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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第315話】

 再度学園内に入り、未来が待つ廊下へと向かう――と。


「未来、待たせたか?」

「え? ううん、時間ぴったり。 ……大変でしょ、私たち五人を相手にするのって」


 気遣うように未来は言うと、軽く覗き込む様に見上げてくる。

 相変わらず、スペックの高い顔だなと思う反面、絶対アイドル活動的な事をさせるわけにはいかないと思った。

 ……というか、何でわざわざ代表候補生がモデルやアイドルみたいな事をしないといけないのかがわからん。

 ……てか今はそんな考えは捨て置くか。

 軽く頭を振って考えを払拭すると、俺は口を開き――。


「……別に言うほど疲れてはないが……?」

「そう? でも、あまり無理させちゃ悪いし、屋上で休憩しない?」

「……未来、行きたい場所とか無いのか?」


 そう聞くと、顎に手を当てて少し考え込むが――。


「……私は、ヒルトと一緒なら何処でも楽しいよ? ……む、昔は素直じゃなかったけど、ヒルトに好きって言ってから何だか変わった気がするんだ、私」

「……確かに、前はかなりバカバカって言われたもんな」

「し、仕方ないでしょ!? ば、バカ……」

「ハハッ、何が仕方ないのかは知らないが――とりあえず休憩するならあんまり人が多い所じゃない方がいいかな?」

「ならさ、屋上に行かない? 屋上も開放されてるけど、基本学園祭の間は段ボールばっかりじゃない」


 ……そういや、確かに段ボールばかり積まれてたな。

 とはいえ、段ボールばかりなら人はそれほど居ないだろうし、まあいいかと納得。


「んじゃ、屋上でまったりするか」

「うん。 じゃあ行こうっ」


 そう言って俺の手を取り、未来が引っ張る形で俺達は屋上へと向かった。


――IS学園屋上――


 燦々と降り注ぐ太陽の光を浴び、俺達は近くのベンチに腰掛けた。

 空は青く、雲も所々に見えはするが絶好の学園祭日和。

 遠方の海には、遊覧船がIS学園の島をぐるっとゆっくり一周する形で航行している。

 確か、観光スポットにもなってるんだったかな、遊覧船から見る学園島は。


「んんーっ! やっと風が秋っぽくなってきたね?」

「そうだな。 夏生まれとはいえ、暑いのは敵わないからな……」

「ふふっ♪ でも、夏には良いところあるじゃない? 女の子の水着とか?」


 若干いたずらっぽく微笑む未来。


「……まあな。 夏の臨海学校はもう周りが皆水着女子だったからな、眼福だったよ」


 俺の言葉に、ジト目気味で見つつ未来が口を開き、出てきた言葉は――。


「……えっち」

「……訊いてきたのは未来なのに、理不尽だぞ?」


 そう言うと、若干視線を逸らした未来――だが、次の瞬間には両腕を天に掲げ、身体を伸ばしていた。


「んんッ! 慣れない接客業だったからちょっと疲れちゃったかなぁ~」

「……こらっ、話を逸らすな」

「むぅ……。 仕方ないじゃん……。 でもまあ、織斑君みたいにあまりに興味が無いっていうのだとそっちの方が心配になっちゃうからいいかな?」

「……だな。 てかアイツが男以外で迫る様は見たことないし……。 ……一応、篠ノ之が腕を組んだら照れてた気もするが……あいつ、平気で女子と手を繋げるからなぁ……」

「……ヒルトはどうなの?」

「俺? ……正直言えば、慣れないよ。 ……未来でも、美冬でも、セシリアや鈴音、シャルにラウラって繋いだ事あるが、内心は心臓バクバクしてるからな」

「ふぅん……。 じゃあ、やっぱり女の子とキスとかしたら、ドキドキするの?」

「ぶはっ!?」


 いきなりの言葉に、吹き出しそうになる――未来を見ると、僅かに頬に赤みが差していて、自分の質問が大胆だと言うことに気づいてるのだと思えた。

 ふと、唇に目線が行くと、臨海学校の時のキスを思い出し、全身の血液が沸騰する様な感覚に襲われた。


「ど、ドキドキどころじゃないって! ……今でも臨海学校で未来に最初にされたキスですら夢かと思うときもあるのに」

「あっ……ば、ばか……思い出させないでよ……」


 プイッと顔を横に逸らす未来。

 吹き抜ける風が上がった体温を下げていく様に思えたが――まだ、心臓の鼓動音が煩く、隣にいる未来に聞こえないかヒヤヒヤしていると――。


「……ヒルト」

「な、何だ?」

「……今なら、誰も居ないよ?」

「そ、それは知ってるが――」

「もぅ……相変わらず鈍いんだから……。 ……ん……」


 鈍いといった後に、未来は軽く上顎をあげ、瞼を閉じると指で二回、自分の唇に触れた。


「~~~~ッ!?」


 思わず周囲360度辺りを見渡してしまう――もちろん、誰も居ないのだが。


「……え、えっと……」


 明らかにキスをねだるのがわかってはいるのだが……断るのも何だか出来ないし――というか、セシリア然りシャル然りラウラ然りと何だか断れない雰囲気を作ってからキスって流れになってる気がする……。

 ドキドキと心臓の鼓動音が鳴り響く中、肩に手を乗せると未来はピクッと小さく身震いすると共に、再度キスしやすい様に上顎を上げた。

 それを見て、俺はゆっくりと未来と唇を重ねる――夏の臨海学校以来の口づけ。

 未来の唇の柔らかさが伝わり、嫌でもキスをしてる実感を得てしまう。

 暫くキスを続け、軽く唇を離すと未来は――。


「……ヒルト、顔真っ赤だよ……?」

「ば、バカ……。 な、ならキスさせるなよ……ッ」


 思わず視線を逸らすも、まだ互いの顔は近いまま――。


「ふふっ♪ ……でも、十分だけで思い出を作るなら、一番効果的でしょ?」


 ニコッと微笑む未来だが、そのまま表情は俺と同じように真っ赤で、未来も俺と同じくドキドキしていたのがわかった。


「た、確かに強烈な印象としては残るけど……良かったのか……?」

「……うん。 前にも言ったけど、基本私はヒルトが幸せになってくれるのが一番だよ? ……でも、最近は私と一緒に幸せになれたらなぁって欲も出ちゃってね♪」


 小さく舌を出し、茶目っ気たっぷりな笑顔を見せた未来に、正直ドキドキさせられた。

 ……何か、前とのギャップを考えると正直更に未来が可愛く見える。

 ――と、未来が腕時計で時間を確認すると、軽く息を吐く。


「ふぅっ……。 もう十分かぁ。 ……でも、ヒルトにはバッチリ印象に残せたかな? えへへ♪」


 そう言ってベンチから立ち上がり、空を見上げる――つられて俺も見上げると、街の上空の方にはヘリコプターが飛んでいて、学園上空を迂回するように航空機が飛んでいくのが目に映った。


「ヒルト、戻ろうか?」

「あ、あぁ……。 ……未来?」

「ん? どうしたの?」

「あ……いや。 ……その、さ……ありがとうな?」

「んふふっ♪ 急にお礼だなんてどうしたの? ……なんて、ほら、戻ろうっ」


 そう言ってまた俺の手を取ると、俺と未来は屋上を後にし、教室へと戻っていった――。 
 

 
後書き
暴走( ´艸`)

いや、描写としては微妙でしたかな 
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