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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第108話】

――一組教室――


本鈴が鳴り、一時間目の授業前にSHRが始まる。

予鈴が鳴り終わる前に到着したため、ギリギリセーフだったがその直ぐ後に織斑先生が来たため、もう少し遅れていたら遅刻だっただろう……。

――と、今日は珍しくまだ山田先生が来てないのが気になりつつも織斑先生が喋り始めたのでそちらに意識を集中させた。


「今日は通常授業の日だったな。IS学園生とはいえお前たちも扱いは高校生だ。赤点など取ってくれるなよ」


――とは言うものの、実は俺は非常にまずい状況だ。

何せ通常授業数自体が少なすぎて俺の解らないところが多々あり過ぎて下手すると夏休みは補習祭りに早変わりする……。

若干頭を抱えていると、織斑先生が――。


「どうした有坂?まさか勉強してないのか?」

「…………ISの勉強だけで手一杯でした」


そういうと、クラスの女子達から軽く失笑されてしまった――一応授業内容はノートに取ってるんだがなぁ…美冬か未来にでも教えてもらうか。

そんな俺の様子を見た織斑先生はこめかみを指で押さえ、やれやれといった感じで――。


「全く…後で誰かに教えを請えよ、有坂?」

「はい……」


またもクスクスといった失笑が聞こえてきて、俺は物凄く気恥ずかしい気持ちになった……。


せめて赤点回避だけはしなくてはいけないな…気が重いが。

――と、織斑先生が軽く咳払いをすると話題が変わり。


「それと、来週から始まる校外特別実習期間だが、全員忘れ物などするなよ。三日間だが学園を離れる事になる。自由時間では羽目を外しすぎないように」


そういやそんなのがあるってプリントに書いてたな――校外実習もとい、臨海学校だ。

中学の臨海学校は手こぎボートで海を漕いだが――。


それはそうと、三日間の日程の内の初日は丸々自由時間というまさかの待遇、もちろん海だからテンションも上がるってものだ――右を見ても水着、左を見ても水着、下を見れば砂浜で上を見れば蒼空と照りつける太陽――ヤバい、俺もテンション上がって来た!

内心既に小躍りしてる状態だ、くぅぅーっ!待ちきれねぇッ!!


――と、織斑先生がまた。


「有坂、浮かれるのは勝手だが思っていることは口に出さないようにな」

「は?――あれ?」



気づくと俺は立ち上がり、両手で小さくガッツポーズをとっていた。

その様子を見たクラスメイトからは再度失笑が起こっていて、隣の美冬もあちゃーって感じで額に手を当てて俺を見ていた。


「あ、あはは……申し訳ない、テンション上がりすぎたな、これが」


そう言って座るとクラスメイト皆が笑い始めた――俺にとっては気恥ずかしい気分だが……。

……そういや、海パン家にあるが新しく買うかな。


そんな笑い声が絶えない教室を、織斑先生が軽く咳払いしただけで治まり――。


「ではSHRを終わる。各人、今日もしっかり勉学に励めよ」

「あの、織斑先生。今日は山田先生はお休みですか?」


そう言ったのはクラスのしっかり者の鷹月さんだ――何気に下の名前のしずねの【ね】って漢字が難しすぎて俺には書けないのは内緒。

だから平仮名で書く、そっちのが可愛く見えるし。


それはそうと彼女、実は結構見た目が好きだったりする、俺が。

まあ=恋愛感情ではないんだが……話したのも数回しか無いからな。


話は戻すが、鷹月さんが言った通り朝から山田先生が居ない。

本来ならこういう説明はいつも山田先生が行っているのだが。


「山田先生は校外実習の現地視察に行っているので今日は不在だ。なので山田先生の仕事は私が今日一日代わりに担当する」


織斑先生がそう言い、一気に女子達が騒ぎ始める――。



「ええっ、山ちゃん一足先に海に行ってるんですか!?いいな~!」

「ずるい!私にも一声かけてくれればいいのに!」

「あー、泳いでるのかなー。泳いでるんだろうなー」


そんな風に話の輪が咲き乱れる様に広がる――この辺りは十代女子の特徴だろう、話題があれば一気に伝染するかのように賑わうのだから。

そして織斑先生は、そんな女子達を鬱陶しそうにしながら言葉を続けた。


「あー、いちいち騒ぐな。鬱陶しい。山田先生は仕事で行っているんだ。遊びではない」

「「「はーい」」」


そう揃った様に返事をする一組女子一同――チームワークというか既に連帯感が生まれているようにも感じた――ただ、篠ノ之だけはどこかつまらなさそうにしていたのに気づいたのは多分俺だけなのかもしれない――。 
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