IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第104話】
前書き
ぬこ神さんの要望で書いてみた
何か変になった気がする…(ぇ
次の話でオリジナル終わって三巻いきます
――第三アリーナAピット――
ラウラとの対戦を終え、ピットへ戻るや待っていたのは――。
「ヒルトさん、お疲れ様でした。タオルをどうぞ」
セシリアだった、その顔を見ると少しだけ頬が赤かった――。
そしてセシリアは、手にしたふわふわのタオルを俺に差し出す。
「ん、良いのか?何かスゴく高級そうなタオルだが……」
「えぇ、勿論ですわ。わたくしとヒルトさんの仲じゃありませんか、遠慮なさらず使ってくださいな」
「そっか、なら使わせて――」
そう言い、タオルに手を伸ばすがその直前にセシリアがタオルを引っ込める。
おいおい……やっぱりダメって事か?
等と思っていると、頬を赤く染めたセシリアが――。
「や、やはりわたくしが拭いてあげますわね?」
「え?――あ、あぁ」
言うやセシリアは、此方に近付いてきて額の汗をタオルで拭き始めるのだが――問題はセシリアが寄り添うように密着し、その胸が当たっているのが――。
しかもISスーツ越しなせいで、殆ど裸で密着されているような感触が妙に生々しかった。
「……セシリア、胸が当たってるんだが…」
そう控え目に言う俺――てか二人きりだからいいが美冬に見られたらハリセンされそうだな。
――と、セシリアはより密着し、押し当てるようにしながら上目遣いで。
「……わざと当ててますのよ…?」
「……ッ…」
今の言葉が俺の理性を吹き飛ばしかけたのだが、何とか辛うじて保つと――。
「ぅ……せ、セシリア、嫌じゃないけど…とりあえず離れて…?」
「うふふ、ヒルトさん、照れなくても……ですが、これ以上困らせるのも悪いので離れますわね?」
そう言い、ゆっくりと離れたセシリア。
安心したような残念なような複雑な気分になってしまった――と、ピットと更衣室を繋ぐスライドドアが開いた。
「よおヒルト、ちょっといいか?」
「一夏か、どうした?」
現れたのは一夏だった、一体何だろうか…?
とりあえず一夏の要件が何かわからないため、口を開くのを待っていると――。
「久々にさ、俺と模擬戦しないか?箒とはさっきまでやってたんだが、他のやつとも戦ってみたくてな」
「俺とか?――セシリアも居るぞ?てかもうちょい待てば他のメンバーも来るし、ラウラも向こうのピットに居るから連絡すれば相手してくれると思うが――てか鈴音は?あいつも居るだろ?」
「鈴?鈴は今日中国政府の人から何か連絡があるから無理って――男同士なんだし、良いだろ、模擬戦?」
そう言って徐々に近付いてくる一夏に背筋がゾッとする――シャルが女の子とわかってシャルに対しての着替えを迫ったりとかは無くなった(あったらあったで怖すぎるが)。
代わりに、俺がよく誘われる――主にトイレに。
「……わかったから近付くなって、俺は男と付き合う趣味は無いんだから迫られても嫌悪感しかわかないぞ?」
「わかってるって、それに俺はヒルトが言うようにホモじゃねえから安心しろって」
……いやいや、シャルに対する尋常じゃない迫り方を間近で目撃してるんだがな、俺。
「まあいいや、とりあえず俺が相手するからお前は向こうのピットに行きなよ」
「おぅ、ヒルト悪いな」
そう言って一夏はピットを出ていった――一夏と模擬戦か…レギュレーション決めるの忘れてたな。
一夏に対してプライベート・チャネルを開くと――。
『悪い一夏、レギュレーション決めるの忘れてた。――互いに【単一仕様】禁止、【第三世代兵装】禁止で近接戦闘オンリーでどうだ?』
『え?―――あぁ、いいぜ?それなら互いに五分と五分だもんな』
『じゃ、そういう事でよろしく』
そのまま回線を切り、ピットに備わったシールドエネルギー回復装置からエネルギーを補充しながら――。
「なあセシリア」
「はい?何でしょうか?」
振り向き、笑顔で俺に応えるセシリア――。
「自分じゃよくわからないが……少しは上達したかな、俺?」
「……勿論ですわよ?わたくしが教えていますし、他の方からも教わっていますもの。――初めて対戦したあの日から、貴方は凄く努力致しましたもの」
「ん……言うほどはやれてないさ――嫌でも才能の差を感じさせられるよ。――一夏、篠ノ之、鈴音、セシリア、シャル、ラウラ――そして美冬と未来にもだ。――ランクは関係無いって織斑先生が言ってたが……」
事実、空を飛べるようにはなったとはいえ既に周回遅れだからな――幾ら頑張っても、なかなか追い付いた気がしない。
さっきのラウラとの模擬戦は勝てたが、実際はラウラ自身の油断で勝てた様なものだし――考察はしても当たってるのかもわからない――。
そんな風に難しく考えてるとセシリアが近付いてきて――。
「自信を持ってくださいな。――ヒルトさんなら大丈夫ですから」
「ん……ありがとう。さて、行ってくるかね――皆が来たら観客席で観戦してくれよな?」
「えぇ。――ヒルトさん、いってらっしゃい」
その声を背中に受け、俺は再度ピット口へと入った――。
――第三アリーナ中央――
カタパルトから射出され、放物線を描くように落ちていくと地表へと着地した――。
既に一夏は白式を纏い、雪片片手に左手をグーパーして手を握ったり開いたりしていた。
――たまにあれをやってるが、何か意味があるのか?
決まってあれをした後に一夏は失敗してるが――。
「じゃあヒルト、準備はいいか?」
「あぁ、構わないぞ」
その言葉を合図にシグナルが点灯した――。
観客席を見ると、既に来ていたのか皆が居た――もちろん、篠ノ之もだ。
……?
ふと皆が居る観客席上部側を見ると他にも誰かが居るのに気づいた。
……アリーナ最上部壁際に居る人って――あの水色の髪に扇子は――。
――と、シグナルが緑へと変わり試合が始まるや先手を打つように一夏は雪片を横に振るう。
若干反応が遅れた俺は、シールドバリアーが掠り、大幅にシールドエネルギーを減らした。
「どうしたヒルト?集中しなきゃ直ぐに決着つけるぜ?」
「……ちっ…」
確かに一夏の言う通りだ、集中しないと――。
天狼を構え直すと、それが合図となり一夏も加速して距離を詰めながら雪片を振るう――その一撃を天狼で受け流すと、そのまま一夏は体勢をよろめかし――それを見逃さず、俺はぐりんっと胴を回すように回転――持っていた天狼による連続胴回し斬りを行う――姿勢制御を行いながら、俺の視界はぐるぐると回ってどちらが上でどちらが下かがわからなかった――。
切っ先が当たったのか、多少の手応えを感じ地表へ着地するや直ぐ様バックステップで後ろへと退避――。
「うぉぉおおっ!!」
「クッ…!瞬時加速か……ッ!!」
距離を離しても一夏は直ぐ様瞬時加速で迫り、雪片による突き――その一撃を受け流すと、瞬時加速の勢いのまま、一夏は此方にぶつかるが咄嗟に背部ブースター及びスラスターノズルを点火、その衝撃を相殺すると一夏は質量の差で吹き飛ばされた――例えるなら正面衝突するトラックvsスポーツカーって所だろう。
「あぐっ…!」
「ぐ……っ!」
装甲に傷は無く、へこみも無いのだが衝撃にシールドエネルギーが少し減少した。
だが多少のダメージぐらいで今の隙を逃すわけにはいかず、尻餅をついている一夏を追撃しようと低空飛行で間合いを詰めながら突きによる下段攻撃――だが、その一撃を後方へ回避した一夏――多分あれはオートによる回避命令だろう。
マニュアルだとあそこまで早く反応するのは手練れだけだからだ。
――こういったのをある程度見極められるのは、色々注視しているからだろう。
後方へと退避した一夏に対して更に追撃を行うため脚部ランドホイールを起動――激しくホイールが空回りする音がアリーナに響き、地表へ脚をつけるとそのまま滑走した――。
それを見た一夏も、先ほどと同じく瞬時加速の体勢へと移行し――一気に加速、互いにスピードが出ている為直ぐに接触――と見せ掛けてホイールで左へと避け、一夏と擦れ違い様に天狼による突きの一撃を一夏の脚部へと加えた――加速していた事もあり、一撃でアーマーブレイクし、脚部装甲は大きく破損し、割れていた。
――天狼自体にダメージが無いのは作り手が優秀なのか、または素材が硬い物で出来てるのかはわからないが――。
何にしても、瞬時加速は一直線で来るのが丸わかりだから慣れれば避けた上で一撃を与えられるようになる――のは一夏だけで、ラウラの瞬時加速はまた一夏とはタイミングが違ったり、ワイヤーブレードを駆使して攻防――又は伸縮するワイヤーを利用しての瞬時加速による旋回を行ったりする――という最後の話は本人談、ラウラが今朝俺に話してくれた。
――まるで何処ぞの巨人でも倒すのに必要な使い方だなって聞いてて思った。
破損した脚部からは一夏の生身部分の脚が見え、多少の機動性を奪えたと俺は判断し――背部ブースターを再度点火、加速力をつけた蹴りを腹部装甲へ衝撃を与えた――。
「ぐ……はぁっ…!」
その衝撃がもろに伝わったのか、苦悶の表情に変わる一夏――だがその目はまだ諦めていなく、何とか俺の蹴りによる一撃を踏ん張ると縦に袈裟斬り――。
それを天狼で受け止めると鈍い金属音と共に小さな火花が上がった。
上から押さえ付けるように力を込める一夏――それを押し返そうと更に力を込める俺――互いの場は拮抗し、ギチギチと刃が重なる音が聞こえる。
「ッ……ヒルトってこんなに強かったか…!?」
「は?……何言ってるんだ?まだまだ強くなったなんて思えないぞ…俺はな!!別に強くなりたいと思った訳ではないが!」
押す力を利用して刀を引き、その拍子に前のめりに体勢を崩した一夏の手元に勢いつけた蹴りによる一撃を加えるや、手に持っていた雪片を手放す一夏――空を舞い、アリーナ地表に突き刺さった雪片を拾うべく、加速して雪片の元へと一夏は向かうが――。
「悪いな一夏、手放した雪片を取りに行かせるほど俺は甘くはないさ、これがな」
そう告げ、回り込む様に立ち塞がると一気に振り抜く様に天狼による横一文字斬り――クリティカルヒットしたかのように一夏のシールドバリアーは斬り傷から崩壊していき――当たった天狼の刃は絶対防御を発動させて一夏のシールドエネルギーは0に――。
そして一夏は悔しそうに膝をつき、地面を殴る――。
「あー、ヒルトに初めて負けた……」
「……そういやそうだったか。なら俺の初勝利おめでとうって事だな、これが」
……勝てたのは嬉しい事だが、相手が一夏だからなぁ……。
「んじゃ、模擬戦も終わったし俺は戻るぞ?」
「あ――なあ、ちょっといいか?」
「……何だ?」
振り向き、一夏が口を開くのを待っていると喋り始め――。
「いや……何だかヒルトの操縦ってあんまりオートな気がしなくてな。――緊急回避みたいな事も全くしないしさ、ちょっと気になって」
「……?別に気にすることでもないだろ一夏?……んじゃ、今日はそろそろあがらせてもらうよ、二回模擬戦するのは精神的に参るからな、俺」
「あ、あぁ…」
――事実、模擬戦は疲れる――篠ノ之いわく、身体が鈍っているからだと言っていたが……銃を撃たれたり刀で斬りあったりとか普通しないだろ、高校生が。
――まあそんな高校も何処かにあるとは聞いたが、噂の類いだからな……。
ふわりと飛翔し、俺はピットへと直ぐ様戻っていった――。
――第三アリーナピット――
IS装着を解除するや、汗も拭かず、着替えも行わずに俺は観客席へと急いで向かおうとしていた。
――見間違いじゃなければ、あの最上段に居た『あの人』は……。
そんな考えをしながら更衣室を出たところで、誰かとドンッとぶつかった――。
「いたたっ……ヒルト、慌ててどうしたの?」
ぶつかった相手はシャルだった。
ISスーツを着、以前とは違って女性らしいスタイルを際立たせていた――というか、明らかに胸が大きく見えるのは気のせいだろうか。
――急いでたのにそんな邪な考えを抱いてしまい、頭をブンブン振って無理矢理忘れようとした。
「わ、悪いシャル。ちょい急いでてな――ほら」
手を差し伸べると、シャルは俺の手を掴む――そしてそのまま立ち上がらせると怪我が無いかを確認――。
「ん、大丈夫そうだな――あ、シャル――悪いが用事なら後にしてくれるか?少し急いでてな……じゃあ、後でな?」
「ちょ、ちょっとヒルト!?――――もぅ…!」
そんなシャルの声を背中に受け、急いで観客席へと俺は向かった――。
――アリーナ観客席――
観客席へと着くと、俺は最上段へとかけ上がり辺り一帯をくまなく探すのだが――。
「あれ…?確かに居たはずなんだが…」
既にその姿は無く、見間違いだったのかなと思い始めた――。
「お兄ちゃん、どうしたの?てかシャルロットさんが迎えに行ったはずなんだけど……」
そう言い、来たのは美冬だった。
未来やセシリア、ラウラは観客席にて談笑しているのだが、まだセシリアとラウラは少しぎこちなく見える――。
「シャルならさっきぶつかったが――俺を呼びに来たのか……」
「そうだよ?もぅ…ヒルトは先々行っちゃうんだから」
なんて背後から声が聞こえ、振り向くとシャルが頬を膨らませて立っていた。
「悪い、ちょっとな……」
「ううん、何だか急いでたみたいだけどどうしたの?」
「うん、何だかお兄ちゃん必死だったから私も気になっちゃって…」
互いに言いながら、気になるようだが――二人に言えば波紋が広がりそうなので心苦しいが、ここは誤魔化す。
「いや、気のせいだったから気にするなって――それよりもさ、今日はこの辺りにして後は皆でカフェ行かないか?たまにゃ骨休めしないとな。てか精神磨り減らした俺には今必要なのは糖分だ!うんうん」
そう腕組みし、話を終わらせたが若干無理矢理感が残る――だが、美冬とシャルは――。
「うん、いいよ?たまには休みにしてお兄ちゃんも休ませないと。それに甘いものも良いしね」
「僕も良いよ?いつも訓練ばっかりだったし、たまには色んな意味で休まないと…ね?」
――と、賛同してくれた。
少しだけ悪い気もするが、甘いものを食べたいのも事実――。
「そっか、なら来れる人誘って向こうで集合な。俺も着替えがあるし、皆も着替えがあるだろ?」
流石にISスーツのままカフェは目立つ、てか下手したら別な意味で露出魔に見られるかも。
「わかったよ、じゃあ私とシャルロットさんで皆に声をかけてくるね?」
そう言う美冬に対して、シャルが――。
「あ……美冬ちゃん、こんなときになんだけどね?――ヒルトと同じように僕の事はシャルでいいよ?」
「にょ?――いいのっ!?えへへ、ならシャルって呼んじゃう!今日のお風呂で一緒に洗いっこしようね?」
笑顔で応える美冬は、シャルの背中を押しながら皆の元へと向かった――お風呂で洗い合いか……想像すると色々大変なので止めておく。
とにかく、二人を見送ると俺はさっきまで居たピットへと戻ることにした――。
後書き
思った程フルボッコって感じがしないのは、多分無双難しいからかも
多分期待に添えてないかもなので、また別にヒルトvs一夏書きます
主に原作五巻辺りの話辺りで
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