IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第105話】
前書き
今回はちょい短めです
――第三アリーナ更衣室――
更衣室へ入り、着替えの入ったロッカーへと向かった。
誰もいない更衣室は、静まり返っているのだが――不思議と人の気配がするのは気のせいだろうか?
――まあ、そんな訳ないよな。
変に考える前に着替え終えようと、ロッカーから制服を取り出し着替え始めた――すると。
「………だーれだ?」
「はっ?」
すっと小さな手が、俺の視界を奪うように隠された。
いきなり視界が奪われたことに内心焦りつつも、不思議と聞いたことがある声に誰か考えていると――。
「うふふ、じゃあおねーさんからクイズ、答えてね?」
そう、何だか悪戯っぽい声で喋る女の人に少しドキドキしつつ、待っていると選択式クイズが出された――。
「ではクイズ。――①生徒会長。②謎のおねーさん。③ヒルト君のファン。④ヒルト君をデートに誘ったおねーさん。さあ、どれかな?」
……全くわからないのだが…てか二つほどおねーさん被りしてるが……。
①は生徒会長……ってまだ会ったことないから多分違うだろう――てか生徒会長って見たことないが。
②は謎のおねーさん……という事は年上か…多分これかな?
③は俺のファン――まず無いな。
④は俺をデートに誘ったおねーさん……誘われた事あったか?
……とりあえず答えないといつまでも目隠しされても困るので――。
「えと、②でお願いします」
「ファイナルアンサー?」
……どこのクイズだよ、テレフォンとかオーディエンス無いじゃん。
「……ファイナルアンサー」
「………………」
静寂に包まれる更衣室――時計の秒針を刻む音だけが木霊した――そして。
「ざんねーん♪正解は――⑤の全部でしたー」
「選択肢に入ってねーじゃねぇかっ!?」
目隠しされた手を離され、視界を開放されるや直ぐ様後ろを向いて突っ込んだ――と、そこに居たのは――。
「うふふ、ヒルト君、久しぶり」
「あ……更識先輩…」
四月に会って以来になる――美冬以外では初めての俺のIS操縦の協力者、『更識楯無』先輩だった。
「あん、ヒルト君。私の事は『更識』先輩じゃなく楯無って呼んで?」
「……恩人を呼び捨てには出来ませんよ。学園に来て妹以外では初めての協力者で友好的な女性でしたし…」
事実、更識先輩の教えが無かったらまともに動かせたか…美冬の教えが悪いって訳じゃないが、やはり年上で経験のある方が教えるのとはまた少し違うし……。
「むぅ……おねーさんが良いって言ってるんだから、そう呼んで?」
「う……」
先輩も覗き込む様な上目遣いで此方を見てくるので内心ドキドキしながらも、やはり綺麗な方だなぁと、再度認識した瞬間だった。
「わ、わかりました。では楯無先輩――」
「『楯無』だけで良いわよ?」
「うっ……なら楯無さんで――流石に先輩を呼び捨てには…」
そう言い、頭を下げると楯無さんは――。
「……仕方ないわね、あまりヒルト君を困らせておねーさんの事、嫌いになられても困るしね」
そう口元を隠すように扇子を開き、笑みを溢す楯無さん――そういえば、さっきのクイズ……。
「楯無さん、さっきのクイズ全部って言ってましたが……生徒会長何ですか?」
一瞬きょとんとした表情になった楯無さん、だが次の瞬間――。
「そうよ?IS学園生徒会長で謎のおねーさん」
「……だからか、訓練機をコネで借りられたのは」
そう言われれば納得、学園生徒会長なら文句も出ないだろうし。
「……てかそんなスゴい人に俺、操縦教わってたんですね…」
「うふふ、おねーさんの事、見直した?」
にこりと微笑む楯無さんの笑顔は、何だか見てるだけでドキドキしてくるので思わず視線を逸らすのだが……そういえばまだお礼を言ってないのを思い出し。
「あ……その、楯無さん…」
「なぁに、ヒルト君?」
「その、ずっと俺……お礼が言いたくて貴女を捜していました。――何度か二年生の人に聞いたりはしたのですが、忙しいって聞いててこのままお礼を言えなくなるのではと思っていましたので――ですから、今ここで言わせていただきます。――あの時はお世話になりました、ありがとうございました!」
「……ううん、ヒルト君なら私が教えなくても大丈夫だったはずよ?」
「いえ…楯無さんが教えてくれなかったらあそこまで代表候補生相手に善戦は出来ませんでした。――受けた恩は必ず返します、無いと思いますが……もし『何か』あれば自分で良ければいつでも力を貸します」
「……うん、じゃあもし『何か』困ったこと、又はピンチになったら力を借りに来るわね?」
「はい――あ、すみません楯無さん。そろそろ行かないと妹達を待たせているので……」
ふと時計に目が行くと既に三十分話していた――。
「そうね、そろそろおねーさんも仕事に戻らないとね♪」
そう俺にウィンクし、くるりとスカートを翻して後ろを向いて更衣室を出ようとする楯無さん――。
「あ……楯無さん。最後に良いですか?」
「ん?もちろんよ?おねーさんに何か頼み事かしら?」
「あ……頼み事じゃなく――次、いつ会えますか?」
そう俺が言うや、顎に人差し指を当てて考え込む楯無さん――そして。
「……『二学期』かしら?それまでは忙しくて会えないわね」
「……わかりました、では『二学期』にまたよろしくお願いします」
そう一礼し、頭を上げたときにはもう既に更衣室を後にした楯無さん――。
二学期か……まだまだだいぶ先だな…。
急いで制服へと着替えると、俺は更衣室を後にした――またいつか、楯無さんに会える日を楽しみにしながら――。
後書き
次回から三巻突入、と同時に村雲・改と天照設定書けたら上げますので
若干楯無さんの言葉が崩れてたかも
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