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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第407話】

 
前書き
原作戻ります 

 
 事情聴取が終わり、現在夕方の五時で場所は一夏の自宅前。

 前以て訊いていたため、迷うことなく到着した。

 とりあえず、今回の事件に関しては手柄は専用機持ちである一年生全員という形になる。

 俺としてもその形が望ましい……まあ実際は手柄とかは興味ないのだが。

 美冬達は俺の世間の評価を気にしているが、実際どう評価をされても俺は気にしないのだが――まあ、罵声は流石にキツいが。

 話は変わってISの戦闘記録映像だが、どの機体の映像記録も、何か特殊なジャミング波に晒されたのかどの映像もまるでピンぼけとモザイクが入り交じっていて解析にはかなりの時間を労するらしい。

 ジャミング波の発生はいつだったのかまでは特定出来ないが……少なくとも、襲撃後に何かされた可能性もあるかもしれない。

 考えられるのは亡国機業の工作員だが……。

 それはそうと、いつまでも玄関前でうろうろしてても不審者扱いされる為、一旦考えるのを止めると俺は呼び鈴を鳴らそうと指を伸ばすが――。


「ヒルトか?」

「え?」


 不意に声を掛けられ、振り向くとそこに居たのは何と親父とラウラの二人だった。

 ――まさか、二人して何か一夏を祝うとかは無いだろうし、そもそも一夏は親父と面識したかどうか記憶が曖昧なのだが……。

 驚きつつも、一夏の家からはクラッカーが鳴り響く、どうやら誕生日パーティーが始まったようだ。


「……親父、ラウラも二人してどうしたんだ?」


 軽く首を傾げ、俺がそう訊くとラウラがゆっくりと口を開く。


「……教官に頼まれてな、織斑家の周辺警護を行っていたのだ。 ……教官と言っても、織斑教官ではなく、ハルト――否、パパに頼まれてだが」

「おぅっ! 本当ならまだ誰か頼みたかったが、旧知の仲はラウラだけだからな。 無理言って周辺警護してもらってるんだ、ワハハッ」


 軽く笑う親父に、ラウラも何処と無く微笑を溢した。

 だがそれも束の間、真剣な表情に戻ると少しドキッとしてしまう。

 親父が真剣な表情する時は、何かしらある時だ――と、親父が口を開く。


「……まだ確定した訳では無いんだが、織斑君の命を狙う者がいる。 勿論、俺の取り越し苦労に終わるかもしれないが念のためにな」

「…………ッ!?」


 耳を疑う言葉だが、親父の真剣な表情がそれを物語る。

 こんな時に親父は冗談を言ったりはしない、だからこそ言葉に真実味が帯びる。

 無論、取り越し苦労で終われば親父もそれでいいと言ってるが――。


「……何か確証はあるのか、親父?」

「……あぁ。 ……すまんラウラ、もう一度この周囲を調べて来てくれないか? その間にヒルトに説明する」

「……了解。 では周囲を調べてきます」

「そんなに畏まるな。 いつも通りニカッとな、ラウラ」


 そう言って白い歯を見せる親父に、クスッと微笑を溢すと一度敬礼してから曲がり角へと消えていく。


「……ヒルト、今日の最初に現れた襲撃者は覚えてるか?」

「……忘れようがないさ。 イギリスの機体、サイレント・ゼフィルスを駆る女だな。 背格好だと俺と同い年か一歳下ぐらいに感じたが」


 言いながら思い出す――バイザーで目元は隠されていたとはいえ、明らかに少女の様な風貌に背格好だった。

 どのような経緯でテロ組織に参加したのかはわからないが、少なくとも無理矢理ではなく自分の意思で襲撃を行ってるように見える、勿論命令かもしれないが……攻撃が当たる度に僅かに口元を喜びに歪ませていたのだから、弁解の余地はないはずだ。


「……実はだな、ヒルト。 アメリカのある基地で俺はアイツと交戦してるんだ」

「え? 亡国機業の襲撃者と? ……最近楯無さんから訊いた話とよく似てるが……」

「……多分俺だろう。 襲撃事件自体はアメリカでは今回一件のみだしな」


 まだ軽い断片みたいな感じの話だが、謎の機体が親父の黒夜叉なら辻褄は合うだろう。

 実際、楯無さんから訊いた事件の話もその一件のみだし、間違いはないはずだ――それに、こんな時に親父が嘘をつくはずは無いだろうし、嘘をつく理由もない。


「その交戦の時にだが、偶然襲撃者の顔を見てな。 それで今日の襲撃、人間一度襲撃されたら立て続けに起きないだろうって油断があるから念のため彼が帰宅してから数時間、周囲を警護してたんだ。 まあこの場所で狙撃を受けるような場所は無いから安心だが、IS自体は所持してるんだ、油断は出来ない」


 言いながらも、手持ち型の小型投影ディスプレイで周囲の状況を確認している親父――。


「ヒルトにこんな事を頼むのは悪いんだが、もし彼が外に出るような事態があれば後をつけてくれないか? 俺もラウラも、近くにはいるが――」

「わかった。 ……って言っても、ロザリオ外して来たから少し心配だけどな」


 そう言って自分の首に触れる俺、そこにいつも着けてあるロザリオは無く、チョーカーのみだ。

 これに関しては、シャワー上がった後に外したまま此方に向かったのが原因の為俺が悪い。


「……そうか。 なら直ぐに俺とラウラの二人に連絡くれればいい。 俺なら携帯に、ラウラにはチャネル通信だ。 まだ俺は上手くプライベート・チャネルが使えないんだ、悪い」

「了解。 ……とりあえず、誕生日プレゼントだけ渡してくるよ」


 そう言って腕時計の入った包みを見せると親父は――。


「そのサイズ、腕時計か?」

「え? あぁ、何かやたら機能が付いてるタイプだけどな」

「成る程。 とりあえずヒルト、もし仮に織斑君が外に出たら後を着けろよ。 俺は向こう側を調べてくるから」


 そう言いながら、ラウラとは違う方向に消えていく親父――とりあえず呼び鈴を鳴らし、暫く待つと玄関のドアが開いた。


「よぉ、遅かったなヒルト。 事情聴取、長かったのか?」

「ん? まあそんな所だ。 ――ほら一夏、誕生日プレゼントだ」


 そう言って腕時計の入った包みを手渡すと、一夏は嬉しそうな表情を浮かべて口を開く。


「おぅ、サンキューなヒルト? ほら、ヒルトも上がれよ。 もうパーティーは始まってるんだし」


 そう言って家へと招く一夏だが、俺は顔を横に振る。


「いや、この後直ぐに戻らないといけなくなったんだ。 だからとりあえずこれだけは渡しに来たって訳さ、これがな」


 そう言うと、軽く一夏は首を傾げつつも納得したのか――。


「そっか。 ……とりあえずサンキューな、大事にするから、これ」

「あぁ、んじゃ……またな」


 手を振り、玄関を後にしようとしたその時、鈴音がヒョコッと顔を覗かせた――多分リビングなのだろう。


「一夏ーっ、ラーメン出来たからアタシは帰るわねー――って、ヒルトじゃん。 お、遅かったわね?」

「ん? まあな。 んじゃ一夏、俺はここでな」


 そう言って玄関を出ようとすると、鈴音が慌てて靴を履き――。


「じ、じゃあ一夏、アタシも帰るからね? まだ少し安静にしてないといけないからさ、アタシ」

「悪いな鈴。 ……それと、サンキューな、ラーメン作ってくれて」


 何気無い一夏の言葉に、鈴音は一瞬ハッとした表情を見せ、表情に少し陰りが落ちるも、無理矢理笑顔を作って――。


「ううん、一応あんたの誕生日だしね。 アタシん時は期待してるからね」

「おぅ。 んじゃまた学園でな」


 言ってから俺と鈴音は玄関から出る――陽が沈み、辺り一面夜のとばりが落ちていた。

 いくら代表候補生とはいえ、流石に鈴音を夜道に一人で帰すわけにはいかない。


「鈴音、駅まで送っていくよ」


 その言葉に、驚きの表情を見せた鈴音。


「べ、別にアタシなら大丈夫よ! 代表候補生何だし、腕っぷしだって負けないんだからっ」


 ニッと笑顔を見せた鈴音、そしてまた表情が戻ると――。


「……てかさ、あんたは学園に戻んない訳?」

「あぁ、まだ少しな。 でも終電までには帰るさ、これが」

「……そっか。 ……た、たまには一緒に帰ろうかなーって、思っただけ――そ、それだけなんだからねッ! べ、別にアタシはあんたと一緒にモノレール乗って席が隣同士で色々喋りながら学園に戻りたいだなんて、思ってないんだからッ!」


 何故か顔を真っ赤にしつつ、俺を指差す鈴音が妙に可愛く見えた。


「そっか。 ならそれはまた今度だな」

「ふ、ふん。 べ、別に期待してないんだから――ほ、ほら、駅まで送ってくれるんでしょッ! 早く行くわよ、ヒルトッ!」


 そう言って腕を取り、絡ませる鈴音――側で見た感じだと、後遺症等は特に無さそうに見える。

 俺は一旦鈴音を駅まで送る為、一夏の家から離れる事にした。

 道中、車のヘッドライトの明かりが俺と鈴音を照らして横を抜けていく。

 狭い道の為、流石に車も速度を落としていたが俺は鈴音に当たらないようにさりげなく庇う形で進んでいく。

 何処かからか鈴虫の鳴く声が聞こえてきて、秋も本番だなと改めて思わされた。


「ひ、ヒルト?」

「ん? 何だ?」

「な、何でもないっ。 ……よ、呼んでみたかっただけ……それだけよっ」


 ぷいっと顔を背ける鈴音、ツインテールが揺れ、その髪が俺の腕に触れた。

 ……確か、鈴音って身長150センチだったよな。

 そう思い、鈴音をちらりと横目で見ると少し歩きにくそうにしていた。


「……鈴音、歩きにくそうだな。 無理して腕組みしなくていいぞ?」

「ぅ……。 あ、アタシの勝手じゃんっ。 バカヒルト……」


 行き交う車のヘッドライトが、赤くなった鈴音の表情を鮮明に照らす。

 だが、流石に歩きにくそうにしていると俺も気になり腕を組むのを止めると鈴音は小さな声を洩らし、少し顔を俯かせる。


「鈴音、ほら。 手を出せよ」

「……へ?」


 差し出した俺の手と顔を交互に見る鈴音に対して、俺は左手で軽く頬を掻きながら――。


「こ、これなら歩きにくくないだろ? ……ほら、行くぞ……」

「ぁ……ぅ、ぅん。 …………ぁりがと」


 俺の手を取ると、さっきと同様に顔を背ける鈴音、だがお礼の言葉は鈴虫の鳴く音色と共に聞こえてきた。

 少し嬉しく思うと、俺と鈴音は再度駅へと向かった……。 
 

 
後書き
誕生日会参加してねぇΣ(゜∀゜ノ)ノ

そして何気だがここでは楯無さんも来てない為虚さんも居ない……という事は…… 
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