IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第320話】
前書き
遅れました
ではではどうぞ
放たれた弾丸の雨、八つの装甲脚からはガンスモークが巻紙礼子の周囲とロッカーを覆っていく――。
瞬時に右方向へとクイック・ブーストでその弾雨を回避――アリーナ更衣室の床に弾丸が弾けて散っていく。
「Eランクの癖にこれを避けるとはな! そこそこやるじゃねーか!」
明らかに格下相手と思ってからか、声色に余裕が伺えた。
ロッカーを回り込む様に移動――即座に反応する巻紙礼子は半分の四つの装甲脚の銃口を向けて射撃――その弾丸は俺にかすることすらなく、ロッカーに当たって金属音を更衣室一帯に鳴り響かせた。
そんな中、一夏は――。
「あんたは一体何者なんだ!? 何で白式を狙う!?」
その身に白式を纏った一夏に対して、巻紙礼子は俺に対して射撃を続けながら言い放つ――。
「ハッ! 何で狙うかは言わねぇが――悪の組織の一人だってことは言っといてやるぜ!」
ロッカーを盾に、一旦周囲を確認してると一夏は巻紙礼子の言葉に対して――。
「ふざけてんのかよ、あんたは!?」
端から聞いても悪の組織何て言う相手に、ふざけてるのかと聞くのは正論だろう――だが。
「ふざけてねえっつの! ガキが! 秘密結社『亡国機業』が一人、オータム様って言えばわかるかぁ!?」
射撃が止む――余裕を見せてるのか、頭が弱いのか、自分から名乗る辺りは多分後者だろう――。
「あんた、バカだな? 自分から名乗ったり組織名を言ったり――下っぱか?」
「てめぇ……! 調子にのってるんじゃねぇッ!?」
俺の挑発に、まんまとのせられるや怒りの形相のまま再度射撃を俺に行う。
その間に、巻紙礼子――いや、オータムと名乗った女は完全なIS展開状態に――。
さて、改めて室内戦闘だが、現状だとロッカーが邪魔な為、思ったように天狼は震えないだろう。
疾風に関しては、撃てるには撃てるが効果的かは疑問だし、八式・天乃御柱に関しても狭さ故に性能の発揮は難しい――とはいえ、全く使えないという訳ではないのだが――。
……近接戦闘オンリー――それも、体術メインで戦わないといけないだろう。
そう決めると、直ぐ様ロッカーから飛び出す――。
「ハッ! やっと出てきやがったな!?」
装甲脚の銃口全てが俺に向けられる――刹那、銃口からガンスモークが立ち込め、弾雨が再度襲う――だが。
高周波音と共に、四基だけ起動していた八式・天乃御柱から一斉に放たれるレーザー迎撃――明かりの落ちた更衣室を、レーザー光が目映く照らす。
「何!? 実弾迎撃機能かよ!?」
驚きの表情と共に声が漏れるオータム――幾らなんでも、此方の機体の情報を知らずに来ていたのなら馬鹿確定って奴だな。
一気に懐に入り込んだ俺に、慌てて装甲脚で攻撃しようとするが時は既に遅い――。
「らあぁぁっ!」
「あぐっ……!?」
装甲に覆われた顎目掛けてしゃがみこんでからのアッパー――質量差により、大きく身体が浮き上がるオータム。
「そらよッ!」
「……ッ! ガキがぁ!?」
浮いたオータムに更なる一撃――スラスターを巧みに使い、サマーソルトによる一撃をまたも顎目掛けて食らわせる。
空中で大きく仰け反ったオータムに対して更に連打による攻撃を畳み掛ける。
「ぐぅっ……!? てめぇ……!? 女に手をあげるたぁ上等じゃねぇか!?」
連打から逃れるようにバックステップで距離を離すや、直ぐ様呼び出したマシンガンでの射撃――一々迎撃するのも無駄遣いなので、近くのロッカーを構え、盾代わりに銃弾を防ぎ――。
「ロッカー、くれてやるぜ!」
「……!?」
マシンガンの弾切れと同時にオータムに向かってロッカーを投げ付ける。
驚きの表情を見せるオータムは、マガジンの装填中だった為逃れることが出来ずにもろに直撃を受けた。
「……クソッ! 何て戦い方しやがるんだこいつ……!」
装甲脚でロッカーを押し退けると、不快な金属音が辺り一帯に響き渡る。
「……まだ天狼を使える広さじゃないな」
小さく一人で呟く――一夏の様子も同時に伺うが、逃げる様子もなく、表情からはやはり俺の代わりに戦いたいように見えた。
……確かに、戦わせれば一夏は満足するかもしれないが、だからといってみすみす相手に白式を奪われたとあってはアイツもそうだが学園全体の責任になる。
……それに、この女は【亡国機業(ファントム・タスク)】と言っていた……。
――母さんをつけ狙ったテロリストの一員……私情を挟むわけにはいかないかもしれないが、やはり捕らえる方向でいかなければ……。
それよりも気になるのはさっきから全くチャネル通信が開けない事だ。
……戦闘中に何度か学園側に通信を試みてるのだが繋がらない――何かしらの妨害電波が出てるのかもしれない。
……問題は、こいつから出てる様な反応がないということだ。
――やはり、仲間がこの学園付近に潜伏してるのかもしれない。
「へっ! そろそろ遊びは終わりにしてやるよ!」
考えを払拭し、目の前のオータムに集中する――刹那、装甲脚四基から弾丸を放ちつつ、一気に肉薄してくる。
「おらおらおらァッ!?」
弾丸はその場から俺を逃がさないための牽制に留め、両手に構えた二刀を交互に振りつつ、残った装甲脚による波状攻撃。
その場で斬撃をスウェイしながら避け、四基の装甲脚の攻撃を此方も展開していた八式・天乃御柱四基による近接迎撃で巧みに捌き、隙を見つける度に顔に、胸部に、腹部へと拳で殴り付ける。
その都度、鋼鉄同士のぶつかり合う金属音が響き、衝撃に揺らされたオータムが苛立ちを隠さずに言葉を言い放つ。
「クソッ!! 何で当たらねぇッ!? ランクEの雑魚の癖にッ!!」
装甲脚八基による包囲同時攻撃――だがそれも、間合いを詰め、密着する形で避けると大きく隙が出来た。
――経験値の差では、多分負けてるかもしれないが、残念ながらこいつが直情型なのは挑発した時から分かっていたこと。
更に、言えば格下相手という油断もあるだろう――波状攻撃にしろ斬撃にしろ、攻撃が大振りな為、大抵の生徒ならこの程度捌くのは訳ない。
そして隙が出来れば此方の連打による攻撃――向こうの攻撃は当たらず、此方の攻撃が当たれば心は穏やかじゃないって訳だな、これが。
勿論、テロリストにそんな指摘はしない――油断大敵、油断すれば全てが台無しになる。
密着した状態からの腹部に連打――更に飛び膝蹴りによる一撃を顎に決め、一気に間合いを離す。
「……ッ!? 逃がすかよ、雑魚がァッ!!」
頭に血が上ってるのが丸分かりな程、激情に駆られたオータムは両手にマシンガンを構え、更に八基全ての銃口を此方に向けて一斉射撃。
「…………!!」
前方へと跳躍――一斉射撃を回避し、天井に足をつけ、勢いを付けて頭上へと踵落とし。
衝撃の凄まじさからか、大きく前のめりで倒れ込むオータムに――。
「ガァッ!? ……て、てめぇ……さっきから顔面ばかり攻撃しやがって……!」
右足で大きく顎を蹴りあげ、大きく仰け反るオータム――だが、オータムのそんな言葉は俺には届かない。
仰け反ったオータムに、更に右足蹴り、左足蹴り、更に其処から回し蹴りを頭部に決めると切りもみしながら更衣室の地面へと突っ伏した――。
「ば、バカな……! ら、ランクEじゃねぇ……こいつの強さ……!?」
「は? ……何言ってるんだ? 残念だが、俺は何度調べてもランクEだぜ?」
「……う、嘘をつくな!?」
「嘘じゃない。 ……何度調べても、変わらないからな。 ……てか、この程度か、ご自慢の【亡国機業が一人、オータムさん】?」
「…………ッ!!」
突っ伏した状態からの装甲脚による攻撃――横に避けると共に、装甲脚一基の関節部に一撃を加えると、脆い部分だったのか一撃で装甲脚一基が使用不可能になった。
その様子を見たオータムは、少しだが狼狽えているのを俺は見逃さなかった……。
後書き
無双気味?
まあヒルトペースってやつですな
批判あればどうぞ
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