IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第106話】
前書き
この話から三巻です
件は似たり、やることは一夏に対するより過激に
THE暴走です
――1025室――
楯無さんと久しぶりに会ってからまた時は流れ七月。
夏本番であり、俺と美冬、未来の誕生日がある月でもあり、女の子の水着を拝める月でもある――まあ最近は室内プールもあるから、水着を見たければそこに行けば良いのだが――。
現在朝の四時、早朝のトレーニングを終え、部屋に戻った俺はトランクス一枚だけの姿になりベッドへダイビングした。
――そして、二度寝……暫くすると俺の意識は途切れ、深い睡眠へと落ちていく――この時、部屋に入って来た何者かの存在に全く気づくことなく――。
――暫く寝ていると、耳に聞こえるは雀の鳴き声――と共に聞こえる鳩の鳴き声も…。
軽く寝返りをうち、布団を抱き枕の様にして抱くのだが、いつもと違う肌触りに多少疑問を抱くも、気にせず抱いていた。
寝ながら思うのは妙な肌触り……まるで人間を抱いているような――あり得ないか。
何て思うのだが、眠い目を開くと流れる様な美しい銀色が見えただけで何も疑問を抱かず、再度目を閉じて微睡みを楽しみつつ、手を抱き枕の下の方へと移動させると何か柔らかいものを触るような感触が手のひらいっぱいに感じた。
まるで柔らかいそれを、両手で触りながらその感触を楽しんでいると突然――。
「……んんっ…!…ヒルト……ん…ぁ…」
――何とも摩訶不思議、抱き枕が俺の名を呼んだ――まあ夢ならそんなこともあるかと思いながらも、再度それを両手で触り続けると――。
「……っ……ぁん……ひ、ヒルト……!」
……何故女性の喘ぎ声が聞こえる?
てか今見てた夢は夢の中で抱き枕を抱いて寝る夢の筈――。
何故か胸に吐息が当たるのを感じ、恐る恐るゆっくりと目を開けると――。
「……はぁっ…はぁっ……ヒルト…」
「どわあああっ!?ら、ラウラじゃねぇかっ!?」
息は荒く、目は熱っぽくとろんとした瞳で俺を見つめてくるラウラ。
布団だと思っていたものは実はラウラだった――そして布団の方はベッドから落ちていたという罠。
そしてよく見ると、ラウラは一糸纏わぬ姿――全裸である。
とはいっても左目の眼帯は着けたままであり、右太ももの黒いレッグバンドも着けたままだ――レッグバンドはラウラのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』の待機形態なのだが。
話は戻すが、どうも俺はラウラの身体の【ある一部】を激しく両手で揉んでいたみたいで、現在ラウラが切なそうな目で俺を見上げている状態だった。
「ら、ラウラ……何で俺の部屋に――ってかまずは服を着ろ――せめて下着は着けてくれ」
「……ヒルトが望むなら…着けるが、私は夫婦とは包み隠さぬものだと聞いたのだが……」
「……まあ間違っては無いが、そういう事は結婚初夜でやることであって――じゃねぇ!い、いいから服を着ろ!」
至極真っ当な言い分を言うが、ラウラはそのまま切なそうに俺を見つめてくる――と同時に、どうも俺の欲望の塊も反応したのか――だが悟られまいと慌ててシーツをかけた。
そしてラウラはそのまま俺を見つめながら口を開く――。
「ヒルト……日本ではこういう起こし方が一般的と私は聞いたのだが……。その…将来、結ばれる者同士の定番…だと」
「……と、とりあえずさ。その間違えた日本の知識をラウラに吹き込んでいるのは誰なんだ…?」
「……クラリッサだ」
……クラリッサさん、お願いだから日本の間違えた知識を教えないでください。
何か、いつかは侍も今の日本には居るのだぞって言い出しかねん。
そんな風に考えていると、俺の首に腕を回して密着してくるラウラが――。
「ふふっ…効果はてきめんだったようだな」
「は?」
「目……覚めただろう…?」
「こ、これで目が覚めずに普通に過ごしてたら俺は仙人か何かの百戦錬磨だよ……」
……流石に思春期男子にこの起こし方をする女子が居るならそいつの身の安全のが危ないな……正直、俺は理性がブッ飛びそうな訳で――。
「ん……しかし、朝食までにはまだ時間があるな…ヒルト?」
「う……?」
言うや、密着するようにくっついてくるラウラ……俺は下にトランクス穿いただけでその上にシーツをかけた状態、そして上半身は裸である――ラウラの大きくは無いが確かに『ある』胸が俺に当たると気持ちが落ち着かず、ラウラも俺の欲望の塊がトランクスとシーツ越しにとはいえ、腹部にもろに当たっているのに気づいているようだが――その事には触れず。
――しかし、こうやって改めてラウラを見ると可愛いよな……まあ行動が行きすぎだが。
男子が風呂の日、俺と一夏は時間を別けて入る(一緒に入る方が危険な為、二十分俺が入って、残りは一夏にやるという事で納得した)がその時にやってくる――あろうことかサウナ中に。
別な意味でのぼせかけた……。
着替えの時はまだ来ていないが……多分これは一夏が居るからだろう、まだ蟠りが残ってる様で――。
等と考えながらラウラを見ていると――。
「そ、そんなに見つめるな……わ、私だって恥じらいはある…ヒルトに見られると恥ずかしい……」
そう俺から視線を外し、頬を朱色に染めるラウラ。
……前のラウラとのギャップは凄まじく、多分これを見る前のラウラを知った男子が今のラウラを見ると悶絶するか萌え死?するだろう――それぐらい可愛い。
だがそれを口に出しては言わない、言えば迫られるからだ。
――と、ラウラが突然。
「…ヒルト」
「ん?何だ?」
俺の名前を呼んで、真っ直ぐに見つめてくるラウラに内心はドキドキしつつも、平静を装う――が、突拍子のない質問がラウラの口から出てきた。
「ヒルトは…どんな女が好きなんだ?」
「はあ?」
……意味を解すると、好きな女性のタイプを訊いてるのか…。
「……まあ好きになった女性がタイプだな。訊かれてはないが嫌いなタイプは理不尽な暴力を振るう奴だな、特に力で脅しをかけてくるような?男でも女でもそんなタイプは一番嫌いだ」
「ほぅ……なら私を好きになるという可能性もあるということだな?――嫌いなタイプは、そうならないように気を付けよう…お前に嫌われたら私は……」
その言葉に、少しドキドキするものの悟られぬ様にポーカーフェイスで――。
「理不尽な暴力さえなきゃ、嫌いになる理由はないさ。――とりあえず可能性としては『なきにしもあらず』だ。――言ってしまえばどんな女性でも可能性は有るし、無いかもしれないしな、これが」
まあどんな女性もなきにしもあらず何だが――残念ながらそこまでモテないのが現実って訳で。
――だが最近はそう感じないのは、やはりラウラとの一件があってからだろう……とは思うのだが、もしかするとイギリス文化、フランス文化、ドイツ文化という可能性もあるわけで……直接言われた訳じゃないからなぁ……。
……それはそうと、やはりこの体勢は色々まずい……特に、ラウラの腹部に当たってる俺の欲望の塊が一番まずい。
他の女子にバレたりすれば去勢されても文句は言えない――。
「……とりあえずラウラ、離れてくれないか?」
「……何故だ?……さ、さっきはあんなに『私の身体を好き放題』に弄っていたのに……」
「……抱き枕だと思って触っただけだ、ラウラだってわかってたら触ってねぇ…」
そう言うと、今度は不安そうな表情へと変わり始めるラウラ…。
「わ、私の身体はヒルトにとって…魅力……無いのか…?」
「だあぁっ、そんなこと言ってねぇ!」
「そ、それもそうだな。――『ここをこんなに』しておいて……」
そう赤面しつつ、ラウラが何を言ってるのかは理解してる訳で思わず顔を背ける――。
「し、しかし凄いものだな……こ、こんなになるとは――」
「だあぁっ!み、見るんじゃねぇっ!?」
そう言って退かせようとするがひらりと避けながら、俺がかけていたシーツを取るとそのまま見事に身体へと巻き付けた――だが、逆に俺はトランクス一枚という姿に。
……まあ離れてくれたからいいか、あのままだと理性がブッ飛んでただろうし。
「……ったく、女の子なんだからあんまり変な真似するなよな」
「……変な真似とはなんだ?」
「何でもない、てかそろそろ服ぐらい着ろ。シーツ何かじゃすぐはだけるだろ」
「……ヒルト、やはり気になるのか?私の裸が…」
言うや、巻いたシーツを緩めようとし思わずぎょっとなって――。
「ば、馬鹿!緩めるなよ!?」
慌てて緩めようとする手を止めようと掴むのだが、その掴んだ手を捻るようにし、抑え込まれてベッドに前のめりで突っ伏した――。
「あ……す、すまないヒルト」
「いててっ……良いから離してくれないか?」
言うや、直ぐに離すラウラだったが、若干涙目になって――。
「そ、その……わざとじゃないんだ。か、身体が覚えていて気づいたら……取り抑えて……」
――と、こんな感じにおろおろしながらさっきの取り抑えた時の事を言ってるが……別に涙目になりながらおろおろしなくても――。
「ん?別にわざとじゃないんだろ?なら気にするなよ」
「……い、良いのか?理不尽な暴力……嫌いだって言ってたから――こほん、少し取り乱してしまったようだな」
……成る程、俺の中の悪魔がピコンっと電球つけた音が響いた感じだ。
つまり、今の俺を取り抑えたのを理不尽な暴力だとラウラ自身が思って、それでおろおろしてたんだな、俺に嫌われると思って。
若干赤面しつつも、咳払いしていつものラウラに戻るのだが――何となく意地悪をしたくなってしまった訳で――。
「ほら、あまり気にするなよ――いっ…!?」
「……!?」
突然俺が肘を押さえたのを見て、ラウラの表情が変わった。
「いててっ……筋痛めたかも…」
「ば、馬鹿な……ちゃんと痛めないように押さえた筈だが……」
等と、徐々にまたおろおろし始めるラウラ――もちろん筋は痛めてなければどこも悪くない、強いてあげればこんな馬鹿な考えをした俺の頭が悪いだけだろう。
「あ……ヤバい、腕痛くて上がらない…ラウラのせいだな」
「わ、私の……」
みるみる内に、右目が潤み始め、流石にこれはやり過ぎたかなと思い俺は――。
「ラウラ……――嘘です、実は痛くないのだ」
「ふぇ……?――嘘…?」
「あぁ、嘘だ。ちょっとラウラに意地悪してやろうかと思ってな?」
目をぱちくりさせ、言葉の意味を徐々に理解したのかその表情が険しくなっていき――。
「嘘――だと?貴様、嫁が夫である私に嘘をついたと言うのだな?」
そう腕を組み、明らかに怒りをふつふつと込み上げさせる様な――。
「……嘘ついたのは悪いと思うが、ラウラをちょっと困らせてみたくなっただけだよ。ごめ――」
――と、謝罪の途中で何故か勢いよくベッドに押し倒されてしまい、頭に疑問符を浮かべていると――。
「わ、私に嘘をついたのだ。――せ、責任を取ってもらうぞ、さっきのも含めて」
「は?な、何の責任だよ?てかさっきのって――」
「わ、私の身体を好き放題触った責任だ――私も、触らせてもらう」
そう言い、俺に覆い被さったラウラは俺の下腹部に手を伸ばし始め、明らかに俺の欲望の塊を握ろうとしていた――。
「だあぁっ、待てぃッ!――流石にそれはダメだ!」
言葉で制止すると、ピタッと止まってラウラは此方を見つめて――。
「……だがヒルト、【こんな状態】だと色々困るのではないか…?」
「うっ……ほ、ほっとけば治まるからいぃ…」
「ふっ…強がるな…」
そう言って、再度首に腕を回してラウラは見つめてくる――そして覚悟を決めているのか目が座っていた。
「つ、強がってねぇよ……なあラウラ…そろそろ朝食食べに行かないか?――流石に何度もこんなやり取りしてたせいか七時まわりそうだし……」
「む……?」
時計を指差すと、ラウラはそちらを振り向く――時間はちょうど七時五分をさしていた……。
「……三十分で済ませれば問題ないが?」
「……無理、仮にお前と【そういう事】を今からしたら絶対三十分で終わらん、主に俺が」
これは確信して言える、正直この学園に来て三ヶ月、女尊男卑とはいえ学園女子の薄着に妄想は膨れ、ISスーツの露出も眩しく、シャルとの同室等々とハニートラップ満載過ぎて正直ここまで理性を保てた方が凄い、てか俺の友達なら三日以内に理性崩壊確定。
特別俺が草食では無いが、流石に見境なくは無理だし――。
――と、三十分で終わらんって言ったのを聞いてか徐々に顔が真っ赤に変わっていくラウラ。
「……とにかく、俺はまだラウラと【そういう関係】になりたいと思ってないから。――俺はまだラウラの事、少ししかわかってないしラウラだって俺の事少ししか知らないだろ?」
「…………」
顔は赤いまま、静かに頷くラウラを見て――。
「まあだから、何処かに遊びに行って色々親睦をはかるとかしてからだろ?って訳で制服着な、腹減ったし、遅刻するわけにはいかないからな」
優しく頭を撫でると、ラウラは退いた――てかあいつ、自分の制服俺のベッドの横に脱ぎ捨ててるな……下着も…。
とりあえず制服を手に取ると俺は洗面所へと向かい、中で着替えも歯磨きも全てを終えて、洗面所を出ると既にラウラは着替えを終えていつもの姿になっていた。
「ラウラ、歯は磨いたか?」
「むぅ…ちゃんと磨いた。ヒルトとキスするつもりで朝忍び込んだのだからな」
さらっと何か聞こえたぞ、キスするつもりだったとか……。
「……ったく、そんな簡単にキスするかよ、バーカ」
指でつんッとラウラのおでこをつつくと、むくれた様にラウラが見上げてきた。
「ははっ、ほら行くぜ?朝飯が俺たちを待ってるぜーってな、これが」
「う、うむ……」
身支度を終え、鞄を担ぐとラウラと共に部屋を出た――幸い、まだ少し早い時間だったせいか、誰にも見られなかったのは幸いだった――見られてたら……恐ろしい。
何はともあれ、俺とラウラは共に朝食をとりに食堂へと向かった――。
後書き
何かいつか本番突入しそうな……ならないようにしますが
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