狂った私をお食べなさい
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いちごの愛
「ダーリン、私を召し上がれ」
いちごが僕の股間に手を添えて
誘惑してきたんだ。
僕は
今にも襲いたい気持ちを抑えながら答えた。
「ハニー、食べたいんだけど
ぼくは君のことが少し怖いんだよ」
「あら。
どうして?どこが?」
いちごがキョトンとした目で答えた。
…ぼくは
いちごの頭から目を離せなかった…
だって…
「だって…どう考えても君は刃先が剥き出しじゃないか」
そう、
いちごの頭からは
なんとカッターが突き出ているのだ。
僕は
本当にいちごの事を愛しているけれど
それだけが
気になって仕方なかった。
いちごはムッとしながら答えた。
「そんなことないわよ。気のせいよ。
私のどこに刃先があるっていうのよ」
でぇえ~~~。
ぼくが
「えっ?
どう考えても…君の体を刃先が貫通しているじゃないか」
と
正論を言うと
いちごは
真っ赤なほっぺを
ぷく~っと膨らましながら
こう言ったんだ
「それはね、
いつもいつも!!
貴方が私をイヤラシイ目で見るからよ」
ギク~~~。
そりゃ男ですから…。
それと刃先がどう関係あるのか…
僕が
オロオロしていると
いちごは
俯きながら言った。
「私には
貴方にこそ刃先があるように見えるわ。
つまりね、脳内変換なの。
私には貴方のちんぽが刃物に見えるのよ。」
「ひどいな
そんなに、ぼくに抱かれるのが嫌なのかい」
ぼくが
しょんぼりすると
いちごは
ぼくの目を見ずに
呆れたように溜め息をついた
「ほらね、貴方はいつもそうやってネガティブよ。
だから私から刃先が出てるように見えるだけよ。
私もねネガティブだから
貴方が私の体ばっかり狙ってる気がして…
被害妄想していたら
貴方のイヤラシイ目つきが刃物に見えてきたのよ。
あと、ズボン越しにテント張ってんの気付いてんだからね。
ふんっ。」
ギクっ!!
ぼくは
すっとぼけた顔をしながら答えた。
「なるほどね。
警戒してるから、お互い刃先が出てるように
見えるだけなんだね」
「そうよ。
だから安心して。
ほら、私を一口食べてみてよ!」
はやくぅ~!!
と、キスをせがむいちご。
「そんなに急かすなよ~。ハァハァ。
疑ってごめんね。
愛してるよ」
そう言って、
僕はいちごにキスをしようと
顔を近付けてみたけど…う~ん…
いちごは笑顔…でも…
やっぱり、
どう見ても刃先が出てるように見える。
…いや、
これは僕のネガティブ思考のせいだ。
いちごが、
僕を傷つけるわけがない。
いちごが、
僕を裏切るわけがない。
いちごを信じよう。
可愛い可愛いいちごを。
そして、
僕はいちごを、
おもいっきりかじったんだ。
そしたら
僕の唇が裂けた。
こりゃ、びっくり。
いちごは
ただでさえ赤い身体を…
僕の唇から滴り落ちる血で
さらに身体を赤く染めながら
「くくく…」
と、笑った。
その笑顔は
毒々しいくらい美しかった。
いちごは嘘つきだ。
結局ぼくの勘違いじゃなくて、
君の身体からは
刃先が出ていたんじゃないかよ。
僕は
裏切られたような気持ちになった。
…だけど
きっと愛するということは
心を開くということは
信じるということは
多少の怪我を覚悟しなくちゃいけないのかもしれない。
それに怯えてしまってるうちは、
本気でなんて
愛し合えないんだと気付いた。
いちごは
成熟した瑞々しい赤い裸体と
真っ赤な唇に
ポツポツした毛穴。
そして緑の髪の毛…
シンプルだけど
奇抜な彼女は
挑発的なポーズをしながら
「私に気安く触るから怪我すんのよ!ふんっ。」
と、言いながら
どや顔をした。
そして、
「わたし、征服されたいの」
そう呟くいちご…。
頭を撫でてあげたい…けど~
いちごから
飛び出てる鋭い刃先が怖いから
…
とりあえず刃先を引っこ抜いて
いちごの
カツラみたいな髪の毛を
プチンと抜いたんだよ。
そしたら
いちごが
「なにすんのよ、
禿げちゃうじゃない!」
顔を真っ赤にしながら
プンスカ怒った。
…いや
元々真っ赤だから、
さらに真っ赤にしてるかは
わからないが…
「髪の毛があったら、
君を食べれないからさ」
僕がそう言うと
いちごは恥ずかしそうに
頬を赤らめた
…と思う。
僕は興奮して
いちごを拳で握り潰したあとに
いちごを口に含んだ。
いちごは
激しく悶えた。
ぼくの口内の中で
ヌチャヌチャと歯に食い潰されて
いちごは
喘ぎ声を上げながら
息を引き取った。
そうとう
感じていたらしく
とても甘酸っぱい愛液を
たくさんたくさん出していた。
…やーっと
ひとつになれたね。
…
いや、
ちょっ、待てよ!(キ◯タク風に)
よく考えたら…
いちごは食べても食べても
何度でも生産されるから、
色んな男の口内で
イカされてるわけだ。
だから、
いつもいつも寂しいと言っていた。
あっ、
ぼくがいっそ人間をやめて
畑に生まれ変われば
いちごを独り占め出来るかも。
でも
僕はまだ死にたくないな…
そんなことを考えていたら
床に転がっていた
いちごの刃先が
死んだいちごの呪いで動き出した。
そして、
勢いよく僕の喉を
ざっくりと
深く深く掻っ切った後に
容赦なく貫通した。
僕の意識が遠くなる頃
いちごは満足そうに
でも少し寂しそうに笑っていた。
そして
いちごは血まみれの赤い指で
壁に愛を綴る…
「心の中で私は知っている
自分は正しい
私はずっと
闇に沈んでいる
でも、立ち直る
私は愛の彼方を
探し求めているの
(坂本龍一さんのthe other side of loveを和訳して抜粋したものです)」
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