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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第九十一話】

 
前書き
若干展開がオリジナルでバトル成分低めの文章力低めの支離滅裂な可能性があるので批判はどしどしください

因みに書いて後悔はしてないので(ぇ 

 
――第三アリーナ――


片膝をつくシャルルは、俺に視線を合わせられないのか俯いていた。

見るや、シャルルが出したであろう武装の殆どが破壊されていて、無事に見えた武装はアサルトライフル一挺しかなかった。

IS自体も無事な所は左腕のシールド部分以外はぼろぼろの状態で、二人の戦いが激戦だったのを物語っているのだろう。

そんな激戦にも俺は気づかないぐらいラウラとの試合に集中していたのだ。

――シャルルのシールドエネルギーを確認すると、まだ0では無いのだが、ISの損傷が激しく戦闘継続が不可能な状態には変わりがなかった。

一方の未来の方も、打鉄の大型実体シールド両方が全壊し、打鉄自体のダメージも大きかったのだがシャルルとは違い、まだ辛うじて戦闘継続可能な状態だが……。

誰が見ても、この状態で戦闘をすれば足を引っ張るのが未来にはわかっているようなので、シャルルと同じく片膝をついた――。


――と、シャルルからプライベート・チャネル通信が入ってきた。


『……ごめんね、ヒルト…?無理しないでってヒルトに言われてたのに…僕……』

『シャルル、自分を責めるな。――後は俺に任せろ』

『で、でも……僕…ヒルトの足を引っ張って……期待にも応えられなかったから…』

『……何言ってる、例え今日の試合に負けたからって世界が終わる訳じゃないんだ。――シャルルは俺のパートナーなんだ…俺は頼りにならないかもしれないが、今は俺の勝利を信じろよ?』

『……うん…ごめんね、ヒルト――僕の分もお願い……ボーデヴィッヒさんに勝って、ヒルト!』


そう力強く伝え終えると、シャルルは通信を切るや真っ直ぐ力強い瞳で俺を見つめ、頷いた。

その後に、未来からもプライベート・チャネルによる通信が入った。

先に未来が言葉を喋る前に、俺が言葉を喋る――。


『流石だな未来、シャルル相手にぼろぼろになりながらも勝つなんてな』

『……うん、対戦相手のヒルトに通信を送るのってどうかとも思ったけど……ヒルト?』

『ん?どうした、未来?』

『……いつかね、ちゃんとヒルトに伝えるから…』

『ん?さっき言ってた事か?――気長に待ってるよ、っても俺が爺になるまでとかは勘弁な』

『そ、そんなに長く待たせないわよ!バカヒルト!!……でも、伝えたらもう私達、幼なじみの関係が崩れちゃうかも……』

『そうなのか?……俺は変わらないと思うがな。未来が俺と美冬の幼なじみで、誕生日も一緒なのは変わらない事実で縁ってやつだよ、それも切れない鋼鉄製のな』

『ふふっ、そうだと良いなぁ……試合中にごめんね、ヒルト?』

『いいさ、未来。――きっかけなんか無くても、伝えたい事があるなら何時でも構わないからな?例え俺が嫌い発言でも、ちゃんと聞くし』

『お、幼なじみを嫌う訳ないじゃない!――大丈夫だから、そんな話じゃないから…』

『そっか、……何でも聞くから言いなよ、未来?』

『……わ、わかった。――――バカ…』


そう返事をすると、未来からの通信も途切れた。

しかも最後にバカって言われた。

……別に変なこと言ったつもりは無いのだが…。


――と、それがきっかけになったのかはわからないがラウラが口を開き――。


「……二対一で私を相手にするという目論みも外れたようだな有坂。――これで貴様たちの勝利は無くなったも同然だ」


――と、まだ試合は続いているのに何故か勝利宣言をするラウラ。


「……何故そう言い切れる?――それよりも、自分のペアの未来に対して言うことは無いのか?ほぼ相討ちの形でシャルルを倒したんだ、労うぐらいしてもいいだろ?」

「ふん、元々私は一人で戦うつもりだった。飯山が居なくても私にとっては些末な問題だ」

「……お前、本当にこれまで軍で何を学んで来たんだ?お前が二人の教官から教わった事って何なんだ?」

「そんなものは決まっている。――軍で学んだ事は戦う事だ、いかにして人体を攻撃するかという知識、そしてどうすれば敵軍に打撃を与えられるかという戦略だ。格闘術、射撃、武装や兵器の知識や操縦方法だ」


淡々とした口調で語られる内容は、同じ歳を積み重ねてきた俺とは違い非常に重いものだった――個という人間というよりも、戦うためだけの兵器の様に俺は感じた――それと同時に、何故かそう語るラウラが寂しそうに感じた。

そんな風に考えている間も、ラウラは言葉を続けていく――。


「織斑教官からはISの扱い方だ――だが、それ以上に私はあの人に憧れ、強さに…凛々しさに…その堂々とした様に。自らを信じる姿に焦がれた――織斑教官の様に、私はなりたいと――――……ふん、貴様には関係の無い話だな」

「……ああ、関係ない話かもな――なら何故俺に話した?――何で寂しそうな眼をしているんだ…?」


俺がそう告げるとラウラの紅い眼が見開き、その表情は驚きを隠せずにいたが次の瞬間――。


「……ッ、黙れ……黙れ有坂!そんな目で私を見るなぁぁぁッ!!」



そう叫ぶラウラの言葉をよそに、俺は言葉を続けていく――。


「……お前…本当は寂しかったんじゃないのか?……お前が一夏に固執する理由も…お前が尊敬する織斑先生の弟で――」

「――黙れと言ったぁぁッ!」


言葉を遮るように叫ぶラウラ、次の瞬間、瞬時加速の体勢へと移行し――一気に間合いを詰めるラウラ。

肉薄するや、右手プラズマ手刀を振るう――だが。


「……ッ!?」


「……敵じゃないって言っただろ、ラウラ」


縦に振り下ろされたプラズマ手刀を、先程と同じように手首を掴んでそれを阻む。

普段のラウラならAICで拘束、その後に攻撃をして倒すのだろうが――今の単調な攻撃は俺の言葉によって冷静さを失った結果かもしれない。


「……怒るのは図星をさされたからか?…色々古傷に触ったのなら謝る……だが、少なくとも俺はラウラのクラスメイトで仲間だ――ラウラが【仲間などいない】、そう言っても俺は君の事を仲間だと思っている。――そして、もう俺に関わった以上、君は俺の【友達】だ。例えウザいと言われようが…仲間なんだ、友達なんだ。――今は無理かもしれないが――【ニカッと笑顔】だ」

「……ッ!?」


またも眼を見開くラウラに対して、俺は笑顔で応える。

試合中にこんなことしてるなんて他の観客から見れば俺が馬鹿してるようにしか見えないだろう。

だが、そんな俺の言葉がラウラの中の何かを変えたのか――。


「…有坂、本当にこんな私を【仲間】だと――【友達】だと……呼ぶのか?」


――と、聞く人によってはぶっ飛びそうなぐらいの180度考え方が変わった様に見えるラウラ。


「なんだ?【親友】とか【同士】の方が良いとかか?」

「ち、違う……。――わ、私はお前の妹に…オルコットや凰に対して酷い事をしたんだ…」


これもまた聞く人によれば驚くラウラの発言、だが――俺にはこの変化が良い方向にいくと思った。


「……そうだな、だがそれも俺は怒っていないさ。――他の人から見たら俺は甘いのだろう、それも角砂糖入れまくりのコーヒー並にな――だが」

「……?」


「【罪を憎んで人を憎まず】だ。ちゃんと三人に謝れば大丈夫さ。ラウラがやったことを取り消す事は出来ない、だが――したことに対しての過ちに気づき、反省する事が出来るのが【人間】ってやつさ、これが」


「……有坂…」


そう俺の名字を呟くラウラに対して、俺は言う。


「ヒルトだ、友達と言ったんだ。気軽に呼んで構わないさ」

「……ヒルト…私も、ヒルトの様に人としての【力】強さが――」


ラウラの言葉が途切れる、何事かと思いラウラの表情を伺うが、その眼は先程とは違い光を感じさせない虚ろな瞳をし、俺の事を認識出来ない様であった。



「…ラウラ?大丈――」


ラウラの身を案じ、声をかけたその時、異変が起きた。


「ぁぁぁああああッ!!!!」

「何だ!?」


目の前に居たラウラが、突然身を裂かんばかりの絶叫を発した。

突然の出来事に、観客席に居た客も何が起こったのかわからず、ざわざわと騒ぐだけだった。


「ラウラ!どうしたんだ!?」


慌てて声をかけるも、ラウラは返事をせず、先程から発する絶叫を続けたままだった――そこへ、シャルルからのプライベート・チャネル通信が――。


『ヒルト!どうしたの!?』

『わからない!急にラウラが――うわっ!!』

『――ヒルト!?』


シャルルからのプライベート・チャネルによる通信が入り、返事をしていたその時――シュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、もろに直撃を受けた俺は何とか堪えるものの、シールドエネルギーを大幅に削られた。


電撃による一撃を受けた俺を案じたのか、未来が声をかけてきた。


「ヒルト!大丈夫!?」

「大丈夫だ!だから心配すんな、未来!!」


その声に安堵したのか、少しだけだが未来の表情が和らいだのも束の間――。


「ぁぁぁああッ……ひ……ると……!」

「っ!?ラウラ!?しっかりしろ!!」


叫ぶ俺の声も虚しく、ラウラのIS、シュヴァルツェア・レーゲンが変形をし始めていた。

――否、変形などではない、徐々に装甲をかたどっていた線は溶けだし、やがてどろどろの半液体化後、ゆっくりとラウラの全身を包み込もうとしていた。

そんな最中、まだかろうじて意識のあるラウラが――。


「……に……げろ…!」


振り絞るように発したラウラの言葉は『逃げろ』だった――。


「馬鹿野郎!そんな苦しそうにしてるラウラを置いて逃げられるかよっ!?待ってろ!今助けるからっ!!」


慌てて駆け寄り、ラウラの全身を包み込むシュヴァルツェア・レーゲン【だったもの】をラウラの身体から取り払うように取り除いていくが、それよりも速く深く濁った闇がラウラを飲み込んでいく――。


「くそっ!くそぉっ!!取っても直ぐに飲み込もうとしやがる!――ラウラぁ!意識はあるか!?直ぐに助けるからなっ!?――シャルル!未来!手伝ってくれ!!」

「わ、わかった!」

「ボーデヴィッヒさん!しっかりして!!」


二人が走って駆けつけると、共に取り除こうとするのだが――。


「熱っ……!」

「くぅっ…!?」


ほぼ機能していないISでは保護されず、シャルルも未来もラウラに触れずにいた。


「ヒルト、僕達じゃ触れないよ…ごめん!」

「こんな時に役にたてないだなんて…!」

「気にするな二人とも!考えれば何かあるはずだ……!」


ラウラが火傷せずにいるのは、まだISの保護機能が生きているからだろう。

そうこうしている間にも、ほぼ全身を包み込んでいく状況に焦り始める俺――更に悪いことに、ラウラの全身を覆う装甲【だった物】が俺の腕を伝って俺をも包み込もうとしていた。


「クッ…!このままじゃあ…!」

「ヒルト、離れて!?このままじゃ、ヒルトまで飲み込まれちゃうよ!?」

「くっ……だからってシャルル、ラウラを見捨てるなんて出来るかよ!?まだあの中から助け出せる可能性があるなら俺は最後までやり抜く!!それが仲間だろっ!?」

「……!!」


殆ど飲み込まれかけていたラウラの赤い瞳が俺を捉えるや――。

ドンッ――と、既に飲み込まれていた両腕でラウラは俺を押し退けると、その瞳を閉じてラウラは深い闇に飲まれていった――。

だがその瞳が閉じる寸前――眼で語っていたのは――。


『タスケテ…ヒルト…!』


――俺がただそう思っただけなのかもしれない、本当の事はラウラにしかわからない――だが、少なくともこの時の俺は、ラウラが俺に助けてと目で語っていたのだと思った――。 
 

 
後書き
原作ならそのまま戦ってだけど、ヒルトとしてはわだかまりを無くした後に試合で勝敗をと思ったりで――まああまり上手く書けてないですが読んでくれてありがとうございます 
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