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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第366話】

 
前書き
一夏との模擬戦 

 
 夕方、午後四時。

 調理実習は各班事に様々な料理を作った結果、明らかに栄養管理とかのレベルじゃない料理が多数出来た気がする――とはいえ、真面目な班はちゃんと栄養バランスを考えて作っていたりするのだが。

 何はともあれ、夕食はあまり食べなくてもいい気がする――結構食べたから。

 さて、そんな調理実習の話はさておき、昼に約束した模擬戦を行うため、現在第三アリーナ第一ピットで着替えを終え、昨日のラウラが言っていた反省点を思い出す。

 どうも俺は、一度体勢を整える時に一歩下がる癖があるらしい――それ自体は悪くないのだが、親しい人物が見ればわかる隙みたいなものらしい。

 とはいえ、一度ついた癖は中々抜けない為、ゆっくり直せばいいとラウラが言ってたし――他に洗い直す点を見つけて改善していけばいいと思う。

 軽く準備運動を終え、昨日と同じくカタパルトに脚部を接続――シグナルが点灯し、射出され、アリーナの空へと飛び出した。

 まだ一夏は準備をしているのか、アリーナには居ず、俺は空中で静止すると周囲を見渡す。

 模擬戦を行うという話はしてないため、観客席には誰も居ない――一応アリーナの使用申請はしたから教師陣は知ってるのだが。

 まあ、下手に観客入るよりかはこのままのが気が楽と言えば楽だが。

 ――と、ここでピットに動きがあり、ハイパーセンサーに一夏の白式が表示される。

 狭いとはいえ、直ぐに反応する辺りは優秀なのだろうが……ISの評価は正直世間の過剰評価な気がしなくもない。

 女尊男卑に関してもそうだが、実際会社の企業や政治家等今なお男が最高権力を持ち、権力を持たないOLとか一部主婦、他にも女子高生や女性芸能人やコメンテーター等が偉そうにしている辺り、女尊男卑はあくまでも一般の人やメディアが過剰に言ってるだけな気がする。

 ――まあこんな風潮になる前から、実際女尊男卑みたいなもんだったぜって親父が口にしてたが……主にレディースディ等。


「ヒルト、待たせたな」


 一言そう言うと、早速粒子形成させた雪片を構え、更に武装腕が可変し、ブレードモードに切り替わる。

 零落白夜の刃はまだ出ていないが、明らかに二刀流で攻めようという魂胆が見える。

 勿論、フェイクの可能性も否定できないが……。

 とりあえず一夏の戦闘体勢移行を目にし、俺も両腕に粒子形成させてギガント・マグナムを構える。


「でかい拳だな、それ。 でもさ、当たらなきゃ意味ねぇぜ?」


 言ってる意味はよくわかる、剣だって当たらなきゃただの扇風機、そよ風を出すだけだし。

 だが――当たらなきゃ意味が無いのは一夏の武装にも言える事だ、特に零落白夜を纏った光刃は軽くシールドバリアーに触れただけで崩壊し、新たに形成し直すのに多大なエネルギーを消耗する。

 正直言えば、燃費最悪だが当たればほぼ試合が決まるチート能力だが肝心の一夏に当てれる技術は無く、仮に当たれば大怪我――最悪死ぬ可能性もあるため対戦相手は基本全力回避が基本だ。

 織斑先生に一度聞いたのがが、やっぱりその事はちゃんと最初に一夏に教え、更に零落白夜に関する説明書みたいなのも用意して手渡したと聞いたのだが……読んだのかどうなのか、判断が難しい所だ。

 考え事をしてる間に、試合開始の緑のシグナルが点灯した。


「行くぜ! ヒルトッ!!」


 そう叫び、雪片とブレードモードの雪羅から光刃が形成された。

 案の定、二刀流で一気に攻める作戦なのだろう――右手の雪片による横一閃を左腕ギガント・マグナムで防ぎつつ、ブレードモードによる逆袈裟斬りを横に身をずらして回避――シールドバリアーにかすること無く、避けきると隙が出来、右拳を突き出すとスラスターから激しく白煙が噴射され、勢いのついた巨大な拳が白式のシールドバリアーを突破し、胴体部分へと直撃するや大きく一夏は吹き飛ばされた。


「ガァッ……!?」


 加速した拳はそのまま一夏をアリーナ地表へと叩き込む。

 轟音と共に地表にクレーターが出来上がる――勢いの失った拳はそのまま地表へと落ちると、一夏は立ち上がり。


「クッ……直撃かよ……しかもこの威力、次は当たるわけにはいかねぇな……!」


 一人ごちるや、瞬時加速の体勢に移行すると共に武装腕の切り替えもハイパーセンサーが捉えた。

 モードは月穿――荷電粒子砲による射撃を行うつもりだろう。


「ウォォオオオオ……ッ!!」


 叫びが轟き、瞬時加速で一気に間合いを詰めつつ正面に翳した武装腕から月穿から連続で放たれる。

 出力を絞って連射を可能にしたのだろう、だが瞬時加速中の射撃はセンサー・リンクもターゲット・マーカーも無い白式ではまず当たらないし、牽制にしても意味がない。

 その証拠に、俺の左右三メートル~五メートル横を荷電粒子砲のエネルギーが通りすぎていく。

 大きく動いて回避する相手なら、これでも牽制射撃としては有効だが、一夏には基本牽制に使おうとは思わないはずだ。

 理由は荷電粒子砲発射によるエネルギーの損耗――無駄撃ちすれば、それだけ白式のエネルギーを使うのだから、出来るだけ無駄撃ちせずに当てようと思うのが人間の常みたいなものだ。

 勿論、それを踏まえた上での牽制射撃で相手の足を止め、バリア無効化攻撃を叩き込めば話は別だが――。


「でりゃあああああッ!!」


 持った刀の向きで次にどう斬りかかるのかが目に見えてるのだ。

 これは一夏だけではなく、俺や美冬、未来に篠ノ之にセシリア、鈴音、シャル、ラウラと専用機持ちばかり言ってるが正直全員に当てはまる。

 なら何故他の専用機持ちは当てれるのかと言えば単純に振る速さが速い人もいれば、動きに緩急等をつけて意識散漫させたり(武器の持つ手だけに集中させるのではなく、大きな身体の動き等もつけて手だけではなく他にも意識を向けさせる)と、乗り手によって様々な攻撃方法がある。

 特に後者は人の性に乗っ取ったものに近く、例えば誰かが「あっ!」と言えばそちらに意識が向くのと同じ様なものだし――まあこれに関しては自分の考えだから絶対に正しい訳ではないのだが。

 そんな訳で、一夏は瞬時加速で迫っての速攻による袈裟斬りだというのが解りやすい。

 瞬時加速中、一夏は基本大きな動きは見せない為、あまり通用しない戦法なのだが――何故か一夏はこれを多用する癖がある為、少し慣れた人からすれば簡単に見極めれるという訳だ。

 肉薄してきた一夏は、袈裟斬りによる一撃を振るう――が、動きが見えてる以上これに当たるのは余程注意が散漫した状態だろう。

 袈裟斬りを易々と避けた俺の視界に映るのは一夏の驚いた表情と共に、隙だらけになった白式の姿――。

 腹部目掛けて全身のスラスターやバーニアを噴かせ、加速力のついた膝蹴り。


「ぐ…………はっ……!?」


 身体がくの時に折れる一夏に対して、追撃の一撃に放つギガント・マグナム――巨大な拳が背部に直撃すると同時に、またも地面に叩き落とされた一夏。


「ガハッ……! げほっげほっ……クッ! 攻撃が当たる所かカウンター入れられちまった……!」


 よろよろと立ち上がる一夏に、更なる追撃の為に瞬時加速で迫る。

 それに気づいた一夏は、雪片を構えて防御の体勢に移行するが、瞬時加速を途中でキャンセルすると共に盾を機体前面に配置し、逆噴射して急停止。

 その動きに一夏は反応出来ず、目を見開いた次の瞬間、俺は対艦刀カリバーンを呼び出す。

 ギリギリ、カリバーンの刃が届く位置からの横への薙ぎ払い――一夏が気づいて反応したときには既に遅く、薙ぎ払いによる一撃が一夏の身体を吹き飛ばし、大きくきりもみしながら再度地面へと頭から落ちた。

 その衝撃を防ぐため、絶対防御が発動し、光刃を纏った雪片の刃から零落白夜の光が失われ、バリア無効化攻撃が可能な物理刀へと変わっていった。


「っ……エネルギーが……!」


 ごちた所でエネルギーが回復するわけが無く、俺は対艦刀を横に構え、その場で一回、二回、三回と回転してからカリバーンから手を離す。

 空気を切り裂き、迫る巨大な剣に目を見開く一夏――巨大なそれが迫るのだから、咄嗟に動けなくなるのは人としての性だろう――なすすべ無く直撃するや、試合終了のブザーが鳴り響いた。


「……っ。 また……負けたのか……」


 呟く様に言葉を吐く一夏に、俺は――。


「一夏、前にも言ったがお前は弱いんだぞ? もう少しそれを自覚した方がいい」

「……っ。 俺は……弱くねぇよ、白式があれば……千冬姉や箒、他の皆だって守れ――」

「本当に守れると思ってるのか? 正直、今の一夏が守る守るって言っても誰も守れないぞ? 白式だって、一度奪われかけたんだ、弱さを認めるのも人として必要何じゃ無いのか?」


 そんな俺の言葉に、一夏は顔を上げて俺を見ると――。


「弱くねぇのに、弱さを認める何て俺には出来ねぇよ……」

「……じゃあさ、少し訊くがお前の何処が強いって言える? 白式が強いって言うならそれを作った倉持技研、及び篠ノ之博士が作ったからになる。 腕っぷしの強さか? 腕っぷし――喧嘩が強い人間何か、この世の中じゃごまんと居るさ。 それに、前に聞いた大立ち回りも小学校低学年の頃の話だ。 あまり参考にはならない。 なら心が強いからか? 心が強い人間何て先ず居ない、人はいつまでも未熟で、時に挫折したり躓いたりして心を折られたりするんだし……」


 そう言う俺の言葉に、一夏はキッと目尻を吊り上げ――。


「だから! 俺は弱くねぇって言ってんだろ!!」


 胸ぐらを掴まれ、俺の顔面を力一杯拳を振り上げて殴る一夏。

 口の中を切ったのか、血の味が口一杯に広がる――殴られた箇所から痛みが全身に伝わる中、息も荒く胸ぐらを掴んだ一夏を見ながら。


「……殴って満足したか、一夏?」

「……ッ!」

「……事実を受け入れる覚悟も、人には必要だ。 ……手、離せよ」


 そう言うが、伏し目がちになる一夏はいつまでも離そうとせず、無理やり掴んだ手を離すと俺は――。


「俺も時折お前を殴るが、基本全部理由があって殴ってるんだぞ? 今のお前の怒りは、弱さを認められない子供が駄々をこねて殴った様なものだ。 そんな奴に、俺は自分の拳を痛めてまで殴るつもりは無いし、そもそも今のお前に殴る価値すらないさ、これが」

「…………」


 黙ったまま俯く一夏を、俺は軽く一瞥するとそのままピットへと戻っていく。

 頬から伝わる痛みがだんだんとキツく感じ始め、俺は帰って直ぐ氷で冷やそうと思い、足早に着替えてアリーナを後にした……。 
 

 
後書き
一夏がDQN化したΣ(゜∀゜ノ)ノ

いや、六巻でナンパ男をで殴って吹き飛ばしてるから、弓弦氏リスペクトの一夏ならこれぐらいやってくれるはず

多分、これで一夏の評価はうなぎ登りもというなぎ下りですな( ´艸`)

まあ書いてる俺が悪いんですが('A`)

とはいえ、不思議と原作一夏と通じる物を感じる( ´艸`)

次はリクエスト通りにいくか、別の子に手当てされるか、はたまたどうなるか、教師陣に密告すると……(ぇ 
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