ベルベルの受難
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第捌話
「うわっ……、や…、やめて…やめ…、お願い…!」
さすがに、ここまでくれば自分のヘソに何をされるかベルベルにも判った。
ベルベルのヘソは依然として左右に広げられたままだった。
その奥では、先に受けた虫の影響でイボのように大きく盛り上がったヘソの肉が鎮座していた。
ペンチは非情にもベルベルのヘソに潜り込み、その摘みやすくなった肉片を挟んだ。
「がはあぁぁぁぁぁ!」
強烈な痛みがベルベルのヘソを襲う。
ベルベルは身体をドスンドスンと飛び上がらせて揺すったがビクともしない。
ベルベルのヘソの肉を挟んだペンチのアームはそのまま垂直に上昇し、ヘソを伸ばし始めた。
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!」
アームの動きに合わせて腰を浮かせ、必死にヘソの痛みに耐えるベルベル。
しかし、どんなにもがこうとも、ペンチはガッチリとヘソの肉を挟み、ドンドンと伸ばし続ける。
その長さは2センチに及ぼうとしていた。
「ホントによく伸びるおヘソしてるな!じゃ、こぉんなコトするからな!」
謎の男は楽しそうに笑い、スイッチをさらに押した。
ペンチのアームがベルベルのおなかの上で水平に円運動を始めた。
醜く伸びたベルベルのヘソの肉がおなかの上で小さく円を描く。
よほどガッチリとヘソの肉を掴んでいるのか、それでもヘソの肉が外れる気配はない。
当然、想像を絶する痛みがベルベルのヘソに伝わる。
「いやあぁぁ!痛い!痛いってばぁ!おヘソが…おヘソが潰れちゃうからぁ…!もうやめてぇ!」
さすがのベルベルも涙を流して懇願した。
もちろん謎の男は聞く耳など持っていない。
「イイねぇ……!イイな……!もっともっとイイ声で泣け!ヴァ゛ッハハハハ!」
さらにスイッチを押すと、今度はペンチのアームは、強弱を付けて上下に動いた。
伸ばしては縮み、縮めては伸ばし…、この連続だ。
しかもこの運動は徐々に間隔が伸びていき、ベルベルのヘソは4センチ近く伸ばされていた。
その様子は寝かされていたベルベルにも見えた。
無惨に変わり果てた自分のヘソを目の当たりにし、
「いやあぁぁぁぁ!こんなのって、いやあぁぁ!戻して!うちのおヘソを元に戻してぇぇぇ!」
狂ったように泣き叫ぶベルベル。
「うるさい!」
謎の男はヒステリックに叫びスイッチを操作した。
するとアームは引っ張ったり、縮めたり、ぐるりと回ったり、捻るように回転したり、不規則に運動を始めた。
さすがのベルベルもヘソの痛みに耐えることが出来なくなり、気を失いかけた。
それに目敏く感付いた謎の男は、
「ダメよ!誰が楽してイイって言った!起きろ!」
と怒鳴ってコントローラーを操作した。
すると、それまでヘソの上で動いていたペンチのアームがベルベルのヘソの中に押し込まれた。
そしてヘソの中で猛烈な勢いで攪拌回転運動をはじめた。
「きひゃあぁぁぁぁぁぁ!」
ヘソをねじ切られるかと疑うばかりの強烈な痛みでハッと目を覚まし、手足を大きくバタバタと振りながら絶叫をあげるベルベル。
そんな姿に満足したように謎の男が呟いた。
「あ~ら、お目覚めだな?じゃあ、もっともっと楽しめよ!」
アームはゆっくりと上昇を始めた。
ベルベルのヘソが1センチ、2センチ、3センチ…と垂直に伸ばされていく。
「くふうぅぅぅ…!はあぁぁぁぁぁぁ…!ぬうぅぅいぃぃぃぃぃ…!」
もはや苦しみを言葉に表すことすらベルベルには出来なかった。
涙を流し、汗にまみれ、涎を垂らし、呻き声をあげ、首を大きく振って悶えることしか出来なかった。
そうこうしているうちにベルベルのヘソは強引に7センチまで伸ばされた。
アームの動きが止まった。
その微妙な衝撃すらベルベルのヘソに鈍く響く。
「アナタのおヘソじゃ、どうやらココが限界のようだな。でも凄い事じゃないか!ココまで伸びるおヘソなんて見たことないからな!」
無惨に引き伸ばされた自分のヘソを見て、ベルベルは言葉を失った。
『こ…これが…うちの…おヘソ…?イヤや…、こんなの…うちのおヘソじゃ……ないんや…』
「さぁて、そろそろ本番に行くぞ……。さすがのアナタもこれに耐えられるか?」
ベルベルのヘソは最大限に伸ばされたままだ。
「ま…、まだ…あるの…?」
と、弱々しく呟いたその瞬間、ベルベルは先端がハサミになっていた、もう一方のアームの存在を思い出した。
「ま……、まさか!ね…、ねぇ…、ねぇ、ねぇ、ねぇ……!やっ……やめて!ホントに!バカなことは、やめて!お願い!……やめて…、やめ…、やめてやめてやめてぇぇぇ!おヘソ、切っちゃダメぇぇぇぇぇ!」
まさかとは思いつつも、訴えに何も応えようとしない謎の男の態度から、ベルベルは自分のヘソに何をされるのかを確信した。
「うるさいな!」
非情にも謎の男はニヤニヤと笑いながらコントローラーのスイッチを押した。
ハサミのアームがゆっくりと動き、ベルベルのヘソの根本に宛われた。
「い…、イヤ…、イヤ、イヤ……、イヤあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!だめぇぇぇ!おヘソ…!おヘソ切らないでぇぇぇぇ!」
どうにもならないことを知りながらも、ベルベルは力の限り身体を揺すってもがいた。
そんなベルベルの姿を眺めながら、
「なにもそんなにイヤがることないじゃないか!せっかくアナタのおヘソを元に戻してあげるってーのに!もっともぉ、醜くなったおヘソをチョン切って……、だけどな!ヴァ゛ッハハハハハハハ!」
謎の男は至福の喜びを得たように高らかに笑い、コントローラーのスイッチを押した。
ザクッ!!
ベルベルの耳には、そう聞こえた。
ベルベルのヘソでは、そう感じられた。
醜く引き延ばされたベルベルのヘソは無惨にも切り取られたのだ。
「ぎゃああああああああああああああ!」
ベルベルは大きく身体を仰け反らせ、身体を痙攣させ、魂切るような絶叫をあげた。
ヘソからは夥しい量の血が流れているが、今のベルベルにはどうすることも出来なかった。
一方、切り取られたベルベルのヘソの肉は、不思議なことにペンチに挟まれたままピクピクと脈打っていた。
「ホラ!起きろ!まだまだオネンネには早すぎるぞ!ヴァ゛ッハハハハハハ!」
そう怒鳴りながら謎の男は、ベルベルのヘソに指を突き刺し、力任せに掻き回した。
「ふうっ……っつぅ!うわっ…!ふぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ベルベルはヘソの痛みで目を覚ました。
「まだまだこんなモンじゃないぞ……。でも、その前に…」
謎の男は、ペンチに挟まれ、今なお不気味に蠢いている、血にまみれたベルベルのヘソの肉を手で摘み取った。
7センチは伸ばされていたように見えたが、実際に謎の男が手にしたそれは、およそその半分ほどの長さだった。
それでも、いかにヘソの引き伸ばしが強烈であったかを、切り取られたベルベルのヘソが物語っていた。
謎の男は、その塊をプラプラさせながらベルベルの口元へ持っていった。
「ホラ…、おまえのおヘソだ…。こんなに醜くなってな……。んん~?ヴァ゛ッハハハハハ!」
ベルベルは涙で顔をクシャクシャにして、頭を小刻みに震わせながら、必死になって遠ざかろうとした。
「さ、元々おまえのおヘソだ……。お食べ!ホラ!ヴァ゛ッハハハハ!」
謎の男は左手でベルベルの口を強引にこじ開け、右手で摘んだ、血まみれの肉片をベルベルの口の中へ放り込んだ。
「んんんんん~っ!」
血のニオイと妙な舌触りがベルベルの口の中に広がる。
舌では鉄のような味覚が、歯ではゴムのような感触が広がり、噛み締めても噛み締めても、自分のノドを通すことが出来ない。
そうかと言って、吐き出したくてもそれが出来ない。
無理もない。今ベルベルが口にしているのは、小なりとは言え、ついさっきまで自分の身体の一部だったのだ。
それを自らの意思に反して口に入れられ、食べる事を強要された精神的ダメージは、肉体的ダメージ以上に大きい。
噛む力も次第に弱々しくなっていった。
それを見かねた謎の男は、ベルベルのあごを掴み、
「なにモゴモゴしてる!さっさと飲み込め!おまえのおヘソだろ!」
と怒鳴り散らした。
ベルベルは、ただ黙って言う通りにするしかなす術はなく、大粒の涙を流していた。
スカーレットは悶え苦しむベルベルをよそに、今度は別のスイッチを押した。
すると、新しいアームが迫り出した。
しかもその先には太い針を持った特大の注射器が取り付けられていた。
「今度は……、なんや……?」
ベルベルは気が遠くなった。
「おまえのおヘソ、キズ付けたからな……、特別にジェノバ細胞を注入してやる!ジェノバ細胞なら傷ついたおヘソも一発で元通りになるぞ!」
ベルベルには謎の男の笑い声すら空しく聞こえた。
『元通りになる』とは言うものの、謎の男の言うことはベルベルには何ひとつとして信じられない。
「もう…、もういややぁあああ!殺してぇぇぇ!ひと思いに殺してぇぇぇ!お願いだからあぁぁ!これ以上おヘソが痛い思いするなんて……もうイヤあぁぁぁぁぁ!」
ベルベルはとっさにそう叫んだ。
謎の男はそんなベルベルの訴えを笑って受け流した。
「何言ってるんだ!ダメだ!そうそうラクになんかさせられないぞ!それに言っただろ、おヘソを元通りにしてあげると!それでもって、おまえのおヘソをモノ凄くカッコ良くしてやるって!」
謎の男の非情な言葉を聞き、ベルベルは身体中の力が抜けて何も出来なくなった。
最早ベルベルには、極太の注射が自分のヘソに音もなく迫る様子を眺めるしか為す術はなかった。
太く、そして鋭く尖った針先がベルベルのヘソの中心に宛がわれた。
そして、無慈悲にも、そのままヘソの中心を刺し貫いていった。
その瞬間、
「うぐぐぐぐぐぐぅぅぅぅぅぅ!」
ベルベルはカッと目を見開き、歯を食いしばり、身体を硬直させた。
キズついたヘソに針を刺されるだけでも相当な痛みであるのに、そこへさらに液体となったジェノバ細胞が注入された。
痛みは数十倍になってベルベルのヘソを襲った。
もちろん、そのガマンにも限界があり、
「ぎゃはあぁぁぁぁぁぁぁぁ!もうやだぁぁぁぁ!たっ……助けてえぇぇぇぇぇぇ!おヘソ……、おヘソおぉぉぉぉぉぉぉ!」
ベルベルは大声を上げて叫び、身体を大きく揺すって抵抗した。
無論、そうすることにより、自分で自分のヘソをさらにキズ付ける結果になるのだが、今のベルベルにはそこまで考えがまわらなかった。
一刻も早く、ヘソの痛みから逃れたい。その一心の行動だった。
もちろん、そんなベルベルの思惑など通用するはずもなく、ベルベルは自分のヘソから注射針を抜くことが出来なかった。
ベルベルが暴れれば暴れるほど、注射針はヘソの奥深くへと刺っていく。
そして太い注射管に溢れんばかりに入れられたジェノバ細胞がベルベルのヘソに注入される。
抵抗する為に全ての体力を失ったベルベルは、許容限界を超えたヘソの痛みに、口をパクパクさせて悶えるしかなかった。
少量ずつ、ゆっくりとジェノバ細胞がテベルベルのヘソに注入されていく。
ジェノバ細胞を含んだ液体には刺激こそなかったが、針を打ち込まれたヘソには想像以上の負担がかかっていた。
「がっ……ふうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……!はああぁぁぁぁ………」
呼吸すらまともに出来ない。
それでも無理に呼吸をすれば、その分おなかが浮き沈みして、ヘソに余計な痛みが加わるだけだ。
こうして30分かけて全てのジェノバ細胞がベルベルのヘソに直接注入された。
ベルベルのヘソを貫いていた注射針がゆっくりと抜かれた。
針を引き抜く時もベルベルのヘソには壮絶な痛みが伝わった。
しかし、ベルベルは、ヘソの痛みに顔をしかめるだけで、声を発することさえ出来なかった。
それほど精神的、体力的な消耗が激しかった。
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