中学剣道少女~恥ずかしい穴まで身体検査~
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第1話「剣道少女、麗華」
女子中学生の中で、彼女は最高の少女だった。
剣道部の道場で勇ましく竹刀を振るい、「やー!」と声を張り上げながら次々に男達の面を打つ。彼らに反撃の暇はない。立ち会ってから試合が開始される瞬間には、もう太刀が放たれているのだ。
彼女に勝てる男は一人もなく、女の子でありながら最強を誇っていた。教師から聞いていた通り、確かにとてつもない力を持っているらしい。
彼女が剣道着の面を外すと、凛とした顔つきが現れた。細くキリッとした眼差しはまるで何かを射抜くようで、とても鋭い。蕾のような唇には色気があり、潤いでプルっとしている。柔らかそうな頬はきめが細かく真っ白だ。
頭に巻いていた布を解くと、黒髪のポニーテールがはらりと垂れ下がる。まるでオイルでも塗ってあるかのように艶やかな光沢を放ち、角度によっては青っぽくも紫っぽくも見える。単なる漆黒とは違う華麗な色合いだ。
剣道着の下の体つきも見てみたい。
が、今は脱いでくれないようだ。
「どうした? みんなだらしないぞ?」
彼女は部員達に向かって呼びかける。竹刀で打たれた男子達はすっかりバテており、厳しい練習の中で体力が有り余っているのは彼女だけであった。
疲弊しきった部員の群れの中央に一人立つ彼女の姿は、さながら襲い来る兵団を殲滅した女剣士のクイーンだ。
「……もうみんな立てませんよ」
部員の一人が言う。
「いくら大会が近いからって、俺らもう限界です……」
かろうじて声をあげた二人の部員は、力尽きて倒れ込む。
周りの部員も今にも倒れそうな状態にあり、彼女は仕方なさげなため息をついた。
「まあいい。そろそろ休憩にしよう」
部員たちはその言葉に心底ホッとしているようだった。彼女に散々にしごかれ、体力を使い果たしていたのだから当然だろう。
しかし、彼女だけは一人素振りを始め、休む気配が微塵もない。
「あのぅ、少しは体を休めた方が……」
一人が心配して声をかけるが、彼女は言う。
「まだまだ。自分に休息を許せるほど私は疲れていない」
声をかけた一人は諦めて離れていき、みんなと水分を補給する。それをよそに、彼女はひたすら素振りを繰り返しいた。
彼女の名は黒崎麗華。
中学三年生にして剣道部の部長を務め、最強の女剣士としてその名は知られている。目にも止まらぬ体さばき、何者をも切り裂く力強い剣、他を寄せ付けぬ絶妙な技巧は誰もが恐れ敬っている。
そういう女こそモルモットに相応しい。
各部活の様子を見学していたワタシは、彼女を呼び出すことに決めた。
――発育身体検査。
それは少女達の発達具合を隅々まで調べ上げる検査だ。普通の身体測定とはわけが違い、それこそ頭のてっぺんからつま先まで、耳の穴から尻の穴まで調べつくす。そこに羞恥心への配慮など存在しない。
乳房、性器、ヒップの発育状況、その他もろもろの肉体にまつわるデータは医学の発展に欠かせない。年代ごとの体つき平均数値は、医療の上で大事な指標となることがしばしばあるのだ。
通常の身体測定でなら、女の子の羞恥心に配慮している。
学校にもよるのだが、胸囲測定は行わず、内科検診での聴診は下着や体操着の上からとされている。背骨の歪みを調べるモアレ検査では、上半身裸にならなくてはいけないことから、前を隠すためのエプロンが用意される。あるいは、モアレ検査自体が実施されない。
少女に恥ずかしい思いをさせる検査は減ってしまっている。
だが、決して滅ぶことはない。
今でも年頃の女の子を羞恥に貶め、辱めるイベントは行われている。
――それが発育検査特別指定の規則だ。
学校の中には医療学会と契約を結び、生徒を発育検査へ差し出すという規定を盛り込んでいるところがある。医学の発展に貢献するため、そして契約金の報酬を得るため、ワタシが来ている中学校は気に入った女の子を指名しても構わないと言ってくれた。
あまり多人数を辱めては検査を問題視されてしまうので、検査対象は少数に絞る。一度に数人調べることもあるが、今回は一人の少女を集中的に恥ずかしがらせる。
ならば、選ぶのは黒崎麗華をおいて他にはいない。
ワタシが学校側に彼女を要求し、後日、本人との話し合いが行われることとなった。
指名が可能とはいっても、その先には本人や保護者の同意を得るという壁がある。それを乗り越えなければ、麗華に恥ずかしい検査をしてやることはできないのだ。
コンコン、
「黒崎麗華です」
戸を叩く音と共に、彼女の済んだ声が聞こえてきた。
学校終了、放課後。
ワタシは指導室に話し合いの場所を取り、やって来た麗華と向かい合わせの形で椅子に腰かけた。テーブルを挟んで向き合っていると、視線の鋭さに射抜かれそうな心地になる。
全く、このワタシの邪心を見抜いてやいないだろうか。
「ワタシは医師を務める桑原拓也と申します」
と、丁寧に名乗る。
セーラー服を着た彼女は美しくも可愛らしい。頭の高い位置で結ばれたポニーテールがサムライ少女の雰囲気を出しつつも、衣服越しに伺えるボディラインからは少女ながらの色気がムンと出ていた。
服の白い布越しに、ピンクの下着が薄っすらと透けている。意外と大きな胸をしており、入室時に見えたスカートから足首にかけてのラインもすらっとしていた。
人体に詳しい医師としての経験が、ワタシの脳裏の彼女の体つきを明瞭にイメージさせてくれた。胸とお尻はほどよく膨らみ、くびれは芸術的な曲線を描いている。太ももから足首にかけての線も実に綺麗に整っており、欲望を掻き立てる肉体としては百点満点だ。
「医師ですか?」
麗華はきょとんとした。
おそらく彼女は担任から指導室へ行くように言われているはずだが、誰に何の用で呼び出されたかまではわからずにいたのだろう。行ってみれば教師ではない男がいて、誰かと思えば医師と名乗ったのだ。それは「え?」ともなるのかもしれない。
「私に何か病気でもあるのですか?」
そう捉えるのが自然だろうか。
「いえ、そうではありません。あなたを呼び出した理由というのは、医師として少し検査に協力をして頂きたいと思ったからです」
「検査? どういうことですか?」
「医学のため、中学生少女の平均指標を作るため、あなたの身体的データを取らせていただきたいのですよ」
麗華は怪訝な顔をした。
「より厳密な身体測定、ということですか?」
「そうですね」
「お断りします」
即答だった。
普通なら多少は迷う素振りを見せるはず。そもそも、大人からの頼み事となれば、子供の立場では心理的に断りにくいものがあるはずだ。
にもかからわらず、あまりにもきっぱりとした答えだった。
逆にこちらの方が驚いた顔をしていたかもしれない。
とはいえ、今までこの検査を受けた少女は断りきれない子や騙された子が大半だ。より厳密な身体測定と聞いて、麗華はすぐに検査内容への警戒を抱いたのだろう。
「……そうですか。これは報奨金の出る話なのでしたが、それは残念です」
「報奨金?」
金に反応を示したのだろうか。
「ええ。何しろお時間を頂いた上でデータを取らせてもらうのですから、相応の報酬が支払われます。気が変わったりは致しませんか?」
試しに美味しい部分をチラつかせるが、麗華の怪訝そうな顔つきに変化はない。
それどころか――。
「ありえませんね」
またもきっぱりと話を蹴られた。
彼女は続ける。
「私には剣道の全国大会が控えています。勝たなければならない相手と戦うため、日々の鍛錬は欠かせません。今こうしている時間さえ勿体無いくらいなんですよ」
なるほど、時は金なりか。
鍛錬の時間とやらを少しでも削られたせいで、どうやら敵意を向けられてしまっているらしい。あえて苛立ちを表に出しているのも、「さっさと用事を済ませろ」という遠まわしなメッセージなのだろう。
これでは引き下がる他はない。
「わかりました。お時間をお取りして申し訳ありません」
「では失礼します」
彼女は礼儀正しく頭を下げてから退室する。
「やれやれ、あれでは交渉の余地もない」
しつこくする手もあったが、おそらく麗華が相手では食い下がれば食い下がっただけ苛立たせるのが落ちとなり、良い結果には繋がらない。
諦めて他をあたるか、はたまたは何か手を打ってみるか。
さて、どうしたものか……。
*
黒崎麗華の家は大家族である。
麗華を長女として、その下には四人もの弟と妹がいる。小学六年生になるアキラ、三年生のアケミ、一年生のユウヤ、まだ幼稚園のショウコに父と母、麗華を含めたら合計七人で暮らしている。
このご時勢での大家族では、当然余裕があるとは言いにくい。切羽詰った家計の中でやりくりして、なおも節約を強いられる。テレビは一日二時間までと決まっているし、風呂も何三十分以内に出るようにと決まりがある。電気やガスのつけっぱなしにも厳しく、水道の出しっぱなしももってのほかだ。
それくらい、ギリギリの生活をしている。
それでも大会になれば交通費を割いて応援に来てくれるのだから、中途半端な試合などできるはずがない。日々の鍛錬は決して欠かさず、みんなに勇士を見せてやらなければならなかった。
医師の桑原拓也に呼び出しを受けたのはそんな中でのことで、断る以外の選択は全く頭になかった。
ただ、報奨金の話だけは引っかかっている。
それさえあれば、この切羽詰った家計への足し程度にはなっただろうか。
そんな考え事をしながらも、麗華は庭で素振りを続ける。いくら部活での練習をこなし、男の力さえ凌駕しても、まだまだ自分に納得できない。凄腕として評されてはいるが、麗華を追い抜こうと努力する者だっていくらでもいる。慢心している暇などないのだ。
麗華はゆっくりと目を瞑り、戦う敵をイメージする。相手がどう立ち回るかを思い描きながら足捌きを踏み、隙を見つけて面を打ち込んだ。
こんなものでは駄目だ。
大会には多くの強敵がいるというのに、この程度の実力ではすぐに追いつかれる。そして、きっとどこかにいるでろう自分より強い相手には追いつけない。もっと、もっと、今以上の力をつけなければいけないのだ。
残像の出るほど素早い敵の動きをイメージし、どうにかそれを受けきってみる。防御はできるが、反撃の隙が見つからない。
まだまだ、自分には倒せない相手がいるはずだ。
もし信じられない強さを持ったライバルが現れた時、どれだけの力があれば渡り合えるだろう。
「姉ちゃん? そろそろご飯」
弟のアキラに呼ばれ、麗華はようやく練習を中断する。
一家でテーブルを囲んだ食事を取り、入浴のあとで筋力トレーニングをしてから布団に潜った
夕食は質素な節約料理だった。
作ってくれた母親は自分の分を少なめにし、子供達が多く食べられるように気を使っていた。
父親は遅くまで仕事をしているので平日は顔を合わせないが、休日の疲れた顔からどれだけ働いているのかは想像できる。
いつか、この家を楽にしてやれるだろうか。
報奨金という言葉が頭をかすめる。
だが、あの話はもう断った。
これ以上気にしていても仕方がない、
やがて麗華は眠りに落ちていき……
その早朝、五時に起床した麗華はジャージに着替え、ジョギングに出た。
朝は涼しい。陽射しの弱い時間帯に体で風を切っていると、体の表面が涼やかになる。早朝のジョギングはいつも気持ちが良く、日々の鍛錬の中でも心晴れるメニューだった。麗華は一時間かけて住宅や公園のあいだを走り回り、最初の玄関に戻る。
部屋に戻るとセーラー服に着替え、麗華は早々に学校体育館へ向かった。
そこには既に数人の部員が集まっており、それぞれの練習に励んでいた。
後輩は三年生である麗華に気づいて大きな挨拶をし、円で囲むようにして麗華の周りに集まっていく。
「それじゃあ、今日の練習は――」
朝のメニューを告げ、それぞれの部員を打ち合いの練習につかせた。
麗華は後輩の中でも一番強い男子生徒を相手にしたが、激しい足捌きからなる連続攻撃を全て受けきった。ほんの少しの挙動からでも、相手がそこからどんな動きをしてくるのか、どういう仕掛け方をするのかが何となくイメージできてしまう。
十手も二十手も先を読める麗華にとって、いかに強い後輩でも相手にならなかった。
麗華はある一瞬の隙を見極める。相手の面打ちに向けて自分の竹刀を打ちつけ、さらに重心を相手へ押し付けるようにして弾き飛ばす。相手が後ろへよろめくところへ、即座に突きを入れて一本取った。
まだまだ、これでは鍛錬が足りていない。
もっともっと強くならなければ――。
*
「――自分に甘い人間ほど弱さに溺れる。どうして強敵ごときに恐れをなすのですか? 勝てない相手がいるのなら、それ以上に力をつければいいはずです」
一年生だった当時、黒崎麗華は先輩へ向けてそう語ったらしい。
これは顧問から聞いた話だ。
かつての剣道部は弱小で、全国大会など夢のまた夢だった。一度は都大会までは進んだものの、都大会の時点でも高いレベルについていけず、あえなく敗退している。一つ上へ行っただけで化け物がいたのだから、全国大会は魔物の巣窟に違いない。そう感じた昔の先輩達は戦意を喪失して、やる気を失ってしまっていた。
地区大会までならともかく、それ以上の大会のレベルはよっぽどのものらしい。
しかし、そこへ新入生当時の黒崎麗華が現れる。
彼女はやる気のない先輩に腹を立て、こう言い放った。
「ならば全国の常連である隣の中学に殴り込みます。もし私が負けることなく帰ってこれたなら、もう一度頂点を目指すと約束して下さい」
そして、大きく出た言葉通りに麗華は実際に強豪校へ挑戦する。道場破りのように勝負を挑み、エースを相手に全勝した。同じ一年や一つ違いの二年生にはまるで苦戦せず、三年の男子が出てきてようやく少しは苦戦する。だが、それでも最後には麗華が勝ちを取り続け、圧倒的な実力を見せ付けた。
黒崎麗華がいれば全国にいけるかもしれない。
大きな力が味方についたことで、先輩達は再び心に火を点した。一年などに負けていられない。先輩らしいところを見せてやる。熱い気持ちで鍛錬を積み、念願の全国優勝を果たしたのだという。
そんな麗華にこそ部長の座は引き継がれ、彼女は三年生の先輩として自分なりに後輩を導いている。
剣道部の大将にして最高の実力者、黒崎麗華とはそういう女であり、強くなるためなら妥協や甘えを許さない。やる気のない人間を見れば先輩であろうと叱りつけ、志ある後輩ならばどこまでも導いていく。
何につけても麗華は努力家だった。
日々の鍛錬を一切欠かすことなく、地道に力をつけ続ける。他人の怠けには厳しいが、自分自身に対してはそれ以上に厳しい。剣道ばかりか勉学でも努力を怠ることは決してなく、だから成績も非常に良い。
全国大会が終わればあとは受験が控えているが、麗華ならば推薦で偏差値の高い高校へ送り出せる見込みだそうだ。
そんな麗華だからこそ新入生だった当時から高い実力を備え、今では全国の覇者としてその名を知られている。
もうじき始まるという全国大会で三度目の優勝が期待されるのも、ごく自然ななりゆきにすぎなかった。
とんでもない子供がいたものだ。
もちろん、そこがいいわけだが。
「大会の日程は来週となっています」
彼女の担任は剣道部のスケジュールを教えてくれた。
「ふむ、来週ですか……」
ワタシはしばし思案する。
昔からこの町の病院に勤め、校医として学校の健康診断なども受け持ってきた。内科検診はもちろん、心電図検査や提出されたギョウチュウ検査シートの測定、尿検査の尿の測定なども経験している。
そんなワタシは医学会から発育検査の任を命ぜられており、年頃の少女の身体を隅々まで調べてデータとして提出しなければならない。
美味しい仕事と思って喜んで引き受けたが、あくまで黒埼麗華にこだわっていては提出期限がギリギリになってしまう。仕事として、それは当然よろしくない。他の少女に目星をつけた方が利口ではあるのだが……。
それでも、麗華の肉体が惜しいと感じてしまう。
「期限が迫っているのですよね?」
「ええ、来週になるとギリギリですね」
「他の子には目星をつけていないんですか?」
「一応、検査対象にしてみたい子は他にもいますが……」
やはり、本能が麗華を検査したいと叫ぶ。
担任はそれを読み取ってか、ワタシに対して何やら思案した。
「実は自分もあの子の肉体に興味があります」
何という教師だろう。
と思うが、ワタシに人の事は言えない。
「といいますと?」
「もちろん生徒に手を出すことはしないんですが、胸も膨らみだす頃ですからね。綺麗な子の体つきには目がいってしまいますよ」
「我々も男ですからねぇ、仕方ありません」
「ですな」
冗談のように言い交わし、お互いに笑い合う。
「そこでです。桑原先生――黒崎麗華は全国大会に出るわけです」
「ええ、何度も聞きました。素晴らしいものです」
「そう。全国です。ならば、あなたにできることが何かあるのでは?」
「ワタシにできること。ふむ――」
一瞬、彼は何を言っているのだろうと思った。
あからさまに『大会』を強調してくるので、そこにどんな意図があるのだろうと読みかねていた。
しかし、私は気づく。
確かにあるのだ。
医師であるワタシにこそできることが――。
だが。
「――いえ、先生。一つ問題があります」
ワタシは行った。
「何でしょう? 桑原先生」
「オリンピックくらいの大きい大会でなら、確かに『ソレ』は行われています。ですが、今回の大会は全国とはいえ中学生が出場するものです。果たして、我々の思惑は叶うものなのでしょうか」
ここまで語ると、担任はニヤリとする。
何か対策があるとでも言うのだろうか。
「お任せ下さい。例はあります。私が大会運営に掛け合います」
「あなたが、ですか?」
果たして問題にならないのだろうか。麗華の所属する学校側から、それも担任が『ソレ』を行うように掛け合うなど、うちの生徒を疑って下さいと言うようなものだ。そんなことをして大丈夫なのだろうか。
「大丈夫です。言い回し次第で何とでもなりますよ」
担任はほくそ笑む。
「そうでしょうか」
「実は運営者の中に知り合いがいましてね。彼も中学生の女子に興味を持ってるんですよ。ねえ、何とかなりそうでしょう?」
なるほど、根回しに心配は必要なさそうだ。
子供相手に『ソレ』を行うのは問題、という考えもあるが、逆に言えば相手が子供だから押し通してしまえるとも言える。
ならば、建前を付けて押し通すつもりなのだろう。
「あなたは素晴らしい教師です」
ワタシは担任を褒め称えた。
「あなたこそ、素晴らしい医師ですよ」
「先生やあなたのその知り合いという方にも、必ずや良いものをお見せします」
「約束ですよ? 桑原先生」
「もちろんです」
ワタシと担任は握手を交わし、結んではならない協定を結んだ。
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