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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第255話】

 
前書き
美冬対一夏戦です 

 
 上空八〇メートル付近で停止した私と織斑君。

 眼下にはIS学園が見え、遠方には私達が育った街やレゾナンス等の建物が見える。

 学園の港に入港する船には色々な物資やIS関連のパーツ等が収まってる様に見えた。


「ねぇ、織斑君」

「ん? 何だ?」

「……私ね、お兄ちゃんに変に勘違いされたくないから出来れば下の名前で呼んでほしくないんだけど……」


 さっき地上で言った言葉を再度私は彼に言う。

 ……勘違いしないとは思っても、変に思われたくないのが私の本心なんだし……。

 ――でも、そう思っている私の期待を裏切るように織斑君は……。


「え? 何だって? 風が強くて全然聞こえねぇ」


 ……こんな感じでいつも難聴になる織斑君。

 正直、こんな彼に魅力をどう感じれば良いのだろうか?

 織斑先生が妙に女心を擽るっていつか言ってたけど、私もみぃちゃんも【全く】擽られないんだけどなぁ……。


「はぁっ……。 もぅぃぃわよ、織斑君。 ……篠ノ之さんも皆も、彼の何処が良いのかなぁ? ……顔? ……それだったらお兄ちゃんだって負けてないのに……」


 思わず言葉を口にしながらも、私は紫微垣を呼び出す。

 紅い刀身が鈍く光を放つと、織斑君も雪片を呼び出していた。

 それと同時にハイパーセンサーにシグナルが映し出され、一つ目が点灯する。

 ……武器は出したけど、今回は織斑君の自爆を誘おうかな?

 戦い方を模索してると、直ぐに二つ目のシグナルが点灯――模擬戦の開始が近い。

 考えるのを止め、意識を集中させる――と。

 三つ目のシグナルが点灯した次の瞬間、先手必勝といった感じに織斑君は――。


「はあぁぁぁああっ!!」


 左腕の多機能武装腕(アームド・アーム)《雪羅》が可変し、速攻による月穿の出力最大の荷電粒子砲を放ってくる。

 砲口が光った次の瞬間には急上昇して射線から外れると、真下を荷電粒子砲による高エネルギーが通過していった。

 ――こんなときにあれだけど、アームド・アームってどういう意味なのかな?

 武装腕でいいのかな?

 そんなとんちんかんな考えをする私に、再度チャージが完了した月穿を放つ織斑君。

 空に向かってこれだけ荷電粒子砲を放ってると、いつかは航空機に当たらないかなと思ったりもするんだけど、確かIS学園上空付近は許可無く飛行したら大問題になるらしいってニュースか何かで言ってた気がする。

 放たれた荷電粒子砲を易々と避ける私に、更に続けざまに月穿を放つ織斑君。

 射撃戦をしたこと無いのがまるわかりな程明白で、足を止めて最大火力で放ち続ければ何れは……。


「クッ……当たらねぇッ!! ヒルトだってセンサー・リンク無しで当ててるのに何で……ッ」


 苦虫を潰した表情で、ひたすら放つ織斑君。

 ウェイトのある最大火力だと溜めるまでの時間もかかるし、まず当たらないのが世の常。

 特に人サイズのパワードスーツ相手に当てるには相当な訓練をしないとリンク無しじゃ当てられない。

 なら【何故】お兄ちゃんが当てられるのかと言うと、最低でも三〇分はアリーナのランダムに動き続ける的目掛けて毎日矢を放っているからだ。

 ……お兄ちゃん、皆が帰った後も一人でいつも居残って訓練のお復習とかをやってるのを私が知ったのは六月に入った辺りから――。

 あの日も、涼んでから帰るよって言って私を含めた皆を無理矢理帰らせてから使用時間ギリギリまで使って訓練してたもんなぁ……。

 お兄ちゃん、何も言わないから私も聞かないけど……そういった影の努力がお兄ちゃんの力になってるんだと思う。

 的に矢を当てるだけなら誰でも可能だけど、お兄ちゃんは動く的に対して自分で当てる所を言いながら矢を放ってた。

 ――動き続ける的目掛けて、言った所に当てるのは正直私でも難しいし、お兄ちゃんも今はまだ三割ぐらいしか当てられてないけど……。

 正直、六月時点で三割は当たってるのだからお兄ちゃんに才能が無いって事は無い筈なのに、いつ調べてもISランクはお兄ちゃんがEから上がらないなぁって一人ごちってたなぁ。

 そんな考え事をしつつも、回避し続けていると織斑君は――。


「埒があかねぇッ! 零落白夜で一気に決める!」


 そんな言葉と共に、雪片の刀身に光刃が纏い、左腕の多機能武装腕はブレードモードに切り替わり、此方も零落白夜の光刃が形成されていた。

 ……いつもの事だけど、織斑君って使いこなせない大威力の武装で私を大怪我させても良いって思ってるのかな?

 絶対防御まで無効化するし、多分あの光刃……ラウラのプラズマ手刀と同じぐらい危なくて、生身に当たれば大火傷で死んじゃう気がする……。

 ……確か、織斑先生に零落白夜についてレクチャー受けてた筈なのに、これだけ乱用するのは何でだろう。

 考えても答えは出ず、瞬時加速で一気に間合いを詰めてくる織斑君は、勢いそのまま雪片を横一閃に振り抜く――。


「悪いけど、それに当たるわけにはいかないのよねッ!!」


 クイックブーストで避けるや、直ぐ様追撃するようにブレードモードに切り替えた雪羅による突き――。

 これに当たっちゃうと死んじゃうから当然避ける。

 太刀筋自体は単純で、織斑君の攻撃方法は袈裟斬り、逆袈裟斬り、横一文字に突きの何れかに、なんちゃって二刀流だから、見極め自体は難しくなかったりする。

 ひらりひらりと避け続ける私に、ひたすら斬り続けようと二刀流で振るう織斑君――と。


「……ッ!? エネルギーが!?」


 雪片の刀身に纏った光刃は収まり、ブレードモードの刃も四散して消え去る。

 私の狙い通りの【織斑君の自爆】――。

 後先考えず、大火力かつエネルギーを食う荷電粒子砲をドカドカと大砲を撃つように放ち、それに業を煮やして零落白夜を纏った光刃による二刀流で更にエネルギー消費。

 試合時間僅か三分足らずでこの結果なら……まずまずかな?


「どうするの、織斑君? エネルギー切れならもう勝負はついたと思うけど……」

「くっ……! まだまだやれるさぁっ!」


 そう言って輝きを失った雪片による袈裟斬り――。

 身を逸らし、その一撃を避けるとそのまま――。


「……時には引くのも勇気の一つよ。 織斑君のそれは――ただの無謀なだけよッ!!」


 腰を深く落とし、真っ直ぐに脇腹装甲に正拳突きの一撃。


「ぐあっ!? ……エネルギーが……」


 衝撃に機体が揺れ、体勢を崩した織斑君のその一言と共に試合終了のブザーが鳴り響く。

 ……結局、呼び出した紫微垣は使わずに拳一発で織斑君を倒しちゃったな……。


「……いててっ。 ……やっぱりつえぇ……」

「当然でしょ? だって、私は有坂ヒルトの自慢の妹だもん♪」


 そう言って軽くウインクすると、私は織斑君を残して一人地上に降りていった……。 
 

 
後書き
フルボッコ?

いやいや、自爆ですぜ旦那

という感じで書いたり

ヒルトの特訓内容を前に試しで書いたら地味すぎて没にした 
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