドゾーンを軽く突破してる……!」


 ギガント・マグナムを再度粒子形成させて呼び出すと、俺はそれを構えてサイレント・ゼフィルスへと視線を移す。

 その視線に気付いた襲撃者は、口元を歪め、倒れて意識を失った鈴音を満足そうに眺めながら俺に――。


「次は貴様の番だ。 織斑一夏、貴様は後にしてやる。 そんな状態ではもう介入も無理だろうしな」


 襲撃者の言葉に、悔しそうに口を真一文字に再度結ぶ一夏。

 ライフルの砲口が俺へと向けられると、俺は二人に被害が及ばないように上空へと退避――一方、美冬、未来、美春の三人の機体エネルギーも残り少なく、更にビットに妨害されて俺の援護が出来ない状態に。

 ライフルの砲口が閃光を放つその一瞬――。


「ヒルトさんを――やらせるわけにはいきませんわッ!!」


 出力を生かした体当たりの一撃、またサイレント・ゼフィルスの装甲の破片が空を舞う。

 だが、セシリアのブルー・ティアーズも同じく装甲の破片が舞い散り、ライフルを蹴りあげて俺へ向けられた砲口が明後日の方向に向くと、ビームがアリーナのバリアーへと当たって粒子を四散、キラキラと粒子片を撒き散らせた。


「セシリア! 無茶するな!!」

「無茶は致しませんわ! ですが、この相手はわたくしが引き受けます! ヒルトさん! 可能なら直ぐにエネルギーの補給を行ってくださいな!」


 セシリアはそう叫び、サイレント・ゼフィルスの両腕を押さえつけたまま飛翔――天井のシールドバリアーに何度も叩きつけていた。

 このままだと市街地戦になる――そう思った俺は――。


「セシリアァッ!! 冷静になれッ!! 市街地で戦うことになったら、この事態を知らない一般人に多数の死傷者が出る!!」

「……!? そ、そうでしたわ……!」


 俺の言葉に、ハッとした表情になるセシリアは、バリアーへの叩き付けるような突進を止めると反転、一気に地表へと押し込もうと地表へ真っ逆さまにサイレント・ゼフィルス共々降りていく。


「貴様……」

「危うくわたくしは大変な事態を引き起こす所でした。 ……この場で、貴女にわたくしのBT一号機『ブルー・ティアーズ』の力をお見せしましてよ!」


 地表へと叩き付けられる前に、押さえつけられた両腕を振り払い、その場から抜け出した襲撃者は、セシリアとアリーナで空中戦を広げた。

 美冬達を相手していたビットも、襲撃者周囲に集まり、見ると三機共々エネルギーがほぼ枯渇状態だった。

 そんな中、やっと機雷から抜け出した篠ノ之が一夏の元へと真っ先に駆け寄る。


「一夏、無事か!?」

「っ……情けねぇよな。 守るって言って、結局鈴に守られてばかりで……」

「それはお前が気に止む事ではない。 アイツが勝手に一夏を庇っただけだ」


 二人のやり取りが、傷の舐め合いにしか聞こえなかったが……今はそんな事を気にしてる場合ではない。

 俺はオープン・チャネルを開き、美冬達にダイレクトに状況を聞き出す。


『三人とも、状態は大丈夫か!?』

『機体の損傷は無いよ。 でも、もう戦闘出来るだけのエネルギーは残ってないよ、お兄ちゃん……』

『ごめん、ヒルト。 キャノンボールのレースの最中に襲撃ってわかってれば……』

『村雲・弐式も駄目……。 八式・天乃御柱を岩石破砕に使った時に、かなりエネルギー使っちゃって……』


 美冬、未来、美春の順で報告が来る――正直、まだエネルギーが残っているのは俺と篠ノ之の二人だけだが、篠ノ之は一夏にしか向いていないため、論外だろう。

 ――俺は、推進剤を積んでいたおかげで、まだエネルギーが残っている。

 この状況だと、俺がセシリアの援護するのがベストだ。


『ラウラ、シャル。 セシリアの援護は俺がするから、今は弾の節約を頼む』

『分かった! ――とはいえ、援護可能なのは残り一回が限度だ』


 それだけ牽制射撃をしたのだろう、機体の動きを封じる為にもかなり使っていたし。


『分かった。 ならシャルは引き続きラウラの目の代わりに』

『うん!』


 短くそう返事をしたシャルの言葉を聞き、俺は再度空へと躍り出ると空中戦を広げるセシリアの元へと向かった――。 
 

 
後書き
倒れる辺りはほぼ原作まんま、でも市街地戦にならないのはヒルトの判断( ´艸`)

モッピー知ってるよ。
次の次の話でモッピーが華麗に絢爛舞踏するって事。

    _/⌒⌒ヽ_
   /ヘ>―<ヘヽ
   ((/ ̄ ̄ ̄\))
   /    ) \
  /  | | //ヽ ヘ
  |  ハ | /イ | |
  レ |/ レ| N\|||
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