中学剣道少女~恥ずかしい穴まで身体検査~
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第2話「世にも屈辱的なドーピング検査」
大会当日を向かえた。
麗華は部員達と共にバスへ乗り込み、顧問の隣で静かに瞑想する。それぞれの部員は竹刀をしまうための刀袋を持ってきており、抱くようにして抱えている。
麗華も体操着のシャツに短パン姿をして、肩にかかるようにして刀袋を抱いていた。すぐに剣道着へ着替えるため、選手はあらかじめ体操着かまたはジャージを着てきている。
今日の相手は以前も勝ったことのある学校だが、だからこそ向こうも対策を講じているだろう。一体、どのように自分達を対策してくるだろうか。
目を瞑り、麗華は思考に集中する。
「麗華」
顧問の声がそれを遮った。
「何でしょう」
「今回の大会、お前はドーピング検査の対象にされている」
「ドーピング? どういうことですか」
麗華はキリっと目を細めた。
ドーピングなど、全く縁のない話だ。そんなことなどしなくとも鍛錬を積めば済む話だというのに、そもそも中学生がどこでドーピング剤など手に入れれば良いのか。
「麗華、お前は強すぎた。誰かが言いがかりをつけ、クレームを受けた運営側は対応せざるを得なくなった」
「納得のいかない話ですね」
「ま、これもお前の強さの証拠だ」
顧問はそのまま腕を組み、眠るかのように瞼を閉じた。ただ瞑っているだけなのか、それとも眠りでもしているのか。見た目には判別がつかない。
「わかりました。ならば潔白を証明した上で勝つまでです」
バスが到着し、麗華らは順々に降り立つ。
ドーム型の会場入り口へ向かって受付を通り、麗華達は選手が控えるための控え室へ向かった。着替えをしまうためのロッカーが並び、その中央には長椅子が用意されている。麗華はそのロッカーの一つに荷物をしまい、もう一度受付へ向かった。
「黒崎麗華です。私が検査対象になっていると聞きましたが」
「はい。少々お待ち下さい」
受付嬢は営業スマイルで対応し、内線電話を通じて関係者と連絡を取り始めた。しばらくすると、「ただいま担当者の方がやって来ますので」と告げられた。
そして、現れたのは……。
「あなたは――」
その見覚えのある顔に麗華は目を丸めた。
「数日ぶりになりますね。黒崎麗華さん」
その男は、麗華に身体検査のお願いを申し付けてきたあの医者であった。病院でもないのに白衣を着ているので、この受付広場の中では少々浮いている。だが、本人にそれを気にしている様子はなかった。
「あなたがドーピング検査を?」
「その通りです。方法はご存知ですか?」
医者はいやらしい笑みを浮かべる。
腹の底で何かよからぬことでも企んでいる予感がして、自然と警戒心が湧いてくる。この男は危険だと、麗華は本能的に感じ取っていた。
「いいえ」
「ドーピング検査というのは、要するに尿検査です。尿を調べることによって、薬物などの反応を調べます」
「尿検査?」
「はい。学校なんかでは、家で取ったものを持ってきて提出なさりますよね?」
麗華は頷いた。
それ以外のやり方など聞いたことがないが。
「ここでは何か特別な方法でも取るのですか?」
「その通りです。詳しくはのちほど説明するとして、まずは尿意がなければオシッコは出ませんよね」
「ええ、まあ」
答えつつ、麗華は顔をしかめた。
一般の人も観戦に来ているのに、あまり大きな声で尿の話はしないで欲しい。近くを横切った男など、『オシッコ』という単語を聞いて麗華を振り返っていた。一体どんな話題を交わしたのだろうと、勘繰られているかもしれない。
「水を用意しますので、オシッコが出そうになったらお伝え下さい」
わざと大きな声を出しているのだろうか。
聞こえる範囲にいた通行人が、チラチラと麗華を伺う。単語を聞かれただけならまだしも、今の台詞をみんな聞き取られては怪しい関係を勘繰られる――のではないかと不安になってしまう。考えすぎだろうか。幸い相手は白衣なので、医療関係の話題だと思ってもらえればいいのだが……。
医者は麗華を待たせて一度立ち去り、水を入れた紙コップを持ってくる。少し水分を摂った程度ですぐに出る気もしないのだが、ないよりマシだろうと麗華はそれを飲み干した。
そして――来た。
想像していたよりも遥かに早く、下腹部の内側から尿意が湧き出し溜まっていく。みるみるうちに我慢の限界に近づいて、麗華は内股をきゅっと引き締めた。
「もう、出せます」
尿意があることを宣言するのだ。
恥ずかしい台詞を言わされているようで、少しばかり声が縮んでしまう。
「利尿剤が効いたようですね。オシッコが出そうですか?」
そんなものを入れていたというのか。すぐに採取する必要があるのだろうが、薬が入っているならいるでその事を伝えてくれないのは失礼ではないのか。
嫌な声の大きさも気になるが、聞かれたことには答えるしかない。
「はい」
「わかりました。もう一人担当者がいるので、お待ち下さい」
「…………はい」
どれほど待たされるのだろうか。
早くしてくれないと、永遠には我慢できない。強くなる尿意に対抗するため、麗華は太ももを摺り合わせるようにして力を加えていた。そうしていなければ、我慢の限界がより早まってしまいそうな気がしていた。
担当者の男がやって来る。
「お待たせしました桑原先生」
「いえいえ、検査はこれからですから」
やって来たはいいが、二人は麗華の前で社交辞令を交わし始める。そんな挨拶ばかりしていないで、早くトイレへ行かせて欲しい。
「では行きましょうか。麗華さん」
担当者はカメラと尿ビンを手に持っていた。
何故コップではなく尿ビンなのかは気になるが、尿の採取に使うものだからいいだろう。わからないのはカメラだ。そんなものを一体どこでどう使うつもりなのか。麗華の胸には不安がよぎり、そして限界近い尿意が麗華を苦しめる。
「そうですね、早く致しましょう。あまり待たせては、彼女はオシッコが我慢できなくなりそうですから」
「……っ!」
医者の言葉に麗華は歯噛みする。
わざと言ったに違いないので、いつもの麗華なら確実にそのあんまりな態度に不快を示していた。大人が相手だろうと堂々と注意してたしなめてやりたいところだが、尿意のせいでそんな余裕がない。
二人の案内に導かれ、麗華は女子トイレへ到着した。
「では検査を始めますよ」
と、担当者。
担当者は麗華の肩を抱くようにして女子トイレへ入り込み、医者もまるで当然のようについて来た。
「あの、これはどういう……」
女子トイレだというのに、あまりに堂々と男が入ってきている。
「オシッコはワタシ達の目の前で出して頂きます」医者は語り始める。「確かに君自身の尿を採取した事を確認するため、放尿のしている瞬間を観察し、記録に残す必要があるのです」
「そ、そんな……」
非人道的だ。
こんなことがあっていいのだろうか。
「言っておくけど、検査を受けないと大会には出場できませんよ?」
担当者が無情に追い詰めてくる。
「何故私をこんな検査に」
「麗華さんのあまりの実力に疑問を持って、言いがかりをつけた人がいたんですよ」
「だからといって、これは――」
麗華は女子トイレにまでついて来た二人を交互に見る。担当者の持つカメラを目にかけ、顔を背けた。
「ま、そりゃドーピングなんてありえないでしょう。それでも対応せざるを得なかったのは申し訳なく思っていますが、潔白を証明した上で勝ちあがれば誰も同じことは言えなくなります」
それでも、放尿を撮影されるなど耐えられるのだろうか。肉体の強さならいくらでも鍛えてきたが、羞恥に耐え抜ける自分となると想像できない。
「さあ、早くしませんと中学生にもなってお漏らしをすることになりますよ? ほら、早くすっきりしたいでしょう?」
医者の笑みはいやらしく麗華を向く。さきほどから、明らかに人を貶めたくて仕方がないように見える。しかし、やはり注意したり怒りを示す余裕もなく、武道で鍛えた精神でもって堪えることしか麗華にはできない。
明らかに納得のいく扱いではなかったが、大会出場がかかっていることもある。ここで下手に反抗するのは得策じゃない。
ここは屈辱を噛み締めるしかない。
覚悟を決めて耐え忍び、抗議は後から行うのだ。
少女に対してここまで気遣いのない態度を取るようでは、今後もこの医者はあらゆる女の子を辱めかねない。
「……わかりました。早く検査をしてください」
医者は口元を大きく吊り上げ、不快な笑顔を向けてきた。
「では個室の戸を開きますので、まず便座の前に立ってください。全員で入ると狭くなりますから、戸は開いたままにさせて頂きます」
従う麗華は決壊直前になっており、太ももを引き締めるどころか手で股を押さえている。肩を小さく丸め、腰をくの字に折り、いかにもオシッコを我慢しているような彼女の姿には、剣道部最強としての威厳などありはしない。
あまりに情けない姿を晒しているようで、麗華は悔しさに歯軋りする。
担当者は出入り口に『清掃中』と書かれた看板を置き、一般人の出入りを防ぐ。そして尿ビンを医者へ手渡し、担当者は持っていたカメラを構えた。
動画の撮影が開始され、放尿を堪える麗華の姿が綺麗に映る。担当者は全身を捉えつつ、我慢している彼女の表情をズームし、そして顔から足までを順々に映した。
「では、これより黒崎麗華のドーピング検査を開始致します。麗華さん。カメラに向かって挨拶をして下さい」
撮られるだけでも嫌なのに、そんな事までさせられるのか。
麗華の表情は屈辱に歪んだ。
「――黒崎麗華です」その声は悔しさに震えている。「これからドーピング検査を受けて不正のないことを証明します」
カメラには麗華の屈辱の浮かんだ表情が映る。
「それでは気をつけをしなさい」
「はい」
麗華は両手を横にし背筋を伸ばした。同時にカメラのピントが調整され、全身が画面に収まる。医者はカメラを配慮して、麗華の脇側へ寄っていた。
我慢するのが大変だから足を締めて力を入れていたのに、早くしてくれないと本当に洩らしてしまう。カメラの前でそんな失態を犯すなど恐ろしすぎて、焦燥に攻め立てられた。
「では短パンをゆっくりと下ろします」
医者は麗華の後ろへ手を回すようにして、ゴムに指をかける。白いパンツが顔を出し、眩しい太ももがみるみるうちにあらわにされていく。
乙女としては決して見せたくない純白の下着が、こんな嫌な男の手によってだんだんと晒されているのだ。しかも記録まで撮影されているので、悔しさの気持ちは限界なく膨れ続ける。
膝の下まで下がったところで、ようやくその脱がせる手は止まった。
麗華は頬を熱くしながら、唇を噛み締めた。
一秒でも早く終わって欲しい。
しかし、それなのに医者はゆっくりと動く。
「おや? パンティーには既にオシッコの染みが出来始めています」
パンティーという言葉の選択もわざとなのか。
最悪の指摘をされ、麗華は耳まで赤くなった。
担当者はすかさずカメラを操り、言葉を投げかけられた瞬間の麗華の表情を収めている。続いて股間をアップするべくカメラを近づけ、白い布地についた水分のシミをしっかりと画面にいれた。
もう駄目だ――。
ズームされたパンツの股間には、ほんの少しずつだが濡れ染みが広がっている。水分のためか布地は皮膚に張り付き、卑猥な縦筋をくっきりと浮き上がらせていた。
自分のアソコにカメラのレンズ――想像しがたいほどの恥ずかしい状況なのに、麗華には耐えることしか許されない。
手が自然と動いて、体操着の裾を伸ばしてパンツを隠そうとするが、医者はその手をはたいて注意する。
「勝手に動かないようにお願いします」
「なら、早く済ませてください……!」
声を荒げることが唯一できる抵抗だった。
「ではパンティーをゆっくりゆっくりと下ろします」
やはり医者はスローモーションのようにパンツを下げ出す。生えかけの細い恥毛の一帯が少しずつ覗けいき、あらわにされる。性器にカメラを近づけられ、麗華は二人と目が合わないよう横を向きながら必死で耐えた。
麗華のソコは細い毛並みをしており、黒といより灰色の草原が広がっている。肉貝はぴったり綺麗に閉じており、色白で若く初々しい。色素の黒ずみが一切ないその場所は、間違いなく麗華の聖域だった。
やっとのことでパンツが膝まで降りる。
女の子にとって一番大事なものさえ撮影され、麗華は自分が涙目になりそうなのを感じた。目元が潤み、あまりのことにいつ滴が頬をつたってもおかしくない。こんな部分を撮られ、泣きたい気にさえなっている自分の姿も信じたくなかった。
それだけではない。
「おや? 垂れてますね」
医者のわざとらしい言葉に打ちのめされ、麗華は恥辱のより深くへ叩き落された。
神聖なる乙女の秘所からは、我慢しきれない尿が一滴ずつ垂れているのだ。まるで締まりきっていない蛇口のように、ポタリポタリと膝に脱がされたパンツを濡らしていく。ごく少量であるが、それは確実にお漏らしだった。
当然のようにカメラを近づけられ、垂れていく瞬間の映像を捉えられ、もはや全力で逃げ出したいほどの思いにかられていく。大会を捨てても逃げたほうがマシだ。と心のどこかで思ってしまう自分がいる。
……だが、それでも大会を勝ち上がるために努力してきたのだ。きっと、今年は今までより強くなった強敵が集まっている。
優勝のためだと心で必死に言い聞かせ、途方もない悔しさと恥ずかしさを麗華は堪える。
「では、このまま足をできる限り開きなさい」
それでは、漏れる危険が高まってしまう。
股の内側の筋肉を硬直させ、腹部に力を入れながら、麗華はとにかく漏らさないようにと足をずらした。直立のまま逆V字の開脚をしたことになり、一層性器が覗きやすくなる。
「尿ビンをあてがいます。容量は大きいものにしてあるので、この中に全て出し切りなさい」
とうとう放尿を許される瞬間が訪れた。
尿ビンの口は陰部のぎりぎり、接触しそうでしない絶妙な距離へ添えられる。
やっと我慢から解放されるのだという安心はあるが、それ以上に男二人の前で脱がされた挙句、この尿の出る瞬間こそを記録に残されるのだ。カケラ程度の安心の気持ちなどないも同じで、麗華が感じているのは結局のところ屈辱と悔しさばかりである。
綺麗な乙女の貝殻の隙間から、黄色い聖水が放たれる。
ジョォオー……。
地味な水音が響く中、カメラ画面には尿を打ち出しているアソコが鮮明に映されている。しばしその様子を撮影し、担当者はズームアウトで全身を映す。股に尿ビンをあてがわれ、あまつさえ放尿している少女の有様を記録に残した。
素晴らしい瞬間である。
無言になりきった麗華の表情をズームすると、その顔を逸らし気味にして頬を染めているところから、いかに恥ずかしがっているのかが見て取れる。
それらを意識して撮られていることに気づき、麗華はさらに顔を逸らした。
「顔まで撮らなくてもいいのでは」
ジョロジョロ音を立てながらも、麗華は言う。
担当者の言い分はこうだった。
「本人の尿であることを証明するために記録を取ってるんです。一度も顔を映さないってわけにはいかないんですよ」
「くっ…………」
理不尽なことだが、そう言われれば黙るしかなかった。
放尿の威力が弱まり、やがて全てが出し切られる。その頃には尿ビンにはたっぷりと黄色い液体が溜まっていて、容器全体が生温かくなっていた。
しかし、医者は麗華に安心を与えるまもなく言ってくる。
「終了の指示が出るまで、勝手に動かないで下さいね」
前もって釘をさされ、もうパンツを履きなおすつもりでいた麗華は固まった。
「では拭き取ります」
医者はトイレットペーパーを切り取り四角に畳む。
「そんなことまで……! せめて自分で拭かせてください!」
「駄目です。検査はきちんとしなくてはいけません」
麗華の意思が尊重されることはない。
どう考えても自分でやれば済むはずの行為なのに、医者は恥丘に残った水分を拭き取り始めた。あてがわれた紙で大事な部分を摩擦され、まるで幼児と同レベルの扱いでも受けているようで、麗華はひたすら唇を噛み締める。
「それでは、パンツを履きなおしましょう」
履き直す行為さえも医者の手によって行われ、膝に下げられたパンツをずり上げられた。ようやく下腹部を隠せる安心よりも、他人の手で着替えをさせられている屈辱が大きく、それでも逆らうわけにはいかず、できることといったら医者や担当者を睨んでやる程度だった。
短パンを履き直させられ、やっとのことで検査が終了する。
やはり終わりへの安堵などより、屈辱の時間を過ごす羽目になった悔しさが大きい。脱ぐのも履くのも他人の手で、しかもアソコまで拭かれた。こんな想像しがたい行為を撮影されるなど、麗華は今の自分をどこか別の他人と思い込みたくて仕方がない。
「さあ、わざわざ検査をしてくれた医師の方にお礼を言いなさい」
担当者が命じてくる。
普通なら麗華の方が金を取れるほどのことをしているのに、どうして自分がお礼を言う立場になっているのだろう。
「…………」
黙っていると、担当者が声を荒げる。
「ほら、早く言いなさい!」
ただではおかない。
配慮がないばかりか辱めさえしてくるこんな連中、絶対に抗議して問題にしてやる。放っておけばどこかで同じことを繰り返しかねない。何より、自分にこんな思いをさせた二人を麗華は許すことが出来ない。
「……ありがとうございました」
震えた声で礼をして、早足で早々にトイレを出た。
*
試合には勝てた。
昨年も出会った相手と再戦になり、以前にも増して力をつけた相手に苦戦した。麗華といえば試合中に検査のことがフラッシュバックしないよう必死に集中し、それでも身体に染み込みさえしている屈辱感に調子を狂わされた。
どうにか一本を取はしたが、検査のせいでモチベーションが落ちたのは確実だ。麗華としては仮に負けても言い訳などしたくはないのだが、だからといってあの二人を糾弾しないわけにもいかない。
彼らに抗議を、あの事を問題に――。
試合後、麗華の頭はそればかりになっていた。
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