狂った私をお食べなさい
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
バナナちゃんの恋
ある朝、
起きたら
枕元にバナナが寝ていたんだ。
そして、バナナが話しかけてきた。
「驚かせちゃってごめんね。
私スーパーで貴方を見かけて
一目惚れしちゃったの」
…ほう。
確かに
こないだスーパー行ったからな…
ありえないことでもないよな
「なるほどねー」
ぼくは
あくびをしながら
そう答えておいた。
バナナは
さらに喋る
「でもね、人間に恋をするのは
私の世界では禁忌だから…
私は追放されてしまったのよ」
ぼくは
バナナと会話しているという
非現実的な状況なのに
寝ぼけていたこともあり、
考えるのが
めんどくさかったこともあり、
とりあえず
バナナの話を
適当に聞き流したんだ。
「そっかそっか。ゆっくりしていきなよ。」
ぼくは
そう言って再び眠りについた。
再び目が覚めると…
やっぱりそこには
バナナがいたんだ。
しかも
図々しく寝てやがる。
バナナのくせに
いびきなんか
かきやがって…
ぼくは
とりあえずバナナを
つついてみたんだ。
バナナは
ハッとしたように
パッチリと目を開いたから
ぼくが
おもわずビクッとすると
バナナは照れくさそうに笑った。
「やだ…私ってば
いびきかいてなかった?
うふふ」
そう言って
無邪気に
ぼくに抱きついてきた。
そして
バナナが語りはじめた。
「私は追放されてしまったから、
成仏することも
生まれ変わることも
出来ないわ。
だからね、たまにでいいから…
あの…その…あの…その…」
そう言いながら
モジモジするバナナに
若干イライラして
「なに?!」
ついつい
続きを急かしてしまった。
すると、
バナナが照れくさそうに
顔を手で覆いながら
震える声で言ったんだ。
「あっ、あの、その、あの…
たっ、たまにでいいからっ…
私を抱いてほしいの!!」
そんな大胆な告白をしたあとで、
バナナは恥ずかしくなってしまったらしく
ひ とりで
きゃーっ!!
とか言って走り回ってる。
そんなバナナを見ながら
ぼくは冷静だった。
ぼくは
いったい、どうやって
バナナを抱けばいいんだろう。
ぼくは
考えて考えて考えまくって、
とりあえず
まだ走り回ってるバナナを掴まえて、
「落ち着いてよ。
ところで君の性器は
どこにあるの?」
そう聞くと
バナナは少し照れくさそうに
俯きながら
「お洋服を脱がせて…」
そう呟いて
恥ずかしそうにクネクネしながら
仰向けに寝た。
そして、
バナナは
覚悟を決めたかのように
目をギュッと瞑った。
…洋服って?皮のこと?
ぼくは
バナナの皮を剥こうとした。
…なかなか剥けない。
とても堅いんだ。
どうやら処女らしい。
だから
ぼくはキッチンから
ナイフを持ち出した。
そして、
そのナイフで
バナナの皮を剥こうと試みた。
ナイフを握りしめて
「バナナ…
覚悟はいいかい?」
そう聞くぼくに
バナナはギュッと目をつぶりながら
上下に首を振った。
そんな健気なバナナを見て
ぼくの中のSの血が騒いだんだ。
くくく…
だから
ぼくはバナナを皮ごと
真っ二つに切ったんだ。
そしたら…
中からグロテスクなバナナの本体が見えた。
バナナが
恥ずかしそうに云った。
「長い間、処女だったもんだから…
腐ってしまったのね。
すっかりこんなにグロテスクになってしまって
私…恥ずかしいわ。」
ぼくは
とっさに
「でもバナナは腐った方が美味しいじゃん」
と
フォローした。
それにしても…
多少黒いならともかく
この色はグロ過ぎる…
ついついマジマジと
バナナの中身に見とれてしまった。
…いーやー、
しっかし…ほんと硬い。
なかなか剥けない。
すると。
突然バナナが
可愛らしい女の子に
変身したんだ。
えー
いやいやいやいや
なんじゃい、この漫画みたいな展開!!!!
ぼくは驚いてしまい、
瞬きするのさえも忘れていた。
そんな
放心状態のぼくに
バナナ(人間に変身したバージョン)が
覆い被さってきて
ぼくとバナナは
深く深く
朝まで繋がっていた。
驚くほどに
ぼくとバナナは相性がよくって
ぼくは、すっかり
バナナの虜になってしまったんだ。
行為が終わったあと、
たくさんお話をしたんだ。
バナナは
うっとりした顔で
ぼくの胸に顔を埋めながら
ぼくに愛を囁く。
「貴方を独り占めしたかったの。
だから神様にお願いしたの。
誰にも渡したくないから。
そしたら、こうして人間の形になれて
私とても嬉しいわ。
嗚呼、夢みたい。」
そんなバナナの話を聞きながら
ぼくはなんだか
とても眠くなり意識を飛ばした。
目覚めると
ぼくはベッドに寝ていた。
此処は何処だろう。
いとしのいとしの
プリティーバナナたんは何処に行ったんだ。
…あぁ、そうか夢か。
ぼくは少しガッカリした。
部屋の外から
親戚の人達の声が聞こえる。
おばちゃんたちの
うるさい話し声。
「院内では静かにしてくださいね」
と
注意する声が聞こえる
おばちゃんたちが
何を言ってるかは
聞き取れなかった。
ふと背中に
温もりを感じて振り向くと
バナナが
ぼくの背中に抱きついていた。
「ずっと一緒」
そう言って
バナナは幸せそうな顔で
ボロボロと涙を流した
ぼくも
何故だか泣けてきて
僕たちは
部屋の外に声が漏れないように
声を押し殺しながら
激しく貪りあった
それはそれは
史上最強に幸せな時間で
バナナと触れ合うと
まるで……
生まれた時から一緒にいるような…
そんな感覚になるんだ。
相変わらず部屋の外からは
おばさんたちの話し声が
煩くて煩くて…。
「それにしても
災難だったわね。
美智子さんショックでお家で
寝込んでるらしいわよ」
「そりゃー、
我が子が部屋に閉じこもってるから
覗いてみたら
局部をナイフで切り取って
倒れてる姿なんか見たら
ショックで立ち直れないわよ」
「美智子さん
女手ひとつで育ててきたものね。
自分が構ってあげれなかったから、
子供が精神的におかしくなってしまったんだと、
ずっとずっと自分を責めてたわ」
「でも
助かって良かったわね。
美智子さんが、見つけなければ
あと一歩で大量出血で命が危なかったらしいわ。」
おばさんたちの
うるさい会話を聞きながら
ぼくとバナナは
ウトウトしていた。
そして
ぼくはバナナにキスをしたあと
ぼくは子供のように
バナナに甘えながら
また眠りについた。
…おばさんたちの話し声や
看護婦さんの声を聞きながら。
ぼくは
ずっと寂しかった。
だれのものにも
なれないぼく。
ひとは
こどくだ。
だから
ぼくはぼくの中のぼくを
こじあけて
ぼくは
やっと
征服されることが出来た
たったひとりの
ぼくだけのぼく。
ページ上へ戻る