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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第319話】

 
前書き
遅れました&ちょい短いです 

 
――第四アリーナ地下通路――


 地下通路を進み、第四アリーナ更衣室が見えた。

 扉は開きっぱなしだったので、ゆっくりと進むと中から声が聞こえてくる。


「あ、あれ? どうして巻紙さんが……」


 一夏のそんな声に、隠れつつ確認すると巻紙礼子本人が笑顔を絶やさずその場に立っていた。

 今の一夏の言葉から予想すると、俺に色々言われた後、偶然かはわからないが一夏と接触したのだろう。

 ……だが、何でこんな所に入り込む必要がある?

 というか、確か一般人にしろ何にしろ、学園外の人間がこの場に入るのは許されていないはずだが――と、俺の考えを中断させる言葉を言う巻紙礼子。


「はい。 この機会に白式を頂きたいと思いまして」

「……は?」

「…………!?」


 企業の人間が白式を頂く?

 悪い冗談だと思っていたが――巻紙礼子から出た言葉は……。


「いいからとっととよこしやがれよ、ガキ」


 笑顔は崩さず、だが口から出る言葉はさっきの敬語とは違い、ただの汚いガキの口調にしか聞こえなかった――そんな中、一夏は今一状況を理解していないのか……。


「えっと……あの、冗談ですか?」


 そんな言葉に吐く一夏に、苛々した様子で更に口汚く言葉を発する。


「冗談でてめえみたいなガキと話すかよ、さっきの有坂といいてめえといい、マジでムカつくぜ」


 言いながら一夏に近付く巻紙礼子――。


「そのムカつくやつってのは、俺の事かい? 巻紙礼子さん?」

「…………!?」

「……ヒルト?」


 これ以上黙って聞いていても仕方ないので、姿を表す。

 突然現れた俺に対して、舌打ちをする巻紙礼子は――。


「てめえ……何でここにいやがる!」

「……悪いが、主役の一人が舞台セットから落ちたのに姿を表さなかったら誰しも疑問に思うだろ?」

「ちっ! あれを見られてるなんてな……」


 再度舌打ちをする巻紙礼子――余程誰にも見られない自信があったのだろう。

 だが残念な事に、俺が見ていたのでその配慮は無意味に終わった。


「偶々だ。 ……まあ何にしても、冗談にしては笑えないんだが……白式を奪おうなんてさ。 ……お前、本当に御劔から来た企業の人間かい?」

「あぁ? んなわけねぇだろボケ! 企業の人間に成り済ました謎の美女だよ。 おら、嬉しいだろ」


 そう言って一夏を蹴ろうとする巻紙礼子に対し、俺は一夏の前に立ち塞がるとその一撃を肘でガードした。


「がぁっ!? ……てめえ、肘でガードかよ!? 綺麗な脚に怪我したらどうするんだよ!? あぁっ!?」

「ハッ! 何が綺麗な脚だよ? 自分から美女って言ってるあばずれが。 自意識過剰もいい加減にしなよ。 お・ば・さ・ん♪」

「……!?」


 俺の挑発に、あからさまに醜悪な表情へと変化していく巻紙礼子――そして。


「……ガキが! 今ので三途の川渡ったぞ! 絶対血祭りにあげてやるぜ、Eランクの雑魚がぁ!!」

「そうかよ! ……一夏、悪いがここから出てろ。 狙いがお前である以上、わざわざ戦わせるわけにはいかないからな」


 一夏にそう言うと、顔を横に振って拒否する仕草を見せた。


「いいや……狙いが俺なら、アイツの相手は俺が相手する! ヒルトこそここから出て避難を――」

「ヘッ! させるかよ!」


 そう言って何かスイッチらしき物を取り出し、ボタンを押すとアリーナ更衣室の電気が落ち、開いていたスライドドアも閉じたまま電源が切れた。


「ハッ! てめえら二人とも逃がすわけ無いだろボケ!」

「……成る程? ――だが、電源を切ったのは不味かったんじゃねぇのか、おばさん?」


 ちょっと小馬鹿にした物言いに、直ぐ様反応する巻紙礼子――俺もバカな方だが、単細胞って訳じゃない。

 ……だが、こいつも一夏や篠ノ之の様に挑発されると子供みたいにむきになる辺りは直情型で、戦いもやり易いかもしれない。


「……あぁ!? さっきから生意気な口ばかり聞きやがって……誰がおばさんだよ! この美女に向かって――」

「自分自身で美女って言ってるんだから救いようがないよな、おばさん? ……電源が一ヶ所、不自然に通電しなければそれをモニターしてる教師陣だって何かあったと思うのは誰でもわかることなのに――どうやらおばさんのオツムは鶏レベル――いや、それは鶏に失礼だな、ハハハッ!」


 そんな俺の高笑いが更衣室に響き、明らかに俺に対して敵意を向けてきた巻紙礼子は――。


「……やっぱりてめえから血祭りにあげてやる!」

「――という訳だ一夏。 悪いがお前は何処かから出られるか探せ」

「……っ! 俺だって戦えるのに……皆を守れるのに……!」


 一人でごちる一夏――例え守れる力があろうが、学園最強の力があろうが関係ない。

 狙いが一夏である以上、戦わせるわけにはいかない――一年一組、クラス代表としてな。

 そんな一夏を、目の前の巻紙礼子は不適な笑みを浮かべながら――。


「安心しな、クソガキ。 こいつを瞬殺したらてめえの白式の出番だからよぉ! ……まあ、こんな糞みたいな低ランクの奴を相手にしてやるだけでも、お前は私に感謝してほしいものだがな!」


 一夏に言い、俺に振り向いてわざわざ挑発するように言う辺り、俺を怒らせたいのだろう。


「ハハッ、ならその低ランク相手に仮にやられたら、お前は俺以下のランクって事になるな」

「ふざけるなよガキが? Eランクのガキなんざぁ一分もかからねぇんだよ、雑魚が。 いきがるなよ、クソガキ」


 ガキガキと口汚く連呼する巻紙礼子――明らかにこれ迄の俺の言葉に苛立っているのがわかる――そして、止めの一言。


「んじゃ、有言実行してもらおうかな、そのおばさんにさ」

「……上等だ! その生意気な口、永久に閉ざしてやるぜ、クソガキ!!」


 ISを緊急展開し、呼び出すと同時にムラクモの声が聞こえてきた。


『ヒルト。 狭い場所だから天狼の使用には気をつけて?』

『……まあ更衣室だからな』


 短いやり取りの間に、巻紙礼子のスーツが引き裂かれ、背中から鋭利な爪が勢いよく飛び出した。

 その爪は、蜘蛛の脚に似ていて色も正直黄色と黒という配色センスを疑うような色――更に、爪と言っただけあって刃物のような先端を持ち、鈍く光を放った。


『……第二世代型。 ヒルト、あのISのコア……泣いてる……』

『泣いてる? ……どういう事だ?』

『うん。 ……多分、あの機体は何処かから――多分アメリカね、アメリカの基地から奪ったものだと思う。 ……ヒルトはこうして私とも話せるけど、他のコアは違うから……自分自身、望まずにあの女の人がマスターになって、もしかすると色々な悪事に自分の意思とは関係無く手を貸してるから泣いてるんだと思う。 ……ごめん、あまり上手に言えない……。 あの子の悲痛な叫びが、私には聞こえてきて――』


 ムラクモの声色が悲しみに満ちている。

 ……俺にはあの女のコアの声は聞こえないが、相当悲痛な泣き声なのかもしれない。


『……任せろよムラクモ?』

『ヒルト……?』

『……助ける――といえば変かもしれないが、奪われたものなら俺が取り返して見せるさ。 ――ちょっと荒っぽくなるがな』

『……うん! 助けてあげてね、【アラクネのコア】を……』


 ムラクモの声が聞こえなくなる――と同時に、目の前のISの詳細なデータがハイパーセンサーに映し出された。

 ――登録名【アラクネ】、装甲の材質が超甲質繊維装甲……。

 相変わらず何処の国も装甲材質が違うのはどうにかならないものか……。

 ……まあ今さらどうこう言っても変わらないがな、これが。

 まだ何処か納得していない一夏の表情がハイパーセンサーで鮮明に表示される――その一瞬、気をとられていると……。


「ハッ! 何を余所見してんだよ! くらえっ!!」


 展開され、背中から伸びた八つの装甲脚の先端が割れ、開いた中からは銃口を見せ――其処から弾丸がまるで豪雨の様に放たれた――。 
 

 
後書き
オータム戦はここから始まります( ´艸`)

さて、中々面接が受からないのは世間は俺に飢え死にしろって言ってるのかと思ってしまうぜ

まあこれからも面接行きますが

とりあえず愚痴はこの程度にしておき、またまた遅れるかもですが、読んでくださいませませ 
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