その凌辱ゲーを、ぶち壊す!
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第二話:猫(神)の恩返し 後編
前書き
「――ん~」
「んぅーーーーっ!?」
ベッドに押し付けられた直後。唇に柔らかいモノが触れる。
目を開いてみれば、美女の頬で眼前が塞がれていた。逃げ出そうにも、頭をガッチリ抑えられていて、動けない。
下唇、上唇をついばむように甘噛みした後、おもむろに舌を口内に差し込んでくる。
美女の舌が、歯の裏側を擦る。
電気のように走る快感に、俺は身体がびくんと跳ねるのを抑えられない。
それを見抜いてか、美女は舌を上に下にと混ぜるにように激しく動かす。
「くちゅ、ぷちゅ、くちゃ、…ふぅ、くちゅ」
「~~~~っ!」
まさに口内をレイプされてる状態。舌が絡み合って、開きっ放しの口から唾液が零れる。
歯ぐきを強めに擦られるて、想像以上の快感が襲ってくる。
上あごを舐められると、快感にあごが震えだす。
全て、初めての体験だ。
「んー、くちゅ、ぐちゅ…、……んく、……ぷは」
「―――ぷはぁっ!」
ひとしきり俺の口内を犯しつくして満足したのか、美女はようやく顔を離す。
その間、俺は一切呼吸が出来なかったので、たっぷりと息を吸って吐いてを繰り返した。
「はぁ、……う、はぁ……はぁ」
「にゃふふふ、どうしたんだにゃ? 可愛い反応みせてくれちゃって」
美女は嗜虐的な笑いを浮かべながら、口元の唾液を、真赤な舌でペロリと舐めた。
突然の出来事、謎の美女、ファーストキス。
流転する状況と、はじめての連続に、頭と体がまったくついてこない。
「はぁ、…はぁ、お、お前、誰だ……」
息も絶え絶えにになりながら何とかそれだけ質問する。
ここはどこだろうとか、何をし腐ってくれるんだ! とか言いたい事や聞きたいことは他にもあったのだが、頭がぼーっとしている上に、呼吸もままならなかったので、これが精いっぱいだった。
「おみゃーさん、意外な所で鈍いんだにゃ~。『これが契約にゃ』、と言えばわかるか?」
「……契約?」
「みーの想像では、すぐに状況を察して、『なんという俺得契約!』とか言って、泣いて喜ぶターンだと思ってたんだけどにゃ」
「……? ……あっ!」
言われて、回らない頭で状況を整理する。
――おかしな口調の謎の美女。突然切り替わる場面。そして契約。
どうしてすぐに気付かなかったのか分からないくらい、単純な二次元方程式(造語)が、俺の頭の中で冴えわたる。
「……お前、まさかあの白猫か!?」
全然気付かなかった!
だって、猫耳がないんだもん!(←二次元脳)
「すぐに気づけよ。にゃんだ、たかがキスくらいで夢中ににゃってからに。童貞じゃあるまいし」
「悪かったなっ!」
「うおっ、まさかの図星!?」
本気で驚いたのか、目を丸くして俺を見る美女――もとい、猫娘(神)。
なんだよ、23歳にもなって童貞なのがおかしいってか。ふざけんな! お前はいま世の男たちの何人を敵に回したのかわかってるのか!?
そう言ってやりたい気持ちもあったのだが、
「意外すぎる事実に、みーはむしろ心が踊った」
「……っ!?(ゾクッ)」
頬を上気させて、邪気たっぷりな微笑みを浮かべる猫娘(神)。
お、犯されるっ!!
俺は本気で身の危険を感じて、後ずさろうとするのだが、さっきのディープキスのおかげで腰が抜けているのか、力が入らない。
「おみゃーさんがクソ鈍感にゃのは理解したが、そんなことはどうでもいいにゃ! さあ、契約だ!」
「きゃああああっ!?」
猫娘は俺に覆い跨ると、さすが猫と言わざるほどを得ないほどの俊敏な動きで、俺の両手を片手で掴み、頭の上に抑えつけられる。下半身は、猫娘の足で拘束されていて、俺は完全に身動きが取れない状況に追い込まれた。
「にゃ~、童貞を喰うのは久しぶりだにゃ~」
「喰う? 喰うっていったな、今!? HA☆NA☆SE!!」
俺は必死に抵抗するが、猫娘は止まらない。舌舐めずりをしながら俺のジーンズに手をかける。
「にゃふふ、にゃんだかんだ言って、こっちは正直だにゃあ」
「……くっ!」
月並みの台詞を吐く猫娘だが、俺は俺で月並みすぎる反応、ジーンズの上からでもわかるほどに高く反り上がってテントを形成していたからだ。お約束過ぎて返す言葉もない。
「にゃは、みーも興奮してきたにゃ~」
「……んぐ!? ……んく!」
猫娘は身体を倒して、俺の顔にそのやわらかい胸を押し付けてきた。花のような香りと、汗の匂い。それらはまるで酒のように、ゆるやかに思考を鈍らせる。
「……にゃにがでるかにゃ~」
喜々とした声で言いながら、猫娘は片手でジーンズをチャックを器用に開けて、その手を中へと侵入させた。
猫娘の掌が、トランクス一枚を隔てて上下に擦れる。
性器を、"自分以外の人間に触られる"という興奮と感触が、言いようのない快感となって俺を犯す。
眼前いっぱいに広がるの汗ばんだ猫娘の胸が、手の動きに合わせて、俺の顔をうずめては離れてを繰り返す。その度に、胸は形を変えて、驚くくらいの柔らかさで俺の顔に体温を伝えてくる。
――そろそろ、俺の中の理性は限界を迎えていた。
「ほれ、にゃにを呆けてるんだにゃ」
「……っ」
猫娘は手の動きを止めて、上半身を揺らす。胸が小刻みに揺れて、俺の鼻先で乳首をかすらせるように動いた。
俺は無意識に舌を伸ばして、舌先でつつくようにピンク色の乳頭に触れた。
「ん、そう……、いい子ですにゃ~」
「……」
――ああ、これが正解なのか。
俺はちろちろと、舌先を動かして、乳頭の先端を舐める。
「んっ、……はあ、んにゃ、ん。もっと強くにゃ」
「っ、強く……」
ほとんど理性の残っていない頭の中に、猫娘の声が反響する。
俺は、猫娘の胸にかぶりつくように、乳輪ごと口の中に含み、口から離れないよう乳頭を噛んで、吸う様にして位置を固定する。
「あっ! んぁ、んにゃ! …はぁ、それいいにゃっ、んっ!」
「…………」
口の中で乳頭を舐めまわす。
コリコリとした舌触りが、舌の動きに合わせて上下する。
猫娘は、恍惚そうな表情でよがりながら、俺の舌の動きに敏感に反応する。
「はあ、はぁ……、おみゃーさん才能あるにゃ、ほれ、ご褒美にゃ」
「っ! くあっ」
猫娘は、おもむろにトランクスをずり下ろすと、剥き出しになったイチモツを強く握った。
瞬間、先程までとは比べ物にならないほどの快感と衝撃が、下半身から脳にかけて津波のように押し寄せてくる。
「にゃふふ、可愛い声で鳴くにゃあ~。それ」
「っ! ちょ、待っ! ぐぅ!」
握る力はそのままで、猫娘は激しく腕を動かした。
亀頭から根元までを大きく往復させるように、何度も何度も。
俺は情けない声が洩れるのを耐えることが出来ない。
「おみゃーさん童貞らしいからにゃ~、すぐに出されてもつまらにゃい。一発抜いといてやるにゃ」
やがて、シコシコと水気のない音が、にちゃにちゃ、ぐちゃぐちゃという卑猥な音に変わる。際限なく溢れだす先走り汁が、潤滑油の役割を果たし、より強い快感となって全身を駆け巡った。
「うぅ、も、もう、やめ、ぐ」
「にゃふ、にゃふふふ、か~わいいにゃ~」
猫娘は、明らかに俺の反応を楽しんでいた。
サディスティックな表情を浮かべながら、どんどん手の動きを速めていく。
そして、
「ぁぐ、もぅ……、む、り」
「んにゃ、もうイクのかにゃ? 早いにゃ~、さすが童貞」
嘲笑するようなその声に、俺は悔しい気持ちを覚えながらも、迫りくる射精感に堪えることが出来なかった。
チカチカと、目の前で火花が散りだして、そして――
「……っ、ぐぁあっ!」
「にゃははははっ、本日一番搾りにゃあ!」
――絶頂。
限界まで膨張した息子は、猫娘の手の中で爆発するように射精を迎えた。猫娘の手が離れても、射精は止まらない。その背中にぶちまけるように、亀頭から精液が飛び出していく。
「にゃぁ、すっごい量だにゃあ……」
猫娘は、背中についた精液を指で掬うと、それをペロリと舐めとった。
「にゃあ、まさかこんにゃんで力尽きたりしにゃいよにゃあ……」
「っ、……っ、ぐぁっ……」
猫娘は、ようやく俺の上から腰をどけたと思うと、自らの秘部に、まだ脈を打ち続ける俺の息子をあてがう。
彼女が離れた時、俺の両腕も自由になっていたのだが、さきの手コキのおかげでまったく力が入らなかった。
「それ、元気になるのにゃ~」
「……ぐっ、あ」
精液まみれになった息子に、ぬらぬらと艶めかしく光る猫娘の秘部が押し付けられる。そして精液を伸ばすかのように、秘部をこすりつけると、力なく萎えていた息子に血液が次第にそそり立っていく。
「――ここからが、本番にゃ……」
「っ……っあ!!」
ずぷりと、音を立てながら俺の息子は膣内へと侵入した。
童貞終了。だが筆おろしを済ませた感傷などに浸っている余裕はなかった。
温かく包み込まれるような感覚は、電気となって全身に回り、堪えようのない快感が駆け巡る。
「にゃ! ちょっ、と、待つ、にゃ、はぁ、んぁ、はあ」
「っ、っ、くっ、ぐぁ、」
俺は更なる快感を求めるように、自ら腰を振っていた。猫娘も、動揺した口調とは裏腹に、愉税に浸りきった表情を浮かべながら、俺の動きに合わせるように腰を動かす。
パンパン、ぐちゃぐちゃと、卑猥な水音が室内に響く。
息子が猫娘の膣で摩擦される度に、じわじわと蘇ってくる射精感。
「あぅっ!、んにゃぁ!、はぁん!」
「はぁ、あっ、はぁ」
猫娘のあえぎ声と、俺の荒い息遣いが重なる。
技巧なんかない。語らいもない、ただ動物的なセックス。お互いにただ腰を動かすだけ。
だが、
「にゃは、おみゃー、さん、んっ、やっぱっ、才能っ、あるにゃ、っくぅ!」
猫娘もまた、思う存分に楽しんでいるようだった。潤んだ瞳と、夢見心地な表情で、嬌声をあげている。
腰を打ちつけるたびに、猫娘の膣内はきゅっと引き絞られて、更なる刺激をもたらす。
そして、
「にゃぁ! も、もうっ! んぁっ! …あぁあっ――!」
「……っ!」
ドクンッ! と、息子が一際大きく脈を打った。同時に猫娘も大きく背筋をのけぞって、絶頂を迎える。
一歩遅れて流れてくる精液は、猫娘の膣内へと放出される。猫娘の膣は、精液を全て搾り取ろうと言わんばかりに、締まり続ける。
「はぁ、はぁ…、これで……、契約、完了……、にゃ」
猫娘は、さも満足そうな顔でそう言って、俺の上に倒れこんだ。
強く密着することになった猫娘の身体は、いまだにひくひくと小刻みに痙攣を繰り返していて、絶頂の余韻を楽しんでいるようだった。
俺の息子も、猫娘の中に入ったまま脈を打ち続けている。
――俺、猫とやっちゃったー。
ぼやける意識の中、俺はそんな取りとめのないことを考えていた。
◇
優紀子、鈴菜。そして天国の父さん母さん。
あと数百人の嫁たちよ。ごめんなさい。
俺は今日、猫(神)にレイプされました。
ヤツとのにゃんにゃん(洒落になってない)を終えて、賢者モードに突入してしまった俺は、なすすべなく犯されてしまった無念と羞恥心に加えて、激しい自責の念に駆られていた。
まさか、見ず知らずの女、しかも自称神様の猫に、童貞を捧げてしまうことになるなんて……。
そしてあろうことか、お婿に行けない身体にされてしまうなんて!
初めての相手は優紀子だと思ってたのに……、って、それはない。全く、我ながら未練たらたらって感じだな。
だが、しかし、だ。童貞って、もっとこう尊いものなんじゃないかなぁ! どうなのかなぁ!!
「にゃにをうじうじしてるんだにゃ。まるで、処女をナンパ野郎に捧げてしまったおにゃごのような顔をしてからに」
「……見事に俺の心情を表していると言える」
我ながら情けないことこの上ないが、本当にそんな気分だった。
「いいじゃにゃいか別に。みー程の美女で筆おろし出来たなんて、男として本望だろうにゃ」
「そういう問題じゃない!」
男としての立場とか! これってもしかして獣姦じゃない? とかその他諸々っ!
猫娘は、いつの間にか元の白猫の姿戻っていた。いま居る場所も、先程の豪奢な部屋ではなく、元の白い空間だ。
無邪気そうに見える白猫の動物的に愛らしい姿を見て、俺はより一層後悔の気持ちが強くなるのを感じた。
筆卸は猫娘(神)……。
「にゃははは。しかし最中のおみゃーさんと来たら、本当に可愛かったにゃ。必死ににゃって腰を振ってからに」
「くぅ……っ!」
本当に、こういう時の男の立場って本当に弱い。
悪態をつこうにも、なんだかんだで夢中になっちゃったし、最後には中に思い切りぶちまけちまったし……。
正直、超気持ち良かったし! うう、自己嫌悪。
「一つだけ言っておく。いくら俺がAV好きだからって、獣姦には興味ありません! 覚えとけ!」
あ、でも頼子さんは別。
メイドさんにしたい女の子ベストテンからは揺らがない。知らない奴は知らなくていい。
「まだそんなことを……。みーは猫というより、神様寄りにゃわけで、どっちかっていうとあっちが本当の姿にゃんだけど」
「えっ? あ、そうなのか」
「今はわけあって力を抑えているんだけど、それはどうでもいいことにゃ」
「確かに」
何か色々と事情があるようだが、神様の都合なんて、俺に理解できるとは思えない。ここは深く詮索しない方向で。
「にゃにはともあれ、これで契約は完了にゃ」
「えっと……、なんか変わったのか?」
「にゃ……。左手を見てみにゃ」
「左手」
言われるがままに、左手を見て見る。
すると、手の甲に、なにか文字象形文字のような模様が浮かんでいたのだ。
「ふむ……、珍しいルーンだな」
「んにゃ? ルーンを見たことがあるのかにゃ?」
「あっ、いえ、ごめんなさい」
真面目に突っ込まれて、つい謝ってしまった。でも、そうか。これがマジモンのルーンってやつなのか。中学生の時分、油性ペンで描き殴った紛い物とは格が違う重みを確かに感じるような気がしないでもない。
気のせいと言われてしまえばそれまでだけど。
「まあ確かに珍しいルーンだにゃ。そのルーンの持つ特性は、……〝現象補正"」
「現象補正!」
「読みは、〝ノリッジアビリティ"」
「現象補正!」
なんて廚二くさいネーミングなんだ!
だがそれがいい。
「これは凄いのを引き当てたにゃあ……。おみゃーさん、運がいい」
「運がいいのか」
「例えるならジャンボ宝○じ2等くらい」
「1等じゃないんだな」
あと神様の癖に、例えにジャンボ宝○じとか言っちゃうのはどうなんだろうと思わなくもない。
「どんな能力なのさ」
「にゃ。簡単にぶっちゃけちゃうと……」
「ぶっちゃけちゃうと?」
「"にゃんでもできる"」
「にゃんでもですか」
「にゃんでもにゃ」
ぶっちゃけすぎてよくわかんねー。
「技を模倣するも良し、魔術を行使するもよし、体術や技術を会得するなんてことも出来る。真に"現象補正"を覚醒した暁には、やろうと思って出来ないことはにゃくにゃるだろうにゃ」
「にゃくにゃりますか」
「にゃ」
チートだった。
「ただし、能力覚えたてのおみゃーさんには、制限があるにゃ。常に"レベル"による制限が掛かっていることを忘れてはにゃらん」
「"レベル"とな」
「初期レベルのク○ウドは、超究○神覇斬を使えにゃいだろ。そういうことにゃ」
「すっげぇわかりやすい」
んー? でも……。
「"チート"っていうのは、初期レベルのク○ウドに超究○神覇斬を使わせるようなことをいうんじゃないのか?」
「おみゃーさんの元のスペックから考えたら、十分にチートだにゃ。おみゃーさんが言うのは、ク○ウド一人にファイナルヘ○ンやハイ○ィンドまでも使わせようとするようにゃものにゃ」
「仔細納得」
「ま、最終的にはそれくらいのことも出来るようににゃるけどにゃ」
「なんという……」
「やろうと思えば何でもできる。ご都合主義を越えた主観至上主義能力。それが"現象補正"にゃ。――"レベル"の上げ方にゃんかは、その世界のルールがあるからにゃ。向こうで調べるんだにゃ。みーは知らにゃい」
「はい了解。ちなみに、弱い能力と強い能力の判定基準ってどうなってんだ?」
例えば、ゴムゴムの実は弱いけど、ピカピカの実は強いとか、超人系の実と自然系の実の間には、強さに明らかな違いがある。
でも、バリバリの実とピカピカの実のように、一概にはどちらが強いと言えない能力だってあるじゃないか。
ここんとこ、どうなんだろう。
「知らん。実際使ってみればわかるにゃ」
「ですよねー」
「あと、いくらレベルが上がって好きなことが出来るようににゃったからと言って、使うべきではにゃい力というのもある」
「ほう、例えば?」
「いわゆる"神殺しの力"は、おみゃーさんそのものを殺しかねにゃいからにゃ」
「な、なんだか物騒だけど」
「肝に免じておくにゃ。おみゃーさんはみーとまぐわったがゆえに、その身に神性を帯びているにゃ」
神性。と、左手に刻まれたルーンといい、神から承ったチート能力といい。なんて厨二心擽られる展開なんだろう。
実に良い。
「にやけてないで真面目に聞くにゃ。生死にかかわるにゃよ?」
「サーセン」
「具体例ならば、直視の○眼やイマジン○レイカーみたいにゃ……」
「具体的にもほどがある」
最近厳しいんだからな。
自重しようぜ。
「ちなみに型○的な"固有結界"だったり"空想具○化"なんかは、どうなんでございましょ?」
「おみゃーさんも大概自重できてないにゃ」
無限の○製とか大○嘯とか朱○月とか、使いたい技は目白押しなんですが。
「やめたほうがいいにゃ。ああいうのは"世界に干渉する力"らしいからにゃ」
「なるほど。『君子危うきに近寄らざる』ってな……」
詳しく知らない能力を使って、『はいそれ違反!』とか言って死んでしまったら、目も当てられないじゃない。
「そういう危険な能力は、使おうとすれば左手に刻まれたルーンが反応して、ストップがかかるから安心するにゃ。場合によっては、無理に使えにゃいこともにゃいらしいが、そういう詳しい都合は、そのルーンを持つ者にしかわからん」
「使ってみないとわからないということですね。了解です」
「にゃ。以上、みーが教えられることの全てにゃ」
「凄まじい能力なのは、わかった」
多少制限はあるものの、応用の効く素晴らしい能力だ。
でも、ただ異世界に転生するだけなんだから、ここまでとんでもない能力を付加してくれなくても良かったんじゃないか?
魔王と戦う勇者じゃあるまいし、俺は女の子(二次元)たちときゃっきゃしながら、のんびりと過ごすことが出来れば、それで十分なのだから。
あ、さっき、『引き当てた』って言ってたよな。たまたま運が良かっただけか。理解。
一人で悩んで、一人で納得していると、
「おみゃーさんはぼーっとするのが好きだにゃ。ほれ、足元に気をつけるのにゃ」
「別に好きってわけじゃ……、え? 足元?」
反射的に足元を見て見れば、そこには地面がなかった。
いや、元々地面なんかないんだけど、そうじゃない。視界に広がるのは、白い背景ではなく――
――星が煌めく夜空と、生い茂った深い森。
それを空中から眺める形だ。
なかなか味のある風景だが、
「落ちるうぅぅぅぅ!!!」
「にゃっはははは! いってらっしゃい~」
自由落下開始。先程までの上も下もない空間から、急に重力にひっぱられる。
「この糞猫ぉぉおおおお! 覚えてろぉおおおお!!」
俺の声は届いたのか否か。
俺が落とされただろう穴は、点のように小さくなっていて、満天に広がる星々の光と判別が出来なくなっていた。
くそっ! 最後の最後まで俺をおちょくりやがって!
「次に会ったらただじゃおかねぇからなぁあああああ!!」
――赤神祐司、第二の人生スタート。
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