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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第126話】

――砂浜――


波は穏やかに、ゆっくりと波打つ音が聞こえる中――今更だが、シャルが俺の選んだ水着じゃないことに気づいた。

――いや、今のも似合ってるんだが、折角選んだのだから……だが、それを今言うのも野暮だろう。


「今更だがシャル、その水着似合ってるな」

「あ……う、ぅん、ありがと――……選んでくれた水着じゃなくてごめんね…?」


そう言い、眉を八の字に下げて申し訳なさそうな表情をするシャル。

それと同時に髪を弄るのだが、手首にはプレゼントしたシルバーブレスレットが夏の太陽の光を反射し、光っていた。



「いや、良いんだよ。シャルが着たい水着を着ればさ。――それよりも、そのブレスレット大丈夫か?塩水で錆びそうな……」

「大丈夫だよ。そう思って来る前にちゃんと保護コートしてあるし、それに塩水は後で綺麗に洗い流すから。――せっかくヒルトがくれたものだもん。もっと大事にしたいし……えへへ」


そう太陽の様な笑顔を見せるシャル。

――と、それを聞いていたラウラが。


「ヒルト」

「……?どうした、ラウラ?」


先ほどまでとは違い、いつも通りの落ち着いたラウラの声が俺を呼んだ――。

今の水着とのギャップもあるが、これはこれで可愛いと思ったりする。


「ず、ズルいぞ、シャルロットばかり。……わ、私にも何かプレゼントを……その、して欲しいのだが……」


そう両指を重ね合わせ、若干上目遣いで見上げながらプレゼントをねだるラウラ。


「……そうだな。誕生日とか、他に何か記念日的な日でもあれば構わないぞ?」


そう告げると、一瞬ぱぁっと笑顔になるが――こほんと軽く咳払いし、いつもの表情に戻る。


「む、そうか。……で、では、機会があれば必ずくれ。絶対に…絶対にだぞ」

「ふっ……交わした約束を破るような人間に見えるか?ラウラ?」


言うや、首を横に振り――。


「も、勿論信じている。私はお前の夫だからな――ヒルト、いずれは給料三ヶ月分というものを頼むぞ。……その、クラリッサから聞いたが、日本では大事なプレゼントにはそれだけのお金を注ぎ込むのだろう?」


……そうなると、俺は破産するな、毎回毎回三ヶ月分の金額がしたプレゼントを皆に贈ると。

――てか、確かそれって婚約指輪か結婚指輪的なものに使う内容だった気がするが。


――まあ、こういうのはちゃんと後で教えればいいのだろう……。


「聞いておくがラウラ、何か欲しいものとかあるか?お前が好きそうな物を教えてくれれば、俺も選びやすい」

「む……そうだな。前にも言ったが私はそういうものに疎い。……だ、だが…ヒルト、お前が選んでくれる物なら…私は何であろうと嬉しいぞ」

「……成る程、じゃあ女性用のアクセサリー系統の物にするかな。チョーカーとか――てか俺とセットになるな。只でさえ共通点結構あるのにチョーカーまで揃ったらマジで兄妹に見られそうだな、これが。――うーん、ペンダントとかイヤリング何かどうだろうか?ラウラなら似合ってて凄く可愛くなると思うぞ?」



何気無いが、俺の本心として可愛いとラウラに言った。

すると、みるみる内に顔が赤く染まっていき。


「かっ、かわいっ……!?」

「あぁ、そのままでも十分可愛いがな」

「あ……あぅ……」


再度そう言うと、目を丸くしながら両手の指を重ね合わせ、落ち着かなさそうに自身の指を弄び始める――。

――と、突如一夏を呼ぶ声が聞こえる。

……シャルに無視されたのがショックだったのか、呆けていたが呼ばれた事で戻ったようだ。

――一夏の擁護は俺には出来ないからな…これでも良いところを何度も探してるんだが…。


「おっりむらくーん!」

「さっきの約束!ビーチバレーしようよ!」

「わー、ひーくんと対戦~。ばきゅんばきゅーん」


そう銃を構えるように指で構え、俺を撃つのほほんさん。

そんなのほほんさんに応えて――。


「ぐふっ……やられたぜ~、がくっ」


そんなわざとらしい声をあげ、砂浜に倒れ込む俺。


「わー、ひーくんやられちゃった~」

「……何てことは無いのだ!何てったって俺は不死身だからな、ははっ」


直ぐ様立ち上がり、砂を払うと俺は軽く笑みを浮かべる。

……しかし、のほほんさんの水着(?)が着ぐるみみたいなのとは……ビキニかと思ったんだが。


そんな感じで少し残念に思いつつ、ビーチボールを持ってきた櫛灘さんが――。


「それっ。織斑君にパース」


ビーチボールを叩いてサーブする櫛灘さん。

そのビーチボールを一夏は受け取ると、此方の面子を確認する。

――五人居るよな、こっち。

俺、一夏、未来、シャル、ラウラの五人。


「じゃ、こっちは俺とヒルト、後シャルだな」

「……一夏、それは流石にどうかと思うぞ?男子が二人とも同じチームってのは」

「それもそっか。じゃあ俺かヒルトがそっちのチームに入ればいいか」


「あぁ――まあ聞かなくてもわかるが、櫛灘さん達はどっちが欲し――」

「「織斑君!!」」

「ひーくん~――あれ~?」


――二対一で櫛灘さん達の勝ちだな、此方が渡すのは一夏で。


「んじゃ、一夏――向こうに行ってらっしゃい」

「お、おぅ」


それだけ返事をして一夏は向こうのチームへと合流した。


「じゃあ四対四で、少し多いが、俺、未来、シャル、ラウラで――そっちに一夏行ったから多分パワーバランスは問題ないと思うが」

「おぅ、じゃあ始めようぜ」


その言葉を合図に、櫛灘さん達が持ってきたネットを広げ、俺と未来が砂の上にコートの線を手早く引いた。



「んじゃ有坂君、お遊びルールでいいよね。タッチは三回、スパイク連発禁止の十点先取で一セットねー」

「OK、それで問題ないさ。そっちからのサーブでいいぞ」

「おう。じゃあ櫛灘さん、サーブ任せたぜ」


一夏が手に持ったビーチボールを放って渡す――すると、受け取った櫛灘さんの目がキラリと光った。


「ふっふっふっ。七月のサマーデビルと言われたこの私の実力を……見よ!」


そんな二つ名、初めて聞いた――下手すると消したい過去になりかねない二つ名だが。

そんなサマーデビルこと櫛灘さんのジャンピングサーブ、そのスピードと角度は申し分無く、初っぱなから先制点を取る気満々だった。


「ヒルト!僕に任せて!」

「あぁ!未来、ラウラ、俺に回せ!こっちも取るからな、先制点!」

「了解!」

「…………」


ラウラだけ返事が無く、見るとボーッと立っていて――。


「って、わあっ!?」


ビーチボールを追いかけていたシャルが、ラウラとどんっとぶつかり尻餅をついた。


「シャル、ラウラ、大丈夫か?」

「二人とも、何処か怪我してない?」


「いたたた……ラウラ、どうしたの?」

「か、かわ、可愛いと……言われると、私は……。うぅっ」


そんな風に呟き、ふと俺と目が合うラウラ――。

そして、湯気がでそうなぐらい顔を真っ赤に染めるや急に立ち上がり、何と脱兎の如く逃げてしまった――その速さは、メタスラ級。


「ちょ、ちょっとラウラ!何処に行くんだよっ!?」


慌てて声をかけて止めようとはするが、既にラウラは別館へと入っていって中へと消えていった――と、のほほんさんが。


「うーん、これはあれかな~。ひーくんの乙女心ブレイカーが作動中なのかなー」

「乙女心ブレイカー?」


思わず聞いてみるが答えはなく、乙女心ブレイカーとは何だ?――と、何度も自問自答した。

――と、一夏が。


「うーん。まあ、続けるか。ラウラの様子は後で見ることにしてさ」

「さんせーい」


そう向こう側のチームが言うので仕方なくゲームを続ける。

後で様子、見ないとな……。



とりあえずゲームを再開、数の上では此方が三、向こうは四なのだが――のほほんさんが予想以上にマイナスに近いので戦力差は五分五分という状況でビーチバレーが続く……。


「シャルっ」

「任せて!――そーれっ」


未来がトスを上げ、シャルがスパイクを決める。

今更ながら、綺麗なスパイクを決めるなって感心していると着地と同時に弾むシャルの乳房に目が釘つけになる。

……思ったよりもこの学園って、隠れ巨乳が多かったりする。

事実、サマーデビルこと櫛灘さんの胸も、大きめで、跳ねる度に胸が揺れている。

――未来も、その水着がずれそうなぐらいたわわに実った乳房を弾ませるものだから色々と気になってしまう。


「ヒルト!ボール回すよっ!」

「……OK、これで決めるさ――これがなぁッ!!」


そう叫び、勢いそのまま相手コートにスパイクを叩き込む――一夏が反応するも、届かずに俺のスパイクが決まった。


「やったね、ヒルト!」

「ふふっ、久しぶりに見たよ――ヒルトの本気スパイク」


「本気って訳じゃないがな――何にしても、勝てたのは二人のおかげさ。途中ラウラが居なくなったのは予想外だったが――様子、見に行かないとな」


そんな感じでビーチバレーは終了した。

砂浜には高らかにハイタッチする音と、波の音が響いた――。 
 

 
後書き
これも早めに上がりました

加速してます

祭時期は暇ですから 
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