王道を走れば:幻想にて
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幕間+慧卓:童貞 その2 ※エロ注意
前書き
プレイ一覧:パイズリ、フェラ、シックスナイン、正常位、松葉崩し、後背位、対面座位、騎乗位、膣内射精
「んちゅ・・・あむっ。んんっ・・・」
まどろみの中から徐々に浮遊していった慧卓の意識。朧が掛かったような頭で最初に感じたのは、くちゅくちゅとした水音、そして胸元と首筋を這うこそばゆい感触。そして身体に覆い被さり、腰の辺りを何度も行き来する重み。
(なんだ・・・なんか、くすぐったい感じがする)
「んんっ、ああっ・・・んん・・・ちゅっ」
その音に紛れて、時折淫らな感じを漂わせる喘ぎ声が紡がれる。高らかなそれは男には決して吐き出せぬ、艶やかで色気のある色をしており、眠りから覚めかけた慧卓の心を直ぐに燻らせた。そして慧卓は、頬に感じた熱い吐息と柔らかな感触により遂に目を開き、其処にある情景に驚く。
「っ!み、実は、んんっ!」
「ちゅっ、ちゅっ。おはよ・・・んっ・・・んちゅ・・・」
言葉が接吻に塞がれる。驚きのままに舌が絡め取られ、熱を帯びた唾液と共に歯が舐められる。瞳を緩やかに閉じて深い口付けをせがむのは、頬を淡く赤らめた実晴であった。慧卓が抵抗できぬようその両手を両手の指で絡めて握り、寝床に押し付けている。そして彼の素肌に、己の無垢なる体躯を重ねてその熱を共有した。
寝床に突っ伏す二人は衣服を脱ぎ捨てたままである。息はおろか、汗も、はては心臓の鼓動でさえ一つになったかのよう。身体で繋がらなくとも今この時においては、二人の意識は淫靡な方向へとどろどろに溶かされている。咥内を暴れる温もりを感じつつ、慧卓は己の身体に走る快感の正体に漸く気付く。胸元の口付けの痕をなぞるように実晴が己の乳房を、その頂点の桜を中心として押し付けている。そして股座では、昨夜の情事の続きのように、愛液に濡れた恥部を慧卓の男根に幾度も擦り合わせているのだ。
「おっ、おい、朝からそんながっついて、大丈夫か?」
「だって・・・昨日、私ばっかりしてもらったから・・・なんか思い出してきたら、情けなくなってきて・・・」
口付けを止めて拗ねたように実晴は慧卓を見詰め、乳房を慧卓の身体に擦り付けながら、そろそろと股座の方へ移動する。身体を移した彼女の鎖骨の辺りから姿を現したのは、青筋を立てて屹立する慧卓の陰茎であった。
「それに、朝見たらこれ。勃ってるんだもん。ふーっ」
「っ!」
熱帯びたそれに息が吹きかけられる。それに反応して、びくりと陰茎が震えた。
「しょうがないよね。生理反応なんだから」
「そ、そだな!こればっかりはもうどうしようもなくてーーー」
「でも、溜まってるんだよね?でなきゃこれ、勃たないんでしょ?だから・・・今日は私からするね・・・」
実晴は潤いに満ちた視線をそれに注ぎ、まじまじと、性の液体の濡れた亀頭から、陰毛の生えた根元までを観察する。その間にも、爛れた背徳的なが臭いが彼女の鼻を突いていた。
「・・・っ、大きいよね、これ。それに見た目を言うと、グロテスクだよね、これ。しかも温かいし・・・なんなの?鍋で煮崩れし始めた椎茸?」
「ひ、酷い事言うなっ!これ一つで人生の意味を考える奴だって居るかもしれないんだぞ!?」
「そうなの?」
「そうだっ!女でいうところの、その、胸と同じ悩みでっ、あいたぁあぁ!?」
「気に入らないの?私の胸」
がしっと陰茎を握られて爪を立てられる。デリケートな部分しかない槍に痛みが走り、慧卓は堪らず本音を紡いだ。
「いっ、いいえ!とっても気に入っております!大好きです!!ぶっちゃけていうと今触りたいです!!」
「そ、其処まで露骨に言うかな・・・?恥ずかしくいし・・・この馬鹿!!」
実晴は羞恥に視線を逸らしながら爪を立てるのを止めた。そして慧卓を慰めるように優しく、慈愛が篭った手付きで陰茎を手の中に収める。
「で、その、どうすれば気持ちよくなれるの、これ?」
「・・・最初はさ、それを握って、上下に擦ってくれるか?」
「う、うん。・・・なんか、生々しいね」
「ほっとけ」
そろそろと実晴が陰茎を擦り上げる。包皮が優しく押し潰され、中の海綿体が硬さを増して熱を上げる。顔の目の前でしなやかに踊らされるそれを見ながら、実晴は慧卓に問う。
「気持ちいいの?」
「・・・まぁ、普通に」
「そ、そうなんだ。なんかそう見えないんだけど・・・」
「そのうち、厭でも分かるようになるって」
実晴は手淫を続ける。時間をかけるようにゆっくりと陰茎を上下に擦り、彼の快楽の証を見ようと視線をその先端、赤みを帯びた鈴口へと注いだ。
黒味を帯びた男根、その先端にある赤黒い穴。艶やかな手付きで擦られるにつれて、やがてぴちゃぴちゃと水音が毀れるようになる。心成しか、亀頭からはてかりが増しているようにも見えた。これこそが彼の快感の証、先走りの汁。液体が裏筋を伝うように垂れていき、手淫を続ける実晴の指に付着する。己の膣が零す愛液に負けず劣らず、ねばねばとした感触であった。
「な、なにこれっ。なんかベタベタして・・・」
実晴は慧卓を見やり、そして僅かに瞠目する。昨晩の伽のように熱に浮かされたのか手首辺りで瞳を覆い隠し、若干荒げた息を口から零している。その息は見間違う筈のない、淫蕩な香りがするものであった。ふと実晴の心の中に、母性にも似た献身的な情欲が沸いてくる。
(本当にこれで合ってるんだ・・・もっと、してあげたいな)
「・・・んちゅ」
「っ!?実晴!?」
実晴はその唇を躊躇いなく、先走りの汁に濡れた亀頭に口付けた。そして情熱を浮かべた瞳を一度其処へ注ぎ、亀頭を口の中へと隠す。手淫とは違う、温かで滑らかな感触が走り、慧卓は息を飲み込んで驚く。実晴はそれを見て悦んだのか、手淫を続けながら頭を上下に振り、口淫の快感を慧卓に伝え始めた。
「お、おい、無理しなくても、っっ!!」
「んんむ・・・じゅる・・・んんっ、変な味・・・むふっ・・・」
音を鳴らして実晴は鈴口を啜り、先走った精液を嚥下する。苦味しか感じぬそれは実晴の愁眉を顰めさせるが、彼女は躊躇を抱かずにその苦味を舌の上に転がし、純真に満ちた口淫を続ける。歯が食い込まぬよう当たらぬように注意を払う。そして餅のように柔らかく形を変える唇で肉槍を包み込み、淫靡な熱が篭った舌を裏筋に這わす。どんどんと肉欲に溺れる実晴の痴態に慧卓は興奮し、息を荒げる。
「はぁ・・・はぁ・・・っ、其処っ」
「んんっ!あむっ、じゅる・・・ちゅむ!んむ・・・ああっ、硬いよ・・・」
一度実晴は咥内から陰茎を離し、裏筋に軸を合わせるように、毛が集約した根元から舌を這わせた。舌先の慎ましい尖りが男根を巡る情景は、まるで開花したばかりの華を穢すかのような不道徳で淫猥な雰囲気を齎し、慧卓の胸をぐっと締め付けてその視線を捕えて離さない。時折、息を零しながら精の臭い嗅ぐ姿もまた、実晴の扇情的な色気を際立たせ、静かに始まっていた彼女の自慰に熱を帯びさせていく。細い指先が膣を描き回すに連動するかのように陰茎を愛撫する。朝起きて直ぐに、いやそれよりもずっと前から快楽を与え続けらた彼は堪らず、どうしようもない射精感に襲われる。
「み、実晴・・・出そうっ・・・離してっ、離してくれ!」
「んんっ、んんんっ、ああっ、あっ、ちゅう、じゅるっ!!」
精の奔騰を匂わせた瞬間、実晴は更に勢いを増して慧卓の陰茎をむしゃぶり始めた。妄(みだ)りがわしい咥内の行為。亀頭を啜り、舌で嘗め回す。慧卓の背がぞくぞくと震え、尿道の中を精液が駆け巡ってくるのを感じた。
「っ、出すぞっ!!」
「んんっ、じゅる、んんんんっ!?んむっ!?」
丁度陰茎を啜っていた彼女の咥内に、何の躊躇いも無く精子が発射されていく。実晴はびくびくと震えるそれを瞠目して受け止め、舌の上にそれを溜めていく。幾度も震えたそれは舌の上に留まらず、実晴の口端からつつと毀れていった。
やがて射精が収まったそれを実晴は離し、己の掌の上に精液を吐き出した。
「げほっ、けほっ!苦いよ・・・なんなのこれ?」
「だ、だから、離しておけば良かったのに・・・」
「う、煩いわね!だって、あんな気持ちよさそうにしてたら、もっとしてあげたくなったのよ!しょうがないでしょ!?・・・本当に変な味・・・ちゅる・・・んむ」
実晴は掌のそれに視線を落とし、あろうことか、それに舌を落として啜り始めた。先走りのそれとは比較にならぬ熱さと粘り気を保ったそれを、実晴は愛おしき人の唇を吸うかのような優しさで飲み込み、胃の中へと落していった。指の間に、掌の線の上に残ったものですら舐め回して嚥下する。そして彼女はまるで淫奔の霊が憑いたかのように、慧卓の陰茎に舌を巡らせ、其処を伝っていく液体を飲み込んでいった。
欲情を誘う艶美な姿に慧卓が生唾を飲み込み、肉槍を更にそそり立たせる。実晴もまた愛おしげにそれを見詰めた時、ぐぅーっと、間抜けな音が慧卓の腹から鳴り響いた。
「・・・ご飯、作ろっか」
「・・・そだな」
二人はおずおずと身支度を整えて、朝食の準備を始めていく。今更ながら、慧卓は窓の外からちゅんちゅんと囀る小鳥の声と、鬱陶しげに光る太陽の射光に気付いた。
ーーー回想、一時終了ーーー
「エロい」「凄いエロい」
「・・・そう?」
「ああ。ケイタク、お前の彼女はマジでエロい。ぶっちゃけ羨ましい。そうだろパック?」
「そうだな。正直抜きたくなってきたけど、男の自慢話を聞きながら抜くのって物凄く愚息が情けなくなるからやめとく」
「そ、そうですか・・・続きも、話した方がいいですか?」
「当り前だ、ボケ!俺が聞きたいのは本番の時の話なんだよ!!」
「そ、そうですか・・・んじゃ、そこ、話しますね。・・・恥ずかしいけど」
ーーー慧卓の回想、実晴の家、朝食後ーーー
寝具を敷いた部屋に戻るなり、二人は深々とした抱擁と接吻を交わしながら寝具へと倒れこむ。そして幾分かそのままに愛を交わした後、慧卓は彼女に告げる。
「じゃぁ、俺の上に乗ってくれ」
「な、なんて・・・恥ずかしい体勢・・・本当にやらなきゃ駄目?」
「お互いを理解して、気持ちよくするには、これが一番なんだよ」
実晴が慧卓に伸し掛かりながら、ゆっくりと顔を陰茎の方へ近づける。隆起したそれは独特の生臭い香りを出しながら筋を立たせ、天に向かってそそり立っている。早く早く、実晴の献身さを受けたいとばかりに主張しているかのよううだ。余りの単純さに実晴が呆れの混じった息を陰茎に吹きかける。
「はぁ。男ってどうしてこう・・・」
「このっ、さっさと咥えなさいっ」
「んんむ!?」
実晴の頭に手を置いて、慧卓は無理矢理陰茎を咥えさせた。ジト目で睨む彼女をいじらしく思いながら、慧卓は頭を撫でて彼女を諭す。
「ほら、朝みたいに」
「むぅぅっ・・・んん・・・むう・・・ちゅっ、ちゅぱっ」
抗議の視線を其のままに実晴は陰茎への愛撫を始めた。朝と同じようにその竿に舌を這わせ、鈴口を舐め、食すかのように亀頭を吸う。びくびくとした快感が走るが、朝の行為のお陰か耐性がつき、慧卓は割りと余裕を持って彼女の行為を甘受した。そしてもじもじと気恥ずかしげに震える桃尻へと目を付ける。
「実晴、ちょっと腰をこっちに」
「みゅ?」
「・・・俺の顔の前に、腰をさ」
「っっ!」
羞恥に顔を赤らめて眉を顰めながら、実晴は慧卓の上に腰を運んでいった。クリトリスに引っ掛かるように、膣が期待の愛液を垂らしているのが見えた。
「そのまま、下げてくれ」
「・・・うん」
容姿の可憐さとは似合わぬ、生々しい肉ヒダが眼前に迫る。股座に走る快感を感じながら慧卓はまじまじとそれを見詰めた。手足に走る日焼けとは対照的の純白の肌、その中心に隠れるかのように桃色のヒダが陰唇の更に奥に幾重にも重なり、その一枚一枚が濡れそぼっているのが判る。突起したクリトリスは興奮の証。鼻を突く香りでさえ背徳的で、陰茎の硬さは更に増していく。
慧卓は実晴の臀部をがっしりと掴んでそれを下ろす。自然と口元に運ばれた膣の突起を、慧卓は歯で甘く噛んでみせる。途端に実晴が淫らな大声を出した。
「あひぃぃぃ!?つ、強過ぎぃぃ、駄目っ、駄目!!」
「ほらっ、奉仕が止まってる!」
「馬鹿ぁぁ、もう馬鹿っ!んむぅ、んんんっ、じゅる、んはぁ・・・!」
実晴は突如として舞い降りた軽い絶頂に背筋を震わせながら、陰茎に顔を埋めていく。じゅぷじゅぷと卑猥な音を立てて口淫を続ける様は美しく、淫猥である。それに負けじとばかりに慧卓もまた、膣に舌を這わせて陰唇を味わい始めた。
「んああっ、じゅる、んっむ・・・はぁ、ああっ、んんんっ!!」
苦味が、先ず始めに舌を襲う。実晴が感じる精液の味がそれであるように、慧卓が感じる愛液の味もそれであった。だが不快感は無く、寧ろ愛おしさが湧いて出てる。自分を想って今愚息を愛撫している天に一つの美少女が、性的な興奮に駆られて垂らした愛汁。慧卓はそれを極上の聖水を飲むかのように、舌の上に溜めて飲み干す。その間にも舌先は陰唇を這い、赤く尖ったクリトリスを弾いている。
「んんあっ、ああああ!!んんんんっ、じゅるるっ、んふぅぅ!」
身体に走る快楽の波に混じり、至福が心を溶かしていく。陰茎が早朝と同じようにびくびくと震え、僅かに大きさを増しているのだ。咥内で射精を受けた彼女ならば分かる。慧卓が快感に堪えかねて再び絶頂の至ろうとしているのだ、紛う事無き自分の痴態によって。淫らな形とはいえ、今生の想い人を喜ばせた事実が嬉しくない訳が無い。実晴は射精をせがむように、そして膣をもっと深くまで愛してもらうよう、その行為の激しさを増していった。
一方で慧卓もまた悦びを感じるあまり理性が溶けるかのような感覚を、特に陰部を中心に味わっていた。普段の溌剌さが信じ難いほどに積極的に精を求める実晴の媚態に、心がどうにかなってしまったらしい。クリトリスを弾いていた舌先は陰部の中へと忍び込み、濡れそぼってより卑猥な味をしている肉ヒダを襲っていた。技術も思いやりも無い、唯我武者羅に女体を求めるその行為は実晴の身体をどんどんと追い詰め、絶頂の域へと導いていく。実晴の背筋が、腰がわなわなと震え始めて愛液が更に垂れていった。
「いくっ、いくっ!出ちゃうよぉ、んむっ、ちゅっ、いっちゃう!飛んじゃうっ!!」
実晴の絶叫と共に、慧卓は歯を食いしばって快感の波を享受し、二人はほとんど同じタイミングで絶頂へと至った。口を開けて震える実晴の顔に迸った精液が付着し、彼女の健康な美体に穢れを描いていく。膣に突っ込んでいた舌がきゅっと膣壁により締め付けられる。精子の代わりに唾液を吸い込んでいく女体の貪欲さに慧卓は感動を覚えた。
「ふぅ・・・ふぅ・・・っっ、はぁぁっ・・・んっ・・・じゅる」
実晴が横たわり、顔面や身体に落着した精液を口に運び、飲み込んでいく。息を荒げる度に胸元が上下し、その頂点で尖った乳首が露骨に強調された。しなやかに伸びる肢体、その全体に汗が滴のように浮かんでおり、呼吸と共に艶やかに身動ぎをする。
余談では在るが、普段彼はあまり頻繁に自慰をするわけではない。その為か一度するとなるど幾度も吐き出すという、いわば一時的な絶倫状態となる。今こそがその通りであり、慧卓の陰茎は射精をして尚衰える事を知らず、勃起の状態を保ったままである。先走りの汁も毀れるままであり、明らかに欲求不満であった。
実晴が精子の嚥下を終えた時、慧卓を見詰めて戸惑う。
「け、慧卓?」
「実晴っ、もう俺っ!」
言うや否や彼は実晴の覆い被さり陰茎の先端を膣口に合わせた。途端に怯えるような表情で実晴が固まり、不安げに慧卓を見詰める。間近に浮かべられたその表情に慧卓も理性を引き戻し、震える声で彼女に問う。
「実晴?」
「・・・こ、此処までいっぱいしといて、なんだけどさ・・・やっぱり私・・・」
「怖いか?」
「...うん。なんか、これでいっぱい、滅茶苦茶にされそうで...」
初心な身体が欲情に燃えるのとは反対に、その心には躊躇が芽生えていた。知識においては理解できる行為の激しさを身をもって体験するとなれば、慧卓に比べて華奢で小さな自身には、耐え切れるかどうか不安なのだ。快楽を遍く甘受するのではなく、想いを慧卓と一つにし続ける事が出来なくなるという不安。それが彼女の心の中で座したまま、それに従うように彼女は言葉を紡ぐ。
「だから、慧卓にとって酷い事かもしれないんだけどさ・・・最初だけ、最初だけは優しくで・・・いいかな?」
「・・・あぁ。勿論だよ。実晴が望むのなら、なんだって叶えてやる。だからさ、いっぱい甘えてくれ、俺の実晴」
「・・・えへへ。大好きっ」
普段は歯が浮くように感じる言葉とて、今の二人にとっては気分を盛り上げるだけの燃焼材に過ぎない。とりわけ、想い人の所有物扱いとされた実晴には心を更に焚き付けるものがあった。
口付けは交わさずに静かに抱擁をする二人。心が落ち着くまで暫しそのままでいた後に、慧卓が意を決して宣告を下す。
「じ、じゃぁ、入れるよ?」
「・・・うん」
先端を濡らすように慧卓は陰茎を、膣液を漏らしている秘所の口に擦り合わせる。びくりと実晴が震えて、慧卓の背に回した手の力をぎゅっと強くする。亀頭の先端から陰茎の半ば辺りまでが濡れた頃を見計らい、慧卓はいざ、膣の内側へと男根を進ませていく。ひれひれとした生々しい外観のヒダに亀頭が接吻を落としながら、その内へと割ってはいる。
(あ、温かい・・・)
血流が通って赤く隆起したそれは、それに相応しき熱を内在させており、実晴にはっきりとした熱を伝えている。ゆっくりと時間を掛けて侵入する陰茎は時折、くちゃっと背徳的な水音を立てて入っていく。人の指先とは違う熱く太く硬い逸物に、実晴は今だ嘗てない違和感を覚えていた。
「なんか、んっ・・・変な感じ・・・っはぁ・・・」
「っ、実晴」
「んっ・・・んちゅ・・・」
慧卓は彼女に優しい接吻を落す。未だ障壁らしい障壁に陰茎は当たっていないが、それでも痛む事も考えられる。せめてそれが少しは引いて欲くように、慧卓は気持ちを篭めた接吻を落す。
赤みを帯びた亀頭が中へと入り、今では青筋を立てた竿の部分が侵入していっている。予め濡れそぼっていた膣内に特段の抵抗なく陰茎が入り込み、膣壁の温かな歓迎を受ける。愛液の粘り気に裏打ちされたかのようだ。
「・・・っあ・・・き、きてる...奥・・・ぁぁぁ・・・」
徐々に、ゆっくりと潤いを帯びた膣を穿っていく肉槍。膣内から走る歪な感触に実晴は瞠目し、しかし耐え抜いていく。そしてついに陰茎が、竿の根元の辺りまで挿入される。実晴は上気した顔で慧卓を見遣った。
「は、入ったの?」
「・・・みたいだ。全部お前の中に」
「そっか・・・これで一つだね、私達・・・えへへ」
慧卓の背に回した腕の力は既に緩やかなものとなり、彼女はあるがままに、まるで水面に浮くかのような自然体で慧卓を受け入れている。互いの温もりが皮膚を通じてのみではなく、身体の中を通じて感じあえる。愛する者のみに許すその温もりは、実晴の心を溶かしていた。
実晴が僅かに身動ぎをした時、膣に収まった陰茎が一度、ぴくっと震えた。
「あ、出そう?」
「まだ大丈夫だ。実晴こそ、痛くはないか?」
「うん、平気。・・・初めてなのに、変だよね」
「運動を日常的にしてる人は、最初が痛くない時もあるって聞いてるぞ」
「ふーん、そうなんだ・・・ほんとっ、これおっきいね」
二人は穏やかに見詰め合う。水晶のように透き通った藍色の瞳が悦びと慈愛の光に満ちて一心に慧卓を見据え、彼は思わずどきっとした思いを抱く。それに連動して、また陰茎がびくびくと脈動した。
「ふふ。今ビクってした・・・慧卓、動いていいよ?」
「・・・あぁ。出来るだけ優しくするよ」
「うん、して。愛して」
慧卓はとてもゆっくりとした動きで腰を上下させ、肉棒の挿し入れを始める。快感を求めて焦れる心を抑えるように、数秒をかけて抜き差しを行う。慧卓に抱かれているためにその光景を見れていない実晴は、その動作の淫靡さとは対照的に、割と落ち着いた様子でその感触を甘受していた。
「んあ・・・あっ、はああっ・・・」
火照った息が潤んだ唇の間から漏れて、慧卓の肩をそっと掠める。彼のいきり立った陰茎は今、抵抗の強い未熟な膣の中を行ったり来たり、卑猥な音を立てて掘削している。初めて味わう感触に実晴が色気のある声を出し、知らず知らずの内に慧卓の理性を蝕んでいった。
「ぅぁ・・・すっごぃ・・・すごく熱い・・・ああん・・・」
艶美な声に圧されるかのように、慧卓もまた荒げた息を彼女の耳元に吹き付けていく。隆起した肉棒を締め付ける、執着的で遠慮のない膣の蠢き。まるでその内に吸盤でも備付けているか、或いは天然の淫虫でも飼い慣らしているかのように、膣肉がねっとりと絡みついてくるのだ。溌剌とした性分ゆえの清楚さを併せ持つ彼女の美顔からは想像がつかぬほどの、快楽を追い求める本能への拘り。徐々に腰の躍動が淫らに変わっていくのも仕方がないといえよう。
「あああっ、ああっ、あっ、ああんっ!つ、強いぃぃ、これぇ、お腹の中ぁぁあ!」
純真さに溢れた肌が一つの肉槍に揺らされ、実晴は天地がひっくり返されるような思いで瞠目する。口元はなすがままに開け放たれ、そして慧卓に貫かれる度に喘声を放つ。数秒をかけた挿し入れは、今や一秒の内に二回の往復がなされるような勢いである。淫猥な水音が陰茎と膣の間から弾き飛び、性液が二人の股座を濡らしていく。
「ひぃっ、あああっ、ああっ!はぁっ、はぁっ、あああっ!」
実晴は陶酔したような面持ちで慧卓の背中を掻き抱く。整えられた爪の流線が皮膚に食い込み、赤い痕を残している。膣内から迸る奔放な情念が、稲妻のような勢いで身体を揺さぶり、理性を磨り減らす。痛みを感じる暇もなく、ただどうしようもないほどの快感が恥部の彼方此方から発せられ、羞恥の心も溶かされていった。だからであろう、慧卓にせがんでしまうのは。
「こ、これっ、気持ちいい・・・んあっ!いいよ、慧卓っ!なんか慣れて来たからぁっ、もっと、ああっ、動いてっ!!」
慧卓は僅かに苦しそうな声を漏らしつつも、挿入の激しさを更に増していく。溢れ出る水音もまた淫猥さを増すかのように鼓膜を打ち、肉と肉がぶつかり合って弾けるような音もまた心を掻き立てる。陰茎の滾りが膣肉を無遠慮に穿ち、愛液の循環をより容易なものとさせる。互いの恥部を合わせて躍動させる度に、慧卓に押し潰された実晴の双丘にも快感の波が走り、意識を点滅させる。初心な身体なだけに性の律動は彼女を直ぐに追い詰めていき、絶頂に至るまで幾許もかからなかった。桃色の霞が意識を覆う。
「いっっっ、イクっ!!いっちゃうっ!!いっっっっ・・・」
言葉を詰まらせて実晴は天を仰ぐ。頭の中で光が破裂し、膣肉がぎゅうぎゅうと勃起した肉棒を締め付けていった。惚けたように息をつく実晴に、慧卓は淫欲によって開かれた瞳を向けて言う。
「実晴っ・・・片足あげて」
「はぁ・・・はぁ・・・」
慧卓は上半身を起き上がらせると同時に、半ば無理矢理に実晴の左足を持ち上げて、自分の左肩に押し付けるように乗せる。抽送の大きな障害物が一つ取り払われた事により、陰茎はより奥深くへと己を進ませる。それまで肉の連動により刺激を味わってきた部分が、急に肉棒の抜き差しによって強い刺激を受けるようになる。実晴は直ぐに反応して高い嬌声を漏らした。
「ふ、深いぃぃっ!!あああんっ、ああっ、あああっ、んんあああっ!!!」
直情的に貫いてくる硬い槍。藍色の瞳はどんどんと淫らな方向へと濁っており、艶やかな長髪が寝具の上で跳ねている。
先までとは違う感触に実晴は圧倒される。先のそれは真正面から掘り進めるようなものに対し、これは己の股座をこじ開けようとするものである。挿入が深まってより多くの膣肉が陰茎の暴虐に晒され、本能に従ってか、咽ぶように淫靡な感涙を垂れ流している。肉肌がぱんぱんと弾かれ、絶頂に至って間もない彼女の意識にまたも桃色の霞が覆っていく。
「はひぃっ、いっちゃうっ、いっちゃういっちゃう!!」
半ば絶叫紛いの嬌声を漏らす実晴と同じように、慧卓もまた切羽詰ったように眉を悩ませて、我武者羅に滾った男根を膣に深く打ち付けていく。先走りの汁がどくどくと溢れ出て恥液と混じり、挿入が滑らかとなっていく。その恩寵によってか快楽を感じる度合いもぐっと増しており、慧卓は朝方と同じような、精嚢からこみ上げる熱い塊を感じてなすがままに言葉を零した。
「でっ、出るっ!!」
「いっぐっ!!いくいくいくっっ、あああああっ、あああああん!!!」
一際強い叫びと共に実晴が背筋を弓形に伸ばして痙攣する。途端に強くなった膣壁の収縮が止めとなったか、慧卓は呻きながら陰茎の堰を切らす。赤く充血した鈴口から灼熱の白い液体が飛び出し、恥部の最深部を白濁で汚していく。陰茎のびくびくと震えて、尿道を疾駆した精子が膣内に注がれ、その奥の奥に潜む子宮の元へと放出されていく。子を成さんと、己の生きた証を残さんと迸る精子は、まるでその執拗さが滲み出たような熱を以って、実晴の腹部を暖めていく。
「はぁ・・・はぁ・・・熱いぃ・・・中がぁ、いっぱいでぇ・・・」
蕩けた表情で実晴が呟く。背筋をぞくりとさせるような艶やかな表情に堪らず、慧卓は鈴口に留まった最後の一滴に至るまで彼女の中に放出した。
実晴の足を下ろして慧卓はゆっくりと、中の温かみを味わうようにして肉棒を抜いていく。絡みつく膣肉の感触は程好く竿の屹立を維持せしめる。淫らな香りを漂わせる液体に濡れながら、陰茎が膣口より引き抜かれた。数秒遅れて、膣の蠢きに合わせるようにとろっと、精液が毀れてくる。
「あっ、出ちゃった・・・」
惚けた口調で実晴が呟く。身体のあちこちに珠のように汗が浮かび、興奮と疲労で艶やかな赤に肌を染めている。
彼女は何気となく慧卓を見詰めた。情欲に解かされた瞳は、何処か物足りなさそうな煌きを抱いているようにも見え、慧卓は股座に知らず知らず血を通わせる。
「まだ、するか?」
「もっとぉ・・・もっと突いて・・・もっと一つにして・・・」
潤った藍の瞳に滾るような情熱が走る。慧卓は唾を飲み込んで、再び彼女の身体を貪り始めた。
・
・
・
・
「あああっ、いいいいっ、すごいぃよぉ!!けいたく、凄いぃぃ!!」
実晴は叫ぶ。真っ直ぐに伸びる陰茎により膣内が蹂躙される悦びが走り、うつ伏せに突っ伏した身体が揺れていく。膝が寝具に擦れ、額に走る汗が布団に染み込んだ。
四つん這いとなった彼女の身体を慧卓は後背から貫いて快楽を享受している。だが二度目とはいえ膣内の淫猥な蠢きに耐え切れないのか、些か乱暴な腰つきとなっている。
「ひいぃっ、いっっっ、あああっ、ああああっ!!!」
実晴が獣のように叫ぶのも無理はない。尻肉を覆う肌は何度も慧卓の腰に打ち付けられた結果、赤く染まりあがっている。加えてより深い挿入をせがむように慧卓は実晴の腰を掴み、挿入の度にそれを己へと引き寄せるのだ。結果としていわずもがな、両者の性液に濡れた陰茎は更に深く刺さり、肉をぐりぐりと擦り上げていく。
「ああああっ・・・あああああんん!!いいぃ・・・気持ちいぃぃぃ、んあああっ!!!」
だが実晴は拒まないどころか、自分から腰を押し付けていく。快楽と歓喜に包まれた本能では、最早この蹂躙に抗する術を持ち合わせていないのだ。肉がぶつかり合って淫水が弾ける音が響く度に、心が際限なく溶かされていく。理性すら溶かすかもしれないといった恐怖を浮かべる暇もなく、彼女は膣肉の蠢きを激しくしていく。
「ぃっぅ、いっちゃっ、いっちゃう!!いくいくっ、飛んじゃうぅぅうううっ!!!」
言葉と共に膣の締め付けが強くなり、肉棒の硬さをより強く感じる。だが慧卓はまだ腰の躍動を止めない。実晴が絶頂に達したとて、自分が射精に至らなければ腰を止める理由にはならないのだ。 あの腰の奥から力が吸い取られていくような感覚を味わいたい、そして実晴の肉体をもっと奥で感じ取りたい。そんな情念が彼の心を支配し、陰茎の抜き差しは激しくなる一方である。彼が一際強く腰を打ちつけた時、亀頭が子宮の口へと合わさって、膣の収縮がぐっと増した。
「いっくっ、いくいくっ、いいいっっっっっっ!!!」
言葉を詰まらせて実晴は開口し、無言のままに絶頂を覚える。それと時同じくして慧卓は再び精嚢から精子を導き出し、それを膣内に吐き出した。肉の赤みが白濁の液体によって穢れていき、粘々として温かみのある感触が実晴の膣内に走っていった。
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「ひぃぃっ、んんんむっっ!!んちゅっ、んんあ、じゅる!」
露骨に二人の舌が合わさりあい、絡め取られ、突かれていく。互いに向き合う形で寝具に座り込みながら、実晴は慧卓の上に乗っかって身体を揺さぶられている。先までの真っ直ぐとした抽送とは違った、縦横無尽の蹂躙。膣肉が全く不意打ちの内に削り取られるようであり、実晴は新しい淫欲を覚えて歓喜に咽いだ。
「じゅるっ、んんんっ!!ああ・・・いいよぉ、慧卓、慧卓っ!!」
接吻を止めて、実晴は膣内を貪る陰茎の存在を確かめていく。下腹部の奥に感じる一際硬く屹立したもの。ひょっとしたら骨以上に硬いのかもしれない、そんな錯覚さえ感じるほどの硬い一物が、実晴の膣を跳ねていく。上下を掘り進めていた一物が今度は左右に揺さぶりを掛けており、膣壁の蠢きを愉しんでいるかのよう。
「っっっああっ、駄目ぇ、それ駄目ぇ!!凄いからだめぇぇっ、いっぐぅ!!」
恥毛無き丘陵に愛液が飛び散り、花弁が赤く尖る。軽い絶頂を迎えた実晴を追い詰めるように、慧卓はその美乳の先端に口を遣る。紅潮したそれを手で揉みしだけば、実晴は艶やかに息を荒げる。桃色の乳首を吸い込み歯で軽く噛めば、実晴が可憐な悲鳴を漏らして身を捩る。何をしてもなすがままに快楽を与えられる彼女はそれに相応しき痴態を晒し、慧卓の小さな征服心を満足させるものであった。
「はああっ、んんんっ!・・・はぁ、はぁっ、いくっ、いく!!」
対して実晴は慧卓に力任せに陰茎に貫かれるお陰で、膣内からも花弁からも常に強い性的な刺激を与えられ、既にまともに思考を巡らす状態ではなかった。動物的な本能に基づいて快楽を享受し、子種を欲さんと女性の器官が興奮に汗ばむ。慧卓の揺さぶりが、奥へ突き刺さる肉槍が、彼女の性感を絶え間なく刺々しく刺激する。二度の膣内射精を受けて更に滑々とした膣内を陰茎が滑り、無遠慮に子宮の口を叩いた。
「ああああっ、ああああああっっ!!いっちゃうぅううう!!!」
淫靡に咆哮する実晴は、御淑やかな美乳を強調するように天を仰ぐ。其処へ追い討ちするように桜色の尖りを噛む慧卓。実晴は蕩けるような笑みを浮かべながら、高々とした絶頂を迎えて愛液を迸らせた。だらだらと淫らな液が垂れていく中を、慧卓は腰をぶるりと震わせて三度、その中を白濁液で汚していった。黒髪を躍らせながら実晴は灼熱を身体の内に受け入れ、涎を垂らしてこの悦びを感謝するように爛れた溜息を零す。幾度も抽送をしながら、慧卓は子種を注ぎ込んでいった。
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「んん・・・どう?・・・あああっ、凄い、でしょぉ?」
媚びるような目付きに、艶治な腰つき。様々な液体によりびしょ濡れとなった互いの股座を、仰向けに寝転んだ慧卓が見遣る。そろそろ陰茎からひりひりとした痛みすら覚えて来そうな気配がする一方でいまだ屹立しており、騎乗するように慧卓に乗りかかった実晴の恥部に突き刺さっている。体力的にも気力的にもこれが最後の逢瀬となりそうだ。激しさの中に求め合った先までとは打って変わり、ゆっくりと感度を高めあうようように二人は快感を享受していた。
「はぁ・・・んあ、まだ硬いねっ、慧卓。すごい・・・あっ、今ぴくってぇ・・・」
幾度もの射精と絶頂により奔騰した液体が、互いの性器の間から小水のように毀れている。それが潤滑油代わりとなってか二人は肌と肌の摩擦による痛みを覚える事無く、行為に集中する事が出来た。上下に腰を揺する実晴。一方的なまでに責められていたお返しとばかりに膣肉の蠢きを操り、幾分か余裕を取り戻して柔和な笑みを浮かべた。慧卓が陶酔したように熱の篭った瞳を一心に実晴の媚態に注いだ。それがまた彼女に愉悦を与え、喘ぎを漏らしてしまう。
「ああっ・・・あっ、あああっ!・・・なんかぁ・・・もういっちゃいそう・・・もう駄目になっちゃうっ」
実晴は蕩けるような笑みを浮かべながらゆっくりと、慧卓の胸にしな垂れる。慧卓は実晴の臀部を確りと握り締め、その腰の上下運動を助ける。胸部から腹部にかけて柔らかな女体が抱きついてきて、淫奔な薫りを乗せて慧卓の最後の射精をねだってきた。実晴が淫蕩とした面持ちで涙を流しながら慧卓にせがむ。
「けっ、慧卓・・・嗚呼・・・一緒に、最後まで、一緒にぃ・・・いこぉ・・・」
胸元で囁く愛する者の言葉を慧卓が無視出来る筈がない。臀部からそっと手を離して彼女の背の方へと回し、汗に塗れたそれを優しく撫で付けてる。その一方で、疲弊する身体に鞭を打つ気概で、腰の躍動を再び早めていった。後背から突いていた時や対面で座り込みながら付き合っていた時と比べれば、それは寧ろ優しいとも形容される腰付きである。だが卑猥さや貪欲さという点で比較するなれば、どちらも絶頂と種付けを目的とした性行為に過ぎず、両者の淫らな獣性は色濃く覗かれていたのであった。
「あああっ・・・いくねっ・・・くぅぅん・・・いく、いくっ!!」
実晴は慧卓の胸に拳を置きながら一つ小さく震え、慧卓も溜息を零しながら精を奔騰させる。最後の一射は精根尽き果てたかのように弱弱しく、流れるままのものであった。色濃く穢された膣内に再び、薄まりはすれども粘り気だけは一流の白濁の液体が流れ込み、数多の運動に大分慣れて来た肉層へと染み込んで行く。
二人は抱き合いながら絶頂の快感を覚え、荒げに荒げた息を零す。
「はぁ・・・はぁ・・・もう駄目。死んじゃう・・・」
「もっ、もう出ないぞ・・・はぁ、はぁ・・・」
漸くといった感じで、慧卓の陰茎が引き抜かれた。若さゆえの甲斐あってか、夥しい量の液体が膣内より溢れ出てくる。意識が蕩けた中でもまぐわいの強烈な匂いだけは確りと捉えてくれた。
若々しい身体を汗ばせながら実晴は、投げ出された慧卓の腕に頭を乗せて言う。
「っはぁ・・・はぁ・・・ねぇ、今日はこのままで、寝ちゃお?」
「そ、そだな・・・やりすぎて、もう起きれないや」
「じゃ、お休み・・・」
「あぁ・・・待って、実晴」
「んん?あっ・・・んちゅっ・・・ちゅっ」
行為の激しさに似つかわしくない、ただ唇を重ねるだけの穏やかな接吻。赤らんだ唇を味わうかのように慧卓は口付けを重ね、今更ながらではあるが、この言葉を告げる。
「実晴、好きだ」
「・・・うん、私も、大好き」
淡い微笑を浮かべながら、実晴はゆっくりと瞳を閉じた。慧卓も一つ眠りに就こうと、目を閉じて心身を落ち着けていく。荒げた呼吸が止むまでは眠気につけなかったが、それでも互いの体温を間近で感じるにつれて徐々にまどろみが舞い降りてきた。
太陽の光が真上へと差し掛かる時、外界の騒がしさに目も耳もくれず、若き二人の逢瀬は一先ずの休息に落ち着いた。夜となれば再び二人は行為に及ぶのであろうが、それはまた別の話である。
ーーー全回想、終了ーーー
「以上が、俺の初体験の時に経験した、全部だ」
「・・・・・・死ね」
「え!?ちょ、それなんだよ、死ねって!」
「うっせぇ!こっちにゃそんな健気な女なんて絶滅危惧種なんだぞ!なんだよそれ、羨ましい!ふざけんな!相思相愛な彼女と一日やりたい放題か!?ぶち殺すぞてめぇ!」
「ちょっとぉ、なんでそんなにやっかむんだよ!酷い奴だよな、パック?」
「ミシェルの僻みに付き合うな。こいつは人よりも嫉妬深いんだ。まぁ反面優しい部分もあるんだがな」
「そのやさしさってのが全然感じられないんだけど」
「そりゃそんなエロい話聞かされれば不愉快にもなるわ。今どき、娼婦だってそこまで尽くしてくれないんだからな」
寝台でバッジを磨くパックの言葉に慧卓は理解を示すが、どうにも怒られ損のような気がするのだ。こういう時、本心から言ってしまえばただ単に羨ましがられたり興奮したりで終わってくれた方が良かったのだが、ミシェルの場合は無茶苦茶な罵倒である。ちょっとばかし心にイラっとくるものを抱えても、文句を言われる筋合いは無い筈であった。
ミシェルは世界を呪うかのような悔しげな瞳を天井に向けた。
「ああ・・・金が欲しい。金の力で娼婦をまとめ買いして、精力剤飲みまくってあふんあふんいわせてやりてぇ。・・・酒も飲みてぇ」
「欲望に忠実だけど、ちょっと酷い願望ですね」
「お前はまだ餓鬼だから分からないんだろうな。俺くらいに年取ってみろ。俺今年で25だけどよ、彼女もいねぇ金もいねぇおまけに親も生きちゃいねぇ。そんな人生で愉しみを探すんだぜ?気軽で短絡的なもんを求めるのは当然の帰結だって、思えてくるから」
「・・・世知辛いですね」
「同情するなよ、泣けるからさ。・・・畜生」
「ミシェル。バッジのピンをくれ。後はつけるだけだから」
言葉通りにピンを手渡すと、ミシェルはやきもきとした思いを長い溜息に変えて宙に吐き出した。パックはそんな同居人の鬱屈さには見向きもせず、只管バッジ製作に取り掛かっている。ふと、彼の雀斑顔が慧卓を見遣った。
「ケイタクもいるか?コーデリア様のバッジ」
「い、いや、俺はいいけど」
「そっか。ならいいや」
「畜生っ!!酒でも飲まねぇとやってらんねぇ!!パック!飲むぞ!」
「よしきた。見回りが来る前に開けちまうぞ」
「・・・ほんと、こいつら自由だなぁ」
壁の歪みに指を入れて隠し戸を開き、そこから小さな酒瓶を取り出すミシェルらを見て、慧卓はその立ち直りの速さに呆れるやら何やらで圧倒されてしまった。ぐびぐびとラッパ飲みしたミシェルが、無言の圧力を滲ませながら慧卓に酒瓶を渡す。これは断ったら殴られる流れだと悟ると、慧卓も気を引き締めて酒瓶を煽った。安っぽい葡萄の香りが喉を焼くかのようで、胃袋や身体を温め始める。
こうして慧卓はミシェルとパックと酒と共に一夜を明かし、翌日の朝、酷い頭痛を抱えながら王宮へと戻る事となったのだ。
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