| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

【第131話】

 
前書き
批判あるかも

だがこの部分、ヒルトは一年生代表としての意見と批判――かな。

駄文ですがどうぞ(* >ω<)=зハックション! 

 
――IS試験用ビーチ――


クサナギの前まで来ると、篠ノ之の声が聞こえてきた。


「それで、頼んでおいたものは……?」


そうやや躊躇いがちに篠ノ之博士に尋ねる――。

頼んでおいたもの?

まさか、こんなところまで弁当を頼んで姉に持って来させた訳じゃないよなぁ…。

こいつ、何を頼んだんだ?

答えが出ずに、様子を見ていると篠ノ之博士の目が光る――。


「うっふっふっ。それは既に準備済みだよ。さあ、大空をご覧あれ!」


高らかに叫ぶ篠ノ之博士は、自身の頭上――つまり、空に指を指す。

それにつられて篠ノ之はもちろん、他の作業していた生徒達も空を見上げる――と、空気を切り裂く音が徐々に大きくなり――。


「――!?全員、衝撃に備えろッ!!吹き飛ばされるぞッ!?ラウラ!AIC展開しろ!!」

「……!?」


直上から飛来する金属の塊に気付いた俺は、大声で叫んだ。

あの金属の塊に、落下速度を抑える様なスラスター等は一切無いのだ。

ラウラも、俺がAICを展開しろと言った意味を理解し、直ぐ様展開――そして。


砂浜に落下した金属の塊――その時の衝撃で辺りは小さなクレーターが出来、発生した衝撃波によって軽い機材が吹き飛ばされた。

――その機材が生徒に被害が及ばないように、俺はラウラにAIC展開を指示した。

機材は壊れても直せるし、最悪購入すればいい。

だが生徒が怪我をすれば、それは授業にも支障を来すし、何より監督不行き届きになる――主に教師陣が。

――案の定、吹き飛ばされた機材が一班に向かい、飛ばされるがラウラの位置からは直ぐ様カバー出来る位置だったので大事には至らず、機材は空中停止し、AIC解除と共に砂浜へと落ちていった。


助けられた班からお礼を言われて、ラウラも照れているのかどう対応すればいいのかわからないといった感じだった――それよりも。

その【原因】を作った本人、篠ノ之博士からの謝罪が無いことも気になり、それを咎めようともしない教師陣も気になる。

いくらISを作った人だからと言って、問題が起きれば教師陣の責任になるのに……。

俺も文句を言いたかったが、さっき一悶着あったばかりだし、もしかすると後でちゃんと謝罪すると思い、この場はグッと堪える。

怪訝そうな表情で、俺は落下した【それ】を見た。

落ちた時に、金属の塊の正面部分の壁がばたりと倒れ、その中身を見せるように四方の壁部分も砂浜に倒れて中身が姿を現す――。



「じゃじゃーん!これぞ【箒ちゃん専用機】こと『紅椿』!全スペックが現行ISを上回る束さんお手製ISだよ!」


現れた中身は深紅の装甲のISだった。

それよりも今【篠ノ之専用機】って聞こえたのは聞き間違えか?

あいつ、まだ代表候補生じゃないんだし――聞き間違えだろう。

じゃなかったら、美冬や未来と同じように受け取るだけの実力を手にしてから受領するのだろう――この時はそう思っていた。

だがそれも、次の二人のやり取りでこの考えが違っていたことに気づかされる。


「さあ!箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズを始めようか!私が補佐するから直ぐに終わるよん♪」

「……それでは、頼みます」


俺は耳を疑った。

まるで、当たり前のようにその【新型】を受け取る篠ノ之に。

少なくとも、俺は篠ノ之は暴力は酷いが、こういったコネを利用して専用機を用意してもらうような姑息なやつには思っていなかったからだ。

モラルの無い行動もするが、自身が侍、武士等といつも言っていたから正直今でも目の前で起こってる現実が理解できない。

――と、さすがに一年女子も少しだがざわついていた。


「堅いよ~。実の姉妹なんだし、こうもっとキャッチーな呼び方で――」

「はやく、始めましょう」


そんな感じでとりつく島も無いように、姉に行動を促す篠ノ之。


俺にはその行動が、なし崩し的にも専用機持ちを無理やり周りに認めさせる様な――そんな自分勝手な印象だった。


「ん~。まあ、そうだね。じゃあ始めようか」


言うや、いつの間にか持っていたリモコンのボタンを押す篠ノ之博士。

刹那――新型の装甲が割れ、操縦者を受け入れる様に膝を落として乗り込みやすい姿勢に変わった。

そんな様子を、一夏はすげぇだの何なのと言っているが――あいつは幼なじみがこんな事していて何も感じないのか?

腕組みし、俺はその様子を見る――。


「箒ちゃんのデータはある程度先行して入れてあるから、後は最新データに更新するだけだね。さて、ぴ、ぽ、ぱ♪」


コンソールを開き、指を滑らせる篠ノ之博士。

更に空中投影ディスプレイを六枚ほど呼び出すとそこに出されたデータに目配りしていき、同時進行で呼び出した六枚の空中投影キーボードを叩き始める。


「近接戦闘を基礎に万能型に調整してあるから、すぐに馴染むと思うよ。後は自動支援装備もつけておいたからね!お姉ちゃんが!」

「それは、どうも」


素っ気なく返事をする篠ノ之――姉妹仲が悪いのか知らないが、それでもその新型を姉におねだりしたのが目に見えてるため――よくわからなくなる。

仲が悪いのに、姉に専用機のおねだりをする。

俺には出来ない事だ。

――俺も、世界初の男子操縦者という事で専用機を与えられたが――別に量産タイプでも俺は何も文句はないし、返却しろと言われたらそれにも応じるつもりだ。

――俺の中の篠ノ之に対する好感度が下がりっぱなしだ――人としての好感度が。

――そういえば、前に電話していたのはこの専用機のおねだりをしていたのだろう。

――そう考えると、第一試合の時に言っていた【私にも専用機があれば】発言を思い出させる。



「ん~、ふ、ふ、ふふ~♪箒ちゃん、また剣の腕前が上がったねぇ。筋肉の付き方を見ればわかるよ。やあやあ、お姉ちゃんは鼻が高いなぁ」

「……………」


一方的に喋る篠ノ之博士、それに対して篠ノ之は黙ってるだけだった。

そんな篠ノ之の態度も気にせず――。


「えへへ、無視されちった。――はい、フィッティング終了~。超速いね。さすが私」


そんな自画自賛しつつ、無駄話をしながらも篠ノ之博士の手は休むことなく動き続けていた。

……見ていても正直仕方がないのだが、この【クサナギ】をどうやって装着すれば良いのかもわからず、母さんが来るのを待つしかなかった。


――と、流石に篠ノ之が専用機を貰うというのに不満を抱いている女子から声が聞こえてきた――。


「あの専用機って篠ノ之さんがもらえるの……?代表候補生にもなっていないのに身内ってだけで」

「だよねぇ。何かずるいよねぇ」


そう言うのも最もだ、正直身内がISを作った人というだけで最新型を貰えるとなると、頑張って勉強をしてる子達から見ると面白くないからだ。

――と、そんな声に反応したのが……。


「おやおや、歴史の勉強をしたことが無いのかな?『有史以来、世界が平等であったことなど一度もないよ』」

「だが、だからと言って身内が身内を贔屓する理由にはならないだろ?」

「……またお前か、銀髪」


「ああ、また俺だ。――悪いが彼女達が不満を抱くのは当たり前だろ?何の苦労もせず、大した勉強もせず、ペア大会に出て一回戦敗退した篠ノ之が貰えるってんならこの学園の生徒全員にコアが行き渡る様にするぐらいじゃないと納得しないのが普通って訳さ」

「そんなの、私には関係ないもーん――銀髪、調子にのるなよ?束ちゃんを怒らせたらお前のIS、スクラップにしてやるよ」


子供っぽく言った次の瞬間、目付きが鋭く俺を睨み、口調が乱雑になる。


「調子にのる?何の調子にのるって言うんだ?確かに『世界は平等じゃない』――だがそんな【言い訳】をして篠ノ之が専用機を貰う理由にはならない。――篠ノ之、お前もお前だ。恥ずかしくないのか?まるで俺には『我が儘なだだっ子がおねだりして、新しい玩具を買ってもらえてご満悦』って感じにしか見えないな、これが」

「…………くっ…!?」


そう指摘すると、篠ノ之は俺を睨み付けてきた――それと同時に篠ノ之博士は笑顔で此方に向くと。


「銀髪、調子にのるなって束ちゃん、確か言ったと思うんだけど?――悪い子には、お仕置き……だね!」

「……ッ…!?」


キーボードを叩く手を止め、此方に向くと笑顔のまま俺の懐に潜り込む――と同時に左腹に掌打による一撃を加えようとするのが見えた――それも、急所部分に。

自然と受ける打点をずらす様に身を捩るが、それでも左腹に掌打による一撃が入る。


「……ッ…がはっ…!?――げほっ、げほっ…」


重い掌打の一撃に、俺は膝から崩れ落ちた。


咄嗟に急所を外したから大事には至らなかったが、入っていたらまず内部にもっとダメージを受けていただろう。


一撃を受けて苦しむ俺の頭上から、声が聞こえる。


「これに懲りたら、もう調子にのるなよ銀髪?」

「ぐ……っ…。ゴホッゴホッ……はぁっ、はぁっ……」


予想以上にダメージが大きく、俺は息を整えるので精一杯だった――。

見上げると、そんな俺を一瞥した後に篠ノ之の元へ戻って行った。

まだ苦しいが、その場で立ち上がるとまたクサナギの元へと戻り、クサナギにもたれ掛かるように――と。


「ヒルトっ。大丈夫!?」

「だ、大丈夫かヒルト?」


そんな風に慌てて駆け寄ってきたのはシャルとラウラだった。


「……だ、大丈夫と言いたいが一撃が重かった…な」

「……赤くなってる…」

「だが、臓器に深刻なダメージは受けていないようだな。――あまり私を心配させるな。嫁が怪我したとなったら私は……」


もたれ掛かる俺に、屈んで受けた腹部を軽く触れる様に触る二人――多少痛みがきたが、何とか動けるだけましだろう。


「ふぅ……。――シャルもラウラももう戻りな。あまり俺に構ってると篠ノ之博士に嫌われるかもしれないぞ?」


そんな風に言ってみると、真剣な眼差しで二人が。



「……そんなの関係無いよ。ヒルトは言葉だけで言ってたのに掌打するなんて…」

「……私もだ。篠ノ之博士に嫌われるより、お前の身の方が気になる。だから私の事は気にするな」

「ははっ……そう言ってくれるのは有り難いが……二人とも戻りな。――お前達二人が、これ以上問題が起こしたら国に強制送還されるぞ?……俺としては、そっちの方が嫌だからな」



これは事実だ。

シャルは性別疑惑――まあ、ろくに性別チェックしなかったフランス政府にも批判がいったからな。

でもシャル自身が性別偽って入ったのも事実だからな。

ラウラは、前の大会での問題もある。

――これに篠ノ之博士に嫌われたりとか追加されれば更に立場が悪くなるのが明白だ。

俺は性格上、あまり黙って見過ごす事が出来ないからなぁ。


「ほら、二人とも装備――というかパッケージ装備しないといけないだろ?俺はもう大丈夫だ」

「……うん、なら戻るけど…」

「ヒルト、あまり私を心配させるな。お前に何かあれば悲しむ人間はいっぱい居るのだからな?」

「……そうだな。まあ無茶はしないさ」


そう告げると、まだ心配なのか時折こっちに振り向き、様子を見ながら戻っていった――。

一方、俺はまた篠ノ之の方へと視線を向けると篠ノ之の【新型】の様子を見てるのではなく、現在は一夏の白式を見ている所だった――と、そんな一夏や篠ノ之博士、織斑先生の元へ向かう女子が一人――セシリアだった。 
 

 
後書き
こんな感じで一撃でやられたヒルトです

まあ事実、世界が平等じゃないのは周知の事実だが、だからといって身内贔屓が言いとも思えない。

政治家の世襲に近いものがある展開ですな

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧