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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第127話】

――砂浜――


陽が昇り、遊び疲れたのと共にお腹の音が鳴り響く。

もちろん、俺の音だ。

そんな腹の音を聞いた未来とシャルは、笑みを溢した。

――一夏は、ビーチバレー終わってすぐに別の女子に拉致された。

何でも――『独り占めはズルい!私たちにも織斑君と遊ぶ権利はあるっ!』――との事……最近、何だかあいつが女難の相でも出てるのではないかと思ってしまう。

まあ実態は女子にモテてるだけなんだが。


「ふふっ、ヒルト。お腹が空いたんだね?そろそろお昼の時間かな?」

「そうだな、腹ペコだ……」

「ヒルト、午後からはどうしよう?――私は、美冬ちゃんとゆっくり話でもしようかと思うんだけど……」

「そうだな…。とりあえず鈴音、ラウラの様子を見てから泳ぐか、ビーチフラッグダッシュでもするか――または水遊びとか?あれみたいに」


そう言い、指差す方向には女子達が水の掛け合いをしていた。

キラキラと光る水飛沫が、また彼女達を魅力的にうつる――。


「……そ、そっかぁ。――あれ、僕もしてみたいなぁ…」

「何だか懐かしいな……小さい頃はよくヒルトと美冬ちゃんと一緒にああやって遊んでたから」


そんな風に懐かしそうに言う未来――シャルは、その頃の俺を知らないが、何だか未来を羨ましそうに見つめていた。


「なら後で皆を呼んでやるか?集中砲火くらわせてやるぜ。なんてな」


そんな風に言い、一旦別館へ向かおうと足を進める――。


「そういえばさ、ヒルトって結局何処の部屋だったの?」

「あ……。それは幼なじみとしても気になる。――変な部屋じゃなければ安心だけど」

「ん?別に変な部屋じゃないぞ?親父と母さんが泊まる部屋さ、俺はな」


そう言うと、ほっとしたように胸を撫で下ろす未来とシャル。

――とそこへ。


「うふふ、だから暇だったら遊びに来ても良いわよぉ?未来ちゃんもシャルちゃんも♪」

「「お、お母さんっ」」


――こうやって皆が母さんの事をお母さんだのお母様だの呼んでると、徐々に家族が増えていく様な感覚に陥る。


――母さんの水着は、前日選んだ赤い水着だ。

――相変わらず、母さんのスタイルがチートだ。

絶対子供を産んだようには見えない。


「母さん、もう終わったのか?」

「えぇ、それともうお昼も済ませたからこれからまったりとするの――ヒルト達はこれからどうするのぉ?」

「とりあえず昼御飯食べてからだな、また遊ぶのは」


そう言うと、笑みを浮かべる母さん――と。


「あ、未来ちゃん?明日の予定だけど少し良いかしらぁ?――美冬ちゃんから専用機の話は聞いてるけど、やっぱり調整だけはしたいから……話、良いかしら?」

「も、もちろんです。――ごめんなさい、せっかく用意していただいたのに…」

「うふふ、それは良いわよぉ♪貴女が扱うに相応しいと思った時に、扱いなさいな♪――ヒルト、シャルちゃん。まだしばらく未来ちゃんとお話してるから先に食べてきなさい」


そう促す母さん、未来も同じように頷き、俺は――。


「了解、じゃあ未来。話が終わったら来いよ?」

「僕も待ってるからね?――じ、じゃあお母さん、また後で」

「うん。お父さん見かけたらもうビーチに居るって伝えてねぇ~」

「ヒルト、シャル。また後でね?終わったら合流するから」


それだけを告げると、俺とシャルは別館へと向かう道中――。


「ねぇヒルト。さっき未来が言ってた専用機の話って――」

「ん?――シャルに言ってなかったか?美冬も未来も、母さんが専用機用意したんだが断ったんだよ。まだ受領するには早いってね」

「そ、そうなの?――僕は、美冬も未来も――二人とも専用機を受け取っても大丈夫だと思うんだけどなぁ…」



やっぱり皆そう思うよなぁ。

事実、未来に関しては編入試験を突破するだけの頭もあれば操縦技術もある――まあ、ムラがあるが、ハイパーセンサーの補助があっても難しい銃弾を自分が撃った銃弾で撃ち落とし何かは代表候補生――つまり、セシリア、鈴音、シャル、ラウラ達に無理と言わせたぐらいだし。

更に、シャルのラビット・スイッチも難なくこなす――まあ、打鉄だと意味が無いからラファール・リヴァイヴに乗った時限定でしか使えないって言ってたが。

――俺の幼なじみがチート過ぎて困るってタイトルで本を出せそうな感じだ。

……まああれでも、最初からそんなチート能力ではなく、本人が勉強したからって言ってたからなぁ…。

多分、今の俺なんかよりも勉強もしたし、努力もしたのだろう。

……もっと頑張らないといけないな、俺も。


そんな風に改めてもっと努力しようと心に決める――と、少し離れた所で織斑先生を発見――何やら一夏と話をしているが――それよりも織斑先生の水着が派手過ぎてビックリした。

遠目でそんな織斑先生を見ていると、隣のシャルから――。


「ヒルト、鼻の下伸びてるよ」

「う?――いや、あれは流石に見ちゃうだろ、いつもスーツ姿の織斑先生とは違う一面――似合いすぎだろ、あの水着!」


若干興奮気味に喋っていると、ジト目で見上げるシャルが――。


「ヒルトって、織斑先生みたいな年上の女性が好みのタイプなの?」


そんな風に聞いてくるので思わず目がぱちくりし――。


「……俺の好みは好きになった子が好みだ。だから年上も年下関係ないさ、これがな」


そう言うと、ほっと胸を撫で下ろすシャル。



「そっかぁ……良かった…。――――……もぅ、これ以上…ライバルが増えちゃうと困るもん……」


ぼそりと呟くシャル――周りの女子達が織斑先生の水着やスタイルの良さの話題で所々しか聞こえなかった。

聞こえたのが【ライバル】と【困る】……何のライバルで困るのかがわからない、情報が少なすぎて――とりあえず訊いてみる事にする。


「何がライバルで困るんだ?」

「ふわぁっ!?な、何でもないよっ!?…………ヒルトの前じゃ、迂闊な事も言えないよ…はぁっ……」

「……?」


……あまり追及してもダメなので、これ以上聞かないでおく。

こうやってどんどん謎が増えていくんだよな……言葉の謎。



「……まあ、考えても仕方ないよね。ほら、ヒルト。行こっ」

「……だな、そろそろ何か食べないと腹と背中がくっつきそうだし」


シャルがするりと腕を絡ませると、そのまま別館へと向かった。


「昼御飯、何だろうな――ってまあ、海鮮料理かな?海が側だし、刺身とかかも」

「お刺身!いいね、新鮮なの大好きだよ、僕」


そうシャルが俺を見ながら言う――そういや、結構日本食メインで食べたりしてるよな、最近。

シャルが特別なのか、日本の食文化に適応している。

セシリアは――『お、お魚を生で!?し、信じられませんわ……』――とのこと。

まあ生で魚を食べる文化じゃないよな、英国は。

ラウラはと言うと――『安心しろ。私は生の食材を食べられる訓練を教官――お父さんから受けている。ジャングルで孤立無援になった時にも生き延びられるようにな』――と、親父からのサバイバル技術が生かされているらしい。

――最初聞いたときは、ラウラの所属する部隊は皆ダメだったらしく、何とか魚だけは食べられる様になったとのこと。

――親父って、何でも食べるからなぁ…蛇とか。

まあ俺も、親父からサバイバル技術学んでるから食べられるが、基本は遠慮したい。

――でも、何だかんだで焼き魚が旨かった記憶がある。


そんな小さい頃の事を思い出していると――。


「よぉっ、ヒルトにシャルちゃん!」

「あ……親父か」

「お、お父さん。こんにちは」


そう挨拶するシャル。

もう皆親父をお父さんって言ってるから聞きなれたな……友達は皆おじさんって言ってたし。


「ははっ、こんちはー――ヒルト、母さんはどこだ?」

「母さんならあそこに居るぞ?――てか親父、俺手伝わなくても良かったのか?」

「ん?――おうっ。俺一人で大丈夫だったぜ。わっはっはっ――揚陸挺も、自動操縦だったし世の中便利になったもんだな。うんうん」


そんな感じで一人で頷く親父。

――と、母さんが言っていた【PPS】について訊いてみる。


「なあ親父、【PPS】って何だ?新しい重機か?」

「ん?――まあそんなところだな。――これ以上は母さんから話さないようにって言われてるから言えないが――悪いな、ヒルト」

「いや、言えないことを無理に訊かないさ――じゃあ親父、俺達昼御飯食べるから」

「おぅっ。じゃあ後でな!シャルちゃんもまた後で!」

「は、はいっ。また後で」


そう親父が言うや、脱兎の如く親父は母さんの元へ向かう――途中、お嬢ちゃん可愛いねぇ等聞こえてきたが――まあ気にしないでおこう。 
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