IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第410話】
前書き
オリジナル
原作なら次の日の夕食だが暫く続きます
モノレールに乗り、現在学園への帰路に着く途中、モノレール内には俺とラウラの二人しか居ない。
……というのも当たり前だが、キャノンボール襲撃事件があったためだ――本来なら外出禁止になってもおかしくないのだが、この辺りは学園上層部がもう襲撃は無いだろうと判断したため、基本全生徒外出可能なのだが――外出したのは結局一夏の誕生日会に出席した面々のみの為、他の生徒は学園に居るのだろう。
「ヒルト、もう大丈夫なのか?」
考え事をしてる俺を、覗き込むようにラウラは見てくる。
眼帯をつけられ、左目が封印されているが幼い顔はそこにあった。
「……内心だとまだ恐怖心はあるかもしれない。 ……ふぅ……とりあえず帰ったらシャワー浴びるかな……」
そう言い、俺はモノレールの窓から暗い海を眺める。
水面に浮かぶ月が映し出されていて、その周囲のみ明るく照らしていた。
とはいえ、街側も学園側も、施設が動いてる場所は明かりがついていた。
俺の何気無いシャワー発言を聞いたラウラは――。
「……ふむ」
短い言葉でそう言うと、座席に置いた俺の手を重ねる様に手を置くと。
「……それは、早速してもいいということ……なのか?」
「え?」
何故か顔を真っ赤にするラウラ――というか、シャワーという言葉に反応したのだろう……どうしよう。
正直、さっき死を連想してしまった為、否定的な気持ちが無く、正直――一瞬でも忘れられるのならと頭に過ったのだが、そんな理由でラウラにさせる訳にはいかない。
「そ、そんな訳無いだろ? あ、明日からって意味でさっき言ったんだから」
「むぅ……。 ……私はいつでも良いのだからな……?」
若干膨れっ面になるも、重ねた手を離し、ラウラは迷い無く手を俺自身のモノに重ね、ズボン越しに擦る。
それに驚き、俺はラウラを見るとさっきより顔を真っ赤に染めている――人が居ないとはいえ、流石に大胆な行動に、擦る手の動きを止めさせた。
「い、いくら人が居ないからって流石に不味いって! ラウラ……代表候補生何だから気を付けないと」
「……むぅ」
また頬を膨らませるラウラ――と、モノレールが学園のある島に入った。
そろそろ駅に到着するのだろう――流石にラウラもそれに気付き、座席から立ち上がる。
それに合わせて俺も立ち上がると、モノレールの出入口へと移動――暫くして駅へと着くと同時にアナウンスが聞こえ、そのまま俺とラウラは降りると駅構内を出る。
「……さっきの襲撃が嘘みたいなぐらい街灯が明るいな」
「そうだな。 ……とはいえ、さっきの場所は不自然な程私には暗く感じたが」
「確かに……あの辺り、街灯が点いてないのが気になるし」
今思えば不自然過ぎるのだ――もしかすると、街灯の明かりが壊されていたのかそれとも別の要因なのか。
とはいえ、考えても答えは出ず、明日、もしかすると事件になる可能性もある。
だから朝イチにニュースの確認すればいいかと思い、俺とラウラは寮への道を歩き始めた。
「そういえばラウラ、機体のシステムはもう大丈夫なのか?」
「うむ、墜落の衝撃で一時的にオフラインになったのだろう。 墜落程度と思う人も多いだろうが、この辺りはどんな機械も同じだろう」
「そっか。 まあ機体が無事なのももちろん良いが、ラウラにシャル、二人とも怪我が無くて良かったさ、これがな。 ……セシリアだけだな、負傷したのは」
そう言い、またセシリアの事を思い出す――刺される痛みは俺にはわからないが、相当な苦痛を感じた筈だ。
そう思うと、さっきの銃口を向けられた事を思い出し、また内から来る恐怖がじわじわと蝕む感覚が拡がる。
無理矢理頭を振って払拭すると、俺はラウラの手を了解も得ずに握った。
「……!? ど、どうしたというのだ、ヒルト? わ、私としては嬉しいのだが、い、いい、いきなりは心の準備が……!」
「わ、悪い。 またさっきの事を思い出してな。 ……やっぱり直ぐには払拭出来ないな……」
「そ、そういう事か。 ……今日もヒルトのベッドに忍び込む予定だ、だからその時に私を抱き枕代わりに抱けばいい。 少しは落ち着くぞ? 私は未来からぬいぐるみを抱けばいいと訊いたが、ヒルトはぬいぐるみよりかは私の方がいいと思ってな」
……それはそれで色々不味い気がするのだが、ラウラの心遣いは非常にありがたい。
「そうだな、もし寝付けない場合は抱き枕にさせてもらうさ」
「ぅ、ぅむ。 ……わ、私も部屋に戻ったらシャワーを浴びるとしよう」
身嗜みに気を使ってるのだろう、最近ラウラは使うシャンプーを変えたのか心地好い香りが髪から漂う。
ラウラも女の子――もちろん当たり前だ、だが前よりかは更に女性らしさに気を使うようになった。
時折シャルや美冬に髪を弄られ、色んな髪型にしたりしてるが本人はやはり伸ばしっぱなしの今の状態がお気に入りな様だ。
俺自身も、ラウラはこの髪型が似合ってると思う――もちろん、他の髪型も似合うがラウラと言えばロングストレートっていうイメージだ。
……こうやって別の事を考えてる間は思い出さずに済む。
その事実が、蝕む恐怖心を徐々に癒していくのがわかった。
そう話をしてる内に寮へと到着、一旦ここでラウラと別れて俺は自室へと戻る。
夕食食べてないが、とても食べる気にはなれない――そう思いながら俺は部屋へと戻る――と、俺の部屋の前でドアに凭れ掛かる未来を見つけた。
俺に気付くと、変わらぬ笑顔で笑い、手を振って俺に挨拶した。
「ヒルト、お疲れ様。 ……何か、あった?」
「え?」
顔を見ただけで未来は何かを察したのか、そう俺に言う。
「……ちょっとな。 それよりどうした?」
「あ、うん。 それほど大した用じゃないけどね、何だか少し心配になって部屋の前で待ってたの。 さっきまで美冬ちゃんと美春ちゃんも居たよ? お風呂に行っちゃったけどね」
察したのか、深く聞かずに美冬と美春の話をする未来。
「何なら少し上がるか? まだこの時間なら問題ないし」
「そうだね。 じゃあ……少しお邪魔するね?」
鍵を開けてドアノブを回し、先に未来から部屋へ入れると続く俺。
ドアを閉めると同時に俺は後ろから未来を抱き締めると小さくびっくりした声を上げた。
「きゃっ……。 な、なぁに? い、いきなりはびっくりするでしょ……? ……嬉しいけど……ね?」
「……悪い。 少しこのままでいいか?」
「……だめ」
否定の言葉を言われ、内心戸惑いつつも抱き締めた腕を解放すると未来は振り向き。
「……後ろからも嫌じゃないけど、やっぱり私は前の方が好き。 ヒルトの心臓の鼓動、聞きたいし」
そう言って腰に腕を回して抱き締めてくる未来――俺もまた再度抱き締めると、未来の身体がすっぽりと俺に包まれた。
「……ふふっ、やっぱり好きな人とこうするのって、私好きだよ? ……ずっと、ヒルトの事好きだったもん。 他の男の子に告白されても、ヒルトよりカッコいい男の子に告白されても何も思わなかったもん」
「そっか……。 てかやっぱりかなり告白されてたんだな、未来」
「うん。 ラブレターとかも貰った事あるよ? ……全部断ったけどね。 へへっ……」
さらさらの髪を撫でると、嬉しそうな声をあげる未来――抱き締めたおかげで、また少し気持ちが癒された気がした。
身体を離すと、未来はニコッと微笑みを返して口を開く。
「何があったかは知らないけど、少しは落ち着いた?」
「ま、まぁな。 ……サンキューな、未来」
「ううん。 幼なじみ何だから大丈夫だよ。 ……あ。 ……た、ただの幼なじみじゃなく、貴方に好意を寄せる特別な幼なじみなんだからねっ」
顔を赤くしてそう言い直す未来に、俺も僅かに顔が赤くなるのを感じた。
「そ、そっか。 っと、悪い……部屋に招き入れたがそろそろシャワー浴びないと――汗臭く無かったか?」
「ううん、平気だよ? それほど汗臭い印象無いしね、多分ヒルトの汗は無臭なのかも?」
「ははっ、それならいいが……。 未来、ありがとうな?」
「ううん、私も……抱き締められたのは嬉しかったから。 ……き、キスもしたいと思っちゃったけど……ね?」
そう言って上顎を上げ、瞼を閉じてキスを受け入れる体勢になる未来。
迷う事なく、俺はその唇に口付けを落とす――プルンッと瑞々しい唇の感触が伝わると、全身の血液が沸騰する思いだった。
唇を離すと、未来は赤くなったまま笑顔で――。
「ヒルト、ありがとう。 ……おやすみなさい♪」
そう言って再度、触れるだけの口付けを未来から交わし、俺の部屋から出ていく。
明かりのついた部屋に訪れた静寂――さっきまでのキスの余韻を楽しむより先に過るのは銃口。
相当俺の脳裏に刻まれたらしく、まだ忘れる事は敵わないかもしれない。
洗面所兼脱衣場に入ると、俺は早速シャワーを浴びる為着ていた服を脱ぎ、シャワー室へと入っていった。
後書き
シャワー室へと入っていった。
シャワー室へと入って……( ´―`)
さて、どうなるかな( ´艸`)
期待せずに、何せ期待を裏切るのが自分ですから( ´艸`)
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